2018年11月26日

所得格差は経済成長を損なう!

 OECD分析によると、所得格差を是正すれば、経済成長は活性化されるという。所得格差の縮小している国は所得格差が拡大している国より速く成長すると分析している。
 成長にとって最大の問題は、下位中間層および貧困世帯とそれ以外の社会層との格差が拡大していること。重要なのは教育で、格差が成長を損なう主な要因は貧困層の教育投資不足である。
 アンヘル・グリアOECD事務総長は「この説得力あるデータは、大きく、さらに拡大しつつある格差問題に取り組むことが、力強くかつ持続可能な成長を促進する上で重要であり、こうした取り組みを政策論議の中心に据える必要があると示している。幼少期から万人の機会均等を促進する国は、成長し、繁栄する。」と述べている。
 推計によれば、メキシコとニュージーランドでは、格差拡大が過去20年間の成長率を2000年代後半の経済危機までに10%以上押し下げた。イタリア、英国、米国では、所得格差が拡大していなければ、累積成長率は6-9%高く、スウェーデン、フィンランド、ノルウェーでも、低水準からではあるものの、成長率はより高くなっていただろう 。他方、スペイン、フランス、アイルランドの場合は、経済危機前の格差縮小が1人当たりのGDPの増加に寄与した。
 OECD分析では、格差が経済成長に影響を及ぼす主要なメカニズムは、貧しい社会経済的背景を持つ子供の教育機会を損ない、社会的流動性の低下をもたらし、技能開発を阻害することになるということを示している。
 低学歴の両親を持つ個人は、所得格差が拡大するにつれ、教育成果が悪化する。これに対し、中学歴または高学歴の両親を持つ個人は、格差が拡大しても、ほとんどあるいはまったく影響を受けないという。
 経済成長への影響は、社会の最下位10%の最貧困層と社会全体との格差によるだけではなく、下位40%の所得層との格差からも生じている。OECDによれば、貧困防止対策のみでは対策は十分ではないのだ。現金移転や質の高い教育、訓練、保健医療などの公共サービスへのアクセス拡大も、長い目でみれば、機会均等化を進めるための極めて重要な社会的投資なのだ。
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2018年11月23日

「まずは施設に」という考えが路上生活から抜け出せない一因に

 精神障害者に対しては、イタリア・トリエステ市で1960年代から行われた「バザーリア改革」の中で、精神科病院の解体と元入院患者の地域生活を推進する取り組みが同時進行で始まった。以後、ここ数年の日本でも話題になっているフィンランド・西ラップランド地方の「オープン・ダイアローグ」、ニュージーランドに起源を持つ「ファミリー・グループ・カンファレンス」など、精神障害者が地域の普通の住まいで生活することを基本と考えた上での取り組みの積み重ねが、数多く存在する。
もちろん日本でも、すでに数多くの取り組みがある。精神障害者の地域生活に対する世の中の理解は、少しずつ深まってきているのではと思いたい。しかし、精神障害を持たない生活困窮者一般に対しては、「同じ考え方を拡大していいのか」という意見もありそうだ。
 基本は同じだと思うのだが。日本ではいまだに、路上生活の方々が生活保護を申請すると、「まずは施設に」、あるいは同等の場所に、となるのだ。そして、数ヵ月あるいは数年間、そこから出られないことになる。施設というのは、無料低額宿泊所とか、5月に火災になった川崎市の簡易宿泊所などだ。
 施設そのものが劣悪で危険な場合もある。貧困ビジネスの搾取の場であった例も、過去にあった。そういう住環境にいること自体、もう「健康で文化的な最低限度」未満なのである。
 福祉事務所のケースワーカーに「なぜですか」と聞くと、「ある程度、訓練をした上でないと、アパートに住ませることはできない」ということだ。だが、精神障害者に対するステップアップ方式と同じで、失敗が多くなっている。
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2018年11月21日

劣悪な住まいでも「転居」が許されない生活保護世帯

2015年7月より生活保護費の家賃補助(住宅扶助)が、10月からはさらに暖房費補助(生活扶助の冬季加算)がそれぞれ削減された。劣悪な居住環境で暖房費がかさめば、その他の生活費が食費を中心に圧迫されることになる。人間の生活の基本は、「住」ではないだろうか。住は「大切」というよりも、住まいそのものが基本的人権ではないか。日本ではなかなか、この「住まいは基本的人権である」という考え方が理解されにくい。
 住に関する問題を抱えていない方は、日本には、ほとんどいないかもしれない。持ち家にしても賃貸にしても、個人や家族単位で住を確保し続けるのは大変である。
 もともとの住宅市場にも、問題がある。入居するためのコスト、特に賃貸住宅の初期費用が大きいとか、不利な条件を抱えた方は賃貸アパートへの入居が難しいとか。生活保護受給者が、いったん住み始めたアパートに問題が発生したとき、転宅を希望しても、福祉事務所がなかなか転宅を認めないとか。福祉事務所からすれば、「気に入らないから転宅させては国民感情が許さない」ということなのだろうけれど、これも初期費用の問題が大きいのだ。
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2018年11月20日

外国人の生活保護受給世帯数の拡大

 大手メーカーの工場が立地する群馬県大泉町。バブル期の人手不足を機に外国人の受け入れを拡大し、今では町の中のあちこちにポルトガル語の看板がある。
 生活保護を受けている外国人が月平均で約5万世帯に上り、過去最高に達したことが分かった。日本語能力の不足で職につけない外国人が多いことなどが理由とみられる。人手不足が深刻化する中、政府は経済財政諮問会議で、外国人労働者の受け入れ拡大方針を示したが、福祉のあり方まで含めた的確な議論や対策が求められる。
 厚生労働省によると、外国人が世帯主の生活保護受給世帯数は月平均で前年度比0.4%増。景気が上向いている。ここ数年は伸びが鈍化しているが、06年度(3万174世帯)からの10年間で56%増えた。
 また人数ベースでみても外国人が世帯主の世帯生活保護の受給は大幅に増えている。月平均約7万人弱と、06年度の約5万から50%あまり多くなった。一方、在留外国人全体の人数の増加率は、ほぼ同時にあたる07年末から17年末にかけての10年間で25%にとどまっている。
 外国人の生活保護受給が増えている背景には、バブル期の人手不足で労働者として大量に入ってきた日系南米人などが、リーマン・ショックなどによる景気悪化で解雇後、日本語が話せないため就職が難しいことだとされる。また、1982年の難民条約発効に伴う国民年金法の国籍条項撤廃で、老齢年金の支給対象から外された在日外国人が高齢化し無年金状態であることも大きいとみられる。
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貧困に対して何をすべきなのか?

 次のようなことが考えられる。
 1.新しい労働組合への参加と労働組合活動の復権
 2.スカラシップの導入と富裕層への課税
 3.子供の貧困対策とも連携を
 4.家賃補助制度の導入と住宅政策
 5.貧困世代は闘技的民主主義を参考に声をあげよう
 これらの提言の詳細は読んだ人がその諾否を考え、よりよい対策があれば提案するということが、今求められていることだ。
 「政策や社会システムによって、意図的に作り出されて」きた「貧困世代」、「一生涯貧困に至るリスクを宿命づけられた状況に置かれた若者たち」の問題は決して“自己責任”などという言葉で語ってはならない。新たな社会システムを探り、構築することが求められているのだ。
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2018年11月16日

持っている人、持っていない人?

 生まれつき資産の蓄えられた家庭に生まれるか否かによって、「持っている人」と「持っていない人」が固定化している。正社員、非正規社員という働き方によっても、格差は拡大する。つまり、努力をするかしないかに関係なく、人生の大筋は生まれ持った運で決まってしまい、そこから脱却することは容易ではない。努力で何とかなる、頑張れば報われるという時代ではなくなっているのではないだろうか。──
 それは、少しも大袈裟ではない。「持ってない人」は満足に学ぶこともできない。学びたいと思っていても、彼ら、彼女たちを待ち受けているのは「ブラックバイト」や「奨学金」という卒業後も続く借金地獄である。
 「下流老人」とリンクする「貧困世代」が間違いなく増えている。もはや前時代的な「努力」「苦労」などという言葉では理解も分析もできない事態を迎えている。「働き方改革」や「一億総活躍社会」というお題目では何の解決にもならない。「仕事」は就けばいいというものではない。その「仕事」がどのようなものなのか、その「仕事」に就くことで彼ら、彼女らの生活は改善されたのかということがすべてなのである。
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2018年11月15日

労働万能説を論じるとは?

 労働万能説を論じる人々は、労働していない若者や、労働を望まない若者を怠惰だと見なす傾向がある。 
そのため、できるだけ早く労働するように、なかば「仕事は選ばなければ何でもある」と、労働に若者を駆り立てる。たとえ、駆り立てられた若者が行き着く先がブラック企業であったとしても。
「労働万能説」はブラック企業を黙認することにもなりかねない。労働環境の改善を阻害し、ワーキングプアを増大することになる。就業人口の増加といっても、このようなブラック企業に勤めざるをえない人々、また、待遇が恵まれていない非正規雇用人口を含んでの増加だから、企業の利益に荷担することはあっても、生活の改善、貧困から脱出ということには繋がらない。企業の利益増は好景気と考えられやすいのだが、それでは“労働の実態・実体”は見落とされてしまう。
 「家族扶養説」では、そもそも家族が貧困であること、その連鎖の中にいるということを見落としてはならない。この扶養説は“家族重視”という美名で「社会福祉や社会保障の機能を家族に丸抱させ」、家族全体の貧困化を進ませることにもなる。
 「時代比較説」や「努力至上主義説」には、現実に「必死に努力しても報われない社会が到来していること」を認めないという頑迷さがうかがえる。
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2018年11月14日

「ワーキングプア問題」を忘れない!

 働いてもまともな賃金が得られる保証がない職種も増えている。そして、その仕事はたいてい非正規雇用で、終身雇用ではないため、不安定な就労形態をとっている。賞与や福利厚生がない職場も多く、働いたからといって、生活が豊かにならないことが現在の労働市場で起こっているのだ。働いても貧困が温存されてしまうのである。就業してもそれが貧困問題の解決に繋がっていかないのだ。
 貧困問題・貧困事情が理解されないのはなぜなのか。ここには貧困に対する偏見、先入観がある。これには次のように、大きく5つのもの(神話と名づけています)があるだろう。
1.労働万能説:働けば収入を得られるという神話
2.家族扶養説:家族が助けてくれるという神話
3.青年健康説:若者は元気で健康であるという神話
4.時代比較説:昔はもっと大変だったという時代錯誤的神話
5.努力至上主義説:若いうちは努力をするべきで、それは一時的な苦労だという神話
 このような「神話」に取り憑かれていては「貧困の実態・正体」はわからないはずだ。それどころか「貧困の拡大」に繋がることにもなる。
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日本の貧困事情はなぜ表面化しないのか?

 総務省統計局のこのような統計数字がある。
 労働力調査(基本集計) 平成28年(2016年)8月分 (2016年9月30日公表)
(1)就業者数,雇用者数
   就業者数は6465万人。前年同月に比べ86万人の増加。21安倍ヵ月連続の増加
   雇用者数は5722万人。前年同月に比べ83万人の増加。44ヵ月連続の増加
(2)完全失業者
   完全失業者数は212万人。前年同月に比べ13万人の減少。75ヵ月連続の減少
(3)完全失業率
   完全失業率(季節調整値)は3.1%。前月に比べ0.1ポイント上昇
 最後の完全失業率こそ前月マイナスだが、数字は好転している。これは実感としても正しいのだろうか。景気は緩やかに回復していると考えた人は、「貧困をわからない」状態にあるのかもしれない。就業人口の増加は、景気の上昇を反映しているかも知れないが、必ずしも生活の改善(上昇)を意味しているわけではない。ここにも“貧困”への感受性の弱さ、無神経さが存在する。景気の上昇は企業、資本の好況を意味するのだが、それがそのまま貧困の解決にはならないのだ。
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2018年11月11日

紋切型の「自己責任論」

 格差拡大の事実を認めるか否か。格差拡大を是正すべきと考えるか否か。貧困を自己責任として切り捨てるか否か。これらは、現代日本における階級対立の主要な争点である。
 一方に、格差拡大は事実であり、これは是正される必要があり、貧困は自己責任ではなく社会の問題だと考える立場がある。これは下層階級の、そして下層階級の人々に共感と同情を抱く人々の政治的立場の表明である。
 反対に、格差拡大と深刻ではなく、是正の必要はなく、貧困は自己責任だと切り捨てる立場がある。これは特権階級の人々の、そして格差拡大を放置し拡大させてきた政府や企業を擁護する人々の政治的立場の表明にほかならない。
さらに重要な争点を1つ付け加えよう。それは、現代の日本社会が階級社会であることを認めるか否かである。
 2015年に全国の1万6000人、2016年に首都圏に住む6000人を対象に行なった調査の結果にもとづいて、現代日本の危機的な状況について論じた『日本の新・階級社会』(講談社現代新書)に示したように、今日の日本は「格差社会」などという生ぬるい言葉で表現すべき段階にはない。
 明らかな「階級社会」、しかも900万人にも及ぶ新しい下層階級(アンダークラス)を底辺におき、これに犠牲を強いる、新しい階級社会だと考えるべきである。
 かつてフランスの社会学者ピエール・ブルデューは、「階級が存在するかしないかということは、政治闘争の主要な争点の1つである」と指摘した。現実には格差や貧困があるに「日本には階級がない」と考えるのは、格差と貧困の深刻さから目を背けることであり、人々の間に対立関係はないと言い張ることにほかならない。
 今日の日本社会が、アンダークラスに苛烈な境遇を押しつける階級社会だという現実を認めることこそが、貧困のない、より平等な実現するための一歩になるかもしれない。
posted by GHQ/HOGO at 05:52| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする