2018年09月16日

相対貧困率と生活扶助基準ライン

 所得分布が格差の大きさを示すのとは別に、貧困の程度を示すものとしては相対貧困率がある。正確には相対貧困水準とは「世帯人数を調整したうえでの中位の所得の半分の所得を相対貧困ライン」と設定し、その相対貧困ライン以下の人の割合と定義される。もう一つの貧困ラインとしては、生活保護制度の定める最低所得水準(以下、生活扶助基準の貧困ラインとする)によるものがある。生活扶助基準からみた貧困ラインは、世帯を構成する家族の年齢や居住地によって異なるので、単に人数調整した相対貧困ラインとは単純比較できない。
 しかし、相対貧困ラインからみて貧困世帯とみなされる低所得世帯と生活扶助基準ラインからみて貧困世帯とみなされる世帯は86%重なっていることが確認できている(※1)。従って、相対貧困率の動向は、生活扶助基準以下の貧困率と類似した動きを示すことになる。図2はその相対貧困率の動向を見たものであるが、全体として貧困率は上昇傾向にあり、特に若年世代の貧困率が大きく上昇していることがわかる。一般に、貧困率の上昇は、収入が少ない高齢者数が増加したためであるという指摘もあるが、決して人口要因だけではないことがわかる。
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2018年09月15日

所得分布からみる格差の拡大―所得上位5%の占有率が急上昇

 日本国内での格差・貧困の動向を見るためにはいくつかの指標を組み合わせてみる必要がある。
 まず所得の中位値と平均値である。厚生労働省の2013年「国民生活基礎調査」によると、2012年の平均世帯所得は537万円であるが、中位の世帯所得(所得を低いものから高いものへと順に並べて2等分する境界値)は432万円である。中位値より平均の方がかなり高めにでる原因は、高所得世帯の所得が平均を押し上げているからである。そこで中位値の世帯所得の動向に着目すると、世帯人数が減少していることや人口の高齢化が進んだことをも考慮しないといけないものの、1995年は550万円、2000年は500万円、2005年は458万円、2012年432万円というように、約20年間で中位値は120万円程度低下している。
 次に2012年の所得分布をでは、全世帯の下位から約2割(19・4%)は世帯収入「0から200万円」にある。中位の世帯所得の半分は216万円であり、これは後ほど触れる相対貧困ラインにも相当するが、それ以下の世帯が20%程度存在することになる。他方、上位から5% (4・8%)が世帯所得「1300万円以上」、同じく上位10%(11・3%)が世帯所得「1000万円以上」の高所得世帯層となっている。したがって、大ざっぱにいうと日本の世帯所得分布は1000万円以上で上位10%、201万円から999万円で中間層70%、200万円以下の低所得者層20%から構成されている。
 次に高所得層への集中を明確にするためには、高所得層への占有率に注目する必要がある。OECDのデータベースでは、各国の所得上位層が全所得(課税前)の何パーセントを占有しているかを公表している。上位5%の所得層の占有率を見ると、日本は90年代に入って急速に上昇しており、米国の約35%、英国の約30%には及ばないものの、25%に接近している。なお、フランスは21%、スウェーデンは17%であり、決して日本が格差や所得の集中度が低い国ではないことがわかる。
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2018年09月13日

国際比較から見た格差の現状―低所得層の大幅所得低下は日本だけ

 トリクルダウン政策は、日本でも2000年代前半に雇用規制緩和などを進めた小泉純一郎政権、それに続く(第1次)安倍晋三内閣でも「上げ潮政策」として採用されているが、それが低所得世帯にどのような結果になったかは十分検証されていない。国際的にも過去20年から30年間で、先進国における格差がどのような状況になっているかは重要なテーマになっている。この点について経済開発協力機構(OECD)の “Divided We Stand: Why Inequality Keeps Rising” (2011年) は、1980年代半ばから2000年代後半の期間における所得上位10%の階層と下位10%の階層の実質所得の変化率について、「世帯規模」と「物価水準」を調整した上で、国別に動向を明らかにしている。
 フランスのように下位の所得の成長率が上位の成長率よりも高い国は例外であり、多くの国で、高所得者の所得の成長率は低所得者の成長率よりもはるかに高く、格差は拡大していることが確認できる。それでも低所得者の実質所得の成長率はわずかでもプラス成長であるが、日本のみ低所得者層の所得は実質所得が年平均マイナス0.5%になっている。日本では、低所得層の所得がより大きく低下していることが確認されたことになる。
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2018年09月10日

成長か分配か―揺れ動く国民の評価

 生活保護受給者数は200万人あまりとなっており、戦後最多の状況が続いている。生活保護を受給している世帯の約4割が高齢者世帯であるが、増加率に着目すると若い世代の生活保護受給者も増加している。このように貧困問題はより深刻になっているものの、所得再分配か経済成長のいずれを優先すべきなのかという問題は、常に経済政策で大きな論争になり、国民の評価もそのときの社会経済状況で大きく揺れ動いてきた。
 2007年から08年のように生活保護を打ち切られて餓死した高齢者の事件や、リーマンショック後の解雇で仕事と住居を同時に失った人々が日比谷公園に集まり、派遣村が開設されたことなどが報道されると貧困・格差に関心が集まり、再分配政策を支持するようになる。しかし、最近のように生活保護受給者が増加し、不正受給(あまり多くはないが…)などが報道されるようになると、再分配政策への支持は小さくなる。再分配政策を重視した民主党政権とは異なり、自民・公明連立政権は、経済成長重視を鮮明にしている。
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2018年09月08日

富裕層は社会の構成員として応分の負担を!

 学生の本分である勉強に専念する環境を作るためには、返済の必要がない給付型奨学金の拡充が欠かせない。財源は富裕層に対する課税が考えられる。奨学金問題に詳しい中京大学の大内裕和教授によると、給与所得は累進の最大税率が45%、株や債券などの金融所得が20%であり、この税率を同じ累進で最大45%にするか、あわせて総合課税すれば相当な財源ができるという。おおむねその意見に賛成できるのではないか。
 富裕層が富裕な状況でいられるのは、社会があって労働者がいるからなのだ。努力をした者が多くを得られることは否定しないが、その努力ができる環境も社会が与えたものなのである。その社会が危機に瀕しているときには、社会の構成員として責任を応分に求めていくことは当然ではないか。
 教育に社会的な投資がなされれば、長期的には納税者として国を支える存在になる。人が資源と考え、積極的に先行投資をしている北欧のほか、英国でも不平等研究の大家であるアンソニー・アトキンソンが『21世紀の不平等』の中で「すべての家庭に児童手当を支払うべき」と提言するなど、海外ではそうした考え方が広がっているが、日本では議論がなされることはほとんどない。
 貧困層が厚くなればなるほど、税金や社会保障費は膨らむ一方なのだ。その状態が長く続けば、健康にも影響し医療費も増える。放置すると上の世代にも下の世代にも影響を及ぼすことになる。貧困は人ごとではないのだ。それを食い止めるためには日本全体で危機感を共有して議論を深め、早急に手を打つ必要があはずだ。
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2018年09月06日

貧困対策として空き家を積極活用せよ!

 海外では公営住宅や低家賃の住宅があり、家賃補助制度も整備されている。一方、日本では公営住宅が圧倒的に足りない。公営住宅の応募倍率は全国平均で約7倍、東京都は約4倍と、生活困窮者であってもなかなか入居できない。そこで注目しているのは空き家の活用だ。総務省「住宅・土地統計調査」によると、空き家は全国で約850万戸、総住宅に占める割合は約14%に上る。政府は、今後10年の住宅政策の指針として「住生活基本計画(全国計画)」(計画期間:2016〜25年度)を決定しており、その中で「空き家を含めた民間賃貸住宅を活用して住宅セーフティネット機能を強化」という文言が盛り込まれた。ただしその具体策については明記されていない。
 住生活基本計画のパブリックコメント(意見募集)では、家賃補助制度を求める声もあった。しかし、国土交通省は「家賃補助制度については、民間家賃への影響、財政負担などに課題があり、慎重な検討が必要である」と回答している。
 住宅は最大の福祉制度であると筆者は考えている。一歩ずつでも少しずつでも、社会投資としての住宅整備をしていく必要がある。
 生活水準を上げるために貢献するはずの「教育」も、貧困の原因となりつつある。2012年度のデータでは大学生の52.5%が奨学金を利用している。7割以上が有利子貸与だ。2012年時点で日本学生支援機構の奨学金返還の延滞者は33万人超に上る。
 教育を受けるために高い学費を払い、高額の奨学金を借りる若者が多い。だがその教育に見合った仕事に就けるかどうかは不透明だ。そして返済は何年も続く。
 奨学金を借りる背景にあるのは、学生の親世代の所得減少だ。国税庁の「民間給与実態統計調査結果」によると、民間企業の労働者の平均年収はピークだった1997年の467万円から2013年には414万円に下がった。親からの仕送りも減少しており、奨学金を借りたり、アルバイトをしたりして、学費や生活費を工面しなければならない。
 そうした中で台頭してきているのがブラックバイトである。バイトを辞められない弱い立場である学生に対し、休憩なしの長時間労働やクリスマスケーキやおでん、衣服、化粧品などの自社商品を自腹で購入させるといった無茶な労働を強いる企業が少なからずある。
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2018年09月04日

貧困層に重くのしかかる家賃負担

「家賃を払うと、生活資金が手元に残らない。いったいどうすればいいのか……」
 東京都内に暮らすAさん(32)は頭を抱えている。Aさんは現在、非正規労働者として働く。月の収入は手取り約16万円。家賃7万円のアパートに妻(30)と子供(3)の3人で暮らしている。妻は子育てに追われ、働く時間が取れない。毎月の収支は赤字で、足りない分は貯金を切り崩しながら生活をしている。ただ貯金の残高は約60万円と決して多くはなく、このままではゼロになるのも時間の問題だ。
 日本の相対的貧困率は16%以上で、いまや6人に1人が貧困状態にあり、誰もが陥る可能性がある。トマ・ピケティの『21世紀の資本』(みすず書房)やアンソニー・B・アトキンソンの『21世紀の不平等』(東洋経済新報社)に代表されるように、世界でも格差や貧困に対する研究が進み、新自由主義から分配重視へトレンドが移っている。
 生活が困窮する大きな原因の1つが、冒頭のエピソードのような「住宅」の問題だ。家賃の支払で追い詰められているケースが非常に多い。データを見ても、生活困窮者にとって家賃の負担は大きな重荷になっている。たとえば、2014年12月にビッグイシュー基金の住宅政策提案・検討委員会が実施した調査「若者の住宅問題」(首都圏と関西圏に住む20〜39歳、未婚、200万円未満の個人を対象)によると、手取月収から住宅費を差し引いた金額であるアフター・ハウジング・インカムがマイナスになる人が27.8%も存在する。プラスのグループにおいても「0〜5万円未満」が17.0%、「5万〜10万円」が32.9%と、低水準の人たちが多い。
 若者に関していえば、親と同居する理由で約半数を占めるのは、「家賃が負担できないから」であった。低所得であればあるほど、親と同居している。そして所得が低く、親と同居しているほど結婚の予定がないと回答しており、少子化につながっている可能性もある。
 生活困窮者にとって住む家があるというのは、大きなよりどころとなっている。家を失ったり、家賃を支払えなくなったりすると、精神的に追い詰められてうつになる場合が多い。生活困窮者の住宅対策は非常に重要だ。ところが、現状の制度はあまりに手薄と言わざるをえない。生活保護を受ける場合に家賃として支給される住宅扶助や、昨年4月にスタートした生活困窮者自立支援法に定められた離職によって家を失う可能性がある場合の住宅確保給付金(有期)くらい。貧困に転落した人に対する救貧制度のみで、貧困転落を回避する防貧制度はないのが実情である。
 収入に占める住居費を1〜2割に抑えられると生活に少し余裕が生まれ、より多くのおカネを教育費や老後資金に回すことができる。ではどうすればいいのか。
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2018年09月03日

本当に怖いのは東京オリンピック閉幕後だ


 2020年8月開催の東京オリンピックを前に、日本は建設業を中心に好景気が続いている。また、12年に始まった景気拡大は、高度成長期の「いざなぎ景気」を超えたとも言われている。一方で、東京オリンピック閉幕後の雇用悪化や景気落ち込みが今から話題になっている。これはオリンピック特需が終わるからだが、さらに懸念されるのは、21年までに実施される各種財政維持のための引き締め対策である。
生活保護基準の引き下げを含めて、今後、次の4つが実施される。
(1)年金改革法によるキャリーオーバー制の導入(2018年4月〜)
 16年12月に成立した年金改革法では、年金給付の水準を調整する「マクロ経済スライド」方式の見直しが決まっている。これまでは、賃金や物価の上昇が小さく、スライド調整率を適用すると前年度の年金額を下回ってしまう場合、下回った分のスライド調整率は適用されず、年金額が下がらないように調整されてきた。
 しかし、18年4月以降は、前年度の年金額を下回る分のスライド調整率は、これまで通り適用はされないが、持ち越されることになり、賃金や物価が大きく上昇したときに、その年のスライド調整率に加えて改定率を決めるキャリーオーバー制が導入されてしまった。これによって、景気が大きく上昇しても年金支給額はこれまでのようには上がらず、低く抑えられることになる。
(2)生活保護基準を最大で5%引き下げ(2018年10月〜)
 生活保護基準の引き下げは、すぐに実施されるわけではない。18年10月から3年をかけて段階的に行われ、最終的に20年に最大で5%が引き下げられる。生活保護世帯の約67%が減額される想定だが、オリンピックの年が最も厳しくなる。
(3)消費税率が10%に(2019年10月〜)
 19年10月に消費税率が10%に引き上げられる。 これによって約5兆円の増収が見込まれるが、このうち約2兆円は国の借金返済(借金などないのだが…)に使われ、2兆円は教育無償化などに、1兆円が社会保障費に使われるとされている。この増税に対して、自由民主党と公明党以外は反対または凍結を主張しており、また延期するのではないかとの声も聞こえてくる。
 これまでは消費税率が上がるとき、消費に大きな影響が出ないように生活保護基準も引き上げるような対応もされてきたが、今回は低所得者対策として食品などの軽減税率の導入も検討されている。しかし、消費税は低所得者ほど所得に占める生活必需品の割合が高くなるので税負担が重くなるという、消費税の逆進性が指摘されている。
(4)年金改革法による「賃金・物価スライド」の新ルール(2021年4月〜)
 16年12月の年金改革法では、もう1つ、毎年行われる年金額の改定ルールが変更になってしまった。これまでは、物価が上がったのに賃金が下がった場合は年金額は据え置き、賃金と物価の両方が下がった場合は物価の下げ幅に合わせて年金額が下がったが、21年4月以降は、すべて賃金の下げ幅に合わせて引き下げられる。つまり物価が上がっても賃金が下がった場合は賃金の下げ幅に合わせて下がり、物価よりも賃金の下落が大きい場合も賃金の下げ幅に合わせて年金支給額は下がる。これによって現役世代の年金はある程度確保されるが、年金受給者にとっては支給額の減額になる。
 このように、20年東京オリンピック景気の盛り上がりの影で実施されるのは、財政を維持しつつ、少子高齢化でかさむ社会保障費を抑制するための政策である。続く25年には、団塊の世代が75歳以上になり、35年には国民の3人に1人が65歳以上の高齢者になる。社会保障費は雪だるま式に増えていくとはいえ、どこまで削減を続けていくのだろうか。
 すでに高齢化率30~40%という地域も少なくなく、こうしたところでは年金と生活保護支給が経済の資本になっている。その支給額を減らすということは、地方経済にとっても大きな打撃だ。
 17年にOECDが発表した調査結果では、日本の貧困率は12年の16.1%から15年には15.6%と少し下がった。しかし、貧困ラインは122万円のまま変わらず、貧困率もOECD(経済協力開発機構)加盟国の平均11.4%よりも高いままだ。貧困率は、その対策に予算をかけない限り、決して下がることはない。具体的には、所得再分配政策、つまり所得税などの税金を上げてその分を再分配しない限り、貧困率は下がらないだ。
 しかし、政府は大きな反発を恐れて税金を上げられない。財政危機(本当に祖かはわからないのだが…)で配分する予算がないので、いまある予算のどこかを削るしかないとする。どこを削るか、常に足の引っ張り合いである。そうなると社会保障費を削ることになるのではないか。今回の生活保護基準引き下げは貧困率を下げるどころか逆行している。これがさらなる悪循環を生み、格差拡大を加速する契機になることが心配だ。もはや「一億総貧困」が大げさなあおりではないところまできている。
 とはいえ、以前に比べて、生活保護受給者に対するバッシングが減ってきているのは救いであり希望かもしれない。社会保障費がどんどん削られてきて、限界が近づいているからだろうか政府は世論の方向性を見ている。今回も最初に厚生労働省が提示した13%引き下げが5%に下位修正された。これをさらに4%や3%に下げていくことは不可能ではないはずだ。だが、そのような声が上がるのか…。
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2018年09月01日

影響は最低賃金にも…?

 所得の高低に関係なく影響が出る制度がある。「最低賃金」だ。生活保護基準は最低賃金とも連動しており、双方の整合性が常に問われている。近年、最低賃金は政策によって上がる傾向にあるが、生活保護基準が下がれば今後は上がりにくくなるかもしれない。また、最低賃金は時間給のパートやアルバイトだけではなく、月給をもらっている社員にも関係する。時間給に換算して月額給与に適用されるので、給与も上がりにくくなる。決して、生活保護世帯だけの問題ではない。
 2012年以降、緩やかに景気は回復していると言われているのだが、実感がない人のほうが多いのではないか。実際、生活保護基準以下またはそれよりも少し上という低所得層の増加傾向は変わらず、さらに拡大を続けている。15年の1年の所得が200万円以下の世帯は19.6%、300万円以下の世帯は33.3%で、平均所得(545万8000円)を下回る世帯が全世帯の60%以上にのぼった(厚生労働省「平成28年度 国民生活基礎調査」より)。シングルマザーや高齢者世帯、非正規雇用の若者など、働いていても収入が生活保護レベルを超えない世帯は年々増加しており、かなり厚い低所得者層が形成されている。
 12年に起きた生活保護バッシングを覚えているだろうか。
 長引く不況から、生活保護費より低い生活費で暮らしている人たちが多く存在することが明るみに出てしまった。政府はこれを改善することはせずに、逆にこれまでにない大幅な生活保護費の削減を実施し、15年までに生活扶助費が最大で10%削減された。
 それまで、一般世帯や収入下位20%の一般世帯、生活保護世帯のそれぞれの消費額と比較して決められていた生活扶助費の額の算定方法を、下位10%の低所得者層との比較に変更したのがこのときなのだ。これによって出した数字を根拠に10%の削減が決められたのである。当時も、生活保護基準以下の低所得世帯の消費額と比較することの意味が大きく問われ、これを違法として国を訴える裁判が現在でも全国各地で行われている。
 そして、さらに追い打ちをかける生活扶助費5%の引き下げなのだ。これがどのような結果をもたらすのかは明らかではないだろうか。
 生活保護基準とは、生きていく上での最低限必要な生活費の水準である。それは、「ぎりぎり死なない程度に食事が取れればいい」という意味ではないのだ。憲法25条で保障しているのは、「健康で文化的な最低限度の生活」ができる水準。誰かとたまには映画を観たり、外食したりできる暮らしである。「生活保護費は高いから下げろ。最低賃金を上げろ」という主張は矛盾しており、結果的に自分の首を絞めていくことになるのだ。
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2018年08月31日

なぜ生活保護基準の引き下げは問題なのか?

 生活保護基準とは、生きていく上での最低限必要な生活費の水準を指す。生活保護費のうち、食費や衣服費など日々の生活に必要な生活費を「生活扶助」といい、5年ごとに見直しがされている。2017年、その生活扶助の見直しが行われ、最大5%の引き下げが決まった。
 生活保護世帯は、2017年10月時点で約164万世帯、延べ人数で約212万人になった。生活保護基準の引き下げは、この212万人だけの小さな問題だと思われがちだが、実は、生活保護を受けていなくても、所得が少なくなった場合に利用できる制度はたくさんあり、その多くの受給要件が生活保護基準をもとに決められている。
 自治体によって異なるのだが、例えば、小学校や中学校への就学援助を受けられる世帯は、所得水準が生活保護基準の1.3倍以下などと決められている。つまり、生活保護基準が引き下げられれば、就学援助が受けられる所得水準も引き下げられ、これまで受けていた就学援助を受けられなくなる世帯が出てくるのだ。
 また、住民税の非課税基準も同様に下がるため、今まで課税されなかった人が課税されることにもなる。加えて、保育料や医療費、介護保険料などの非課税世帯に対する優遇措置も対象から外れるので、さらに負担は増えることになる。
 生活保護基準の見直しで影響が出るとされる制度は国だけで30以上あり、各自治体の独自制度を含めると数はさらに増える。
 このように、生活保護基準の見直しは、生活保護世帯に対する影響はもちろんだが、関連制度利用者への影響の大きさに注意すべきなのだ。これによって生活に影響が出る人は、生活保護受給者を含めて、約3000万人にも及ぶと言われている。生活保護基準を下げることは、支援の対象者を減らすことであり、生活が苦しくても法的には困窮者とは認められなくなることを意味する。
 17年の改正によって、額面で160億円ほどの財源が浮くと試算されているが、関連する制度の引き下げ分も加えると、さらにその10〜20倍になるのではないかと言われている。まさに、政府の狙いは、対象者の少ない生活保護基準を引き下げることで関連制度の基準も引き下げ、社会保障費全体を削ることなのである。
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