2019年06月20日

紋切型の「自己責任論」

 格差拡大の事実を認めるか否か。格差拡大を是正すべきと考えるか否か。貧困を自己責任として切り捨てるか否か。これらは、現代日本における階級対立の主要な争点である。
 一方に、格差拡大は事実であり、これは是正される必要があり、貧困は自己責任ではなく社会の問題だと考える立場がある。これは下層階級の、そして下層階級の人々に共感と同情を抱く人々の政治的立場の表明である。
 反対に、格差拡大と深刻ではなく、是正の必要はなく、貧困は自己責任だと切り捨てる立場がある。これは特権階級の人々の、そして格差拡大を放置し拡大させてきた政府や企業を擁護する人々の政治的立場の表明にほかならない。
 さらに重要な争点を1つ付け加えよう。それは、現代の日本社会が階級社会であることを認めるか否かである。
 2015年に全国の1万6000人、2016年に首都圏に住む6000人を対象に行なった調査の結果にもとづいて、現代日本の危機的な状況について論じた『日本の新・階級社会』(講談社現代新書)に示したように、今日の日本は「格差社会」などという生ぬるい言葉で表現すべき段階にはない。
 明らかな「階級社会」、しかも900万人にも及ぶ新しい下層階級(アンダークラス)を底辺におき、これに犠牲を強いる、新しい階級社会だと考えるべきである。
 かつてフランスの社会学者ピエール・ブルデューは、「階級が存在するかしないかということは、政治闘争の主要な争点の1つである」と指摘した。現実には格差や貧困があるに「日本には階級がない」と考えるのは、格差と貧困の深刻さから目を背けることであり、人々の間に対立関係はないと言い張ることにほかならない。
 今日の日本社会が、アンダークラスに苛烈な境遇を押しつける階級社会だという現実を認めることこそが、貧困のない、より平等な実現するための一歩になるだろう。
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2019年06月19日

「一億総中流」は幻想

 高度経済成長が終わって以降の日本において、格差をめぐる階級間の対立で勝利を収め続けてきたのは特権階級の側だった。そしてこの間、日本政府が格差は深刻ではないと言い続けてきたということは、日本政府が特権階級の代弁者であり続けてきたことの、何よりの証拠である。
 1970年代の終わりには、「一億総中流」という言説が流布し、あたかも格差や貧困の問題は日本からなくなったかのような幻想が振りまかれた。たしかに当時、現在に比べれば日本の格差は小さかったが、中小零細企業や零細な農家には依然として深刻な貧困があった。
 そしてまもなく、1980年代に入ったころには格差は拡大し始めていた。しかし「一億総中流」という幻想のもと、格差拡大は放置され続けた。そればかりか、消費税の導入、高所得層の所得説率の引き下げなど、格差拡大を助長する税制の改変が行なわれた。
 1990年代に入ると、一部の経済学者や社会学者が、格差は拡大していると指摘し始めた。しかし、これらはほとんど無視され、政府は逆に格差拡大を積極的に促進するような政策をとり始めた。財界人を中心とするメンバーで構成された経済戦略会議は、日本の社会は、「行き過ぎた平等社会」だと根拠もなく断じ、富裕層減税と低所得者の増税を提言し、これが実行に移された。
 反面、非正規労働者の低賃金と不安定な身分は放置された。そのうえ規制緩和によって、非正規労働者は激増し、巨大なアンダークラスの出現へと至るのである。
 2009年から3年だけ続いた民主党政権が、遅まきながら格差が拡大し、貧困率が上昇しているという事実を認め、対策を取ると明言したこともあり、こうした事実自体は、広く認められるようになった。
 代わって格差を正当化するイデオロギーとして流布し始めたのが自己責任論、つまり収入が低いのは自己責任だから放っておけばよいとする主張である。いまのところ自己責任論の影響力は強く、これが格差縮小に向けた合意形成の最大の障害になっている。
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2019年06月18日

「格差」は隠蔽されたか?

 格差拡大が話題になり始めたころ、政府、財界、そして一部のマスコミは、躍起になって格差拡大の事実を否定しようとした。
 最初の段階では、都合のいい統計データを示しながら、「格差は拡大していない」と言い張った。いくつもの指標が格差拡大を示していることを否定できなくなると、「格差拡大は見せかけだ」と言いだした。
 OECDが、日本の貧困率は先進国のなかで米国に次いで高いと発表すると、「この貧困率の計算方法は日本にはあてはまらない」などと言い張った。さらに統計的な証拠が集まって、格差が実質的にも拡大していることが否定できなくなると、「格差があるのは当然だ」と開き直った。
 こうして政府が、格差拡大と貧困の増大という事実から目を背け、開き直り、対策を怠っているうちに、日本社会は取り返しがつかないほどに変質してしまった。その結果が、前回の記事(平均年収186万円…日本に現れた新たな「下層階級」の実情:これがニッポン「階級社会」だ)で書いた、新しい階級社会と巨大な下層階級(アンダークラス=パート主婦を除く非正規労働者たち)の出現である。
 ここから明らかなように、格差は政治的な争点である。しかも、それは階級的な利害と密接な関係にある。
 人には日本国憲法で認められた生存権と平等権がある。だから生存権を脅かすような貧困の存在が明らかになれば、政府は対策を取らなければならない。
 平等権が侵されるほどに格差が拡大していることが明らかになれば、やはり政府は対策を取らなければならない。しかしそのためには、富を特権階級から下層階級へと移転させなければならない。特権階級の利害は脅かされることになる。
 だから特権階級は、貧困の存在も、また格差拡大の事実も認めたくない。特権階級は、自分たちが恵まれた立場にあることを隠すため、いまの社会では格差が小さいと主張する。そうでなくても、格差は許容範囲であり、縮小させる必要はないと主張する。
 このように貧困が存在するか否か、格差は拡大しているか否かといった、社会に対する認識自体が、階級間の対立の争点なのである。
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2019年06月16日

貧困は「戦略的リスク」である

公的保健制度がきちんと機能し、利用することができたら、基本的な人間の安全保障という大きな安心感をもたらすことができる。そして、貧しい家庭の親も子供も満足できるような無償の国民教育が行われれば、より良い未来への希望という大きな喜びを彼等に与えることができる。貧困を経験したことのない者にはなかなか理解できないが、公的保健制度や公教育がもたらす安心感と希望は、これまでずっとこうした「贅沢」とは無縁だった人々の暮らしに大きな幸福感を与えることができるのである。
その安心感や希望が職権乱用によって踏みにじられていること、そして、多くの場合において貧しい人々の声を政治の場で代弁すべき立場にある者が職権乱用の張本人であることは、南アジアの貧しい人々の知る事実である。保健や教育における悪い統治が問題となっている国々においては、これはもはや偶発的な事件ではない。長年にわたり組織的な不正が行われ、何百万人もの貧しい人々を苦しめ、その裏側で、さまざまな不正行為に絡む金銭の額はますます高くなっている(ある国では、教育担当大臣が交代するたび教科書の値段が1円相当額引上げられることで知られているが、これは選挙活動費用を賄って余りある額である)。いくつかの国々では政党に対する資金提供が日常的に行われるまでに不正が組織化しており、犯罪組織が関係している場合すらある。
 このように、悪い統治が貧しい人々に与える心理的な影響、彼等の不満や怒りは、いかに誇張しても誇張しすぎることはない。すさまじいほど強烈な自主独立の精神を持つ南アジアの貧しい人々についてはなおさらである。
 「開発」の結果、南アジア諸国では、人口の若年化(その多くは失業者)が進み、持てる者と持たざる者の格差が広がり、(テレビやその他の通信手段により)情報の入手が容易くなった。
 こうした要因が重なり合うことによって、貧しい人々の不満と怒りはますます高められる傾向にある。彼等は、罠にはめられ、取り残され、二流市民の烙印を押されたかのような屈辱感と現状を変えることのできない無力感に苛まれているのである。
 何世代にもわたり蔓延し、放置されてきたこの状況が政治的・宗教的過激主義者を生み出す絶好の温床となった。こうして貧困は「戦略的リスク」となった。そして、そのリスクとは国家が財政的又は政治的に混乱するかもしれないリスクなのである。だからこそ、南アジアの思慮深い指導者たちは貧困削減に戦略的に取組んでいる。そして、これがまさしく、全世界が貧困を心配しなければならない理由なのである。国際的なテロ組織を通してなのか、より良い生活を求めて国境を越える移民を通してなのかはさておき、いかなる国の安全保障も一国のみで確保しうるものではなく、他の国々の運命と密接に絡み合っている。
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2019年06月15日

悪い統治の実態

 悪い統治が具体的な問題として表面化したものとして、特に注目すべきものが2つある。貧しい人々の助けとなる代わりに、権力ある者たちをさらに豊かにするための仕掛けと化した公的保健制度と教育制度である。こうした制度における統治の問題は、南アジアの多くの国々において、貧しい人々の最悪の恐怖と唯一の希望を食い物にし、貧困が「戦略的リスク」となる事態を招いている。
 男女を問わず貧しい大人は誰しも、何ものにも増して大きな1つの不安を抱えている。病に倒れ、貧しく粗末な生活すら立ち行かなくなるかも知れないという不安である。日々の畑仕事、あるいは、水汲みや薪、飼料を集めるのに費やす時間(1日平均6〜8時間)を考えると、彼らは病に伏している余裕などない。貧しい家庭の稼ぎ手にとって、病に倒れることは人間としての基本的尊厳を失うこと、つまり、貧困生活から極貧状態に陥ってしまうことを意味する。
 債務不履行による債務労働(現代における奴隷制度)、闇手術による臓器(腎臓、眼球)の売却、売春のための子供の売買、物乞い、犯罪、ときには餓死さえも、彼らにとってはほんの些細な不幸な出来事によって起こりうる紙一重の現実なのである。にもかかわらず、南アジアの多くの国々における公的保健制度は、こうした貧しい人々に救いの手を差し伸べるよりも、官僚や政治家のみならず看護婦や医師までも含む権力者たちをさらに富ませる仕組みになっている例が多い。こうした悪い統治によってもたらされる非道は、たとえば、以下のようなものである。
•病院・診療所の入札および建設における不正(リベート、収賄)
•医療器具、医療車両、医薬、その他の医療用品の調達における不正(リベート、収賄)
•公的医療施設の私的流用(農村部の診療所を穀物倉庫として使用する等)
•公的に調達された医薬品の横領及び売却
•違法な臓器売却(輸出を含む)
•「幽霊医者」(公的医療機関から給与を受け取っているにもかかわらず実際にはその機関で働かず、別の場所で個人開業している医者)
•無断欠勤(農村部の医療機関から都市部の医療機関に転任するために政治家に賄賂を贈る医者)
 貧しい人々も、裕福な人々と同じ希望や願望を抱いている。貧しい大人たちは誰しも、ある1つの切なる願いのために苦難を耐え忍んでいる。自分たちと同じ苦労をしなくていいように、子供たちに教育を受けさせたいという願いである。
 しかし、南アジアの多くの国々では、公教育制度もまた、貧しい人々のたった1つの願いを叶えるより、富める者をさらに富ませる仕組みになっていることが多い。公教育における悪い統治の事例として以下のものが挙げられる。
•学校の入札および建設における不正(リベート、収賄)
•教科書、学校用家具、学校給食、その他の教育用備品の調達における不正(リベート、収賄)
•公立学校施設の私的流用(小学校の校舎を住居または政治活動拠点として使用する等)
•教科書印刷・配布における組織的な贈収賄
•「幽霊教師」(公立学校の教員として給与を受け取っているにもかかわらず実際には教えていない、主に好条件の年金を受け取る目的で教員資格のない者が教員ポストを買い取る等)
•無断欠勤(農村部の学校から都市部の学校に転任するために政治家に賄賂を贈る教師)
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2019年06月14日

貧困をもたらす根本的な原因は「悪い統治」である?

 世界の貧困人口の半数が南アジアに居住しているが、その大部分はこの地域で最も人口の多い3ヵ国、具体的には、バングラディシュ(人口約1億5000万)、インド(約11億)、パキスタン(約1億6100万)に集中している。しかし、貧困そのものの大きさゆえに、貧困問題が日本と日本国民にとって戦略的重要課題となっているわけではない。
 南アジアの多くの地域においては、貧困は何世代にもわたる抑圧と同義であり、おそらく他のどの地域に比べてもその傾向が強い(南アジアの国でこうした傾向および以下に述べる特徴の見られないのは、ブータンとおそらくモルディブの2ヵ国のみである)。ときとして抑圧は、たとえばカースト、人種、宗教に基づく差別がそうであるように、社会的な性格を持つ。こうした社会的抑圧は女性に対して過酷であり、家庭生活や子供の幸せを左右するさまざまな世代間関係に対する影響をもたらしてきた。さらに、地主が君臨する政治構造、あるいは、汚職だらけの役人と不正な選挙によってもたらされる政治的な抑圧もある。
 社会的なものであろうと政治的なものであろうと、貧困をもたらす根本的な原因は、あらゆる種類の悪い統治(bad governance)とこれに伴う職権乱用である。貧しい人々もそう考えている。
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2019年06月12日

貧困はもっと深刻?

 貧困率というデータは、厚生労働省の「国民生活基礎調査」として公表されている。日本の貧困率の最新値は15.6%(相対的貧困率、2015年、熊本県を除く、以下同)。 前回調査の2012年の16.1%に対してわずかだが改善している。
 一方、17歳以下の子供を対象とした「子供の貧困率」は2015年で13.9%。こちらも前回2012年の16.3%よりも大きく改善している。それでも7人に1人の子どもが貧困に陥っている状況だ。1人親世帯(子どもがいる現役世代のうちの大人が1人の世帯)の貧困率も54.6%(2012年)から50.8%(2015年)と改善しているものの半数は超えている。
 日本の貧困率の高さは国際的に見ると、米国(16.8%、2015年、資料OECD、以下同)に次いでG7中ワースト2位。さらに、ひとり親世帯ではOECD加盟国35カ国中ワースト1位になっている。
 貧困率は、収入などから税金や社会保障費などを引いた「等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯員数の平方根で割った数値)」の中央値の半分未満しかない人の割合のこと。等価可処分所得(以下、可処分所得)の中央値は、年間245万円(2015年)。つまり年間122万円未満の可処分所得しかない世帯を相対的貧困層、その割合を貧困率というわけだ。
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2019年06月08日

高齢者世帯の27%が貧困状態

 子供の貧困と並んで深刻なのが、高齢者の貧困だ。65歳以上の「高齢者のいる世帯」の貧困率は27.0%。つまり高齢者世帯の4世帯に1世帯以上が貧困世帯となっている。さらに65歳以上の1人暮らし(単身世帯)の貧困率を見るとさらに深刻さは増す。
 ・男性単身世帯……36.4% ・女性単身世帯……56.2%
 65歳以上といえば、年金生活を送っているのが普通だが、現在の年金給付レベルでは女性が6割近く、男性も4割近い単独世帯が貧困に陥っているのが現実だ。実際に、家計調査年報の2016年度版によると、無職の高齢単身世帯の実収入の平均は月額で12万2000円、年換算で147万円となっている。
 一方、日本の貧困問題は高齢者にとどまらず、いまや全世代の問題になりつつある、というデータもある。
 たとえば、現在40代の可処分所得は60代のそれと同水準になりつつあると言われている。非正規雇用者の増加で40代の平均所得はここ20年で1割減少しており、厚生労働省の「厚生労働白書」や総務省統計局の「全国消費実態調査」などを総合すると、所得の減少傾向は深刻さを増している。
 詳細は省略するが可処分所得で考えると、いまや40代と60代の可処分所得はほぼ同じレベルになっており、30代と70代の可処分所得も近づきつつある。年々、可処分所得が減少し続ける現役世代に対して、豊かな貯蓄を背景に可処分所得を上回る消費支出がリタイア世帯にみられる。
 言い換えれば、今後日本はあらゆる世代の年齢層が貧困にあえぐ時代が来る、と言っても過言ではないのかもしれない。日本の貧困率の高さは、母子家庭と高齢者ばかりがクローズアップされているものの、その実態は「日本国民総貧困化」なのかもしれない。
 まさに「We are the 99%」をスローガンにした「ウォール街を占拠せよ」の抗議運動を象徴するかのような現実が、かつて総中流社会と呼ばれた日本でも、現実のものになりつつある、ということだろう。
 いまや99%に近づきつつある貧困層の問題を解決するには、シングルマザー世帯への救済や高齢者の労働環境整備などが必要になってくるだろう。
 貧困問題は、結局のところ格差社会の問題といえる。大企業、高学歴重視の政策がいずれは社会を混乱させてしまう。貧困問題の解決は、政府が緊急に直面すべき問題なのかもしれない。
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2019年06月07日

親から子へ、子から孫へ

 B 貧困の連鎖
 貧困問題の深刻さは、親から子へ、子から孫へという具合に世代を超えて連鎖していく傾向があることだ。「貧困の連鎖」と呼ばれるものだが、親の経済的困窮が子どもの教育環境や進学状況に大きな影響を及ぼすため、貧困は連鎖しやすい。
 大学既卒者の割合が50%を超え大卒が標準化した現在、大学に行けない世代が生涯賃金などで大きな遅れを取り、結果的に貧困の連鎖につながっている。むろん、業界や企業規模による賃金格差も大きいが、日本は依然として学歴偏重社会と言っていい。
 こうした現実をきちんと把握して対策をとる必要がある。大学進学のために多額の借金を抱えてしまう現在の奨学金制度では、抜本的な改革にはならない。むしろ大学卒業後の行動範囲を狭めてしまう。
 C 累進課税の歪み
 日本の累進課税制度は、一見公平なように見えるが、最も所得の高い勤労世帯と高齢者で所得の低い層とが同じレベルの「税負担率」になっている。税負担率が同じでも、収入が多ければそれだけ家計に及ぼす税負担は軽く済む。低所得の高齢者と金持ちの勤労世帯の税負担率が同じレベルでは、税の累進性は機能していないのと一緒だ。
 今後、消費税率が上昇していくことになるはずだが、母子家庭で貧困にあえぐシングルマザーにとっては消費税だけでも高い税負担になる可能性がある。累進税制をきちんと機能させる税制にシフトすることが早急に求められるわけだ。
 安倍政権が進める働き方改革によって、同一労働同一賃金が実現する可能性が出てきたが、本当にきちんと機能するのか疑問もある。子育てと仕事を両立させるためには、これまでの価値観やルールに縛られていては前に進まない。
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2019年06月06日

1人親世帯の貧困率50.8%!

 貧困問題で注目すべきは2つある。1つは、1人親世帯の貧困率の高さだ。さまざまなメディアでも取り上げられているが、生活保護水準の所得に届かない低所得にあえぐ現状がある。
 もう1つの問題が、高齢者の貧困問題だ。母子家庭の貧困問題が喫緊の課題というなら、高齢者の貧困問題は将来の課題といえる。人口減少、高齢化などによって、政府や年金機構、健保組合などが、現在の給付水準を維持できなくなる可能性が高まっている。
 年金制度の崩壊などによって人口の3分の1を占める高齢者の半数が貧困に陥る可能性もある。人口減少への対応を含めて、早急に考える必要があるだろう。
 いずれにしても、子供の貧困問題は将来の日本に大きな影響をもたらす。7人に1人と言われる子供の貧困問題は教育機会の喪失につながり、将来的に大きな損失になる、と言っていい。どんな背景と原因があるのか。次の4つが考えられる。
 ➀ 労働環境の未整備
 子供が貧困にあえぐ最大の原因は、言うまでもなく親の収入の低さである。1人親世帯の貧困率が50%を超えていることでも、それは明白だ。実際に、母子世帯の非正規社員比率は57.0%(2012年、出所:厚生労働省「ひとり親家庭等の現状について」)、父子世帯12.9%と比較しても、その差は歴然だ。
 日本特有の「ワーキングプア」と呼ばれる労働環境の悪さが背景にある。日本では、母親が1人で子育てに奔走しながら仕事を続ける場合、まず正規社員では雇ってもらえない。パートタイマーやアルバイトによって生計を維持していく必要があり、収入はどんなに働いてもたかが知れている。
 シングルマザーに対して冷たい企業が多く、子供がいても正規社員に採用されている人の割合は4割を超えてはいるが、57%が非正規雇用のままだ。保育園や学校などの煩雑な用事にとらわれ、正規社員のようなフルタイムの仕事はなかなかできない。結局のところ、正規社員と非正規社員の賃金の差が、母子家庭の貧困という形になって表れていると言っていいだろう。母親がどんなに優秀であっても、働く機会を平等に与えない。それが現在の日本企業の問題と言っていい。
 ➁ 公的支援の怠慢
 OECDの発表によると、GDPに占める教育機関への公的支援の割合は、33ヵ国中日本がワースト2位となっている。貧困にあえぐ子供に対する政府支援が十分でないことを物語る数字だ。最後のセーフティネットとも言われる「生活保護制度」も、過剰な財政赤字のせいで圧迫され、簡単には受け入れられない現実がある。
 母子世帯の生活保護制度による「生活扶助費」は、家族構成や地域によっても異なるが月額13万〜14万円程度。貧困層の1人親世帯の所得は年間122万円、月額10万円ちょっとよりもずっと多い。だったら、貧困層に属する1人親世帯は全員が生活保護を受けたほうがいいと考えがちだが、そう簡単には生活保護が受けられない仕組みになっている。
 子供食堂といったその場しのぎの方法では、いまや抜本的な解決にはなっていない。非正規社員の低所得にあえぐ母子家庭に対して、いますぐ公的な支援が必要になると考えていいだろう。
 母子世帯は、約123万8000世帯(「ひとり親家庭等の現状について」より)。そのうちの半数が貧困層とすれば62万世帯。母と子で少なくとも120万人が貧困と戦っている。
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2019年06月05日

貧困はもっと深刻?

 貧困率というデータは、厚生労働省の「国民生活基礎調査」として公表されている。日本の貧困率の最新値は15.6%(相対的貧困率)。 前回調査の16.1%に対してわずかだが改善している。
 一方、17歳以下の子供を対象とした「子どもの貧困率」は2015年で13.9%。こちらも前回2012年の16.3%よりも大きく改善している。それでも7人に1人の子供が貧困に陥っている状況だ。1人親世帯(子供がいる現役世代のうちの大人が1人の世帯)の貧困率も54.6%から50.8%と改善しているものの半数は超えている。
 日本の貧困率の高さは国際的に見ると、米国(16.8%、2015年、資料OECD、以下同)に次いでG7中ワースト2位。さらに、1人親世帯ではOECD加盟国35カ国中ワースト1位になっている。
 貧困率は、収入などから税金や社会保障費などを引いた「等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯員数の平方根で割った数値)」の中央値の半分未満しかない人の割合のこと。等価可処分所得(以下、可処分所得)の中央値は、年間245万円。つまり年間122万円未満の可処分所得しかない世帯を相対的貧困層、その割合を貧困率というわけだ。
 年間122万円といえば、月額にして10万円ちょっと。アベノミクスが始まって以来、デフレ脱却はしていないと言いながらもスーパーの食料品などが以前に比べて高くなったことは事実だ。デフレが続いているとはいえ、月額10万円の生活がどんなに苦しいものかはよくわかる。
 ちなみに、貧困率を決める可処分所得の中央値は、ここ数年245万円程度で推移しているが、20年前の1997年には297万円だった。つまりこの20年の間に 可処分所得の中央値が52万円も下がっているということになる。52万円といえば、月額にして約4万3000円。日本が、この間「失われた20年」と呼ばれた経済低迷期であったことが、こんな数字からもわかる。
 実際に、同調査の「貯蓄」についてみると「貯蓄がない世帯」が全体で14.9%。母子世帯に限ってみると37.6%に増える。「生活が苦しい」と答えた人は全体で56.5%、母子世帯では実に82.7%が「生活が苦しい」と答えている。
 OECD の「学習到達度調査 PISA 2015」では、勉強机や自室、参考書、コンピュータの保有率など13の学用品を国際比較したデータを出している。13個のうち保有数が5個に満たない生徒を「貧困」とみなす仕組みで、日本の貧困生徒の割合は5.2%。やはり、先進国(G7)の中では最も高いレベルに達している。
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2019年06月02日

生活保護で暮らす高齢者の「受け皿」

 無低は「生計困難者のために、無料又は低額な料金で、簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる事業」として社会福祉法に位置づけられている。一方、生活保護法は居宅保護(自宅における生活支援)を原則としており、補助的に救護施設や更生施設などが保護施設として位置づけられている。そうした中で、無低のみが拡大を続けてきた。
 背景として考えられることは、単身高齢者の場合、民間アパートなどを借りようとしても拒否されるケースが多く、保護施設に加え養護老人ホームのような老人福祉施設も不足していることが挙げられる。その中で無低が生活保護で暮らす高齢者の「受け皿」として機能してきた経緯がある。
 もちろん無低の中には、小規模なグループホームの形態で社会福祉士など福祉専門職が中心となり、巡回などを通じて利用者の生活安定に取り組んだり、福祉事務所や医療・福祉サービス事業者と連携し、適切な支援を提供したりする施設もある。
 そうした小規模ながら良質な施設がある一方、拡大が続くのが入所者が多く要介護者も多い「大規模無低」だ。法的規制が少なく設置運営基準が緩いこともあり、1999年に特定非営利活動促進法(NPO法)が成立すると一気に広まった。
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2019年06月01日

生活保護費を搾取する「大規模無低」の正体

 生活保護費の受給者の生活支援をめぐって、大きな問題が浮上している。
 保護受給者数は2018年7月時点で約210万人。2015年3月をピークにその総数は減少に転じている。世帯類型別に見ると、リーマンショック後は若年層などが増えたが、近年は景気回復を受け減少。母子世帯や傷病・障害者世帯なども同様に減少している。
 一方で拡大の一途をたどるのが、高齢者世帯だ。世帯類型別ではすでに5割を超え、受給者のうち全体の47%は65歳以上の高齢者となっている。高齢の保護受給者数は、この20年で約3.4倍に拡大。中でも「高齢単身者」の増加が大きい。
 住居を失った多くの高齢単身者の終の住処(ついのすみか)となっているのが、一時的な居所と位置づけられている社会福祉事業の1つ、「無料低額宿泊所」(無低)だ。
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2019年05月31日

受給者の生活実態

以下は、ある介護業界(主に高齢者対象)で働いていた方の話だ。
 「仕事柄、生活保護受給者を見守る立場にありましたが、高齢者の場合は、年金が少なく生活ができない方や、病気により就労できなくなり、受給に至った方などが多かったです。病気によって障害認定されている方は、加算も付き、受給額がアップします。
 年金や他の所得を合わせても、生活ができず、なおかつ資産がなく、親戚からも協力を得られない方が最後の砦として利用する社会制度が生活保護なのですが、その生活ぶりはさまざまです。
 まず、医療扶助を受けている場合は、医療費も保護からまかなわれます。そのためなのか、少しでも具合が悪いと診察時にDrに訴えて、薬を数多くもらって飲んでいる方をよく見かけます。介護扶助を受けている方は、介護保険でまかなわれる部分は保護費からでますが、一部実費のものもあります。
 例えばデイサービスなどの保険部分は無料で、昼食代は実費、などです。その昼食代が払えないとか高いとサービス利用に至らない方もいます。どちらも、まずは生活保護のケースワーカーへ現状の報告と利用したい旨の相談が必要です。
 在宅生活が難しくなり、施設への入所を検討し始めると、生活保護のケースワーカーとも話合いを行っていきます。勝手に選ぶことはできません。また施設を選ぶ際には、保護費でまかなわれる施設でなければ、入所できません。また、老人保健施設などへの入所であれば、原則個室利用はできません。
 また、お亡くなりになった場合は、葬祭扶助が出る方とそうでない方もいます。保護費を少しでも貯金できていれば、葬祭費にあてたり、住居の後片づけに充てたりします。葬祭扶助以外(住居の後片づけ等)では、亡くなった後に計上できないのが通例です。生活保護は、あくまでも生きている方のための社会保障制度なのです」
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2019年05月30日

申請してももらえないこともあるのか?

 生活保護を希望すると、まず就職できない理由や保護を希望する理由を説明し、貯金や生命保険をかけているかを確認される。貯金に残高があると残金でできる限り生活するようにも言われる。通帳は提出を求められ、紛失していても口座の確認をされるので、残高はすべて把握、確認される。生命保険もかけ金が高い、貯蓄型は解約するように言われる。
 次に親族に金銭援助が可能かを確認するために、住所や氏名を確認され、後日役所から親族に援助が可能かを確認する書類が届く。また家賃にも制限があり、家の間取り等も確認する為に訪問調査もある。細かな確認のやりとりの後、受給可能かを判断される。
 申請後の医療費は無料になるが、事前に通院する病院や薬局を申し出ておく必要がある。定期通院は1度申請していれば良いが、新しい病院への通院時は申請が新たに必要なので、病気や怪我で大変だが忘れないように気をつけないといけない。
 困っているから窓口への相談に行って受給希望をするのだが、優しい対応ではなくたくさん質問され記入事項や調査も多いので、辛い思いを大きくしてしまうことも少なくない。でもそこで面倒だから辛いからと諦めずにしっかりと困っている現状を伝えないと、受給を認めてもらえないので、そこは踏ん張りどころなのだ。
posted by GHQ/HOGO at 06:29| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月29日

生活保護法再改正案成立で福祉事務所の外注は可能か?

 国会に提出された生活保護法再改正案をめぐる動きは、「モリ・カケ」問題、閣僚の失言や省庁幹部のスキャンダルに紛れた形となった。しかし、自民・公明・維新のみが出席した衆議院・厚生労働委員会で可決され、昨年6月に成立した。生活保護基準の引き下げも厚労大臣によって決定された。
 生活保護法再改正には、現在は不正受給の場合に限られている生活保護費からの天引き徴収を、役所側のミスによる不正ではない「受け取り過ぎ」にも拡大する内容が含まれている。これは、免責債権を“なし崩し”に非免責債権化することとイコールだ。この他、近未来の危険な成り行きにつながりそうな改正内容が数多く含まれている。
 ただ1つの明るい話題は、生活保護世帯の高校生が大学などに進学する場合の一時金の給付など、生活保護世帯からの大学進学支援が盛り込まれたことだ。一歩前進ではあるのだが、生活保護のもとでの大学進学が認められるわけではない。生活保護世帯から大学に進学する子供たちの学生生活の苛酷さは、ほんの少し緩和される程度だろう。
 そもそも、生活保護のもとでの大学進学を認めるために法改正を行う必要はない。厚労省の通知一通で済む。明るい話題というよりは、“目くらまし“のようなものに見える。
 総合すると、生活保護法改正案は私にはまるでディストピア小説の筋書きのようにしか見えない。東京都内で数多くの福祉の現場を経験してきたベテラン公務員・Aさん(58歳)は、「福祉事務所の外注化」という可能性を語る。とはいえ、今回の生活保護法の再改正には含まれておらず、現在のところはAさんの豊かな想像力の産物、あるいは妄想かもしれない。もし実現すると、日本はどのような世界になるのだろうか。
「福祉事務所の外注化」という言葉を聞いて、思い浮かべるのは、多くの公立図書館で導入されている「指定管理」だ。東京都杉並区にも、区直営から指定管理へと移行した図書館が多数ある。
 図書館のカウンターにいてほしいのは、司書資格を持ち、プロ意識を持って業務にあたる図書館員たちだろう。もちろん、その図書館員たちの身分は安定していることが望ましいが、「指定管理業者のプロ図書館員か、区職員の素人図書館員か」の究極の選択を迫られれば、多くの人々は前者を選択するのではないだろうか。いずれにしても、業務の質が維持されていれば、利用者にとっては大きな問題はないと言えるのかもしれない。
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2019年05月28日

生活保護の不正受給による返還金は自己破産するとどうなる?

 生活保護費を不正受給し、多額の返還を求められた場合、自己破産することはできるのか。結論からいえば、自己破産で免責になるかどうかは、不正受給の悪質性が問われることになる。
 どういうことかというと、本人の勘違いなどによって結果として不正受給になっていた場合は「返還金」となる。しかし明らかに不正受給を目的としていた場合、悪質性が高いとして「徴収金」になる。
 自己破産では、返還金は免責の対象になるものの、徴収金は非免責債権といって、支払義務が免除されず、免責の対象にならない。
 悪質性の判断は裁判所次第だが、徴収金となった場合、自己破産でも支払義務が免除されない以上、何としてでも支払わなければならない。
 メリットは一切ないので、くれぐれも生活保護の不正受給はしないように…。
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2019年05月27日

生活保護費で借金返済はNG!

 「生活保護を受給している身なのに自己破産して大丈夫…」
 そんな不安をお持ちの人もいるかと思うが、多額の借金を抱えながら生活保護を受給し続けていることのほうが危険である。なぜなら、生活保護で得た収入を借金の支払に当てることは法律で禁止されているからだ。借金が役所にバレてしまうと、注意を受け、さらに続けていると生活保護を打ち切られる可能性もある。
 なので、一刻も早く自己破産をして、借金をなくすことをすすめたい。
また、現在借金を抱えていて、病気や怪我などでこれから生活保護を検討している方も、先に自己破産をして借金をゼロにしてから生活保護の申請することをすすめたい。
posted by GHQ/HOGO at 09:12| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月26日

裁判所への費用も法テラスの利用が可能になるケースも

 一般的には、法テラスを利用できるのは弁護士費用だけで、裁判所への費用は自己負担になる。
 しかし、自己破産の手続が、管財事件となると20万円以上の費用が必要になり、支払が困難になるケースがある。こうした場合、法テラスは、経済的に余裕のない人が法的トラブルにあったときに必要に応じて、費用の立替えを行っている機関なので、近年では法テラスで裁判所への費用も立替えが可能になっている。
 そして、この場合も、手続終了まで生活保護を受け続けていれば、返金は免除される。
posted by GHQ/HOGO at 05:57| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月25日

法テラスを利用すれば弁護士費用が免除に!

 ここで有効活用したいのが、「法テラス」という機関である。法テラスとは、国が設立した司法支援を行う機関で、弁護士費用の立て替えなどを行っている。生活保護費を受給している場合、手続がすべて終了した時点で、なおも生活保護を受給し続ける状態であれば、弁護士費用をすべて免除してもらえる。なので、生活保護受給者が自己破産する場合、法テラスは必須といっても過言ではない。
 ただし、一時的に生活保護を受給する場合(手続終了までに生活保護から抜けられる見込みがある場合)、立替金は法テラスに返金しなければならないので注意しよう。
posted by GHQ/HOGO at 06:41| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする