2017年06月13日

「明日の生活への不安」という暴力

 明日の生活への不安や日々の迫り来る支払いという大きなストレスに追われることは、いわば見えない暴力や恫喝に耐え続けるようなもので、その間が長ければ長いほど、貧困の「困」が深まり、脳にダメージを負っていく。そのダメージが深まってからでは、生活保護などの支援・扶助にたどり着いた後に、再び働「ける」ようになるまで大幅な休養(というよりは治癒)の期間が必要になってしまう。ようやく生活保護にたどり着いた時点では、もうズタズタになっている。
 この状態はいわば、「病院がめちゃ遠い」状態だ。ケガをして病院に歩いて向かうが、その病院が遠くて、乗せて行ってくれる車もなくて、自力で歩いているうちにどんどん悪化し、全治までの時間が当初のケガよりも大幅に伸びてしまったような。これがおそらく、現状の生活保護と貧困者の最大の距離感と感じている。
 ならば、このように傷を深める前に支援の手につなげるようなポイントを考えるべきだと思うのだ。
 貧困リスクの高い層の捕捉は、それほど難しい話ではない。
 たとえば失業保険受給者に、「万が一、生活保護を受ける際のわかりやすいガイドライン」を手渡す。ハローワークにもそうした相談部署があってしかるべきだ。精神科と貧困支援の窓口が併設されていないのは、どう考えても大きすぎる手落ちだ。
 こうした捕捉のポイントは、これまでさんざん見世物コンテンツとして消費されてきた貧困当事者のケースワークからでも容易に考えつく。貧困転落リスクが高い者の特徴は、再三コンテンツ化されてきているからだ。
 たとえば未婚で妊婦検診を受ける女性、DV被害から離婚を選んだ女性、過去に虐待や育児放棄環境で育ったエピソードを持つ若者。学校で給食費などの滞納や学用品の購入困難がある家庭、医療の窓口で支払い困難がある者、各種税の滞納者。
 こうしたポイントで捕捉できた者たちに「いざ困ったときにはこうしたらいいですよ」と伝えることが、逆に差別的であるとか失礼なおせっかいのように言われるなら、その時点で貧困者を差別する社会から脱却できていないと自認すべきだ。
 足にケガをした子供をみて「あんたケガして転びやすいんだから気をつけなさいよ」と親が手を握ってあげて、それを責める者はいるだろうか。先ほどの病院が遠い例と同じで、これは甘やかしではない。そこで転んでケガを深めたら、余計に回復、つまり社会に復帰して生産人口として社会に貢献することが遅れるならば、それは個人ではなく社会全体の損失だからだ。
 最後に、結果としてすでに貧困に陥り、生活保護受給などにたどり着いた成人について。
 現状の制度やアウトリーチ(積極的に当事者へアプローチする支援)のレベルでは、そもそも公的扶助の受給にたどり着いた時点で、もうしばらく立ち上がれません、働「け」ませんというケースが大半であり、ここはまず、就業支援より「休養」だ。さらにこの休養とは、単なる現金の給付と心の痛みの緩和的、対症療法的な精神科通院と薬の処方だけではなく、貧困の過大なストレスでダメージを負った脳のケア、つまり子どもの療育ケアで提言したようなリハビリ的なケアにつなげたい。
 現状で医療として受けられるのは認知行動療法ぐらいだし、精神科作業療法という分野もあるが、これはかなり重い精神障害以外では活用されていない。こうした医療を貧困者支援へと拡大していく可能性や、各所のプロをつないでいくことについては、僕をはじめとしてメディアの人間も動く必要があるだろう。
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2017年06月12日

「教育産業」の食い物にされてはならない!

 そもそも現在の日本は、4大を卒業しても貧困リスクから免れるとはとても言えない状況にある。いわゆるFランク大学の卒業生への取材で驚いたのが、意外にも中堅大学と比較して就職率が高いように感じたこと。だが憂慮すべきは、その就職先が以前であれば高卒で就業していたような職種ばかりだということだ。
「指導講師が頑張って就職先を探してくれたんです」
 と目を輝かせる「情報処理系大学」の卒業生の就職先が、パチンコ屋のホールスタッフと聞いて、ちょっと愕然とした。
 そして何より耐えがたいのが、Fランク大学に通っていた間の学費や生活費を「親がどこかに借りている」「最終的に自分で返す」という感覚が新卒者の中で当たり前の感覚になっていることだった。
 そもそも彼らが大学4年間で払ったカネは、必要だったのだろうか。数百万円の学費を借り入れて福祉系の学科を卒業した後に、月収15万円に満たない、生活保護の受給額とさほど変わらない低賃金の介護職に就く若者。その大学生活4年間は、何だったのか。そう考えたときに、猛烈な喪失感を感じざるをえないのだ。
 昨今の子供の貧困支援の中で大きな潮流である「教育改革=進学ベースの教育支援」は、間違っても「教育産業」の食い物にされてはならない。
 必要なのは、進学ベースだけではなく「就業ベースでの教育支援」ではないか。責任重大なのは、小中学校と高校の教員。彼らには、単に子どもにより高い学力をつけることだけでなく、その子供が将来、どんな職業で活躍する可能性があるのかの適性判断をし、そのビジョンに従ってコースをアドバイスしていく専門性が求められる。
 「教育学部を出て社会経験もなく新卒採用」された学校教員にそれは無理だという意見もあるし、学校教員に失望し切っているので、その声に賛同せざるをえない。だが、適性判断のガイドラインぐらいは作れるだろうし、教員にその子の将来に責任を持つ意識を抱かせるぐらいはできる。小中高の教員が、それぞれ担当した子供の職業適性について「進級進学時の申し送り」をすることぐらいできるだろう。
 これまで、セックスワーカーの女性や特殊詐欺犯罪の現場で働く男の子に突出した才能やセンスをもった子がときたまいて、この子がほかの職業に就いていたらどれほど活躍しただろうという猛烈な喪失感を感じてきた。あの無駄こそが、徒労こそが、日本の貧困なのだ確信する。
 続いて、成人後の貧困者支援についてだ。まず成人前、それもできればローティーン時に支援につながることが何よりなのだが、その後の貧困については、まず貧困リスクの高い層をあらかじめ捕捉し、予防線を張ることが望ましい。
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2017年06月11日

「発達の機会を失った子供」に必要なケア

 子供の利用したい形での「安全な居場所の提供」ができたなら、ここで加えたいのが「療育ケア」だ。十分な時間と手間を与えられない貧困世帯や虐待家庭などに育つことで、子供に非定型発達(発達遅延)が表れ、それがその後の人生の貧困リスクを高めることや、そのことが世代間を連鎖する貧困の正体の1つなのだ。
 現状で療育と言えば、幼児期に発達障害と判断された子供に対して作業療法や言語療法などリハビリテーションの技能で発達支援をする現場を指すが、そもそも子供が発達障害と診断されて療育センターに子供を通わせている親は、きちんと子供をケアしているし見ている(決して楽だとか貧困じゃないとか言っているわけじゃない)。だが療育の現場に従事するセラピストたちの技能は、上記のような「発達の機会を失った」子供たちにこそ、いっそう必要になるケアである。ケアの効果が見込めるのは、不登校児、保健室通学児童、そして児童養護施設や児童自立支援施設、少年院で過ごす子供たちに対してだって、その能力は大きく機能するはずだ。
 苦言を呈せば、現状、この療育の専門性を発揮できるはずのリハビリテーションのセラピストたちは、その多くが高齢者のためのサービスに従事している。特に脳卒中後の高齢者がそのまま寝たきりとなって病院に居続けて医療費を増大させないための、家庭復帰を目指すためのリハビリに、最もその人材が集中しているのが現状だ。
 批判覚悟で言うならば、ケアしてもすでに生産の現場には戻らない高齢者と、今後の日本の生産活動を支える子供と、どちらを優先すればいいのかは一目瞭然ではないか。
 ということで、居場所ケアと療育(発達支援)ケアは、必ず連係・両立してほしい。療育については現状、圧倒的に人的資本が足りない(というか高齢者ケアに集中している)うえに、専門医がその子供を発達障害と診断しないかぎりサービスを受けられないので、医師の診断を必要とする法的根拠そのものに斬り込むと同時に人件費の財源確保という大問題も立ちふさがる。本音を言えば「子供の貧困対策法」を根拠にざっくり財源確保してほしいとも思うのだが……。
 現状の子供の貧困ケア改革でどうしても外せない最後の一要素、これが非常に提案しづらい部分だ。ざっくり言えば「義務教育世代から始める、就業ベースの教育」である。
 昨今、子供の貧困に対してさまざまな社会的な動きが活発化して、大変有難いと思うが、その一方でちょっと無視できない論が流布しつつあるように感じている。まず現行の「子供の貧困対策法」の大綱は、教育支援、生活支援、保護者の就労支援、経済的支援だったはずだが、予算がついたのはほとんど「貧困世帯の子供の遅れがちな学習を取り戻す」、つまり教育支援に限定されていたように思う。
 教育政策で救えるのは勉強が得意な子だけで、そこに集中した支援は結局「知の格差」を広げることにもつながりかねない。加えてそれ以上に主張したいのは、昨今この論は、子供の貧困というキーワードをビジネスソースにしようとしている産業に利用されているように思えてならない。
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2017年06月10日

低所得世帯の親の帰宅は、遅い

 低所得世帯の親の帰宅はまずもって遅い。働かないから貧困ではなく、働いても稼げなくて貧困な親の世帯ほど問題が深い。低所得者ほど長時間労働だったりダブルワーカー、トリプルワーカーなのは各種データのとおりだが、夜9時、10時となって帰宅して、子供に当たり散らしたり、夫婦間の諍いが始まったり。これが虐待のゴールデンタイムだ。そんな状況に、幼い彼ら彼女らは耐えられずに家を飛び出したり、追い出されたりする。
 どこに行こう、向かう先が、夕方までいた学童保育だったり児童館だ。だけど、暗い夜道を歩いてたどり着いた学童は門が閉ざされ電気も落とされ、静まり返った施設を前に、子供は絶望し立ちすくむ。
 これが「24時間やってる学童」が欲しい理由。行き場がなくなったときにちょっと立ち寄って、親から距離を置いたり、空腹を満たすことができたり、親が落ち着いて迎えに来るのを待てるような場所だ。
 一方で「ゲーセンみたいな学童」は、彼ら、彼女らが小学校高学年以上になって求めるもの。上記のような家庭環境の少年少女らだが、そうした環境が継続する中で年を重ねると、それなりに居場所を得ていくことになる。それが、遅くまでいても文句を言われないゲーセン(2000年代中盤の条例改正でほぼなくなったが)、育児放棄状態で親は帰宅しないがカネと食べ物だけは用意してある地元の友達の家、そしてもう1つが「コンビニとファミレスの駐車場」だ。
 こうした場所を転々としながら、ほかの育児放棄だけどカネは渡されているという子供にタカったり、渡されたカネを譲り合ったりで飢えをしのぐというのもまた、定番ケース。そこで知り合った「悪い先輩」たちの影響で売春や盗みの世界に入っていくというのも、これまた定番ケースだ。
 そうして触法を重ね、補導を重ねるうちに、彼ら、彼女らは地元の児童福祉に敵対感情を持つようになり、支援者につながりづらくなり、濃厚な貧困リスクを抱えたままで年を重ねていくことになる。
 そんな彼らにとって、欲しかったのはゲーセンや漫画喫茶に食事ケアや簡易的な宿泊施設がついたもの。そこに住むのではなく、決められて通うのでもなく、居場所がなくなったときに立ち寄って利用できる、したくなるような居場所ケアというわけだ。
 さて、随分と昨今議論されている居場所ケアとは毛色が違う。子供食堂的な食事ケアはすばらしいが、一方で拡充が検討されている学童は、あくまで「学校の延長線上」であり、「ちゃんとできる子」向けである。だが、親が「ちゃんとしなさい」の「ちゃんと」の枠の中にハマる教育すら受けさせられないから、それを子供に与える時間すらないから、貧困なのだ。放課後になってまで机に向かっての勉強タイムがあったり、持ち込む私物によっては没収があったりするような学校的な学童よりは、子供は友人宅やゲーセン的な場所を選ぶ。
 禅問答のようだが、支援者の支援の枠にハマる子供だけが支援されるなどという支援は、支援ではない。
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2017年06月09日

育児放棄された子どもは餓死する

 「6人に1人の子供が貧困」という数字の根拠が、親権者養育者の相対的貧困率だったために、貧困女子高生騒動などでも「そもそも先進国日本の相対的貧困は貧困なのか」とか、日本に餓死する子供はいないといった言説も流布されるが、これは噴飯ものだ。
 考えればわかることだが、親がどれほど高所得でも立派な仕事に就いていても、育児を放棄し食事を用意せずに家から追い出せば(自ら出て行くしかないほど劣悪な家庭にしてしまえば)、自力で稼ぎ食物を得ることができない子供はほんの数日で絶対的貧困のレベル、餓死のレベルにまで追い込まれる。現実としてそれはある。
 これが育児放棄の恐ろしさなのだ。暴力を伴う虐待よりも育児放棄を軽視するような雰囲気を感じたことが少なくないが、育児の放棄とは暴力とまったく同じ程度に子供を傷つけ、そして絶対的貧困レベルの苦痛を子供に与えることになる。
 なので、まず子供の貧困については「相対的貧困」という指標は一部分を意味するものにすぎないのである。支援すべきは相対的貧困線を割った世帯の親子のみならず、養育者が養育者として機能していない世帯の子供すべてだ。それが子供の貧困当事者でもあるし、将来の貧困予備軍でもあるからなのだ。これが見直したい大前提だ。
 この前提のうえで、未就学からローティーン世代の子供の支援として提言できるのは、「利用したくなる居場所ケア」だ。居場所ケアについては政策サイドでも地域単位でもその必要性が高らかに言われているが、ちょっとしたズレを感じている。実際、親の育児放棄や貧困があって非行化した子供も、小学校低学年まではそれぞれの生育地域の学童保育(的なサービス)を利用していたケースはかなりある。そして彼らに共通の記憶が、「何で学童、夜開いてねーんだよ」だ。複数の取材対象者に共通のエピソードが、こんなものだ。
 小学校が終わって放課後に友だちと遊ぶ。親が家にいる子は夕飯の時間までに帰るが、帰っても親がいない家の子は、腹を減らして家に帰って親を待つ。お菓子ぐらいはあることが多いようだが(一方でレトルト食品やカップ麺が段ボール箱単位であって食べ放題というのも定番エピソード)、独り小腹を満たして親を待つkotoninaru。
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2017年06月08日

「貧困」に陥る可能性はもはや誰にでもあるという現実

 「毎日お金で悩む。我慢ばかりで辛い。ストレス」(東京都/28歳・会社員(技術系))
 貧困は精神をも蝕む。
 また、「持病があるため、収入の殆どが医療費になってしまうこと」(東京都/30歳・会社員〈事務系など〉)、「結婚当初は共働きでしたが、私が体調を崩し退職したため、世帯収入が半分になりました」(東京都/35歳・会社員〈事務系など〉)といった答えも少なくない。誰でも、急に病に倒れる可能性はある。先日、高額療養費の見直しが報じられたが、医療費の負担で家計が危ぶまれる事態を「人ごと」と割り切れる人はどのくらいいるのだろう。
 以下に、長文で状況を説明してくれた回答者のエピソードを紹介する。
「授かり婚だったが、結婚と同時に夫が健康保険、年金などを今まで払っていなかったことを知り、自分は産休で休職中にもかかわらず、滞っていた分を貯金から支払い、それでも足りない分は毎月分割して支払っている。認可の保育園に入れていないので、今もフルタイムでは働けず、給与が少ないが、夫も自営業で安定した給与が入る補償がないので、少しでも貯蓄をしようと日々の生活費を削っている状態。夫は危機管理能力が低いらしく、浪費家なので、倹約してほしいと訴えているが、『努力しているけど、すぐには変われない』と開き直りいまだに浪費している。自分が苦しいとは思わないが、もう少し改善したいと思っている」(東京都/31歳・自営業〈自由業含む〉)
「正直、はたから見たら私は生活苦ではないのかもしれないし、私よりも生活苦の人は多いはず。親が離婚し、2人とも高齢なので、生活レベルが下がったがそれをサポートできる余裕が自分にないという点で生活苦と感じる。また同世代の友人が高収入を得ていて、タワーマンションを購入とか海外旅行に頻繁に行くSNSの投稿を見ると憂鬱になり、自分の今の現状が辛くなる」(東京都/31歳・会社員〈事務系など〉)
 認可保育園に入れない、自分にも余裕がない中、親を支えなければいけない現実、すぐそこにある格差。どれも、現代の日本の状況を非常によく表しているように思える。
 ここで紹介したような状況は、一昔前ならば「今は大変だけど、みんなも同じように大変。でも、しっかり働いていれば給料も上がるし楽になる」と希望を持つこともできたかもしれない。しかし、今の若い世代はそうではないのだろう。特に企業の賃金カーブを見れば明らかなように、女性の場合は男性のように、年齢と賃金が比例する傾向も見えづらい。
 毎日の節約をまだ笑っていられる状況から「貧困」への距離は、それほど遠くない。そう感じるからこそ、多くの人が不安を感じているのだ。こうした現状に対して、日本は国としてどう考え、どんな対策を練るべきなのだろうか。
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2017年06月07日

コミュニティからの疎外が さらなる貧困を招く

 生活苦のため、付き合いを制限しているという声もある。
「飲み会や結婚式の招待をキャンセルしていたこと」(東京都/30歳・会社員(事務系))
「週一である飲み会に行けなくなったとき」(三重県/28歳・会社員(営業系))
「遊びに誘ってもお金がなくて遊びにいけないと断ってきた友達がいて生活苦だなと思いました」(東京都/24歳・会社員(技術系))
「周りの人がみんな買っている物を買えないとき」(北海道/21歳・大学生)
 人付き合いよりも節約の方が大事、お金がないなら付き合いは二の次でいい……という意見もあるだろうが、コミュニティからの孤立は、心理的な負担となる。また、近所同士で子供を預かったり、必要な情報を交換したりといったつながりから疎外されることは、さらなる生活苦を招きかねない。
 鈴木大介氏の『最貧困女子』(幻冬舎)では、友人同士でガソリン代を出し合って買い出しに行く地方の20代が取材されているが、こういったつながりを持てないことは、ライフラインの1つを断たれることだとも指摘されている。
 「車がない」(福岡県/35歳・会社員(営業系))という回答もあった。交通手段が多い都会に住んでいるとその感覚はわからなくなりがちだが、地方で自家用車は贅沢品ではなく、生活必需品だ。それどころか、「交通費の160円なども高く感じたとき」(東京都/22歳・大学生)という回答さえあった。
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2017年06月06日

「2日間水しか飲んでいない」  女性たちが明かす仰天の生活苦

 女性たちが語ってくれた、生々しい「生活苦」のエピソードを紹介していこう。「あなた自身が『私は生活苦だな』と感じた体験談、あるいはあなたが(女性の)同僚や友人などを見ていて『あの人は生活が苦しそうだな』と感じたエピソードを教えてください」という質問に対して、まず目立ったのが、食費の節約に関する回答である(回答の原文ママ)。
「給料日前には食べるものがもやしや豆腐といったやすくて腹持ちのいい食材になるとそう感じる」(神奈川県・24歳専業主婦)
「友人がお金がなくて2日間水しか飲んでいないと言われたとき苦しそうだと思った」(東京都・31歳会社員)
「パン屋で100円以上のパンを買うのに抵抗があること」(東京都/35歳・専業主婦)
「毎日パスタ(調味ナシ)しか食べてない」(東京都/34歳・自営業)
「カップラーメン生活になったとき」(東京都/24歳・専業主婦)
「お腹が空いたら醤油を舐める」(大阪府/25歳・会社員(技術系))
「買い物はもっぱら人参ジャガイモ玉ねぎが基本。季節の野菜など楽しむ余裕なし。肉もササミが主。魚なんかは買えない。常になるべく消費期限が長めの物をえらぶ」(山口県/28歳・専業主婦)
 給料日前などの数日間ならまだしも、日常的に食費をギリギリまで制限しなければならないことは、心身を疲労させるだろう。今は安価でも食材が手に入るものの、栄養が偏り、「貧困層にこそ肥満が多い」ことも指摘されている。エピソードの中に「パスタ」や「カップラーメン」という言葉が散見されたが、簡単に安く食事をしようとすると炭水化物に偏りがちだ。食材の選択肢が少ないことが貧困を感じさせる。
 主婦たちからの意見で目立ったのは、「子供へのしわ寄せがある」という意見。
「苦しいけど、苦しいとか貧乏とかいう言葉は子供の前では使いたくなくて、無理して頑張ってる子供たちにはある程度お金をかけてあげたいので、自分のことはとりあえず後回し食べること、着るもの、趣味など」(埼玉県/39歳・専業主婦)
「子供の誕生日を祝ってあげられないと聞いた時」(宮城県/36歳・専業主婦)
「子供達にまで必要な物を我慢させています。必要な物なのに不憫でならない」(北海道/38歳・専業主婦)
「子供に好きなことをさせてあげられない。情けないと思う」(三重県/36歳・専業主婦)
 自分たちの我慢は仕方ないと思えても、子供にまで「貧困」を感じさせたくないという心情。今の20代、30代は、子供の頃に貧困を感じず、不自由なく育った人も多い。生活水準が下がり、親からしてもらったことを自分の子供にはしてあげられないという悔しさもあるだろう。
 また、「今はいいけど、将来が不安で子供はもう産めない」(宮城県・34歳会社員(営業系))、「妊娠して出産費がかかるのに自分は働けず、さらに夫の給料が下がったとき」(東京都・35歳専業主婦)という声もあった。少子化が大きな社会問題となっているが、産んだ後のセーフティーネットは少なく、自己責任論が強い日本。金銭的な余裕がなく子供を諦めるという声、さらには「子供は贅沢品」という声すら聞こえてくる。
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2017年06月05日

生活が苦しい理由は「非正規社員だから」が最多

 「日々の生活が苦しい」と答えた約6割の女性たちは、具体的にどれくらいくらい生活が苦しいのか。「現在のあなたの年収(配偶者がいる場合は世帯年収)はどれくらいですか」という質問に対する回答は、200万円台が24人、300万円台が同じく24人(ともに21.1%)で最も多かった。一方、「なし(あるいは限りなくゼロに近い)」と答えた人も、15人(13.2%)と高い水準にあった。これに「100万円未満」が13人(11.4%)、「400万円台」が11人(9.6%)、「100万円台」が10人(8.8%)と続く。「500万円以上」と答えた人は全体のわずか17人(5.3%)だ(下のグラフ参照)。これを見ると、年収のボリュームゾーンは200〜300万円台であり、日本における2013年の世帯所得の平均528.9万円を大きく下回っていることがわかる。
 では、彼女たちは年収がどれくらいあれば生活が楽になると考えているのか。「今の生活が楽になるためには、『最低で』どれくらいの年収(配偶者がいる場合は世帯年収)が欲しいですか」という質問に対して、最も多かった回答は400万円以上(25人、21.9%)。他は200万円以上(10人、8.8%)、300万円以上(20人、17.5%)など、約半数にあたる58人は400万円までの年収帯に集中していた(下のグラフ参照)。前述のように「生活が苦しい」と感じる女性の年収のボリュームゾーンは200〜300万円台であることから、理想と現実の年収の間には大きなギャップがあることがわかる。一部では、「女性は結婚相手に600万円以上の年収を求める」などと言われるが、それが夢見事ではない女性はごく一部ということだろう。
 彼女たちは、なぜこれほど生活が苦しいのだろうか。「生活苦の理由は何ですか?(複数回答可)」という問いを投げかけると、「非正規社員(パート、アルバイト、派遣社員など)として働いており、年収が少ない」(36人)が最多となった。この他、「子どもの養育・教育にお金がかかる」(30人)、「ローンや借金があり、月々の返済が多い」(28人)、「夫が低収入(あるいは無収入)で家計のやりくりが厳しい」(26人)、「仕事に就いておらず、決まった収入がない」(24人)などを挙げた人が多かった(下のグラフ参照/総回答数に対する割合)。女性の生活苦の背景には、実にさまざまな理由があることがわかる。
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2017年06月04日

貧困寸前!急増する「女性の生活苦」知られざる実態

「女性の貧困」というフレーズをよく聞くようになった。今の日本において、貧困に苦しむのは女性だけではないが、賃金格差や非正規雇用者の数、1人親になったときの貧困率などを見ると、若い女性が置かれている状況は確かに厳しい。そして、今貧困を感じていない女性でも、いつ貧困に陥るかわからないという恐さを感じている。若い世代を中心に、生活苦の女性が急増しているというが、その実態はどうなっているのか
 「最貧困女子」「失職女子」「高学歴女子の貧困」――。数年前から書店では「女子」と「貧困」を組み合わせたフレーズをよく見かけるようになった。とはいえもちろん、貧困は女子にだけ襲いかかっている現象ではない。今年の流行語大賞にノミネートされた「下流老人」「子供の貧困」など、今や日本列島はどの年代、性別を見ても「貧困」から切り離せない状況となっている。
 それでもまだ「貧困」と何らかのフレーズを組み合わせた言葉にインパクトがあるのは、「日本が豊かな国だ」というイメージを多くの人が持っているからかもしれない。しかし、貧困は我々の私生活に確実に忍び寄っている。
 いろいろな指標を見ると、そうした現状が見て取れる。たとえば、日本は子どもの6人に1人が貧困と言われ、OECDの発表によれば子どもの相対的貧困率はOECD加盟国34ヵ国中10番目に高い。また、1人親世帯の子どもの相対的貧困率はOECD加盟国中最も高い。ひとり親家庭の貧困率は50%を超える。そして、日本の平均世帯所得は1994年の664.2万円をピークに下がり続けており、2015年は541.9万円となっている。
 なかでも若年層を中心とする女性の貧困は深刻だ。NHKで放送された「深刻化する“若年女性”の貧困」では、働く世代の単身女性のうち3分の1が年収114万円未満と報じられた。非正規職にしかつけず、仕事をかけ持ちしても充分な収入が得られないという状況だ。
 しかし、周囲の女性たちから生活に関する深刻な苦労話を直接聞く機会は滅多にない。自分の生活苦を他人に相談することに対して「恥ずかしい」「プライドが許さない」と感じる女性が多いためだろう。こうした状況では、周囲が彼女たちの声にならないSOSに気づいて力になってあげることや、社会が抜本的な対策を講じることは難しい。
 そこで、ダイヤモンド・オンラインが、アンケート調査会社「リビジェン」の協力のもとに行った、女性の「生活苦」に関する意識調査の調査結果は、むろん限られた範囲での調査にはなるが、社会の一断面をのぞく上で参考になる。ここでの調査の対象は、全国の20〜30代の一般女性200人。世代の区分が難しいところだが、ここでは現在、貧困の増加が指摘されている若い女性のトレンドを重点的に見るために、企業の職場などで若手〜中堅手前と見なされることが多い20〜30代を調査対象とした。また、結婚をきっかけに生活苦に陥いる女性も少なくないと思うので、既婚・未婚の双方を調査対象にしている。
 まず、「あなたは使えるお金が少なく、日々の生活が苦しいと感じていますか」という質問に対して「はい」と答えたのは、調査対象200人の半数を超える114人(57%)に上った。
 回答者の中には、「毎日ランチを食べている友人を見て羨ましく感じる自分を生活苦だと思う」(大阪府/28歳・会社員(事務系)、「節約のためにマスカラをやめた」(愛知県/35歳・専業主婦)といった軽めのエピソードもある。バブルと呼ばれる時代だって給料日前は節約モードだったと思われるかもしれないが、今どきの若い女性の多くはバブル時代のように派手に遊んでいるわけではないことを考えると、些細なエピソードからも時代の変化を感じとれるのではないだろうか。
 自分を「貧困女子」よりは困っていないと考えている女性でも、何かのきっかけで「貧困」「最貧困」に転落する恐さが現代にはあるのだ。
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2017年06月03日

高齢者だけではない、若い女性の貧困層の増加も  問題山積の国民生活の実態

 非正規社員が増加し、正規社員との間の賃金格差が生み出す悲劇が、ひたひたと隣近所の人たちにも、貧困の実態として拡散してきている。下流社会とか老後破産といった高齢者の生活苦の実態も明らかになりつつあるが、若い女性で生活苦に喘ぐ人たちが激増してきているのだ。
 一昔前の日本がバブル景気に踊っていた時は、若い女性が海外旅行だ、ブランド物を買い漁るだ、グルメの食べ歩きをするだといった、今では考えられないような日常を過ごしていた時期もあった。
 しかし、若い女性の生活苦の実態は、なぜ日本がここまで貧困層が増えてきたのかと、唖然とするくらいショッキングなものである。この大きな原因は、若い女性の職場が非正規社員の増加する環境になりつつあることだろう。
 まず非正規社員の悲惨な原因は、賃金の安さもあるが簡単に首を切られる仕事の不安定性もある。給料前には水しか飲めないといった話に始まり、結婚しても夫の甲斐性なしの結果、女性に大きな負担がかかるときもある。 もっと惨めなのは、子供を抱えての生活苦だろう。せめて子供には、惨めさを感じさせたくないと、若い母親は自分の生活を犠牲にせざるを得ない。
 一方、貧困家庭でない場合でも、ひとたび、どちらかが病気になると、たちまち生活苦に陥る可能性もある。
 日本は、かってはバブル期でなくても、それなりに生活ができる余裕を持てた家庭が多かった。しかしこの15〜20年の間に、賃金の低下が続き、気がつくと多くの家庭が貧困一歩手前まで近づいてきているのだ。
 これは大変深刻な現実で、政治家はもっと真剣に、国民の貧困対策を講じなければ、日本の国は確実にダメ国家に陥ってしまうはずだろう。
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2017年06月02日

「絶対的貧困率でいうと日本の貧困率は大した意味がない」とほざくナンセンス

 昔、仕事でアメリカから国境を越えてメキシコに渡った時の話。国境近くにあるレストランに案内されたのだが、そこは専ら国境を越えてくるアメリカ人を相手にした店とのことで、大多数のメキシコ人にとっては高価すぎて入る気にならない店なのだった。
 それから10年ほど経って、やはり仕事で中国に行ったときの話。ホテルの近くに日系のコンビニがあり、樂天(ロッテ)製のお菓子やミネラルウォーターなどが売られていたが、日本のコンビニで買うのと同じくらいの値段だった。
 ところが、同じコンビニに置いてあった中国製の菓子は、それよりはるかに安かった。そして、現地の屋台で売っていた麺類のファーストフードは、コンビニで売られていた中国製の菓子より比較にならないくらい安かったのである。
 いずれの例でも、これが格差社会であり、階級社会だと思った。壮大な格差であり、その分布の広がりはすさまじい。しかし、その反面、いくらでも安いものが売られているともいえる。
 朝日新聞に「15.7%の衝撃―貧困率が映す日本の危機」という社説が出ていて、朝日新聞の論説委員のレベルの低さに衝撃を受けた。あまりにもひどすぎる言説で、ナンセンスそのものだ。
 『日本の貧困率がOECD諸国で第4位だということは、5年前から周知の事実で、政府が「それに目を背けてきた」わけではない。大した意味がないから、特に問題にしなかっただけだ。鳩山首相もこの数字について「大変ひどい数字だ。何でこんな日本にしてしまったとの思いの方も多いだろう」とコメントしたそうだが、彼はその意味がわかっているのだろうか。OECDの発表しているのは相対的貧困率で、これは国内の家計所得の中央値(メディアン)の半分に満たない世帯の比率を示す指標にすぎない。絶対的貧困率でみると、日本の下位20%の人々の所得(紫色の面積)は最大である。
 貧富の分布の広がりがメキシコや中国ほどではない日本で、相対的貧困率が増えた場合、所得が同じである、日本に住む人と中国に住む人を比較した場合、食うのに困るのは圧倒的に前者なのである。というのは、、中国では超安価なファーストフードにありつけるが、日本ではそうはいかないからだ。
 日本で貧困層に属する人々が、同じだけの所得が得られるという条件付きで中国に移住できれば、食うには困らなくなるかもしれないが、それは非現実的な仮定というものである。
 別に中国の格差社会の現状を肯定するつもりなどさらさらないが、「絶対的貧困率でいうと日本の貧困率は大した意味がない」などという朝日新聞の言説が、いかに馬鹿げたものであるかがお分かり頂けるだろうか。。
 この朝日新聞の妄論にも呆れたが、そんな朝日新聞の言説に感心して賛同している連中にも呆れ返ってしまった。
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2017年06月01日

生活保護基準に届かない年金受給者の暮らしは?

 埼玉県内の病院で清掃の仕事をしている74歳女性は、3年前に夫を亡くし、月額12万円の遺族年金で暮らす。週4回、早朝や閉院後に院内を清掃している。時給900円で1日4〜5時間働き、月10万円弱を稼ぐ。遺族年金と清掃の賃金で収入は月約22万円。74歳の高齢女性が、年金だけでは食べていけないからと、働き続けている。
 「仕事を辞めたいのだが、どういう制度を使えますか」
 いろいろ調べたところ、彼女は生活保護を受けられないことが分かった。預金が40万〜50万円あり、医療費もそう多くかかっていないため、保護基準に届かないのだ。
 1人で暮らすにしても、1ヵ月20万円前後は必要。遺族年金12万円だけでは、家賃と医療費、国民健康保険料、介護保険料を払うと残りわずか。孫が遊びに来たときぐらいはお小遣いを持たせてやりたい、地域の冠婚葬祭や老人会の付き合いにも出たい、というのが人情だろう。最低限の社会生活を維持するために、働き続ける必要があるのだ。
 女性の一番の不安は、もし働けなくなったらどうするか、というものだった。その場合、収入は遺族年金だけになる。家計をやりくりしてもらうことぐらいしかアドバイスできなかった。家賃4万円のアパートから、家賃が安い公営住宅に移る、国民健康保険料の減免措置を申請する−−など、使える制度をなるべく使って、何とか生き延びてもらうほかない。
 無年金や病気で働けない場合はすぐ生活保護につながるが、年金が生活保護基準スレスレか、少し超えている、持ち家がある、地域によっては自家用車を持っている−−と、生活保護を受給できないことが多い。
 そのような人たちは低賃金で働き、生活費の不足分を補っている。また、自分や配偶者の医療費、介護費用を工面するために働く、という人も増えている。「フルタイムで働かないと補えない」「死ぬまで働かないといけないし、働けなくなったときは死ぬときだ」という人までいる。
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2017年05月31日

特養に入れない認知症妻を介護する78歳夫の苦労

 埼玉県内の男性(78)は、自宅で妻(84)と2人で暮らしている。最近妻の物忘れがひどく、買い物のときに迷子になって、交番から連絡が来るようになったという。あるとき、電車で1時間も離れた街に行ってしまった。 長男は関西地方で働き、長女は結婚して福岡に住んでいて、盆暮れ正月しか戻ってこない。夫は妻の認知症を疑っている。
 「これ以上症状が進むと、私では面倒を見切れなくなる。自宅で生活できなくなるのではないか。かといって高額の施設に入るお金もない。子供にも迷惑をかけたくない」
 夫婦の全収入は2人の年金月額約22万円。このレベルなら、以前は月額5万〜8万円程度の費用で特別養護老人ホームに入れていた。しかし2015年4月、特養への入所条件が「要介護3以上」に変更され、要介護1、2で認知症などを患う人たちが特養に入れない事態が発生した。
 地域包括支援センターのケアマネジャーに調べてもらったところ、男性の妻は要介護2判定だった。現状では特養入所は難しく、週3回程度の在宅ケアでしのいでいる。男性も高齢のため、老老介護がいつ破綻するか分からない。こうしたケースで近年、子供の介護離職が発生することが社会問題化している。
 厚生労働省の就業構造基本調査によると、前の年1年間の介護離職者は全国で約10万人に上った。中高年の子供が親の介護のために一度離職すると、同条件での再就職はかなり困難だ。再就職しても賃金は以前より下がり、収入や蓄えが減って今度は自分の老後を不安定にしている。
 生活保護基準相当か、それ以下で暮らしている年金受給者は少なく見積もって700万人、多く見積もると1000万人を超える。貧困寸前の状況は、介護や病気をきっかけに、子供世代に直接影響する。
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2017年05月30日

生活保護基準以下で暮らす年金生活者の綱渡り

 40代に突入した就職氷河期世代が10年後に直面する「親と共倒れ」の世界。その親世代の貧困は、すでに先行している。
 高齢者の困窮はじわじわと進み、厚生労働省が発表した「生活保護の被保護者調査」(2016年3月分)によると、生活保護受給世帯に占める65歳以上の高齢者世帯の割合は、今年初めて5割を超え、50.8%になった。 受給世帯数は163万5393世帯で過去最多。受給者実数は216万4154人。高齢者だけか、高齢者と18歳未満の子供で暮らすいわゆる「高齢者世帯」が、全体の半数を超える82万6656世帯。高齢者世帯の半数超えは、1950年の生活保護制度スタート以来初めだ。このうち約9割は1人暮らし世帯。
 高齢貧困層は今後さらに増えることが予想されます。中でも注目すべきは、生活保護受給世帯だけでなく、保護基準に届かず、生活保護制度の外側にいる実質貧困層の増加である。わずかな年金と低賃金労働で生きる「生活保護寸前層」が膨らんでいる。
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2017年05月29日

多くの日本人が貧困に沈むのは、なぜなのか?「6人に1人が貧困状態」という不都合な真実

 日本の相対的貧困率は17%前後だが、2017年もほぼ同様である。相対的貧困率とは、国民の所得分布の中央値の半分未満である状態を示す。相対的貧困率には所有する資産は考慮されていないが、誤解を恐れずに単純化すると日本人の6人に1人が貧困状態にあるということだ。今年の生活保護受給者も約220万人ほどである。
 貧困世帯には時として厳しい批判が飛ぶ。だが本当にそうなのか。病気、ケガ、介護、転職、失業……誰にでも起こりうる事態をきっかけに、人々は「安定」からいとも簡単に滑り落ちていくのだ。
 「まさかこんなことになるなんて……」
 50代の男性はそう嘆く。彼はかつて誰もがうらやむエリートビジネスマンだった。外資系IT企業を渡り歩いてキャリアアップ。ピーク時の年収は1200万円に上り、充実した生活を送っていた。ところが、現在の年収は約300万円と4分の1に。一時は生活保護の申請に足を運ぶなど、生活に困窮していた。彼の身に一体何が起こったのか。
 最初のきっかけは病気だった。2005年頃に大手通信会社系企業に転職。その後、スマートフォンの新商品発売に向けた連日の激務がたたり、脳の病気で倒れた。3カ月で復帰すると、今度は職場でパワーハラスメントを受けた。「いつ倒れるかもわからない人に年収1000万円ものコストをかけたくないから、早くやめさせたかったんじゃないか」と男性は振り返る。
 さらに不幸は重なる。しばらくして今後は母親が心臓の病気で倒れた。都内のマンションから東京郊外にある実家に戻り、看護をしながら通勤する生活に。通勤時間は片道2時間半。終電に間に合わず、週の半分はサウナに寝泊まりしていたという。それでも親の看護と仕事の両立は簡単ではない。自分が倒れたときに有給休暇を使い切っており、欠勤扱いになる日が増加。2011年末に会社を解雇されてしまった。
 解雇と同じくして母親は他界。さらに父親にも肺がんが見つかり、母の死から数カ月後になくなった。精神的にはどん底だったが、それでも働かなければ生活できない。実家暮らしで家賃負担はなかったが、希望の仕事を見つけるのは難しい。コンビニのバイトを始めた。生活保護の申請にも行ったが、持ち家と数十万円ほどの貯金があるから認められないと担当者はにべにもなかった。
 その後、家を300万円で売却。友人たちの誘いなどもあり、貯金を元手に都心に戻ってきた。現在はITの知識を生かしてフリーのコンサルタントとして生計を立てている。だが病気などで働けなくなったらどうなるのか、老後はどうするのかを考えると不安は募る。
 経済学に「貧困の罠」という言葉がある。本来は税制や社会保障制度などの欠陥によって貧困から抜け出せない状況を意味する。ただこの男性のように普通に生活をしていても、貧困に陥る「罠」は少なくない。
 転落者を受け止めるセーフティネットも手薄だ。雇用保険や医療保険、年金などのように保険料を支払い、いざというときに給付を受ける社会保障制度はそれなりにある。が、それら防貧ネットからこぼれ落ちた人たちの受け皿となるセーフティネットは生活保護しかないのが実情だ。
 その生活保護への風当たりは強い。もともと受給者の負担のない救貧施策のため、批判を浴びやすいが、保護費負担金は3.8兆円(事業費ベース)に膨らんでいることもあって、予算削減の動きが加速している。
 生活保護世帯は過去最多を更新し続けているが、構成比を見ると高齢者と障害者・傷病者が多く、全世帯の7割超を占める。これらは事実上働くことができない世帯だ。保護費の内訳を見ると医療費にかかるものが半分を占める。生活保護というと不正受給に注目が集まりがちだが、生活保護費の総額に占める割合は 0.5%前後で推移しており、多いとはいいがたい。
 高齢者が増えるに伴って、今後も生活保護受給世帯が増え続けるのは間違いない。生活保護費だけに着目して予算を削減するのではなく、年金、医療、介護など約30兆円に上る社会保障関係費全体の中で議論すべきだろう。
 多くの人は、貧困は他人事だと思っているだろうが、実はそうではないのだ。女性、高齢者、子供などにもその闇は広がり、日本を覆いつつある。まずはその事実にきちんと向き合うこと、そしてどのような対策を打つのか考える必要がある。
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2017年05月28日

不正は、まず未然に防ごう!

 元大阪市ケースワーカーの松崎喜良・神戸女子大教授(公的扶助論)は「不正受給を見つけて摘発することより、未然防止に力を入れるほうがよい。『収入は必ず申告してくださいよ』と言うだけでなく、『給料や年金は少額でも支払報告書が提出されるから、必ず役所でわかりますよ』と伝えておくべきだ。年金は生活費用を確保する重要な手段だから、ケースワーカーが受給を手助けすべきなのに、年金の知識が足りないから、把握せずに不正を招いてしまう。悪質な不正をする人間もいるのは確かだが、定期的に家庭訪問して生活の実情を見ていれば、おかしいことに気づく。ケースワーカーの人数と資質が足りないせいで、そういう基本的な努力が不十分な自治体が多い」と強調する。
 保護費を支給した後、税情報で申告のない収入を見つけ、不正の認定手続をして、返還を求める。それには、かなりの手間がかかる。その時点では、返還できる資力が当事者にないかもしれない。そういうやり方より、税情報の仕組みがあることを保護利用者に周知しておけば、生活保護の不正受給は大幅に減り、そこにかけている職員の労力も減るはずである。
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2017年05月27日

申告義務がしっかり伝わっているか?

 生活保護の利用者が、収入や資産の申告義務をきちんと理解していないケースがある。保護開始の際、担当ケースワーカーは、保護利用者の権利と義務を伝える文書を渡し、口頭でもよくわかるように説明する必要がある。その内容を理解したという書面にサインしてもらって受け取るよう、厚労省は求めている。保護継続中も、同様の説明文書を年1回以上、世帯主と世帯員に配布するよう求めている。これらの説明の中には、収入の申告義務がもちろん含まれている。
 けれども、文書配布や口頭説明、書面提出が必ず実行されているとは限らない。いいかげんにやっている自治体やケースワーカーも存在する。実行されていても、利用者側がいろいろな書類や手続にまぎれて、きちんと認識していない場合や、よくわからないまま、わかったと答えている場合もある(たとえば軽い知的障害のある人は、そういう返事をしがち)。
 高校生のアルバイトは、申告して、学業の費用や進学資金など使い道の計画を示せば、収入認定されない(保護費が減額されない)ことが今は多いのだが、申告しないで後から税情報などで発覚すると、不正受給として扱われる。親の知らない間にバイトしていることもある。だから世帯主だけでなく、高校生本人にも申告義務を説明するべきだが、不十分なことも多い。そういう高校生の無申告アルバイトも、不正受給件数の中に入っている。
 保護の利用中に障害年金、遺族年金、老齢年金などの受給を始めたときや、年金の増額改定がされたときも、すぐ申告しなかったり、うっかり申告を忘れたりするケースがある。
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2017年05月26日

市区町村には、給与・年金の情報がすべて届いている

 不正受給と言っても、大部分は稼働収入の無申告・過小申告と年金等の無申告であり、その大半は、市区町村が持つ税情報との照合、年金機構への照会といった定期的な事務作業で発覚している。収入をごまかすために手の込んだ偽装工作をしていたわけではなく、簡単にばれている。
 なぜ、簡単にばれることをするのか。いくつかの原因が考えられる。
 1つは、給与や年金の情報が市区町村に届くことを、保護の利用者が知らないケースである。
 すべての事業主は、法人・個人を問わず、前年中に支払った給与について、「給与支払報告書」を作成し、1月1日現在の従業員等の住所地の市町村(東京23区内は各特別区)に提出する義務がある(地方税法317条の6)。
 アルバイト、パート、役員を含め、給与の額の多少にかかわらず、提出しないといけない(違反すると刑事罰がある)。所得税や住民税を源泉徴収するかどうかには関係ない。
 また、公的年金や企業年金を給付する団体は、「公的年金等支払報告書」を同様に市区町村へ提出する。国税当局は、所得税の確定申告書の情報を市区町村へ届ける。市区町村は、そういった情報をもとに住民税の額を決める。
 このデータは「課税にかかる資料」「税情報」などと呼ばれるが、たとえ課税されない額でも、給与や年金の情報は市区町村に入っているわけだ。福祉事務所は少なくとも年1回、本人の申告内容と課税情報を照合する作業をする。今はコンピューターで自動チェックできる。年金機構には別途の照会もしている。
 不正受給の中には、少しのアルバイトやパートで税金もかからないし、役所にはわからないだろう、と安易に考えていたケースが、結構ある。
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2017年05月25日

稼働収入の無申告・過小申告、年金の無申告で8割近くを占める

 不正の内容を見てみよう。15年度の内訳で、一番多いのは稼働収入の無申告で、過小申告と合わせると58.9%になる。次いで各種年金等の無申告が19.0%。これらだけで不正件数の8割近く(77.9%)を占めている。
 生活保護世帯は、すべての収入を福祉事務所へ申告しないといけない。働いて得た収入があるか、年金・福祉給付があるのに、申告しないまま保護費を受け取ると、本来、収入に応じて減額されるはずだった部分が不正受給になるわけだ。
 不正が見つかるきっかけは、照会・調査が89.2%と、大部分を占めている。福祉事務所が生活実態に疑いを持って照会・調査することもあるが、多くは、市区町村が持つ税情報との定期的な照合や、日本年金機構への定期的な照会によるものである。
 これ以上の詳しいデータを厚労省は公表していない。総務省の「 生活保護に関する実態調査 」の結果報告書の中に、12年度の不正受給のデータ分析があるので、それを少し参照しよう。12年度の不正受給は4万1909件。内訳は、稼働収入の無申告46.9%、稼働収入の過小申告10.6%、年金等の無申告20.8%と、15年度とほぼ同様。
 そのうち監査報告書に個別事案が記載された6693件の分析によると、不正額は10万円未満が39.6%。10万円以上20万円未満が15.3%と、少額のものが目立つ。発見のきっかけは課税調査(税情報)が59.7%、実施機関(福祉事務所)が28.6%。とくに稼働収入の無申告・過小申告は、81.8%が課税調査による発見だ。年金等の無申告は48.8%が課税調査、40.5%が実施機関による発見。年齢層や世帯類型で見ると、稼働収入の無申告は60歳未満・母子世帯・その他世帯に目立ち、年金等の無申告は60歳以上・高齢者世帯に目立つ。
posted by GHQ/HOGO at 07:11| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする