2018年12月30日

17年の改正の影響は最低賃金にも出てくる

 所得の高低に関係なく影響が出る制度がある。「最低賃金」だ。生活保護基準は最低賃金とも連動しており、双方の整合性が常に問われている。近年、最低賃金は政策によって上がる傾向にあるが、生活保護基準が下がれば今後は上がりにくくなるかもしれない。また、最低賃金は時間給のパートやアルバイトだけではなく、月給をもらっている社員にも関係する。時間給に換算して月額給与に適用されるので、給与も上がりにくくなる。決して、生活保護世帯だけの問題ではない。
 2012年以降、緩やかに景気は回復していると言われているが、実感がない人の方が多いのではないだろうか。実際、生活保護基準以下またはそれよりも少し上という低所得層の増加傾向は変わらず、さらに拡大を続けている。15年の1年の所得が200万円以下の世帯は19.6%、300万円以下の世帯は33.3%で、平均所得(545万8000円)を下回る世帯が全世帯の60%以上にのぼった(厚生労働省「平成28年度 国民生活基礎調査」より)。シングルマザーや高齢者世帯、非正規雇用の若者など、働いていても収入が生活保護レベルを超えない世帯は年々増加しており、かなり厚い低所得者層が形成されている。
 12年に起きた生活保護バッシングを覚えているか。
 長引く不況から、生活保護費より低い生活費で暮らしている人たちが多く存在することが明るみに出た。政府はこれを改善することはせずに、逆にこれまでにない大幅な生活保護費の削減を実施し、15年までに生活扶助費が最大で10%削減された。
 それまで、一般世帯や収入下位20%の一般世帯、生活保護世帯のそれぞれの消費額と比較して決められていた生活扶助費の額の算定方法を、下位10%の低所得者層との比較に変更したのがこのときだ。これによって出した数字を根拠に10%の削減が決められたのだ。当時も、生活保護基準以下の低所得世帯の消費額と比較することの意味が大きく問われ、これを違法として国を訴える裁判が現在でも全国各地で行われている。
 そして、今回、さらに追い打ちをかける生活扶助費5%の引き下げである。これがどのような結果をもたらすのかは明らかではないだろうか。
 はじめに、生活保護基準とは、生きていく上での最低限必要な生活費の水準だが、それは、「ぎりぎり死なない程度に食事が取れればいい」という意味ではない。憲法25条で保障しているのは、「健康で文化的な最低限度の生活」ができる水準なのだ。誰かとたまには映画を観たり、外食したりできる暮らしである。「生活保護費は高いから下げろ。最低賃金を上げろ」という主張は矛盾しており、結果的に自分の首を絞めていくことになるのだ。
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2018年12月28日

なぜ生活保護基準の引き下げは問題なのか?

 生活保護基準とは、生きていく上での最低限必要な生活費の水準を指す。生活保護費のうち、食費や衣服費など日々の生活に必要な生活費を「生活扶助」といい、5年ごとに見直しがされている。2017年、その生活扶助の見直しが行われ、同年12月、最大5%の引き下げが決まってしまった。
 生活保護世帯は、2017年10月時点で約164万世帯、延べ人数で約212万人になっている。生活保護を受けていなくても、所得が少なくなった場合に利用できる制度はいろいろあるとされるが、その多くの受給要件が生活保護基準をもとに決められている。
 自治体によって異なるのだがが、例えば、小学校や中学校への就学援助を受けられる世帯は、所得水準が生活保護基準の1.3倍以下などと決められている。つまり、生活保護基準が引き下げられれば、就学援助が受けられる所得水準も引き下げられ、これまで受けていた就学援助を受けられなくなる世帯が出てくるのだ。
 また、住民税の非課税基準も同様に下がるため、今まで課税されなかった人が課税されることにもる。加えて、保育料や医療費、介護保険料などの非課税世帯に対する優遇措置も対象から外れるので、さらに負担は増えることになる。
 昨年の生活保護基準の見直しで影響が出るとされる制度は国だけで30以上あり、各自治体の独自制度を含めると数はさらに増える。
 このように、生活保護基準の見直しは、生活保護世帯に対する影響はもちろんなのだが、関連制度利用者への影響の大きさも注意すべきなのだ。これによって生活に影響が出る人は、生活保護受給者を含めて、約3000万人にも及ぶことになる。生活保護基準を下げることは、支援の対象者を減らすことであり、生活が苦しくても法的には困窮者とは認められなくなることを意味するす。
 昨年の改正によって、額面で160億円ほどの財源が浮くと試算されているのだが、関連する制度の引き下げ分も加えると、さらにその10〜20倍になってくる。まさに、政府の狙いは、対象者の少ない生活保護基準を引き下げることで関連制度の基準も引き下げ、社会保障費全体を削ることなのである。
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2018年12月27日

日本における「3つの貧困層」

 日本の主たる貧困層が諸外国にはない大きな特徴を持っている。
 日本には主に、次の3つの貧困層が存在する。一番割合が大きいのは、ひとり暮らしの高齢女性である。昔の女性は専業主婦が多かったため、配偶者が亡くなった後は、国民年金だけで生活している人も少なくない。日本では、そうした人たちが貧困に陥るケースが非常に多く、日本の貧困の典型的な形といえる。
 その次に多いのが、若い人たちの中で、自由を求めて定職に就かない人たちが貧困に陥るケース。フリーターなどを続ける若者などが、その典型である。さらには、数としては少ないものの、シングルマザーによる貧困問題も深刻である。シングルマザーの場合には、子育てと仕事を両立させるために、パートタイマーなどを選ばざるをえないため、貧困に陥る可能性が非常に高くなるという傾向がある。しかし、彼らの性質上、なかなか暴動を起こす存在にはなりにくいといえる。
 確かに、高齢の女性が、生活が苦しいからといって、積極的に暴動を起こす存在になるかといえば、それは考えにくい。自由を求めてあえて定職に就かなかった若者たちは、自分の意思決定の結果として貧困に陥ったともいえるため、社会に対する大きな不満を持ちにくいのも理解できる。3番目の貧困であるシングルマザーの場合、子育てと仕事に追われており、そもそも暴動を起こす余裕などない、ということなのだ。
 しかし、日本銀行がデフレ脱却の目標として掲げた「物価上昇率2%」というインフレが日本でもし本当に実現したとしたら、いったいどうなるのだろうか。賃金が上がらない庶民や貧困層の生活が今よりもさらに苦しいものとなることは確実ではないか。
 2018年12月時点でも、物価上昇率2%というインフレ目標には、ほど遠い状況にある。ところが、これから本格的なインフレが進行するとすれば、貧困問題は、今よりさらに深刻になる可能性がある。今の状態でギリギリやっていけているという人たちからすると、食料品や家賃が本格的に値上がりをはじめたら、生活はますます苦しいものになっていく。貧困層の間からは、それこそ我慢の限界を超えて、悲鳴が上がることになってくる。
 実際、2015年の半ばに1ドル125円を超える円安が進行した際、あちこちから『生活が苦しい』という声が出た。ただ、当時はその後に為替が円高方向に反転し、さらに昨年はじめには原油価格や食料価格が大きく下がり、物価が下落に転じたこともあって、大きな社会問題とはならなかった。
 つまり、皮肉なことに、日本銀行が望むインフレにはなっていないことが、逆に貧困層の救いになっているのだ。しかし、日本で今後、本格的なインフレが進行することになれば、これまで我慢を重ねてきた貧困層も、ついに我慢の限界に達して立ち上がり、日本でもいよいよ暴動が起こるかもしれない。そうした事態を引き起こさないためにも、政府や日本銀行は、単に『物価上昇率2%』目標にこだわるばかりでなく、今からしっかりとした対策を考えておくべきなのである。
 このまま無策のまま本格的なインフレが進行してしまえば、日本でも貧困層による暴動が起きるかもしれないのだ。
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貧困、消費低迷、少子化の要因

 派遣社員やパートなど非正規労働者の増加が、社会保障制度を揺るがしている。低賃金と不安定雇用が、社会保障の支え手である現役世代に貧困層を拡大させ、少子化の要因ともなっている。年金や医療保険でも正社員との格差は大きく、十分なセーフティーネットがない。非正規労働者の生活を守る仕組み作りが急務だ。
 東京都葛飾区に住む独身男性のAさん(42)は、派遣社員として都内の大企業で働く。月収17万円。月7万円の家賃を払うと生活はギリギリだ。わずかな貯金を取り崩すことも多い。
 1年ほど前、それまでの会社が業績悪化で行き詰まり、派遣社員になってしまった。いつ契約を打ち切られるかがわからない。老後の年金はどうなるか。そんな不安も強く、何とか正社員になろうと、週末ごとにハローワークに通う。これまで20社以上の面接を受けたが、いずれも不採用。「年金が少ないので貯金したいけれど、逆に減る一方。このままでは生きていけなくなる。正社員との格差はあまりに大きい」と嘆く。
 1990年代以降、景気低迷や国際競争の激化を受けて企業の人件費削減が進み、派遣やパートなどの非正規労働者が増えた。今では雇われて働く人の35%を占める。20〜30代の若者も多くなった。
 以前のように家計補助的な主婦パートだけでなく、家計の担い手が非正規で働くケースも目立つ。正社員になれなかった「不本意就業」も増え、派遣では4割超に上る。しかも、いったん非正規になると教育訓練の機会も少なく、抜け出すのが困難だ。
 この結果、ワーキングプアなど現役世代の貧困が社会問題化してきた。厚生労働省の調査によれば、正社員の平均月収が約31万円なのに対し、非正規は約20万円。勤続年数が長くなっても賃金は上がらず、格差が開いていく。
 かつては、終身雇用を基本とする日本型雇用のなかで、会社が家族手当や住宅手当などの現役支援を担った。このため、国の社会保障は年金など高齢者向けに重点化された。だが、日本型雇用が崩れ、非正規雇用が増えた現在も、社会保障における現役支援は手薄なままだ。
 経済的理由から結婚しない人も多く、少子化を加速させている。非正規で働く30〜34歳男性の既婚率は28%で、正社員の59%を大幅に下回る。
 社会保障の支え手である現役世代を低賃金・不安定雇用に落とし込み、結婚や子育ても困難な状況に追いやって少子化を加速させることは、社会保障はもちろん、日本の将来そのものを危うくしている。
 非正規問題は正社員にとっても無縁ではない。正社員は雇用の安定と引き換えに長時間労働を強いられ、疲弊している。遠隔地への単身赴任も一般化し、仕事と家庭の両立は困難だ。
 過重労働の正社員か、貧困の非正規か。若者たちはその二者択一を迫られているのが実情だ。「賃金の改善と現役の貧困層への支援拡充をセットで行い、非正規でも夫婦で働けば子育てができ、教育費を支払える社会にする必要がある。非正規から正社員への転換を支援し、安定雇用につなげる仕組みも欠かせない」と、湯浅事務局長は強調する。
 具体的に、どんな対策が求められるのか。
 まず、賃金などの処遇で正社員との不当な格差をなくす。行政や業界団体が教育訓練の機会を提供し、正社員や希望の職種へのキャリアアップを支援する。
 正社員の働き方の見直しも合わせて進める必要がある。今のような過重労働では、正社員への転換をためらう非正規も多い。「正社員を多様化し、一般よりも勤務時間が短い短時間正社員や転勤のない地域限定正社員など、様々な働き方を用意することも有効。子育て期の女性なども正社員としてのキャリアを継続できるし、非正規からも移行しやすい」と、樋口美雄・慶応大教授は話す。
 年金などの社会保険でも正社員との格差解消が急務だ。給付が手厚い厚生年金や企業の健康保険はパートなどを対象外にしており、非正規の半数が加入できずにいる。その場合、多くは国民年金や国民健康保険に加入するが、低所得者にとっては保険料が割高で、未納が目立つ。将来は無年金・低年金になる恐れがあるし、無保険は命にかかわる。そればかりか、こうした制度自体が、企業が保険料負担を逃れるために非正規を増やす動きを助長している。
 非正規労働者の増加によって、消費が冷え込み、経済が低迷し、さらに非正規の増加を招くという悪循環に陥っているのが現状。雇用の安定と適正な賃金の確保こそが『安心』の基本であり、持続的な経済成長や社会保障制度の維持のために欠かせないのではないか。
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2018年12月25日

生活保護の現物給付と現金給付においては、なぜ現金給付のほうが優れているのか?

 生活保護を受けるような貧しい人々に対し、現金を給付するのか、それとも現物給付(サービスそのもの)をするのか、どちらが望ましいのかという話がある。そもそも「現物給付」と「現金給付」は、次のように分別される。
・現金給付:そのまま現金を渡すこと。現金の使い道はもらった人が自由に決めてよい
 ・現物給付:診療や検査、投薬、入院など「医療サービス」や「食料」など、サービスそのものを渡すこと。
 アメリカで広く採用され、日本でも大阪において社会実験が行われた「フードスタンプ」や「バウチャー」は、金銭に近い存在ながら大まかな範囲で使途を限定しているので、現金給付と現物給付の折衷案と言える。感覚的には現物給付(サービスそのもの)のほうが良さそうに感じるし、実際、洋の東西を問わず政治的には現物給付のほうが人気がある。
 「ミクロ経済学」というものがある。経済学というと「お金儲けのための学問」というイメージがあるが、実際はそうではなく、現実の資源状況(お金なり何なり)の下において人々の幸福(効用と呼ばれる)を、どのようにすれば最大にできるのかを数学を用いて考える学問だ。
 「限りある資源について、どのように分配すれば皆が幸せになるのかを、数学を用いて出来る限り厳密に考える分野」
 と言いかえてもいい。
 だから「限りある財源の中で、現金給付か現物給付のどちらを採用すれば良いのか」など、現実社会を分析する道具として、コレはうってつけのものとなる。そしてミクロ経済学のオーソドックスな分析に従えば、「現金給付(現金配布)」が支持される。ここにおいては、現金給付にすることで、人々(例えば生活保護受給者)の幸福は最大限しつつも、国費を抑えることが可能となることが導かれる。すなわちサービスそのものを渡すより、現金をそのまま渡した方が、効果的かつ効率性に優れているのだ。
【ポイント:現金給付と現物給付、ミクロ経済学での分析はどちらが支持されるのか】
 ・ミクロ経済学による分析では、「現物給付(現金配布)」が支持され、現金をそのまま渡した方が、効果的かつ効率性に優ると結論付けられる
 ・ただミクロ経済学の分析ではとらえられない「穴」があるのも確かである
 しかしながら、ミクロ経済学の分析にも穴がないわけではない。物事には効率性以外の側面があるからだ。
 現金給付の(直感的にわかる)欠点は、次の2つ。冒頭に書いたように、一般的な感覚としては次のような点で現金給付が嫌われ、現物給付が支持されることが多い。次の2点が主な理由としてあげられる。
 @ 生活保護をパチンコに使うことは人々の支持を得るのか
 これは生活保護に対する批判としてよく言われることだが、例えば生活保護費のお金でパチンコ通いや競馬通いは認められるのか。一方で「そんなの、お金を何に使おうが本人の勝手でしょ」という声があり、確かにその通りだと個人的には思うけれど、現実問題として生活保護費の使い道に寛容になれない人は多く存在し、その場合は民主主義の制度上、現金給付制度の継続が困難になる。
 ただ、これはそもそもにして藁人形論法、すなわち「貧困者に対する差別意識が原因のデマ」である可能性もある。くわしくは後述するが、「生活保護をもらってもパチンコや競馬などの遊興費やぜいたく品の購入品に用いることはそれほど多くない」ということが多くの実証研究で明らかになっている。
 A 制度を悪用する人間が出てくること
 例えば現金を給付する場合、もらったお金は何にでも使うことは可能だから、お金を目当てに「当たり屋」のような人が出てくることは否めない。すなわちお金を目当てとして、わざとケガをする人が出てくるかもしれない。
 もともと戦中期において生じた「苦しんでいる同胞を助けてあげよう」なる感情がもとになって生まれたのが現在の社会扶助なり公的扶助なのだから、制度を悪用なり本来の適正な使い方をしない人が出てくると、不公平感を生み、社会扶助システムそのものが不可能になることは十分に考えられる。現実、「不公平感」をバカにすることはおろそかにできず、それを蔑ろにすることは制度そのものを破滅させるケースが多い。
 『近代国家において革命が生じるのは、警察権力の不当な乱用と課税権力の濫用である』とはよく言ったもので、税金の使い道に対する不公平感が元でシステムがひっくり返ってしまうのは、フランス革命など各種革命、ユーゴスラヴィア内戦など各種戦争・内戦、独裁政権の転覆など枚挙にいとまがない。なお『独裁者のためのハンドブック』という本において語られるのは、結局、「金の切れ目が縁の切れ目」ということである。独裁者は権力維持のために「仲間」への金集めに苦心する。
 革命まで大規模なものでなくても、日本含め先進国に共通してみられる「都市と地方への格差を抑えるための国税 (地方交付税交付金) 使用に対する都市市民の不満」や、「定期的に発生する公務員叩き」の背景に不公平感があるのは確かだろう。
 ところで最近の実証研究が示すところでは、実際のところ生活保護費をタバコやアルコールなど「ぜいたく品」「嗜好品」の購入に使う人は少ない。
 例えば世界銀行のデイビット・エバンス、スタンフォード大学のアンナ・ポポバ両氏が19の計量研究をメタ分析したところ、公的扶助など現金給付において、「ぜいたく品」「嗜好品」の購入増は認められず、むしろ購入減(支出を減らす)ことが認められた。
 なお「メタ分析」とは、統計的分析のなされた複数の研究を収集し、統計学的知見を活かして統合したり比較する研究法のこと。
 生活保護に関するデマは古今東西、幅広く見られるものであり、例えば80年代のアメリカ大統領・レーガンは州知事時代から「ウェルフェアクイーン(公的扶助受給の黒人マザー)がキャデラック(高級車)を乗り回しているぞ!」との怪気炎をあげていた。
 実際問題として、そんな”マザー”が存在しなかったことは、言うに及ばない。が、当時から現在に至るまで、この言葉は一種のスローガンとなってアメリカ社会に定着し浸透している。
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2018年12月24日

人口増加による貧困の警戒?

 21世紀の先進国は基本的に『人口減少社会』としての特徴を持ち、日本も少子高齢化・超高齢化が進んで財政負担が大きくなり、『社会保障の持続可能性+社会保障維持のための増税』が深刻な社会問題として認識されやすくなっている。
 ロバート・マルサスを嚆矢とする『人口学』では、その社会の人口支持力(人口を養う力)によって人口が増減すると考える。産業革命後の経済の近代化による飛躍的な生産力の上昇と雇用の増加・個人所得の上昇・平均学歴の低さ(子供の教育費の低さ)は、そのまま『社会の人口支持力の増加』につながっていたから、20世紀半ばまでの先進国はどこも人口成長を続けていた。
人口が社会の人口支持力の限界に到達すれば、当然ながら人口学的均衡によって『人口停滞』が起こり、産業構造の転換による雇用減や高齢化のコスト増加によって人口支持力がさらに落ちれば『人口減少』になっていくというのが人口学の説明になる。
  無論、経済・産業・雇用・所得による人口支持力の高低だけで、現代の日本のような先進国の人口減少や未婚化晩婚化を説明しつくすことはできず、異性選択(あるいは異性不選択の独身)の心理的要因も関係してくるが、『経済的・資源的要因に基づく人口支持力の影響』はどの文明社会の人口動態にも必ずあるものである。
 マルサスの『人口論』におけるそれ以上は人口が増えないという『人口学的均衡』は、人口増加が続いて食糧・生活の資源が不足するようになり、ぎりぎりの最低限の生活しかできない『最低生存費水準』に至る時に起こるとされる。
人口が増加しても最低限の生活水準を維持できないほどに食糧・生活の資源が不足していると、『貧困による人口調節』によってそれ以上は人口がもう増えなくなるという人口学的均衡に到達するというわけである。最低生存費水準よりも下の水準は、生まれて間もなく餓死・凍死などに陥ることを意味するので、人は基本的に多くの子供を持とうとはしなくなるのである。
 マルサスは男女の子作りの生殖行為を(あまり相手を選別せずに適齢期にどんどん子供を産むという意味で)自然的・本能的で際限のないものと前提していて、『人口増加傾向に対して食糧資源の不足が起こること(人口が増えすぎて貧困化すること)』を少子化よりもむしろ問題視していた。
  男・女が相手の選り好みによって妥協せずに誰も配偶者を得ないということ(未婚化・妊娠回避)は想定外であり、男女が夫婦として生活をともにすれば自然にどんどん妊娠して子供が増えると前提していたことから、現代の先進国というか近代以降の社会においてはそのまま適用できない理論であることもまた明白である。
 マルサスは人口抑制策こそが社会の貧困化を防ぐと信じていたが、キリスト教徒であるため、基本的には人間はすべて結婚して子供を儲けることが当たり前(男女が夫婦として一緒にいれば自然に子供は産まれるだけ産まれてくる)という価値観であり、避妊・堕胎のような結婚後の産児制限策(当時は確実な避妊法もないが)については『道徳的・宗教的な罪』であるとして否定的でもあった。
  中国の最近までの『一人っ子政策』という産児制限政策は有名であるが、戦後間もなくの一昔前の日本でも人口減少による経済縮小よりも、むしろ食べていけない貧困層が増大して悲惨な事態が蔓延する人口増加のほうが警戒されていて、世界規模では現時点でも『人口爆発による資源不足』のほうが現実的な危険性として認識されている。
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2018年12月23日

生活保護の捕捉率は20%程度とされ、他の先進諸国と比べて低水準

 日本政府は現在、捕捉率を調べていない。複数の研究者が独自に試算した結果はいずれも10〜20%程度。これに対し、日本弁護士連合会が各国の似た制度を調べたとこめ、英国が87%、ドイツが85〜90%などと高かった。吉永・花園大教授は「生活保護の捕捉率を調査、公表することは生活保護の要件緩和や運用の改善につながる」と指摘する。
 「本当に必要でない人」にお金が渡ってしまう一方で、(本来僕たちが望んでいるはずの、)「本当に必要な人」にお金が届いていないという問題がある。捕捉率が2割だとすると、残り8割の本来制度によって救われるべき人が見落とされてしまっている。むしろこちらのほうがずっと重大な問題なのだ。
 低捕捉率の要因の1つには、生活保護の申請を窓口で拒否する「水際作戦」の問題が指摘されている。「本当に必要な人」だったとしても、窓口で「適格者」と判断してもらえない限り、審査が通らないのだ。この審査の厳格さには、もちろん不正受給防止に対する国民の要求が大きく影響している。
 また仮に申請が通っても、実際に給付が開始されるのに1ヵ月ほどのタイムラグが発生する(役所の手続ではよくあることだけど…)。貧困状態が明確に証明されない限り給付の許可はおりない。でも本当に死にかけた状態まで待っていたら、給付がおりる前に死んでしまう。そんなジレンマがあるわけなのだ。
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2018年12月22日

生活保護受給者のうち、75%が働けない世帯

 平成23年11月に保護を受けた類型別世帯数は、 高齢者世帯=637,584、母子世帯=114,909、障害者世帯=170,948、傷病者世帯=321,905、その他の世帯=256,218となっていた。このうち、高齢者・障害者・傷病者は「働けない」と推定されるので、割合を算出すると(637584+170948+321905)/1507940×100=約75.0%。4分の3が働けない世帯と推定される。少なくとも「在日と介護とかその他もろもろの理由なしに働こうともしない奴が9割くらい」ということはありえない。
 生活保護を受けている人のうち、4分の3が働けない世帯。つまり給付をカットされると即生命の危機に繋がる人たちである。メディアがお好きな「素行不良の不正受給者」報道は、こうした事実を(意図的/非意図的に関わらず)隠蔽することになり、大きな問題だ。
 税金の無駄遣いとか、公務員無能とかとまったく一緒で、一部のモラルハザードを起こしている人々を喧伝して、それを解決すれば財政が改善するかのような錯覚を喚起する言説は大嫌いだ。リーマン後でも、働ける年代の生活保護受給は増えているが、依然割合は13.5%程度に過ぎない。
 不正受給は許されない行為だ。ただ客観的に見て、不正受給を今以上に厳しく取り締まっても、財政的な改善はさほど見込めない。それもまた事実なのだ。
 不正受給の厳罰化を求める人たちがよく使うフレーズで「本当に必要な人に」というのがある。完全に同意できるが、「本当に必要な人」を正しく見分けるのは、きわめて大変だ。そのためのコストだって当然かかるはずだ。個人的には、現状の「不正受給 0.4%」という数字自体、相当に健闘しているようにさえ思える。どうだろうか。
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2018年12月21日

生活保護費のうち、不正受給の割合は0.4%

 生活保護費の不正受給が2010年度に約2万5千件(前年度比29%増)、総額は約129億円(同26%増)にのぼったことが、厚生労働省のまとめで分かった。件数、総額ともに過去最悪だった。厚労省が1日、全国の担当課長会議で集計結果を示した。毎年、この程度なのだ。
 10年度の生活保護費は総額3兆3300億円で、不正受給分はこの約0.4%にあたる。不正の中で、生活保護を受けられる基準から外れたとして、保護の中止や減額につながったのは約7千件だった。
 不正受給の内訳では、働いて得た収入があるのに申告しなかったケースが最も多く43.5%。次いで年金の無申告が27.7%だった。このほか、借金先の消費者金融から過払い金を取り戻せたのに申告していなかった例もあった。
 「過去最悪」「129億円」と聞けば、確かについカッとなってしまうわけだが、「不正受給分129億円は、生活保護費は総額3兆3300億円の約0.4%に相当する」のだということに気づく。一般的な感覚でいって、相当低い割合なのだ。
 不正受給はたしかに許せない行為だが、ここからゼロに向けてもう一段減らす努力のためにはかなりのパワーが要りそうな感じだ。この数字を巡っては、「本当はもっといるはずなのに、すべてが把握できていないからこんなに低いんだ」という声も多い。でも、とにかく現状で国が認識している不正受給者の割合はこの程度の数字だということである。
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2018年12月20日

途上国の絶対的貧困層は減少傾向

 「貧困率」については、世界銀行が策定している「絶対的貧困率」もある。こちらの尺度で見ると、日本などOECD諸国とはまるで異なる貧困の実態が浮かび上がる。
 世界銀行の定義では、1日の所得が1.25ドル相当額(貧困線)未満で生活する人を「絶対的貧困層」としている。十分な所得がないため最低限の生活必需品を購入できない人の割合で、発展途上国の貧困状態を示すのに使われる。
 世銀統計によると、1日当たり1.25ドル(世界の最貧国10〜20カ国の貧困線の平均、世銀が2008年に設定)未満で生活している貧困層は2008年時点で12億9000万人(発展途上国の人口の22%に相当)と推定されている。ただし、この人数は1981年の19億4000万人に比べると大きく減少している。世界的に見ると、世銀などの取り組みの結果、絶対的貧困層は減少傾向にあるが、先進国では貧困層と富裕層の格差が広がっている。
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