2020年04月06日

「働いたら損」の気持が不正受給の温床の1つに

 総務省の『生活保護に関する実態調査 結果報告書』のPDFファイルで「不正の内容別不正受給件数の推移」を見ると、件数での第1位と第2位は「稼働収入の無申告」「稼働収入の過少申告」で、いずれの年も全体の50〜65%を占めている。なお「パチンコで勝ったのに収入申告していない」は、「その他」に含まれているものと考えられるが、表にある6種類の区分のいずれにも当てはまらない「その他」は、全部合わせて10〜15%程度である。
 「制度に問題があるから不正受給は仕方がない」と言う気はない。しかし、就労意欲がある人もない人も、良心的な人もそうでない人も、ありとあらゆる個人の違いを「生活保護だから」に押し込めて制度を設計すること・運用することの非人間性が、不正受給も含めてさまざまな問題を生んでいる。そのように考えるべきではないだろうか。
 では、何らかの事情で生活保護を必要とするようになり、働ける範囲で働こうと決意した人々には、どのような就労が可能なのだろうか。
 まず、生活保護を必要とする状況に陥る人は、小学校中途からの不登校・経済的理由による進学の困難・障害・病気・高齢など、様々なハンディキャップを背負っていることが多い。このため、生活保護を一気に脱却できるほどの就労は、特に子供のいる世帯では困難なことが多い。単身者で「可能な場合がある」という感じだ。
 それでも本人が努力し、周囲の支援もあり、就労が可能になったとしよう。就労収入に対して「収入認定」があり、ひとことで言えば「生活保護よりマシな暮らしは許さない」「働いたら損」となっている。
 この上に、就労することそのものに対しても、様々なハンデが設けられている。もちろん、当初は「就労阻害」という意図で設けられたものではなかったのだろう。しかし現在の運用を『生活保護手帳別冊問答集 2016』で見てみると、「これで……就労促進?」という記述が並ぶ。
 たとえば、「問8-18 収入を得るための必要経費の判断」という項目には、外交員の手土産・商店の歳暮・保育児送迎のための交通費の3つが挙げられており、これらを必要経費と認めてよいかどうかに関する解説がある。
 外交員の手土産・商店の歳暮については、「成績をあげ、収入の増加をもたらす手段として」の必要性も考えられるが、限度や効果の測定が困難なため、必要経費として「一般的には認められない」となっている。
生命保険外交員の卓上カレンダーについては、「必要と認められるものであり、他の外交員との均衡を失しないものである」場合に限り、必要最低限度の実費を認めてよい、ということだ。ここでいう「均衡」とは、いったい何なのだろうか。
 保育児の送迎については、「必要」「真にやむを得ない事情」があれば、最小限度の実費を認めてよいということだ。「残業で遅くなったのでタクシーで」は認められない、ということである。
この他、単身赴任や出稼ぎの場合の帰省に対しては、「就労に伴う必要経費」とは認められるものの、「真に必要な最小限度の回数にとどめるべきである」とされている。子供に対して親であること、親に対して子であることを、生活保護が制約しているかのようだ。
なお、生活保護のもとで働いている場合、15万円の収入があっても2万8000円しか認められない「基礎控除」からのやりくりで、最低でも5000円程度の会費を捻出せざるを得ない。就労すればしたで、最低限度の「おつきあい」に苦労することになる。


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2020年04月05日

「就労モチベーション下がりまくり」 働きたい若者がボヤく矛盾

 生活保護の収入認定の現状、「働いても生活保護以上の生活は許さない」という仕組み、結果として「働いたら損」となっている状況は、実際に就労の意味を疑わせ、あるいは必要なのに生活保護から無理に脱却する状況をつくっている。
 シングルマザーである病気の母親のケアをしながら定時制高校に通い、アルバイトで1ヵ月あたり8万円の収入を得ている10代女性は、「就労意欲下がりまくりですよ」とボヤく。彼女が8万円稼いでも、一家が使える現金は2万1600円しか増えない。
 また、ある一家は、夫妻と高校生〜就学前の5児を合わせた一家7名が生活保護で暮らしていたが、高校生となった長女がアルバイト収入を得るようになり、収入認定され、ほとんどが我がものにならないことに激しい不満を抱いたため、一家で生活保護を辞退することとなった。
 生活保護制度は、生活保護基準という「最低限度」を保障する仕組みである。保護が必要かどうか、どれだけ必要であるかは、収入と生活保護基準の比較によって判断される(資産はないことが前提)。しかし、生活保護基準は、生活保護のもとでの生活の「最高限度」ともなってしまう。どうしてもこのような制度設計でなくてはならないのか、このことが弊害を生み出していないかどうかは、「自分がもしも生活保護で暮らすことになったら」という前提で、「我がこと」として考えるべきではないだろうか。
 一方で解消しなくてはならないのは、生活保護基準が現在あまりにも低すぎることだ。そもそも生活保護基準が低すぎるため、就労によるメリットに若干の手当をしたところで「働いたら損」となる状況は変わらない。また、連動して定められる最低賃金も低く抑えられ、「生活保護の方がマシ」という低賃金・不安定雇用労働者の悲鳴を生み出している。
 生活保護のもとでは、就労による本人のメリットがあまりにも少ない。このことは、不正受給の背景にもなっている。
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2020年04月04日

働いても最低生活しか送れない 生活保護基準は「ガラスの天井」

 生活保護が就労意欲を阻害するかのような仕組みとなっている理由の1つは、生活保護が保障するのは、あくまでも「健康で文化的な最低限度の生活」、すなわち最低生活であるからだ。生活保護のもとで就労して収入を得ることで、最低生活以上の生活が可能になることは、原則的に「まずい」とされているのである。このため、生活保護基準を超える収入は収入認定され、1万5000円を超えると、ほとんどが自分のものにならない。
 収入認定の場面で手元に残るいくばくかの金額も、働いたことに対するインセンティブというわけではない。この金額(基礎控除)は、勤労に伴う必要経費として認められているだけなのだ。
 むろん、生活保護で「1億円のタワーマンションが買えた」「新品の高級外車が買えた」となると、「何のための生活保護」ということにもなるだろう。しかし、「働いたら損」という状況を放置したまま「就労促進を」と言っている現状は、あまりにも問題がありすぎるのではないだろうか。しかも、現状の生活保護基準は、もはや「健康で文化的な最低限度の生活」を保障できているわけではない。
 とにもかくにも、現状の生活保護制度が、収入面で就労促進的になっていないことは間違いない。この状況を変えるためには、何が必要だろうか。
 まずは、「生活保護なんだから、働いても『最低限度の生活』でいてくれないと許せない」、言いかえれば「生活保護を受ける以上は、生活保護なりの生活しか許さない」、もっと端的に言えば「差別させてくれなきゃ困る」という思いを、世間が捨てること。
 さらに、「生活保護で普通の基本的な生活ができる、働いたらもっと可能性が増える」という制度が良いと考え、そのことを制度の形に表わしていくこと。これらが、難しいけれども最も確実な解決方法に見える。
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2020年04月03日

生活保護制度が抱える「働いたら損」の仕組み

 生活保護の原則は、働ける状態ならば働くこと。では、生活保護の仕組みは本当に受給者に就労を促しているだろうか。そこには大きな制度的欠落が見える。
生活保護法の第4条には「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる」とある。「生活保護は怠け者にまでお金をあげる制度」「生活保護があるから甘えて働かなくなる」という意見は根強いし、そう見られても仕方のない実態は一部・少数といえども存在する。しかし最初から、「働ける人は働く」が前提とされている上、就労に向けての助言・指導も行われる。「税金で安心して怠けていられる制度」というわけではない。
 では、生活保護で暮らしている人々が就労し始めたら、暮らし向きはどうなるのだろうか。生活保護で暮らしている人が就労収入を得た場合、そのとき手元に残る収入を比べてみよう。なお就労収入からは、予め社会保険料・所得税・労働組合費・通勤費の実費交通費が差し引かれる。
 単身者の場合、1万5999円までは「就労収入−必要経費=手元に残る収入」となるのだが、それ以上の収入を得ると「収入認定」が行われ、4000円多く稼ぐごとに400円だけ手取りが増える計算となっている。稼げば稼ぐほど、就労によって得た収入のうち自分のものにならない分(収入認定される分)は大きくなってゆき、たとえば10万円の就労収入を得た場合には7万6400円、15万円の就労収入を得た場合には12万1600円にも達する。
 一見、「それだけ稼げるなら生活保護から脱却すればいいじゃないか。簡単に脱却できそうじゃないか」ということになりそうだが、高額の医療費を必要とする家族がいるケースなど、これだけの就労収入があっても生活保護から脱却できない場合はある。
 では、家族が同居し、力を合わせて働けば、働ける人数が増えた分だけ、暮らし向きは楽になるのだろうか。「2人で働いても1人分しか収入が増えない」ということはないものの、働ける世帯員が増えて稼げば稼ぐほど、その世帯は「稼いだら損」になっていく。
 これで「就労促進」と言っても……というのが私の正直な感慨だが、読者の皆さんはどうだろうか。なお、この「手元に残る収入」は、生活保護用語では「基礎控除」と呼ばれ、就労したことに対するインセンティブではない。「就労に伴って増える費用の分くらいは穴埋めします」という趣旨だ。
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ペット販売、少し待って 犬猫は生後8週まで禁止へ

ペットショップなどでの犬や猫の販売を生後56日(8週間)まで原則禁止する改正動物愛護法が成立している。幼いほど衝動買いを誘い、飼主による遺棄につながりやすいためで、改正前から1週間延ばした。
 東京都の女性会社員(38)は2年前、子犬を飼おうとペットショップを見て回った。愛くるしさに心が癒やされ、欲しい気持にかられたが、ショーケースに1匹で過ごす姿に不安が募った。
 「本来なら犬同士で過ごし、力加減を覚える大事な時期。ちゃんと社会性は身についているのか」
 結局、インターネットで知った岡山県のブリーダーから雌の柴犬を購入した。自身はマンションで1人暮らし。不在時は友人やペットシッターに世話を頼む可能性もある。親犬と長く一緒にいたほうが成長後の問題行動が少なくなると聞き、生後12週になってから引き取りに行った。
 欧米では生後8週まで親元で育てるよう法令で制度化している国が多い。一方、犬舎の狭い日本の飼育環境では、成長に伴い子犬が母犬を傷つけるトラブルが起こりやすく、生後30日前後で母犬から離すのが一般的だ。幼いほうがかわいさから売れやすい上、飼育コストを抑えられるという販売者側の都合もある。
 だが、早い時期に親から離された犬は「かみ癖がつく」「すれ違う犬にほえ続ける」といった問題を起こす恐れが指摘されている。飼主が飼育を放棄し、最悪の場合は殺処分に至ることもあるため、規制強化を求める声が動物愛護団体を中心に強まっていた。
 ペットショップも変わりつつある。首都圏で店舗展開するペット販売大手コジマ(東京)は、子犬や子猫の販売について、8週を超えてからの引き渡しを推奨するとの見解を公表、7週ルールに一石を投じた。
 コジマによると、7週では、社会に順応できなかったり、発育が遅れていたりする犬や猫が一定数いるという。母乳由来の抗体が減り始めて免疫的に不安定な時期でもあり、8週までは店舗で世話をし、その後に様子を見ながら引き渡すのが妥当と判断したという。
川畑剛社長は「飼主の意識も年々高まっており、見た目のかわいさで衝動買いする時代ではない。できる範囲で社会化し、問題のない状態で渡すことが販売者責任と考えている」と話す。
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2020年04月02日

生活保護を利用するには収入が最低生活費以下であることが必要

生活保護とは、生活に困っている人がお金をもらえる国のセーフティーネット。生活に困ったときは、誰でも、どこに住んでいても申請が可能である。
 生活保護の利用条件は、あなたの収入が、生活保護基準で定める「最低生活費」以下であることである。住む場所によって「最低生活費」は異なり、例えば、東京23区で単身(年齢:60歳)の方の最低生活基準は約13万円(家賃込み)で、これが地方になると約9.9万円になる。まずは、あなたが住むエリアの「最低生活費」をみておこう。
 あくまでも目安の計算になるが、山吹書店様が無償提供している「生活保護費自動計算ソフト」が役に立つため、山吹書店様のホームページにいくことだ。
 山吹書店様のホームページ yamabuki−syoten.net/page-23
 「生活保護費自動計算ソフト」をダウンロードして、最低生活費を算出してみよう。
 計算の結果、保護の要否判定で「要」となった方は、生活保護を受給できる可能性が高いため、生活保護の申請を始めてみよう。
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2020年04月01日

日本は格差が激しい!

 アメリカの場合、すべての勤労者が納めた年金保険料はすべて一元的に社会保障信託基金にプールされ、保険料の支払総額・期間・年齢が同じなら、基本的に受給額も同じレベルである。むしろ納入保険料の低い低所得者の受給額は、高所得者より納入保険料比率にすれば有利となっている。
 それに対し日本は年金組合が公務員・正社員・それ以外に分かれ、しかもそれが業界や地域によって分かれているので、相互の格差が激しい。もともと日本の年金は、軍人や公務員の恩給から始まっており、国に貢献した者への褒美ではあっても、貧困対策ではなかった。戦争中に軍需産業を中心に正社員に厚生年金が広まり、1961年にそれ以外の層、たとえば農民や自営業者に国民年金が適用されたのである。国民年金では生活できないが、農民や自営業者は老齢になっても働けるし、持ち家で後継ぎ息子が面倒を見てくれる、ということだったようだ。
 また最低賃金は、70年代以降に主婦パートが増えると相対的に低下した。家計補助だから低くても問題ないというわけである。さらに85年の制度改正で、専業主婦でも年収が130万円以下であれば、夫が保険料を納入していれば妻にも厚生年金が適用されることになった。年間130万円以上稼ぐと、配偶者控除がなくなり、保険料を納めなければならない。こうして、最低賃金が低いほうがむしろ好都合な専業主婦層が、政策的に生み出されることになった。
 それに対し、生活保護は占領軍の支持で設けられたものだ。受給額は年金や最低賃金とは関係なく、憲法25条で保障された「健康で文化的な生活」を営める程度に設定された。こうして、全体の制度設計を考えずに制度をつぎはぎした結果、年金<最低賃金<生活保護という図式が成立したわけだ。
 さらに厚生年金組合でも、タクシーや繊維など不振業界では、業界縮小で組合の存続が危ぶまれ、税金の投入でようやく持たせている。こうした不振組合の資金運営が、AIJなどの破綻事件を起こした。
 こうなれば、最低賃金と国民年金を生活保護以上に上げ、専業主婦優遇制度をやめ、各種の年金を一元化するしかない。厚生年金は下がるが、一部の優良組合以外の不振組合はむしろ安定化する。それは識者みなが指摘することなのだが、その方向への「一体改革」は進んでいない。これが解決しない限り、「生活保護問題」は今後も深刻化するだろう。
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2020年03月31日

「生活保護」の受給は悪いか?──政治を考える

近年の「生活保護叩き」の先入観とは異なり、生活保護の支給率が低く、不正受給も少ないことは、多少とも知識のある人は誰でも知っている。日本の生活保護は、1980年代から窓口レベルで受給規制を厳しくしていたため、貧困者に対する受給者の比率(捕捉率)は約2割である。スウェーデンは82%、フランスは91%、ドイツは65%だ。不正受給率は金額ベースで0.38%。受給世帯は高齢者世帯が43%で最多、さらに障害・疾病者世帯が33%、母子世帯が8%である(いずれも2010年の数字)。
 とはいえ受給者は95年の約88万人から、2012年には210万人を超えた。受給世帯も「その他」、つまり稼働年齢で障害者でも母子家庭でもない世帯が急増し、2010年には前年比32%増の16%に至った。「働かない受給者が増えている」という見方も、傾向としては間違ってはいない。
 これに対し貧困対策の運動関係者は、それは景気の悪化のため失業者や貧困者が増加しているためであり、生活保護受給が悪いのではないと主張する。それも正しくはあるのだが、ここで踏まえておくべきなのは、前提としての制度設計である。
 そもそも日本では、最低賃金>年金>生活保護という、社会保障の基本が成立していない。より正確には、公務員や大企業正社員は賃金>年金>生活保護なのだが、その枠外の人間は生活保護>最低賃金>年金なのだ。公務員や正社員が加入する共済年金や厚生年金はたいてい月額20万円ほどになるが、国民年金は満額でも6万円あまりである。前者は自分で納入する以外に、勤務先が保険料を納めてくれるからだ。これで高齢になったら、生活保護に流れ込まないほうがおかしい。雑誌『G2』11号で、アメリカの社会保障専門家は、こうコメントしている。
 「日本で生活保護受給者が増えているのは怠け者が多いからではなく、社会保障制度設計が悪いからです。日本の年金制度は上(高所得者)にやさしく、下(低所得者)に厳しい仕組みになっています。これではどんどん生活保護に行ってしまう」
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2020年03月30日

生活保護はそんなに悪いのか?

 不正受給がクローズアップされがちな「生活保護」。神奈川県小田原市では担当職員が「保護なめんな」とプリントされたジャンパーを着用し問題となった。第三者委員会で検証が始まったが、支援する職員の差別意識が見え隠れする。生活保護はそんなに「悪」なのか。
 ケースワーカーをはじめとする対人援助職は、人の人生や命に関わる重要な職種であり、きわめて高い専門性が必要とされている。
 この専門性に関する国家資格の代表的なものに社会福祉士資格があるが、制度上はケースワーカーになるために必要とされていない。一応、福祉事務所の職員のうち、ケースワーカーとその指導監査を行う査察指導員については、社会福祉主事という資格を取得していることが社会福祉法に規定された条件となっている。
 しかし、社会福祉主事は、指定された30以上の科目のうち3科目の単位を修得して大学を卒業するだけで誰でも取ることのできる資格だ。異動が決まってから研修を受けて取得することもできる。ケースワーカーになるために、一般事務の広範な知識は求めても、対人援助に必要となる高い専門性は求めない仕組みが続いているのが現状だ。
 さらに、社会福祉主事が条件になっているにもかかわらず、この資格の保有率は75%程度であり、25%が無資格で社会福祉法に違反しながら支援をしている。社会福祉主事は社会福祉士と比較しても決して専門的ではない資格なのに、それすら持っていない職員がかなりの数にのぼっている。また、通常1〜3年で異動があるため、専門性は高まらず、十分に知識や技術が継承される機会もない。
 このような状態では、ケースワーカーに人権感覚や多様な福祉の知識・技術を持つことを期待することが不可能であると考えざるを得ない。
 生活保護ケースワーカーも人間であるから、差別意識や偏見を持つことがある。だからこそ、それが悪い作用として表面化しないように自己覚知し続けることが重要なのだ。そのためには、対人援助の訓練を受けた専門性の高い職員を配置し、日々の研修体制を整備するなど組織的な対応を充実させていく必要がある。
 そして、不正受給対策ばかりに取り組むのではなく、生活保護制度が必要であるにもかかわらず生活保護から排除されている人たちの問題に取り組む必要がある。生活保護制度の捕捉率は20%以下であるから、80%以上の人たちが生活保護から排除されたまま劣悪な状況での生活を強いられている。どちらがより重要な問題かは明白だろう。生活保護制度への誤解と偏見を解き、本当に必要な改革を進めていかなければならない。
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2020年03月29日

ケースワーカーによる不正と水際作戦

 不正受給と関連した生活保護に関する誤解で、生活保護は「簡単に受けられる」、だから「不正がはびこっているのだ」というものもある。もちろん生活保護は、誰でも受ける権利がある制度だ。
 しかし現実には、日本は世界的に見ても生活保護を受けることが非常に難しい国になっている。まず、世界でも類を見ないほど厳しく徹底した資産調査を日本では行っている。さらに、窓口のケースワーカーが不当に保護を受けさせないようにする「水際作戦」が横行している。
 たとえば、若い人が福祉事務所の窓口に相談しに行くと、「まずハローワークに行って、仕事がないということを証明してからでなくては生活保護を受けることができません」と追い返されるケースがある。ケースワーカーは生活保護の申請を受けた場合、法律上、拒否することはできない。だから申請させないよう、このような手段をとる。本来は、若くて働けたとしても生活保護を申請することは可能であり、資産や収入が条件を満たしていれば生活保護を受給することができる。
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2020年03月28日

「不正受給」の意味

 生活保護の不正受給件数は、全体の約2%程度であるが、相変わらずもっと多いのではないかと報道されることもある。私はこの約2%程度であるという厚生労働省の報告にも疑いを持っており、本当はさらに相当少ないはずであると考える。
 この不正受給の議論をする際に、私たちは生活保護の不正受給とは何を指すのか、明確にしておかなければならない。生活保護の不正受給とは、福祉事務所が生活保護法第78条に該当したと判断して決定したものである。
第七十八条  不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者があるときは、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の全部又は一部を、その者から徴収することができる。
 ここでいう「不実の申請その他不正な手段により保護を受け」という文言は、本人が故意に福祉事務所を騙すことがないと成立しない。本人に騙す意図があったのか否か、立証責任は処分庁である福祉事務所にある。
 生活保護受給者の多くは、生活保護制度のことを知らなかったり、申告を忘れてしまう場合がある。収入の未申告や報告漏れを故意で意図的に行うことよりも、過失による報告忘れや制度の理解不足が背景にある。ましてや、生活保護を受給している人々の大半は、高齢者や障害者、傷病者であり、生活保護に関する様々な事務作業が1人で十分に処理できるとも限らない。
 そのため、申告も含めた生活支援をすることがケースワーカー(福祉事務所職員)に求められるのである。だから、生活支援をするなかで、未申告の収入が見つかった場合、故意でないと主張しているのであれば、普通に返還を求めればよく、不正受給として扱うには適切ではないケースが大半である。
 この普通返還は生活保護法第63条に規定されている。
第六十三条  被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。
 要するに、生活保護の不正受給(生活保護法第78条)として処理されている多くの部分に疑いを持っている。つまり、不正受給として計上されている案件の多くが、本来普通返還で対応すべきケースであると考えている。
 例えば、受給世帯の高校生がアルバイトをしていた場合、このアルバイトの収入が未申告だと、統計上は不正受給として扱われてしまう。また、年金やその他の社会保障給付の未申告も、同様に不正受給とされる。
 NHKの報道によれば、不正受給の内容は、「働いて得た収入を申告しないまま生活保護費を受け取っていた」が46%、次いで年金を申告しなかったのが19%、働いて得た収入を少なく申告していたのが13%などとなっている。
 このような事案の大半では、担当のケースワーカーが十分にチェックしていなかったため収入を捕捉できていなかったということや、そもそもケースワーカーからの説明不足のために、申告することを知らなかったということが少なくない。当事者の中には、収入があれば当然役所が把握しているものだろうと思っていたために、制度の仕組みとして不正受給に分類される状況に至ってしまったというケースも多い。
 したがって、「不正受給」とされている問題の多くは、利用者の側に問題があるというよりも、ケースワーカーの側に問題がある。ケースワーカーは常に人手不足で、膨大な事務に忙殺されているため、利用者に対して十分な説明をしていなかったり、コミュニケーションをしっかりと取れていないことも多い。このように、「不正受給」の多くは行政の体制が生み出しているにもかかわらず、あたかも生活保護を受ける人たちが不正を働いているという誤解が広がっている。これは、行政による「不正受給」の偽装である。
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2020年03月27日

預貯金の存在が発覚すると受給停止になるケースも―生活保護を受ける上での制限事項

@ 預貯金を持てない
 活保護費として支給されるお金は生活を維持できる最低限の額とされているので、預貯金は支給の目的とは矛盾するもの。そのため預貯金の存在が発覚すると、受給額の減額や受給停止という処分が下されることがある。
A 借金ができない
 借金をすると受給したお金で返済することになり、やはり生活費を賄うだけという本来の用途とは矛盾する。借金がある場合には、自己破産など債務整理手続をしてから申請するのが原則。
B 財産を持てない
 不動産など「プラスの財産」がある場合には、「処分して生活を賄うことができるはず」と考えられるため、生活保護費の受給ができない。ただし住宅ローンの滞納により不動産を任意売却する場合は負債のほうが大きく「マイナスの財産」と見なされるため、受給が可能。自家用車が財産に当たるかどうかはしばしば議論されるポイントだが、地域により判断が分かれる。交通網が発達しておらず、車がないと生活が成り立たない地域では、保有が認められるが、都市部など車なしでも十分生活できるエリアでは認められない。
C 保険に加入できない
 掛け捨ての保険であれば認められるケースもあるが、貯蓄型の保険は財産に当たるため加入できない。また医療費は生活保護費とは別に支給されるので、医療保険に加入する必要性はなくなる。
D 健康保険証を持てない
 医療費は福祉事務所から受け取る医療券で賄うため、健康保険証は返還することになる。受診できる病院は指定された医療機関のみであり、緊急時以外はその他の病院で治療を受けることはできない。
E 居住できる物件に制限がある
 生活保護下では家賃は住宅扶助として別立てで支給される。エリアごとに上限が決まっているため、家賃がそれ以下の物件にしか住むことができない。
F 経済状況を報告する義務がある
 受給額が適正かどうかを確認するため、収入と支出について定期的に報告する義務が課されている。報告を怠ると不正受給と見なされることがある。
G   ケースワーカーの指導に従う義務がある
 生活保護は基本的に自立して生活できるよう支援するための制度。そのためケースワーカーによる就職活動の指導や就職先の紹介などがあり、従うよう義務づけられている。
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2020年03月26日

生活費、引っ越し費用、敷金・・・国がすべて負担!?

 「家賃を支払えるだけの収入がなく、保証人も見つからない」というケースでは、独力で賃貸住宅を借りて住むのは難しいため、生活保護など国の支援を利用しなければならない。
 生活保護の申請が認められれば、生活費のほか、引っ越し費用や敷金、礼金も国が負担してくれる。確実に家賃が徴収できるため、生活保護費受給者の入居を歓迎する大家もいるので、家探しの苦労はなくなる。
 生活保護にはあまりいいイメージがないため、積極的に受けようとする人はほとんどいないが、生活保護は国が定めた国民を守るための制度であり、受給することは国民の権利なのだ。生活再建のために利用することをためらう必要はない。ただし、生活保護を受ける暮らしには通常と異なる制限が課せられるので、事前に確認しておくことが大切。
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2020年03月23日

「一億総中流」は幻想

 高度経済成長が終わって以降の日本において、格差をめぐる階級間の対立で勝利を収め続けてきたのは特権階級の側だった。そしてこの間、日本政府が格差は深刻ではないと言い続けてきたということは、日本政府が特権階級の代弁者であり続けてきたことの、何よりの証拠である。1970年代の終わりには、「一億総中流」という言説が流布し、あたかも格差や貧困の問題は日本からなくなったかのような幻想が振りまかれた。たしかに当時、現在に比べれば日本の格差は小さかったが、中小零細企業や零細な農家には依然として深刻な貧困があった。
そして、1980年代に入ったころには格差は拡大し始めていた。しかし「一億総中流」という幻想のもと、格差拡大は放置され続けた。そればかりか、消費税の導入、高所得層の所得説率の引き下げなど、格差拡大を助長する税制の改変が行なわれた。
 1990年代に入ると、一部の経済学者や社会学者が、格差は拡大していると指摘し始めた。しかし、これらはほとんど無視され、政府は逆に格差拡大を積極的に促進するような政策をとり始めた。財界人を中心とするメンバーで構成された経済戦略会議は、日本の社会は、「行き過ぎた平等社会」だと根拠もなく断じ、富裕層減税と低所得者の増税を提言し、これが実行に移された。
反面、非正規労働者の低賃金と不安定な身分は放置された。そのうえ規制緩和によって、非正規労働者は激増し、巨大なアンダークラスの出現へと至るのである。
 2009年から3年だけ続いた民主党政権が、遅まきながら格差が拡大し、貧困率が上昇しているという事実を認め、対策を取ると明言したこともあり、こうした事実自体は、広く認められるようになった。代わって格差を正当化するイデオロギーとして流布し始めたのが自己責任論、つまり収入が低いのは自己責任だから放っておけばよいとする主張である。いまのところ自己責任論の影響力は強く、これが格差縮小に向けた合意形成の最大の障害になっている。
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2020年03月22日

「格差」は隠蔽されたか?

 格差拡大が話題になり始めたころ、政府、財界、そして一部のマスコミは、躍起になって格差拡大の事実を否定しようとした。
 最初の段階では、都合のいい統計データを示しながら、「格差は拡大していない」と言い張った。いくつもの指標が格差拡大を示していることを否定できなくなると、「格差拡大は見せかけだ」と言いだした。
 OECDが、日本の貧困率は先進国のなかで米国に次いで高いと発表すると、「この貧困率の計算方法は日本にはあてはまらない」などと言い張った。さらに統計的な証拠が集まって、格差が実質的にも拡大していることが否定できなくなると、「格差があるのは当然だ」と開き直った。
 こうして政府が、格差拡大と貧困の増大という事実から目を背け、開き直り、対策を怠っているうちに、日本社会は取り返しがつかないほどに変質してしまった。その結果が、新しい階級社会と巨大な下層階級(アンダークラス=パート主婦を除く非正規労働者たち)の出現である。
 ここから明らかなように、格差は政治的な争点である。しかも、それは階級的な利害と密接な関係にある。人には日本国憲法で認められた生存権と平等権がある。だから生存権を脅かすような貧困の存在が明らかになれば、政府は対策を取らなければならない。
 平等権が侵されるほどに格差が拡大していることが明らかになれば、やはり政府は対策を取らなければならない。しかしそのためには、富を特権階級から下層階級へと移転させなければならない。特権階級の利害は脅かされることになる。
 だから特権階級は、貧困の存在も、また格差拡大の事実も認めたくない。特権階級は、自分たちが恵まれた立場にあることを隠すため、いまの社会では格差が小さいと主張する。そうでなくても、格差は許容範囲であり、縮小させる必要はないと主張する。
 このように貧困が存在するか否か、格差は拡大しているか否かといった、社会に対する認識自体が、階級間の対立の争点なのである。
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2020年03月21日

生活保護は持ち家があっても受給可能! 必要な2つの条件とは?

 生活が困窮してしまったときに、頼みの綱となるのが「生活保護」。しかし、生活保護の申請をするためには、資産の売却や処分を求められるケースがある。そうした資産のなかに、持ち家が含まれるのかどうか気になっている人もいるだろう。そこで、ここでは持ち家を所有したまま、生活保護を受ける方法があるかについて解説していく。
 生活保護は、簡単にいうと「何らかの理由によって生活ができるほどの収入を稼げない人のために、国が生活費を保障する制度」である。どれぐらい生活費を保障してくれるかについては、困窮の程度や世帯の人数などによって異なる。また、生活保護には利用者の生活状況に応じて、いくつかの種類があるのも特徴である。一般的な生活扶助に当たるのは、食費や被服費、光熱費といった「日常生活を送る上で必要な費用」となっている。それ以外には、子供がいる場合に義務教育を受けるための必要な学費を賄う「教育扶助」、介護が必要な人がいる場合の「介護扶助」といった制度がある。
 生活保護は基本的に生活に困窮している人のための制度なので、国民全員がその恩恵を受けられるわけではない。受給条件は主に各市区町村の福祉事務所で厳しく審査され、なかには認められないケースもある。ただし、申請が却下された場合でも再申請をしたり、再審査請求を行ったりできる点は覚えておくといいだろう。生活保護の考え方は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という日本国憲法第25条に規定された生存権の理念に基づいている。
 生活保護を申請するかどうかで悩んでいる人のなかには、「申し訳ない」という気持から躊躇する人もいるが、憲法に規定されている権利なので変にためらう必要はない。本来、不要であるはずの人が申し込んだ場合は却下される仕組みとなっているので、生活保護が必要だと感じたら福祉事務所へ相談してみることだ。ただし、生活保護は一生涯の生活を保障するためのものではない。あくまでも、生活困窮者の自立を手助けするための制度。一時的に生活が困窮したときに利用しつつ、新たな職場を探すなど生活再建へ向けた努力を怠ることのないようにすることだ。
・受給条件1.手持ちのお金がないこと
 生活保護の受給条件の1つ目は「手持ちのお金がないこと」。
 なかには誤解する人もいるが、生活保護の受給条件においては「世帯全員の手持ちのお金がないこと」が条件となる。なぜなら、生活保護はあくまでも生活に困窮している世帯全員が対象となるからだ。受給する場合も、世帯の一部ではなく世帯全員で受け取ることが条件となっている。
 例えば、共働きの両親と成人した子供が同居している場合、成人した子供に手持ちのお金がなくても、一般的に両親が生活費を工面することは難しくはないはず。生活保護の財源も無限にあるわけではないので、このようなケースまで対応できないというのが実情だ。また、そもそも両親には扶養義務もあるので、この事例では生活保護が認められる可能性は低いだろう。
 では、手持ちのお金がどれぐらいなら受給できるかというと、世帯全体の人数や収入および、貯金などの資産が国の定める基準以下であることが基本になっている。ただし、国が定める基準は地域ごとの最低生活費となっており、住んでいる場所によって異なるので、まずは厚生労働省のホームページで確認してみることだ。
 また、生活保護は誰もが受けられるものではなく、「何らかの事情によって収入が少なく、満足な生活ができない人」のための制度だ。そのため、働ける人は能力に応じて働くことが前提となっており、それでも収入が生活最低費よりも低い場合に申請できる仕組みとなっている。つまり、収入や貯金などを合わせても手持ちのお金が少なく、生活に困窮していることが受給のための条件である。
・受給条件2.即時現金化できる資産がないこと
 生活保護を受給する2つ目の条件は「即時現金化できる資産がないこと」。なぜなら、即時現金化できる資産を持っているのであれば、生活に困窮しているとはいえないからだ。例えば、手持ちの現金がない場合でも、生命保険を解約すれば多額の解約金が手に入る状況であれば、しばらくは生活に困ることはない。生活保護の目的は利用者の自立なので、あくまでも一時的な制度。生命保険を解約して生活再建までの時間を稼げると判断されれば、受給できない可能性が高いといえる。貯金や生命保険といった現金化しやすい商品などを所有している場合は、先に見直しておくことだ。
 また、年金や児童扶養手当の対象となる世帯が生活保護を申請するケースもよくある。この場合、年金や児童扶養手当で受給できる金額は収入とみなされて差し引かれるが、生活保護も合わせて受給することは可能。年金や児童扶養手当の対象に該当する人も、生活が苦しくなっている場合は、申請してみることだ。ただし、生活に不要な資産を処分せずにいると受給できない可能性はある。たとえば、住んでいない家や土地、自動車は生活に不要な資産であるとして、売却して生活費に充てることを求められるケースが多い。
 住んでいない家や土地は処分しないと生活保護を受けられる可能性は低くなるが、持ち家の場合は原則的に住みながら受給できる。なぜなら、住んでいない家や土地はすぐに売却することが可能だが、住んでいる家は即時現金化できる資産とはみなされないからだ。また、持ち家がなくなってしまうと、住む場所を失うので生活保護受給者の生活はさらに困窮する。そうした観点からも生活保護の目的からは逸脱してしまうため、原則的に持ち家に住みながらの受給は可能なのである。
 持ち家に住みながら生活保護を受給している世帯は、生活保護の1つである「住宅扶助」を受給しなくてよいので、資産を有効活用しているとみなされるというわけだ。ただし、生活保護を受ける世帯のすべての持ち家が処分しなくてよいと判断されるわけではなく、住み続けられる家にも一定の要件がある。持ち家の処分が求められるのは具体的にどのようなケースなのか。
 結論からいうと、あまりにも豪華な持ち家は処分の対象とされる可能性が高い。具体的には利用価値よりも売却した際の価値が著しく高い場合が該当する。例えば、両親と子供1人の3人家族にもかかわらず、5LDKなどの間取りが多い住宅に住む事例です。持ち家に住むよりも現金化し、3LDKなどの賃貸住宅に住んで残りの資金を生活費に充てたほうが生活の維持に役立つと判断されると、持ち家の処分を求められるケースがある。
 厚生労働省の指針によると、売却検討の目安としては「標準3人世帯の生活扶助基準額と住宅扶助の特別基準額を合わせたおおむね10年分」である。30代および20代の夫婦と4歳の子の3人暮らしが標準3人世帯として想定されている。この場合に持ち家の売却が求められる売却金額の目安はおよそ、2,000万円〜3,000万円である。(※エリア・地域により異なる)
 持ち家を所有していても、住み続けたまま生活保護を受給できるケースは珍しくない。昔に比べると都市部でも住宅価格は下落傾向にあるので、住み続けたまま生活保護を受給できる可能性はそれなりに高い。生活が困窮して生活保護を受けることを検討する際は、慌てて持ち家を処分するのではなく、生活保護をはじめとするさまざまな支援を受けながら生活を再建することを考えることだ。
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2020年03月20日

生活保護法の原理・原則−社会福祉士&精神保健福祉士の共通科目を受けられる方へ

 社会福祉士&精神保健福祉士の共通科目を受けられる方は、合格する上で絶対に理解すべき項目の1つ。では始めよう。生活保護法の原理と原則はそれぞれ4種類あのはご存じだろうか。4つずつの項目を挙げてみてほしい。
 それでは確認である。
・生活保護法の原理…国家責任の原理(第1条)、無差別平等の原理(第2条)、 最低生活の原理(第3条)、保護の補足性の原理(第4条)
・生活保護法の原則…申請保護の原則(第7条)、基準及び程度の原則(第8条)、 必要即応の原則(第9条)、世帯単位の原則(第10条)
 まず、どのような原理・原則があるのか、しっかりとおさえておこう。続いて、生活保護法の原理・原則について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていく。社会福祉士 第26回 問題64を解いてみよう。精神保健福祉士は、第16回 問題64となる。
『生活保護法で規定されている基本原理、原則に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 保護は、個人を単位としてその要否及び程度を定めるものとされている。ただし、これによりがたいときは、世帯を単位として定めることができる。
2 生活保護法により保障される最低限度の生活は、肉体的な生存を維持する程度とされている。
3 保護の申請は、要保護者、その扶養義務者のほか、要保護者の同居の親族がすることができる。
4 保護は、都道府県知事の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度のものとされている。
5 生活保護法は、最低限度の生活を保障するとともに、社会的包摂を助長することを目的とすると定めている。』
 正解の選択肢を選べただろうか。もし、知らない内容が出てきたとしても、問題文を読んで考えてみることが大切。そうすることで、解説をより深く理解することにもつながる。それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていく。
・選択肢1:第10条「世帯単位の原則」の内容。保護は世帯を単位として実施される。
・選択肢2:第3条「最低生活の原理」の内容。最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものとなっている。
・選択肢3:第7条「申請保護の原則」の内容。また、要保護者が急迫した状況にあるときは、申請がなくても保護が行える(職権保護)。合わせて理解しておこう。
・選択肢4:第8条「基準及び程度の原則」の内容。生活保護の基準は、厚生労働大臣によって決定される。
・選択肢5:第1条「国家責任の原理」の内容。生活保護法の目的は、最低限度の生活保障と自立助長の2点である。
 これより、正解は3となる。「問題を解く→解説を読む」を繰り返し、ポイント事項を整理していくことが大切。
 この問題で出題されていない項目も含め、生活保護法の原理・原則のポイントを整理すると、次のようになる。
・生活保護法の原理
 国家責任の原理…生活に困窮する国民の最低生活保障を国がその責任において行う。
 無差別平等の原理…生活に困窮しているかどうかといった、経済的状態にのみ着目。
 最低生活の原理…健康で文化的な最低限度の生活を保障しなければならない。
 保護の補足性の原理…他法・他施策を利用した上で、それでも困窮している場合に行われる。
・生活保護法の原則
 申請保護の原則…申請保護を前提とするが、要保護者が急迫した状況にあるときは、申請がなくても保護を行えるようになっている(職権保護)。
 基準および程度の原則…厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭または物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行う。
 必要即応の原則…要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人または世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効かつ適切に行う。
 世帯単位の原則…保護は、世帯を単位としているが、特別の場合には個人を単位とすることもできる(世帯分離)。
 生活保護法の原理・原則は、国家試験でほぼ毎回出題されている、最重要事項の1つ。 ここでのポイント整理と合わせ、生活保護法の条文を読んで、しっかりと復習することが大切。ここで確実に1点取ろう。
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2020年03月19日

支給日は毎月5日の自治体がほとんど

 生活保護費が支給される日は、ほとんどの自治体が毎月5日となっている。地域によっては1日や3日のところもあるようだが、月初めが基本的な支給日である。
 また生活保護の審査には、最長で14日かかる。申請してもすぐに受給できるわけではないので、注意することだ。生活保護が開始されるまでの生活費がない人は、社会福祉協議会の臨時特例つなぎ資金貸付を利用できる場合もある。
 生活保護を受けるには、収入や資産がなく頼れる身内もいないなどの条件を満たす必要がある。他の公的制度を使っても、生活が苦しい人のみが受給できる制度である。世帯人数や地域によって受給額は変わるが、最低限の生活は保障してもらえることから利用を望む人が多くいる。しかし国からお金をもらうということなので、不正受給は許されない。いまの自分の状況をよく確認して、本当に困ったときに申請することで
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2020年03月18日

最低生活費の計算方法は?

 支給される生活保護費は、基準となる最低生活費の金額に左右される。では、最低生活費は、どのように算出されているのだろうか。
 生活保護には8種類の扶助があるたが、主になるものは生活扶助と住宅扶助である。生活扶助は第1類と、第2類に分けられる。
【第1類】
食費や衣類などの個人的費用
第2類
・水道光熱費などの世帯に共通してかかる費用
 これらに住宅扶助を加算した金額が、だいたいの最低生活費になる。さらに教育扶助や介護、医療扶助に当てはまればそれらも追加される仕組みである。
 生活扶助(第1類)+生活扶助(第2類)+住宅扶助+その他の扶助=最低生活費
 生活扶助第1類は、世帯全員の第1類基準額に逓減率(世帯人数によって割合が異なる)を乗じて計算する。生活扶助も住宅扶助も地域の等級によって異なり、都心ほど高く地方は低く設定されている。
 では、具体的な金額はいくらくらいになるか計算していこう。世帯・地域別の受給金額を計算してみた。世帯人数や地域で、どれくらい金額が変わってくるのか気になるところだが、単身世帯と子供がいる世帯と東京都心部と地方、それぞれのパターンで計算してみたので参考にしてほしい。

1、 東京都23区内に住む単身世帯のAさん
 Aさんは東京都23区内に住む25歳の男性で、アルバイトによる収入は約7万円。東京都23区は1級地-1、その地域の単身の逓減率は1.0%になる。
生活扶助(第1類)
38,430円×1.0%=38,430円
132,930円
生活扶助(第2類)
40,800円
住宅扶助
53,700円
Aさんの最低生活費は132,930円で、そこから収入の7万円を引くと受給金額は62,930円となる。

2、 愛知県犬山市に住む単身高齢者のBさん
 Bさんは愛知県犬山市に住む73歳の女性で、年金等の収入はない。犬山市は地方なので3級地-1となり、単身の逓減率は1.0%。
生活扶助(第1類)
28,540円×1.0%=28,540円
103,860円
生活扶助(第2類)
34,420円
住宅扶助
40,900円
 Bさんは収入がないため、最低生活費の103,860円がそのまま生活保護費となる。

3、 北海道函館市に住む3人世帯のCさん
 Cさんは北海道函館市に住む32歳男性で、同い年の妻と3歳の子供がいる3人家族。体が弱く長時間労働ができないため、毎月の収入は約10万円。函館市は2級地-1で、3人世帯の逓減率は0.8350%になる。
生活扶助(第1類)
34,740円+34,740円+27,090円=96,570円
96,570円×0.8350%=80,640円
189,120円
生活扶助(第2類)
53,480円
住宅扶助
45,000円
児童養育加算
10,000円
 189,120円の最低生活費から収入を引くと、生活費保護費は89,120円。Cさんには3歳の子供がいるため、生活扶助と住宅扶助のほかに児童養育加算が追加されている。児童一人につき、10,000円もらえる加算。また函館市は極寒地のため、冬になると冬季加算も適用される。
以上はあくまで概算である。状況によって適用される加算は異なるので、地域の福祉事務所で確認することだ。
posted by GHQ/HOGO at 06:43| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月17日

生活保護受給者がお金を借りるのは難しい

 生活保護を受けると、ローンを組んだりクレジットカードを契約したりすることができなくなる。法律で禁止されているわけではないが、金融機関の審査に通らないケースがほとんどなのだ。生活保護費は安定した収入とみなされず、借りても返せないだろうと判断される。
 嘘をついてカードローンを契約しても、返済が滞ればブラックリストに載って今後一切お金を借りられなくなる。生活保護受給者でも融資可能だとうたっている業者はヤミ金の可能性が高いため、注意が必要なのだ。
生活保護費はいくらもらえる?
 生活保護費は、どれくらいもらえるのでしょうか。厚生労働省が定める最低生活費から自分の収入を差し引き、その差額分が生活保護費として、支給される仕組みだ。最低生活費が15万円で自分の収入が8万円だとしたら、生活保護費は7万円となる。自分の収入が最低生活費を上回っていたら、受給はできない。
 最低生活費は、世帯人数や年齢、地域の等級によって異なる。妊婦や障害者など状況によっては加算扶助もあるため、1人ひとりもらえる金額は違ってくる。自分の住んでいる地域の等級については、厚生労働省のHPに一覧が載っているので参考にすることだ。この地域の等級が最低生活費を計算するうえで、最も重要になってくる。住んでいる地域の等級を確認することだ。より正確な金額を知りたい人は、自分が住んでいる地域の福祉事務所へいくと教えてくれる。
posted by GHQ/HOGO at 06:31| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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