2020年03月04日

あってはならない不正受給者の問題

 不正受給の件数や金額が年々増えている報道を見ると、真面目に働いているのがバカらしくなる人もいるかもしれない。しかし2012年3月の厚生労働省社会・援護局関係主管課長会議資料を見ると、2007年度の不正受給額の割合は0.35%、12度年は0.38%となっている。0.4%前後であることが分かる。
 「不正受給」の事例の中には、生活のために頑張っている子供や高校生のアルバイト料を申告する必要がないと思っていたというケースも含まれている。「これも不正受給なの」という疑問は生じるかもしれない。
 雇用情勢が悪化する中で中高年齢者や中軽度の障害や傷病を持つ人や低学歴や無資格の人、あるいは人間関係が苦手な人といった「就職弱者」は仕事を失い生活保護を受けるようにならざるを得ない現実は深刻なものがある。
 今後は、これらの人に生活保護からの脱却を促し自立支援体制を強化する必要がある。国が就労支援員を配置し、ハローワークが主体となって動くべきだろう。


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2020年03月03日

生活保護受給中の自己破産

 「生活保護を受給していると自己破産ができない」「自己破産をすると生活保護が受給できない」と思っている方もいるようだが、自己破産と生活保護はまったく関係のない制度である。したがって、生活保護受給中であっても自己破産はできるし、自己破産後に生活保護を受給することもできる。両者を同時に手続することも可能なのだ。むしろ、生活保護受給中の方の借金問題の解決方法の原則は、自己破産と言える。
 一般的には、借金の額が少ない場合は、破産ではなく任意整理や個人再生により借金問題を解決することが多い。しかし、任意整理や個人再生は借金を減額する制度であり、借金を消滅させる制度ではない。一方、自己破産は借金の支払義務をなくしてもらうことができる制度。そのため、自己破産をすれば借金生活から解放される。
 生活保護受給中の場合には、借金の返済が続くと生活がさらに困窮する可能性が高いので、借金が少額であったとしても自己破産を選択するのが通常である。借金が少額でも自己破産ができるのか心配される方もいるが、返済ができない(支払不能の)状態である以上、借金額に関係なく自己破産は可能である。実際、生活保護受給者の方で、100万円以下の借金で自己破産をされる方も少なくない。
 なお、年金を受給している高齢者の方も、要件さえ揃えば年金と生活保護の併給が可能だし、自己破産をしても年金の受給額は変わらないので、安心していい。
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2020年03月02日

「違法ではないが望ましくはない行動」に生活保護制度はどう対応できるか?

 「生活保護費を受け取ったらすぐパチンコ店に直行、あっという間に保護費を使い果たし、次の保護費支給日までは命をつなぐのが精一杯」など、「健康で文化的な最低限度の生活」のための生活保護費を受け取って、「それって、健康、文化的」という使い方をしてしまう生活保護利用者は存在する。福祉事務所には、どういう対応ができるだろうか?
 現在も実務の現場にいる田川氏は、「散財してやりくりできなくなるようであれば、アルコール依存・ギャンブル依存の問題の可能性があるとして、対応すれば良いだけの話です」という。さらに吉永氏は、現在の生活保護制度の原則からコメントする。
 「旧生活保護法(1946〜1950)は、『勤労の怠る者』を『素行不良な者』は、『絶対的欠格者』として、最初から生活保護から排除していました(欠格条項)。しかし現行生活保護法(1950)は、この欠格条項を排し、無差別平等原理(生活保護法第2条)を採用しました」(吉永氏)

(無差別平等)
第二条  すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。

 なぜ、生活保護法から「働かざる者、食うべからず」が消えたのか。 現在の生活保護制度を作り上げた厚生官僚(当時)・小山進次郎は、なぜ、一般市民感情に反する可能性もある法改正を、あえて行ったのか。
 「欠格条項を設けなかったのは現行法の特徴なのですが、小山進次郎は『何らかの意味において社会的規律から背理している者を指導して自立できるようにさせることこそ社会事業の目的とし任務とする所であって、これを始めから制度の取扱対象外に置くことは、無差別平等の原則からみても最も好ましくない所だからである』(小山進次郎『生活保護法の解釈と運用』106ページ)としています。つまり、『そうした望ましくない行動をする人がいた場合は、ソーシャルワークによって支援すべきである』ことを含意しているのです。実態としても、ギャンブルに依存する人には明らかに依存症の方もいますし、それに近い方もいると思います。そうした利用者には、病気という認識に立って支援するのが本筋であり、強制的に禁止しても、効果は限定されるでしょう」(吉永氏)
 しかし別府市では、パチンコ・競輪に対して「生活保護の停止」という処分が実際に行われてしまった。このことは何を意味するのだろうか。
 「処分を受けた人は、1〜2ヵ月、食費も住宅費もなく、医療も受けられなかったことになります。慢性疾患等のある方もおられたと思われます。パチンコ・競輪は決して望ましくはないとはいえ、これほどの罰を受けなければならないことなのかどうか、大いに疑問です。非違行為に対して行う処分は、バランスがとれている必要があります。『軽い違反行為なのに、釣り合いの取れない重い罰を科してはならない』ということです」(吉永氏)
  健康被害は当然ありうるし、場合によっては命を失うことにもつながったかもしれない。もしかすると、本人は「パチンコのために死ねるなら本望」なのかもしれないが、最低限度であるにせよ「健康で文化的な生活」の前提は生存である。生活保護制度を市民感情に配慮しつつ運用することが、生活保護利用者の生存を突き崩すとしたら、何のための生活保護であろうか。
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2020年03月01日

「生活保護でギャンブル」を法で取り締まることはできるのか?

 ギャンブルが「健康で文化的な最低限度の生活」に含まれてよいかどうかは、意見の分かれるところであろう。生活保護費のうち生活費分(生活扶助)は、単身・成人の場合、概ね月あたり7万円。5000円以上をギャンブルに使用すれば、食費や水道光熱費が圧迫されるのは間違いないだろう。競輪ならば「レースを見ることを楽しみ、最後に1000円だけ賭けてみるか」ということも可能だが、パチンコは5000円で楽しめるような娯楽ではない。
 生活保護利用者の言動は、とかく世間の批判にさらされやすいものである。「生活保護なのに○○、働いて納税している自分がかわいそう」「生活保護のくせに△△だなんて、いいご身分ねえ」の「○○」や「△△」に入りうるものは、縁日の金魚すくいで獲った金魚を飼う・100円で買ってきた花を飾る・図書館に行って本を借りてきて読む・スマホを所有する・子どもを進学校に進学させるなど、人間が行ったり「したい」と考えたりする可能性のあるもの全てにわたる。
 規制を受けた生活保護当事者のギャンブルだが、パチンコも競輪も合法的なものであり、法的に禁止するのは難しい。
 花や図書館や子どもの進学が問題になるほどであるから、もちろん「2ヵ月に1回、低価格風俗店に行く」「1ヵ月に1回、庶民的な居酒屋で2000円程度の飲食を楽しむ」「パチンコに行く」「競輪や競輪に行く」は大いに問題にされうる。問題にする側が理由として挙げるのは、多くの場合、「一般常識」「社会通念」「庶民感情」「市民感情」「納税している自分たちとの公平感」といったものである。しかも、ギャンブルを「良いこと」と考えている人々は多くはない。「生活保護でギャンブル!」と非難することは、自分が非難される心配をせずに楽しめる、安全で手軽な娯楽でもありうる。
 「ですが、パチンコ自体は合法的な行為ですし、生活保護法が明示的に禁止しているわけでもありません。『望ましい行為かどうか?』という点でいえば、確かに望ましくないかもしれません。けれども、『望ましくない』ことと『パチンコに行くことを、不利益処分を背景に禁止できるかどうか』は別の問題です」(吉永氏)
 「そもそも、生活保護費でお菓子を食べようが、お酒を飲もうが、パチンコに行こうが、それら自体は咎める筋合いのものではありません。福祉事務所に市民の方から『タレこみ』の電話などがあったら、実際に、そう答えてきました」(田川市)
  法的に、あるいは行政として「生活保護でギャンブル」を禁止することは、やはり不可能なのだ。
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2020年02月29日

「ギャンブルしたら生活保護停止」は合法? それとも違法?

 最初に気になるところは、パチンコ店や競輪場に「立ち入った」を理由とする生活保護停止に、法的根拠があるのかどうかだ。根拠とされた生活保護法第60条と、「生活保護利用者が福祉事務所の指導・指示に従わない場合は生活保護の停止がありうる」と定めた第62条のうち本件に関係する部分は、以下のとおりとなっている。

第十章 被保護者の権利及び義務

(生活上の義務)
第六十条  被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない。

(指示等に従う義務)
第六十二条  被保護者は、(略・保護の実施機関(=福祉事務所)が)被保護者に対し、必要な指導又は指示をしたときは、これに従わなければならない。
3  保護の実施機関は、被保護者が前二項の規定による義務に違反したときは、保護の変更、停止又は廃止をすることができる。
4  保護の実施機関は、前項の規定により保護の変更、停止又は廃止の処分をする場合には、当該被保護者に対して弁明の機会を与えなければならない。この場合においては、あらかじめ、当該処分をしようとする理由、弁明をすべき日時及び場所を通知しなければならない。

 少なくとも、生活保護利用者のギャンブルを直接に禁じる条文は、生活保護法全体を通じて存在しない。また、厚労省の通知等に存在したこともない。法の解釈をめぐる問題で悩む日本全国のケースワーカーから「知恵袋」として信頼されている吉永氏は、「パチンコで生活保護停止」の法的根拠を、どう見るだろうか。
 「新聞報道によると、生活保護法第60条を根拠にしています。しかし、第60条は罰則がなく、訓示規定とされています。訓示規定を根拠に生活保護を停止・廃止(打ち切り)するのだとしたら、根拠のない不利益処分ですから、違法となります」
 まぎれもなく、「生活保護の停止」という行為は違法であるようだ。しかし、生活保護利用者たちが「遊技場には立ち入らない」を含む誓約書を提出したにもかかわらず違反した、という主張が可能ではある。
 「ですが、被保護者の何らかの非違行為を理由にした不利益処分を行うには、生活保護法第27条1項による指導指示を改めて行わなければなりません」

(指導及び指示)
第二十七条  保護の実施機関は、被保護者に対して、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができる。
2  前項の指導又は指示は、被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度に止めなければならない。
3  第一項の規定は、被保護者の意に反して、指導又は指示を強制し得るものと解釈してはならない。

 「この生活保護法第27条1項に基づく不利益処分には、その処分が実体的に適法であり非違行為に対するバランスも取れていることに加え、手続的にも適法であるという、の2つの意味での適法性が必要です」
 処分が合法的であると考えるのは、条文を見る限りは難しそうだ。
 残るのは、対象となった生活保護利用者たちが、「遊技場には立ち入りません」という内容を含む誓約書を提出していたにもかかわらず、誓約書の約束を破ってしまったことに関する問題だ。これに関しては、京都府宇治市で起こった類似の事例がある。
 宇治市では、母子世帯の母親に対して「前夫に養育費を請求します」「異性と同棲しません」「出産したら生活保護を辞退します」などの内容の誓約書を提出させていた。しかし2012年、このことが宇治市議会で問題となり、2012年11月には関与したケースワーカー18人が処分を受けた。生活保護法・厚労省通知等に規定がないにもかかわらず、生活保護利用者に何かを強要することは、本人の同意や誓約という形をとっていても許されないのだ。
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2020年02月28日

生活保護の不正受給による返還金は自己破産するとどうなる?

 生活保護費を不正受給し、多額の返還を求められた場合、自己破産することはできるのだろうか。
 結論からいえば、自己破産で免責になるかどうかは、不正受給の悪質性が問われることになる。
 どういうことかというと、本人の勘違いなどによって結果として不正受給になっていた場合は「返還金」となる。
 しかし明らかに不正受給を目的としていた場合、悪質性が高いとして「徴収金」になる。
 自己破産では、返還金は免責の対象になるものの、徴収金は非免責債権といって、支払義務が免除されず、免責の対象にならない。
 悪質性の判断は裁判所次第だが、徴収金となった場合、自己破産でも支払義務が免除されない以上、何としてでも支払わなければならない。
 メリットは一切ないので、くれぐれも生活保護の不正受給はしないように…。
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2020年02月27日

生活保護費で借金返済はNG!

 「生活保護を受給している身なのに自己破産して大丈夫」
 そんな不安をお持ちの人もいるかと思うが、多額の借金を抱えながら生活保護を受給し続けていることのほうが危険である。
 なぜなら、生活保護で得た収入を借金の支払に充てることは法律で禁止されているからだ。借金返済が役所にバレてしまうと、注意を受け、さらに続けていると生活保護を打ち切られる可能性もある。
 自己破産をして、借金をなくすことも選択肢の1つである。また、現在借金を抱えていて、病気や怪我などでこれから生活保護を検討するという方も、先に自己破産をして借金をゼロにしてから生活保護の申請をすることをおすすめする。
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2020年02月26日

生活保護受給者は自己破産の費用が免除される?

 自己破産をするには、裁判所と弁護士費用を合わせると約30万円〜70万円が必要となる。生活保護を受給しなければならないほどお金に困っているのに、これだけの大金を支払うにはどうすればいいのか。
 ここで有効活用したいのが、「法テラス」という機関。法テラスとは、国が設立した司法支援を行う機関で、弁護士費用の立て替えなどを行っている。生活保護費を受給している場合、手続がすべて終了した時点で、なおも生活保護を受給し続ける状態であれば、弁護士費用をすべて免除してもらえるのだ。
 なので、生活保護を受給する方が自己破産する場合、法テラスは必須といっても過言ではない。ただし、一時的に生活保護を受給する場合(手続終了までに生活保護から抜けられる見込みがある場合)、立替金は法テラスに返金しなければならないので注意しよう。
 一般的には、法テラスを利用できるのは弁護士費用だけで、裁判所への費用は自己負担になる。しかし、自己破産の手続が、管財事件となると20万円以上の費用を必要とするので、支払が困難になるケースがある。
 こうした場合、法テラスは、経済的に余裕のない人が法的トラブルにあったときに必要に応じて、費用の立替えを行っている機関なので、近年では法テラスで裁判所への費用も立替えが可能になっている。そして、この場合も、手続終了まで生活保護を受け続けていれば、返金は免除される。
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2020年02月25日

自己破産した後に生活保護を受け取ることもできる

 すでに自己破産をした場合でも、生活保護の条件を満たしてさえいれば受給することは可能。生活保護の受給条件とは、以下の3点である。
・生活を支援してくれる者がいない
 家族や親族に生活を支援してくれる人がいれば、生活保護費の受給はできない。
・価値のある保有資産がない
 たとえば、価値のある車や、家などの不動産を保有していると生活保護は、原則、受給できないことになっている。これらは自己破産時にも売却するため、この場合ほとんどあてはまらない。
・収入が生活維持の基準額に満たない
 自治体ごとに定められている基準額よりも収入が多い場合は支給対象外となる。
 生活保護というのは、生活するために必要最低限の収入を得られない人の保護を目的に作られた制度。一方で、自己破産というのは、返済しきれないほどの借金を抱えてしまった方を救済するために作られた制度である。そもそもの目的が違うことからもわかるように、法律上、この2つの制度はまったく関係がない。「生活保護を受給していると自己破産できない」、「自己破産する以上は生活保護を受けなければならない」、といった心配は一切不要である。どちらの制度も条件さえ満たしていれば、誰でも利用することができる。
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2020年02月24日

生活保護を受給するのと同時に自己破産することは可能?

 自己破産を裁判所が許可する条件を簡単にいうと、「借金が支払えない状態にあること」「借金をした理由や人格などに問題がないこと」の2点である。
 「借金額が◯◯万円以上」のように借金額が問われるわけではなく、借金や収入、所有している財産などさまざまな事情を考慮して判断される。
 なので生活保護受給者の場合は、むしろ自己破産の申立てを認めてもらいやすいといえる。たとえば借金額が100万円に満たない場合、一般的な会社員などであれば借金が支払えない状態にあるとはいい難く、認められない可能性がある。
 しかし生活保護受給者の場合、収入がほとんどないため、この「支払えない状態」が認められやすくなるのである。
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