2019年12月07日

なぜ不平等は民主主義に危険なのか?

 アセモグルとロビンソンによれば、社会的動揺はしばしば不平等の結果にある。そして、エリートと市民の間の不平等が深刻な社会では、社会的変化が生じやすい。社会がより均等になるほど、大衆が民主化を要求する可能性は低くなる。
 深刻な社会の不平等は民主化を要求するため、革命の脅威へと結びつく。そのためエリートは、彼ら自身の利益のために、参政権を拡大することで民主的移行を起こそうとする。この移行は、革命の脅威を抑えて現状を効果的に維持したまま、最終的にエリートの権力基盤を維持することに繋がる。
 しかしエリートは、革命の脅威を逃れるために必要な程度にしか民主化を進めない。大衆の圧力を弱めて、彼らの能力を弱体化させることで、民衆の力を効果的に削ぐことができるためだ。
 民主化とは、公正な手続を通じて声を上げることだ。しかし民主化は、結果の平等を達成することを目的とした資源の再配分を通じて、より大きな平等を達成することを意味すると言えるだろう。
 このように再配分への圧力を抑制することから、経済的平等は民主主義を効果的に促進する。それらは大衆革命の副産物として生まれるかもしれないし、権威主義体制を生み出すこともある。
 民主主義制度における富の不平等な分配は、大衆による再配分の要求と極限まで増大する税金をもたらしていく。だが政治体制が税率についての”民主的な投票”に応答していない場合、何が起こるのだろうか。
 真に民主的な体制は、大衆の利益のために裕福なエリートを引きずり下ろすのではなく、再分配を目的として高い税率を設定するだろう。民主主義では、誰もが中位投票者定理として知られている理論に従って、税率への投票を決定していく。社会における平均所得と中央値の差が拡大することは、不平等の拡大を示している。その格差が大きいほど再分配を求める声は大きくなり、税率が効率的に決定されることとなる。
 しかしながら個人のレベルで考えたとき、富と所得の不均等な分配は、個人が民主的プロセスに参加する能力に悪影響を与える可能性がある。富と所得を持たざる人々が、それらを持つ人々と同じように政治・政策当局にアクセスすることができない結果、手続的不平等が生じていくからだ。
 富の集中が高まるにつれて、エリートは政治や何らかのイデオロギー的な目標を達成するために富を使うことができる、より有利な立場に置かれていく。所得分布の上位に位置する富裕層は、しばしば無節制な権力を有しており、再分配を制限するだけでなく、より多くのリソースを持つ人に有利な形でゲームのルールを形成していく。立法機関が裕福ではない有権者よりも裕福な有権者に対して応答的であることは、さまざまな研究によって明らかになっている。
 不平等、なかでも極端な貧困は、最終的にわれわれから、ある種の自由であるケイパビリティーを奪うことになる。所得分布の底辺にいる個人が貧しいと言えるほど、貧困は個人のケイパビリティを奪っていく。したがってケイパビリティの観点からは、「自身が価値あると判断できる人生を送っているという実質的な自由」をその人が持っているということが、個人の優位性を判断する上で大きな問題である。
 こうした自由は、個人の自律を基礎付けている。より多くのリソースを持つ人は、自らの目標や目的を追求することができるが、それがわずかな人は、自らの目標や目標を追求する能力が限られていることがあるのだ。
 個人の目的や目標を追求する能力は、異なる理由からも民主主義にとって重要である。特にその正統性と権力が人々の同意に由来するような民主主義は、個人が十分に理性的である、すなわち公共の場で討論し、責任ある方法で能力を行使できるという前提を置いている。もし、彼らが合理的な方法で討論できなければ、それが政策議論であろうが代表者の選出であろうが、彼らは実質的に参加していないことになってしまう。
 民主主義は、人々が適切な社会を目指して主体的・能動的に能力を発揮すること(agency)を求めるため、行為主体性(human agency)が守られなければならない。しかしこの行為主体性は、基本的な物質的ニーズが満たされていることを前提としており、富と所得の格差拡大はほとんど想定されていない。
 また民主主義は、人々の間に信頼関係があることを必要とする。しかし所得格差の拡大は、政治的な疎外を経験してシステムが公平でないと感じる底辺の人々を中心として、さまざまな集団の信頼関係を脅かすと言われている。ソーシャルキャピタルは社会を結びつける接着剤であるが、もし個人が経済的・政治的システムを不公平であると感じるならば、その接着剤はうまくいかずに、社会は機能していかないだろう。
 信頼関係のある国民は協調的になる傾向があり、かつ、信頼感を抱いた国民を有する政府は腐敗が少なく、紛争も減り、応答性が高まる傾向が見られる。
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2019年12月06日

生活保護を受ける条件は主に4つ!

 生活保護を受けるには、主に4つの条件がある。まずは「援助してくれる身内や親族がいないこと」、「まったく資産がないこと」。「援助してくれる身内や親族がいないこと」を確認するために、申請後役所から三親等以内の親族に連絡が届く。これが嫌で申請ができない人も多いようだ。
 上の2つを満たしたうえで、「収入が最低生活費を満たしていないこと」をクリアし、「病気やけがその他の事情でやむなく働けない」人は生活保護を受けることができる。さらに、働いていても「最低生活費を満たしていないこと」、「援助してくれる身内や親族がいないこと」、「まったく資産がないこと」の条件を満たしている人は生活保護を受けられる可能性がある。
 生活保護は8種類の扶助で構成されているが、主要なものは3種類。
 ○生活扶助・・・衣類や食費、光熱費などの生活するうえでなくてはならない費用に対する給付。
 ○住宅扶助・・・住宅に関わる費用に対する給付。賃貸物件の賃料などを限度額内で毎月支給。また、持ち家でも引っ越し代や修理費などを必要に応じて支給。
 ○教育扶助・・・小学校・中学校に通う義務教育の子供の学習費や教材費、給食費などを子供の人数に応じて給付。
 それぞれの事情に合わせて、上記の扶助や支給の加算が行われる。
 生活保護には「親族に知られる」、「自由に貯金ができない」、「ケースワーカーに日常生活を指導される」などのデメリットもある。行政からの生活指導がとても厳しく、トラブルになるケースも発生している。また、生活保護を受けることで働く意欲をそがれる人が多いことも問題だ。本当に困っている人の助けとして頼もしい生活保護だが、無計画が原因で生活保護しか道が無い…というのは悲しいことかもしれない。生活保護を受けることがないように、将来を見据えたライフプランニングを意識することだ。しかし、…。

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2019年12月05日

習近平政権と貧困対策

2015年11月29日付けの中国共産党の機関紙『人民日報』によると、同月27日と28日の両日、習近平総書記は、「脱貧困」に向けた重要会議を開いたということになっている。会議で習総書記は「貧困を解消し、庶民の暮らしを守ることは、社会主義の本質的な要求であり、わが党の重要な使命だ」と演説した。
しかし、これは表面的なことで、発展が遅れぎみな22の省と市の幹部に「脱貧困に取り組む責任書」に署名をさせたのだが、政権の維持だけを狙ったものだ。「責任書」には、脱貧困を最優先の課題とすることや、うわべだけを取り繕って中央の予算支援を無駄にしないことなどを誓わせているが、上辺だけである。
 地方幹部に政策の徹底を書面で署名させるのは異例のことで、外交筋は、「反腐敗」に次ぐ政治的キャンペーンになる」と見たが、そのとおりになっている。貧困や格差の解消は大衆の支持を得やすく、党内で異論を差し挟みにくい点で、反腐敗と共通するものである。
 反腐敗キャンペーンは、習政権の基盤固めにつながったが、「脱貧困」の推進は、ケ小平以来の雄改革開放路線が曲がり角に来ていることをも示している。ケ小平による社会主義の大義に縛られず市場経済を導入するというケ小平によるこの現実的な考え方は、「まず一部の人々を豊かにさせ、その後豊かになった者がほかの人々を引き上げて共同富裕を目指す」という先富論として知られた
 習総書記による「脱貧困」政策は、一部の人々を豊かにさせるという段階から、次の「共同富裕」の段階に入ったという認識であるのだが、あくまでもえにかいたもちにすぎない。「共同富裕」を目指すことが、発展優先の現実路線から、社会主義の理念を優先することに傾くことにつながると考えられるからなのであるが、成功はしないだろう。
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2019年11月29日

貧困と紛争・テロとは関係があるのか?

 武力紛争やテロリズムと貧困との関係は複雑だ。今日の紛争の多くが貧困地域で起こっていることは事実である。しかし、貧しいから紛争が起こるのだ、とは言えないのではないか。アフリカには貧しい国が多く、紛争も数多く起こっているのだが、例えばタンザニアやブルキナファソなど、貧しくても大きな紛争を経験していない国はたくさんある。
 貧困がテロリズムの温床になる、という議論もしばしば耳にする。しかし、テロリズムの首謀者は必ずしも貧困層ではないのではないか。2001年の同時多発テロ事件を指導したオサマ・ビン・ラディンがサウジアラビアの裕福な家庭の出身であったことはよく知られている。
 この問題を考えるためには、今日の紛争やテロリズムがどのような性格のものなのかを理解する必要があるのではないか。今日の紛争は、ほとんどの場合国内紛争(内戦)だ。つまり、国家の統治のあり方をめぐって、突き詰めれば誰が国家権力を握るのかをめぐって、紛争が起こる。アフリカで典型的に見られることだが、植民地列強によって恣意的につくられた国家が独立したとき、国民の間には国家を運営していくための共有されたルールが欠如していることが少なくないのだ。そうしたなか、政治指導者の間で国家権力をめぐる争いが起きれば、権力闘争は容易に武力紛争へと発展してしまう。紛争は、国家統治の脆弱性に由来するのである。
 一般にテロリズムという手法が選択されるのは、正規戦では勝ち目がない相手に自分の存在を認めさせ、譲歩を引き出すためだ。今日最も深刻なテロリズムは、アルカーイダなどイスラーム急進主義によるものが多い。この種のテロリズムが伸張した理由も複雑だが、根幹にあるのは不正義の認識ではないだろうか。米国を中心とする国際社会の中東政策やヨーロッパにおける移民の処遇が、結果として多くの人々に不正義だと受け取られてしまったことが、この種のテロリズムの伸張を促したのではないか
 紛争やテロリズムに対処するため、国際社会は軍事、外交、開発という3つの方向から平和構築の政策を講じてきたのは確かだ。政策の手段として、抑止のための軍事力、政治交渉のための外交、そして人々の生活を改善するための開発がいずれも欠かせない。テロリズムをめぐる議論では、相手の暴力に引き摺られて、軍事的、懲罰的な措置に焦点が当たりがちなのだが、外交的な対応はもとより、国家統治のあり方や人々の生活向上、そして不正義と認識される政策の是正など、多面的なアプローチが必要なことを忘れてはならないのではないか。
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2019年11月28日

国民が声を上げなければ事態は変わらず、放置すればますます深刻に!

 「よく言われることですが、日本人は良くも悪くも権利意識が薄いと思います。しかし、教育や福祉の権利は主張することで獲得してきた歴史があるので、声高に主張しないと具現化していかないのではないでしょうか。また、ジェンダーの視点も足りていない。女性の活躍推進イコール眠っている労働力を掘り起こす、という文脈で語られますが、女性の社会進出によって家庭内で行われてきた“無償のケアワーク”、つまり家事や育児の有償化も考えなくてはいけません」
 たとえば、一部の女性は高賃金の管理職として活躍しているが、その背後には公的な保育園やサービスが不可欠となる。しかし、保育園の不足が問題化したように社会のサポートは現実に対応できておらず、結局は個人がお金を使ってベビーシッターなりを雇うことになる。
 さらに言えば、こうした職業はやはり女性が就いている場合が多く、彼女たちの平均的な賃金や労働環境に目を向けると、果たして適正な賃金が支払われているのか、保育士の賃金水準の低さを鑑みると疑問を感じざるを得ない。
 100年単位の長期スパンで歴史を振り返ると貧困問題は、対策を講じずに放置すればどんどん悪化し、格差は広がり続けることが分かっている。豊かな日本はいまや昔で、このまま進めば格差は拡大していく一方だ。
 ちなみに、オックスファムでは7月17日、世界各国の上記3側面の格差対策を評価する「格差縮小コミットメント指数(CRIインデックス)」を発表し、152ヵ国の取り組みランキングを公開した。「こうしたデータも国際的な格差政策の比較の参考にしてほしい」
 政府や行政の不作為を甘んじて受け入れるのではなく、貧困に陥らないための権利を得るために国民1人ひとりが自ら声を上げなければ、取り返しのつかない事態が待っている。
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2019年11月27日

貧困国から脱却するために必要な対策とは?

 イギリスほど貧困地域が明確でなく、社会全体に薄く広がっている日本では、前の費に書いた手法をそのまま導入することは難しいという指摘もある。全国民が平等に、最低限の教育や保障にアクセスする権利を認められるようにならなければ、格差の拡大は止められない。
 国際NGO「オックスファム」の日本事務局次長・森下麻衣子氏は、「日本人は良くも悪くも権利意識が薄い」と言う。しかし教育や福祉の権利は、国民が声を上げていかないことには、充実していかない
 「とくに子供は親の収入によって左右されることなく、教育や社会保障にアクセスできることが大事だと思っています。ただ、現状の日本では、生活保護を受けるための所得制限は厳しい基準に定められています。また、教育へ注がれる公費もOECD諸国の中ではかなり低い水準です」
 また公的資金による貧困対策に欠かせないのが財源の確保。税の再配分を正常に機能させるための対策も急がれる。オックスファムでは、貧困国からの脱却に有効な策として、大きく3つのポイントを掲げている。
 「1つ目はタックスヘイブンへの対策です。所得税を累進的にしていくことも1つの手段だと考えられますが、現状、多国籍企業や富裕層からの税を取りはぐれていることで、税の再分配が機能していないといえるでしょう。さらに法人税も引き下げ競争が進み、日本ももれなく税収が低くなってきています。まずは、ここにテコ入れをすることです」
 2つ目は賃金格差の問題だ。
 「日本では、まだまだジェンダーの格差は大きいですが、正規雇用と非正規雇用の格差などもなくしていくことです。そして、3つ目は公的資金を使って、教育や保健サービスを政府がきちんと提供していくことです」
 ただし、一見有効な対策も、結果的に的外れになるという懸念もあるという。
 「外国企業から投資を呼び込んで地域経済を活性化させるために、日本でも経済特区が設けられています。途上国でも同じような事例はありますが、実際に貧困層の削減につながるかというと必ずしもそうはなりません。誰が経済成長の恩恵を受けているかというと、一部の企業や関係者だけで、もともとその土地に住んでいた人たちは、低賃金の日雇い労働を強いられるなど、悪い雇用条件に苦しむこともあります。さまざまな途上国では実際、こうした取り組みで、逆に地域住民の生活水準が落ちてしまっている。日本も本質的な構造は変わらないのではないかと感じます」
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2019年11月26日

“貧困先進国”の取り組みには何を学べるか?

 日本よりも貧困が進んでいる国、いわゆる「貧困先進国」のさまざまな施策からは何を学べるのか。
 世界における相対的貧困率のワースト国はメキシコ。続いてイスラエル、米国、トルコ、チリ、エストニアとなっている。いわば“貧困先進国”とも言えるこれらの国々は、貧困層への対策や保障をどのように行っているのか。格差が広がり続ける日本にも応用できる取り組みはあるだろうか。
 たとえばメキシコ政府は、質の高い雇用と経済成長を政策に掲げ、教育や医療保険に力を入れる社会福祉国家の確立を目指してきた。また、貧困地域に照準を絞ってインフラ整備も進めている。
 具体的な事例として挙げられるのは、世界に先駆けて貧困層をターゲットにした条件付き現金給付(Conditional Cash Transfers、以下CCT)プログラムである『プログレサ』。厳密な資力調査を行い、本当に支援を必要としている家庭を見極めて受給資格を与えるというもので、子どもの通学や定期健康診断の受診を義務付けることが条件に組み込まれたことも画期的だったと言われる。
 こうした施策の有効性について、世界90ヵ国以上で貧困問題や格差社会の解消に取り組む国際NGO「オックスファム」の日本事務局次長・森下麻衣子氏はこう言う。
 「確かにこうしたメキシコの政策は注目に値しますが、ただし現状では開発が遅れている地域も存在しますし、CCT自体も政策として評価が分かれています。かたやアメリカでは、『機会の平等は認める』が『結果の平等は認めてない』という方向性は変わっていません。そのため、基本的にお金がないと健康・教育・安全を手に入れられないような状態です」
 いずれも抜本的な改革には至っていないようだ。そんな中、貧困対策として話題となったのが、イギリスのブレア政権が1999年から取り組んだ政策だ。「地域再生」「コミュニティのためのニューディール政策(NDC)」を掲げ、住宅整備や教育、就労支援、犯罪対策に関して特に格差の激しい地域に、およそ3400億円を集中投下している。
 なかでも効果的だったとされているのが子供の貧困対策で、貧困の児童数に応じて、学校に補助金を支出する「児童特別補助」や、子供が18歳になってから教育や職業訓練に使うことができる「児童信託基金」、低所得世帯に現金を給付する「タックスクレジット」などの政策を実行。この結果、2005年には貧困世帯の子供は、およそ80万人も減少したという。
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2019年11月25日

生活苦から脱出するためにできることは? 2

 (3) 借金を減らすためにできること(債務整理)
 生活苦から抜け出す目途が立たないくらいの借金を抱えている場合は、債務整理することを勧めたい。債務整理は合法的に借金を整理する制度で、手続が認められれば借金を減額、または全額免除してもらうことができる。債務整理=破産と思いがちだが、自己破産以外にも任意整理、個人再生があり、状況に合わせて適切な制度を選択する。それぞれの制度の特徴は以下の通り。
 @ 任意整理
 任意整理は、債権者と裁判外で個別に交渉し、将来の利息を免除・長期の分割払いを認めてもらう制度。 原則元金のカットはないが、サラ金に毎月利息だけ払っているような返済状況であれば、任意整理をするだけでも随分楽になる。裁判所を介さずに手続できるので費用が安く済み、家族にも内緒で手続することも可能。
 A 個人再生
 個人再生は借金をおよそ1/5程度まで減額可能(債権総額や保有している資産額により変わってくる)で、額の大きい借金を抱えている人に適した制度。手続自体は複雑だが、自己破産のようにマイホームなどの財産を処分する必要が原則としてないので、住宅を守りたい人には特におすすめである。
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2019年11月24日

生活苦から脱出するためにできることは? 1

 生活苦から脱出できることは、支出を減らすこと、収入を増やすこと、借金を減らすことのいずれかだろう。
 (1) 支出を減らすためにできること
 生活苦だと思ったら、現在の生活費の収支の見直しに取り掛かかろう。よくよく見直しをすると、意外に無駄な出費があることに気が付く。交際費や外食代など、削れる支出は極力減らし、お金があれば少しでも貯蓄に回すように心がけよう。
 また、生活が苦しいと言っている人の中には、身の丈に合わない生活をしているケースも少なくありません。 十分な収入がないのにも関わらず、流行りのレストランや高級エステに行き、借金してでも友達と海外旅行に行ってしまうこともあるという。思い当たる節がある場合は、できるだけ生活をシンプルにしよょう。
 とはいえ、節約をするにも限度はあるので、生活の工夫をすることで支出を減らすことを考えるといいかもしれない。 毎月支払をしている携帯代は適正価格か、使えるクーポンや割引券はフル活用しているかなど、生活に関する様々なことを見直してみることすすめたい。
 (2) 収入を増やすためにできること
 収入を増やすためにできることは、第一には正社員を目指すこと。正社員は福利厚生も充実し、病気や失業の際も手当てがでるので安心感が違ってくる。また、年2回支給されるボーナスの存在も大きい。定期的にまとまったお金が入れば生活苦から脱出することも可能である。
 正社員になれない、正社員で働ける状態にない、という場合は、副業をすることを考えよう。 現在はインターネットも発達し、誰でも簡単に副業ができる時代。空いた時間にできる仕事は、介護などの事情がある人にはすすめたい。副業のポイントは、とにかく無理をしないこと。お金がないからと体を壊すような働き方をしたり、夜の仕事に手を出したりすると長続きしない。その後、自分が心身ともに病んでしまう可能性が高く、より深刻な生活苦に陥るリスクがある。
 もし、できる範囲で働いても生活苦であるなら、思い切って親族や行政機関に相談をしてみよう。 病気や失業などで働けない状況にある場合は、生活保護を受給することも可能だ。
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2019年11月23日

日本における生活苦の実情とその原因は?

 かつての日本社会には「一億総中流」という言葉があり、少なくとも高度経済成長期からバブル崩壊までは、「自分が頑張れば中流の生活はできる」と信じられていた。ここで言う中流とは、家や車を持ち、人並みに家族を養い子供の進学もさせられる程度の余裕がある生活である。しかし、その後のバブル崩壊、リーマンショックなどを経て、中流家庭は大幅に減少し、今の日本社会では高所得 or 低所得の二極化が進んでいる。
 厚生労働省の平成28年の「国民生活基礎調査」によると、相対的貧困の状態にある人は全体の15.7%にのぼることが判明。実に日本人の約6人に1人が低所得=下流という実態が浮かび上がった。所得の二極化は低所得者の増加という面が強く、現在「中流」でも、今の社会ではちょっとしたアクシデントをきっかけに、誰もが下流に転落するリスクがある。
 生活苦に陥る原因はさまざまである。いくら計画的に生活していても、生きている以上突発的なトラブルや出費はつきもの。今の日本社会では、以下のきっかけがあれば、いとも簡単に下流に転落してしまう。
 ・リストラ
 特に40~50代になってリストラされると、仕事を選んでいる場合ではなく、待遇は落ちても雇ってくれるところで働くのみとなり、収入大幅ダウンも受け入れざるを得ない。
 ・非正規雇用
 20〜40代で生活苦を感じている人は、非正規雇用が圧倒的多数。正社員と同じだけ働いても賃金は低く、ボーナスや社会保障もない。
 ・病気
  近年特に多いのはうつ病による休職。仕事のストレスでうつ病になり、そのまま退職、資産を使い果たしてしまうパターンだ。
 ・離婚
  特に専業主婦やパートで働いていた女性にとっては、離婚が生活苦への入り口となってしまうケースは少なくない。低賃金のパートやアルバイトしか見つからないことも多々あるだろう。
 ・介護
  介護は先が見えない分、費用の目途が立たないのが特徴。十分な蓄えがある人でも、介護をきっかけに貧困層になってしまうことはよくある話だ。
 ・浪費・ギャンブル
 自己破産するほど困っている人でも、浪費やギャンブルがきっかけというのは全体の10%で意外と割合は低い。しかし、依存症も含まれているので、一概に自己責任とまでは言えない。
 このように、生活苦の原因はさまざまだが、現在の状況から抜け出すにはどうしたらいいのか。
posted by GHQ/HOGO at 06:44| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月20日

日本は格差が激しい!

 アメリカの場合、すべての勤労者が納めた年金保険料はすべて一元的に社会保障信託基金にプールされ、保険料の支払総額・期間・年齢が同じなら、基本的に受給額も同じレベルである。むしろ納入保険料の低い低所得者の受給額は、高所得者より納入保険料比率にすれば有利となっている。
 それに対し日本は年金組合が公務員・正社員・それ以外に分かれ、しかもそれが業界や地域によって分かれているので、相互の格差が激しい。もともと日本の年金は、軍人や公務員の恩給から始まっており、国に貢献した者への褒美ではあっても、貧困対策ではなかった。戦争中に軍需産業を中心に正社員に厚生年金が広まり、1961年にそれ以外の層、たとえば農民や自営業者に国民年金が適用されたのである。国民年金では生活できないが、農民や自営業者は老齢になっても働けるし、持ち家で後継ぎ息子が面倒を見てくれる、ということだったようだ。
 また最低賃金は、70年代以降に主婦パートが増えると相対的に低下した。家計補助だから低くても問題ないというわけである。さらに85年の制度改正で、専業主婦でも年収が130万円以下であれば、夫が保険料を納入していれば妻にも厚生年金が適用されることになった。年間130万円以上稼ぐと、配偶者控除がなくなり、保険料を納めなければならない。こうして、最低賃金が低いほうがむしろ好都合な専業主婦層が、政策的に生み出されることになった。
 それに対し、生活保護は占領軍の支持で設けられたものだ。受給額は年金や最低賃金とは関係なく、憲法25条で保障された「健康で文化的な生活」を営める程度に設定された。こうして、全体の制度設計を考えずに制度をつぎはぎした結果、年金<最低賃金<生活保護という図式が成立したわけだ。
 さらに厚生年金組合でも、タクシーや繊維など不振業界では、業界縮小で組合の存続が危ぶまれ、税金の投入でようやく持たせている。こうした不振組合の資金運営が、AIJなどの破綻事件を起こした。
 こうなれば、最低賃金と国民年金を生活保護以上に上げ、専業主婦優遇制度をやめ、各種の年金を一元化するしかない。厚生年金は下がるが、一部の優良組合以外の不振組合はむしろ安定化する。それは識者みなが指摘することなのだが、その方向への「一体改革」は進んでいない。これが解決しない限り、「生活保護問題」は今後も深刻化するだろう。
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2019年11月19日

「絶対的な最低生活費」から「一般国民との比較」へ

 生活扶助は、食事、衣類、光熱水道費をはじめ、通信費、交通費、教養費、交際費、耐久財の買い替えなどにあてるもの(住宅、教育、医療、介護などは別の扶助)。
 では、その基準をどうやって決めるのか。時代とともに国民の生活水準は変わり、最低限度の生活の水準も変化する。歴史的には、改定方式は以下のように変わってきた。絶対的な最低生活費を算出する方式から、一般国民と比較する相対的な決め方に移ってきたことがうかがえる。
 <生活扶助基準の改定方式の変遷>
【標準生計費方式】(1946〜47年)=当時の経済安定本部が定めた世帯人員別の標準生計費をもとに算出する
【マーケットバスケット方式】(48〜60年)=最低生活に必要な食費、衣類、家具、入浴料といった個々の品目を一つずつ積み上げて算出する
【エンゲル方式】(61〜64年)=必要な栄養量を満たす食品の価格を積み上げる。別に低所得世帯の実態調査からエンゲル係数(食費の割合)を求め、それから逆算して必要な総生活費を算出する
【格差縮小方式】(65〜83年)=一般国民の消費水準の伸び率以上に生活扶助基準を引き上げ、一般世帯と保護世帯の消費水準の格差を縮小させていく
【水準均衡方式】(84年〜)=従来の生活扶助基準が一般国民の消費実態とのバランス上、ほぼ妥当な水準に達していたと見たうえで、一般国民の消費実態や消費の動向を踏まえて調整を図る
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2019年11月18日

働かない受給者が増えている!?

 近年の「生活保護叩き」の先入観とは異なり、生活保護の支給率が低く、不正受給も少ないことは、多少とも知識のある人は誰でも知っている。日本の生活保護は、1980年代から窓口レベルで受給規制を厳しくしていたため、貧困者に対する受給者の比率(捕捉率)は約2割である。スウェーデンは82%、フランスは91%、ドイツは65%だ。不正受給率は金額ベースで0.38%。受給世帯は高齢者世帯が43%で最多、さらに障害・疾病者世帯が33%、母子世帯が8%である(いずれも2010年の数字)。
 とはいえ受給者は95年の約88万人から、2012年には210万人を超えた。受給世帯も「その他」、つまり稼働年齢で障害者でも母子家庭でもない世帯が急増し、2010年には前年比32%増の16%に至った。「働かない受給者が増えている」という見方も、傾向としては間違ってはいない。
 これに対し貧困対策の運動関係者は、それは景気の悪化のため失業者や貧困者が増加しているためであり、生活保護受給が悪いのではないと主張する。それも正しくはあるのだが、ここで踏まえておくべきなのは、前提としての制度設計である。
 そもそも日本では、最低賃金>年金>生活保護という、社会保障の基本が成立していない。より正確には、公務員や大企業正社員は賃金>年金>生活保護なのだが、その枠外の人間は生活保護>最低賃金>年金なのだ。公務員や正社員が加入する共済年金や厚生年金はたいてい月額20万円ほどになるが、国民年金は満額でも6万円あまりである。前者は自分で納入する以外に、勤務先が保険料を納めてくれるからだ。これで高齢になったら、生活保護に流れ込まないほうがおかしい。雑誌『G2』11号で、アメリカの社会保障専門家は、こうコメントしている。
 「日本で生活保護受給者が増えているのは怠け者が多いからではなく、社会保障制度設計が悪いからです。日本の年金制度は上(高所得者)にやさしく、下(低所得者)に厳しい仕組みになっています。これではどんどん生活保護に行ってしまう」
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3分の2は給付ダウン

 制度の見直しによって、生活扶助の基準額が具体的にどう変わるのか。生活保護制度では、物価水準の違いを考慮して市町村ごとに6種類の級地に分けているが、厚労省は、代表として3種類の級地の試算を示している。
 大まかに見ると、大都市部、高齢単身者、子供の多い世帯はもっぱらマイナスになり、地方の郡部、夫婦だけの世帯、子供1人の世帯ではプラスの傾向。それで全体としてダウンするのは、生活保護世帯は大都市圏に多く、しかも高齢単身者が多いからなのだ。厚労省の推計によると、生活扶助額が上がる世帯は26%、変わらない世帯が8%、下がる世帯が67%となっている。
 全体の金額で影響を見ると、3段階の見直しが完了した段階で、生活扶助の本体部分の国負担額は年間でマイナス180億円、子供のいる世帯への加算額の見直しがプラス20億円。差し引きマイナス160億円となっている。18年度予算の概算要求で生活扶助の国負担見込み額は9056億円なので、それと比べると1.8%のダウン。生活保護費の国の負担割合は4分の3だから、実際の生活扶助費の総額は年間213億円のマイナスになる。それだけでなく、基準が下がると保護対象となる世帯が減るので、削減額はさらに大きくなる。
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2019年11月17日

低所得化に合わせて基準を下げてよいのか?

 生活保護の8種類の扶助のうち、主たる生活費である生活扶助の基準の見直しを厚生労働省が昨年12月に決めた。2018年10月から20年10月にかけ、3段階に分けて実施される。
 見直しの影響は、世帯の人数、年齢構成、居住地域によって異なり、今より基準額が増える世帯もあるが、減る世帯のほうがはるかに多く、最大では5%下がる。生活扶助の総額で見ると、1.8%のマイナスである。13年8月から15年4月にかけて平均7.3%(最大10%)の大幅引き下げが行われたのに続くダウンになる。
 なぜ、そうしたのか。簡単に言うと、低所得層(消費支出が最下位10%の世帯)の消費水準に合わせて基準を見直した結果なのだ。国民の生活水準が全般に低下してきた中で、貧しい層の動向に合わせるというやり方で、「健康で文化的な最低限度の生活」は守られるのだろうか。
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2019年11月16日

生活保護 「水際作戦」許されない 参院決算委 共産党議員が調査要求

 日本共産党の議員が参院決算委員会で、「水際作戦」など行政の不適切な対応により、生活保護の申請を認めない「申請権の侵害」が横行している問題について質問した。生活保護費全体に占める不正受給の割合がわずか0.5%程度であることを確認し、「保護を必要とする人が利用できなくなるような運用は正していかなければならない」と迫った。
 議員は、大阪府枚方市で2011年に明らかになった不正受給184件のうち収入の無申告・過少申告が103件あり、そのうち高校生のアルバイトの無申告が4分の1にあたる27件だったことを紹介。「高校生自身がアルバイトをしていることを親に黙っており、世帯主が知らなかったということや、そもそも高校生のアルバイト収入を申告しなければならないことを知らなかったという人も少なくない」と指摘し、ケースワーカーの人員を増やし、個々の実態に即して柔軟に対応するよう求めた。
 議員は、京都府舞鶴市に住む50代の男性が、生活保護の申請のため3度も市役所に出向き、申請の意思を明確にしたにもかかわらず、市側が申請させなかった事例を提示。同市が面接相談記録に申請意思確認欄を設けていなかったことを指摘し、「水際作戦」を許さないためにも各地の実態を調査し、確認欄の設置を徹底させるよう求めた。
 田村憲久厚労相は「相談に来られた方が保護の適用にならない場合もある」として、本人の意思を確認する前に、保護の要件などの説明を徹底させる考えを示した。では具体的に保護の適応にならない場合とはどんな場合なのか。この辺りがいつも曖昧である。
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2019年11月15日

増する貧困高齢者と生活保護費の簡易推計

 財政が担う機能の1つに「所得再分配」機能があるが、財政が破綻すれば、この最も重要な「所得再分配」機能が著しく低下してしまうことになる。憲法25条では、「(1)すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 (2)国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とし、最低限のセーフティーネットとして生活保護を張っているが、そのときの急激な歳出削減などで最も被害を受けるのは、このような生活保護を受けている「弱い立場」の国民(その両親をもつ子供も含む)であろう。そのような事態にけっして陥らないよう、最悪の状況も想定しつつ、いまから社会保障・税一体改革をしっかり進めて、財政を再建しておく必要がある。
 一般的に「生活保護」というと、他人事のように思われがちだが、データを精査すると、貧困高齢者等が急増している。例えば厚労省「被保護者調査」によると、2015年において、65歳以上の高齢者は約3380万人いたが、そのうち2.9%の約97万人が生活保護の受給者である。すなわち、100人の高齢者のうち3人が生活保護を受ける貧困高齢者である。1996年では、約1900万人の高齢者のうち、1.5%の約29万人しか生活保護を受給していなかったので、貧困高齢者は毎年3.5万人の勢いで増え、20年間で約70万人も増加したことを意味する。
 高齢者の貧困化が進んでいる背景には、低年金・無年金が関係していることは明らかだが、50歳代の約5割が年金未納であり、今後も増加する可能性が高い。
 では、今後、貧困高齢者はどう推移するのか。正確な予測は難しいため、一定の前提を置き、簡易推計を行ってみよう。まず一つは「高リスクケース」である。65歳以上高齢者の「保護率」(65歳以上人口のうち生活保護の受給者が占める割合)は、1996年の1.5%から2015年で2.9%に上昇しており、その上昇トレンドが今後も継続するというケースである。
 もう1つのケースは「低リスクケース」で、65歳以上高齢者の「保護率」が2015年の値と変わらずに一定で推移するというケースである。
 以上の前提の下で、国立社会保障・人口問題研究所の「将来人口推計」(平成29年推計、出生中位・死亡中位)を利用し、65歳以上の被保護人員(生活保護を受給する高齢者)の予測したものが、上記の図1「貧困高齢者数の予測と生活保護費の簡易推計」である。
 低リスクケースでは、65歳以上の被保護人員は、2015年の約97万人から2050年に約110万人に微増するだけだが、高リスクケースでは2048年に200万人を突破し、2065年には215万人にも急増する。2065年の65歳以上人口は約3380万人であるから、215万人は6.4%で、100人の高齢者のうち6人が生活保護を受けている状況を意味する。
 しかも、現実はもっと厳しい可能性もある。現在、現役世代の3人に1人は非正規労働者であり、65歳未満の「保護率」(65歳未満人口のうち生活保護の受給者が占める割合)についても、1996年の0.5%から2015年で1.2%に上昇している。このため、65歳以上の高齢者と同様、65歳未満についても2つのケースが考えられる。
 まず1つは「高リスクケース」で、65歳未満の保護率の上昇トレンドが今後も継続するケースである。もう1つは「低リスクケース」で、65歳未満の「保護率」が2015年の値と変わらずに一定で推移するケースである。このうち、高リスクケースでは、2015年の約115万人であった「64歳未満の被保護人員」は、2030年に150万人を突破し、2065年には176万人にも急増する。2065年の64歳未満人口は約5400万人であるから、176万人は3%で、100人の64歳未満人口のうち3人が生活保護を受けている状況を意味する。
 では、生活保護費はどう推移するか。2017年度における生活保護費の総額は約3.8兆円で、約214万人が生活保護を受給している。1人当たり平均の生活保護受給額(名目)が一定で変わらないという前提の下、既述の「高リスクケース」と「低リスクケース」で生活保護費の総額を簡易推計したものでは、低リスクケースでは2025年頃までは概ね4兆円弱であるものの、それ以降では緩やかに減少し、2065年には2.9兆円になる。だが、高リスクケースでは、2029年に5兆円を突破し、2067年には6.7兆円にまで増加する。
 なお、この簡易推計は、年金のマクロ経済スライドの影響は一切考慮していない。年金のマクロ経済スライドは、2015年度に一度しか発動されていないが、これが継続的に発動されれば、低年金の高齢者が増加する可能性がある。年金のマクロ経済スライドは年金財政の持続可能性を高めるために必要な措置で早急に実施することが望ましいが、将来の年金分布を予測しながら、年金制度・生活保護との役割分担やその財源のあり方を含め、社会保障改革の「哲学」を再検討する必要はないだろうか。
 その上で、財政の再建をしっかり進める必要がある。財政再建の本当の目的は、財政の持続可能性のためにあるのではなく、本当に困った将来の人々を救済できる余力を残すことこそにある。
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2019年11月14日

貧困層の拡大―格差広げる所得再分配

 日本で貧困といえば、1980年代は高齢者の問題だったが、今は子供の貧困が深刻だ。背景の1つに、親世代の雇用環境の悪化がある。15〜24歳の非正規労働者の割合は90年は男女とも2割だったが、2010年は男性の4割、女性の5割に上っている。新卒者がなかなか正社員になれていない。90年代半ばから政府が進めた規制緩和で、非正規労働者が増加したことが原因だ。
 さらに「非正規=低賃金」という日本固有の構図がある。他の先進国は同じ仕事ならば正規、非正規の時間給の差は15%程度だが、日本は30〜40%。しかも、日本の最低賃金は時給798円(2016年度の平均)で、主な先進国19ヵ国で最低レベルだ。
 この原因は「男が外で稼ぎ、女は家を守る」という性別役割分業を基にした制度設計にある。
 女性の労働に「103万円の壁」を作り出した配偶者控除や、「130万円の壁」を設けた年金の第3号被保険者制度や健康保険制度が、「働くのは損」と労働参加をゆがめ、家計補助のパートで良しとし、女性の低賃金労働を許す要因となっている。「1人親の8割が働いているのに、5割が貧困」という理不尽を生む要因となっている。
 もう1つ、本来は高所得層から税や社会保険料を取り、年金や手当、生活保護などの社会保障給付で低所得層に還元する「所得再分配」が、逆に貧困の拡大を招いている現実がある。
 政府による所得再分配の前と後で、貧困率がどれくらい下がったかを示す「貧困削減率」という指標がある。経済協力開発機構(OECD)の09年の分析では、各国は再分配後に貧困率を20〜80%削減しているが、日本だけが唯一、共働き世帯や1人親世帯で、貧困率を8%増加させていた。
 所得再分配が正常に機能していないのは、高所得層に優しく、低所得層に厳しい税制が大きな原因だ。80年代は70%だった所得税の最高税率を40%前後まで下げた。90年代後半から法人税も繰り返し下げ、年間10兆〜20兆円規模の税収を放棄する一方で、消費税や社会保険料の引き上げで低所得者に負担を強いてきた。日本はOECD諸国の中で、税の累進性が最低レベルだ。
 こうして見ると、子供の貧困は政府がつくり出してきたと言える。
 正規、非正規労働者の賃金格差をなくすため、「同一価値労働同一賃金」の原則を徹底し、最低賃金を上げる。配偶者控除のような高所得層を優遇する制度は撤廃する。所得税の最高税率を引き上げる。子供の貧困を解決するため、政府が取るべきはこうした政策だ。
 経済協力開発機構(OECD)の調査では、働いている1人親の相対的貧困率は日本が突出して高く、約60%。子供の貧困率が日本より高い米国でも約35%で、デンマークなどの北欧諸国は3〜5%だ。1人で家計を支える親の賃金の低さや支援の乏しさを物語る。
 所得再分配政策が正常に機能しているかどうかを示す「子供の貧困削減率」は主要18ヵ国中、日本は唯一のマイナス。1980年代から一貫して再分配後に貧困率が上がっている。イタリアなども80年代はマイナスだったが、プラスに改善した。
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2019年11月13日

日本人の貧困化―その背景と政治的意味を考える―

 最近の日本社会の生活実態を表す言葉に、「子供の貧困」と「下流老人」がある。いずれも、日本社会の貧困を象徴する言葉だ。これらの言葉は、日本社会が本当のところ、豊かどころか貧しいのではないか、という状態を示唆している。とりわけ、子供も老人も貧困ということであれば、人生の始めと終わりの部分に貧困が蔓延しているということになる。しかし、貧困は世代を超えて現代日本の深刻な問題の1つなのである。
 マスメディアなどでは、今年の企業は巨額の利益を計上している、あるいは株価が上昇していると囃し立てていますが、それが国民一般の生活実態を反映しているとはとうてい思えない。それが証拠に、下の表から分かるように、生活保護受給者数と生活保護世帯数はピーク時(1990年)が底で、最近ではその2倍以上に達しているのだ。
              生活保護受給者数   生活保護世帯数
1970(昭和45年)          1,344,306      658,277
1990(平成2年)          1,014,842      623,755
2014(平成26年2月)        2,166,381     1,598,818
2015(平成27年7月 推計)     2,168,000     1,625,000
出所
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/051604.pdf (2015.4.10参照)  第17回社会保障審議会生活保護基準部会 平成26年5月16日
 つまり、自力で生活できない貧困層が確実に増えつつあることを示している。「アベノミクス」で経済が好調なはずなのに、なぜなのか。まず、企業業績がいいといっても、それは一部上場の大企業、とりわけ輸出中心の企業のことで、それらの企業でさえ、得た利益を労働者の賃金の上昇に向けるのではなく、内部留保としてため込んでしまっているのだ。
 ところが、企業は増益分をせっせと内部留保し、今ではその額は300兆円をはるかに超える額に達している。 大企業による内部留保資金はしばしば、富裕層の増加を見込む東南アジアの企業買収などに向けられているようだ。しかし、中小企業は、まったく別で、円安政策の影響もあって、原材料費の高騰が経営を圧迫している。 東京商工リサーチの調べでは、赤字率(22.5)も減益企業率(45.5%)も上昇しており、経営の苦しさを表している。
  安倍晋三首相は、「戦後最大の経済と国民生活の豊かさ」を掲げ、「アベノミクス」を導入した。 内閣府の試算によると、政権が掲げる「名目3%、実質2%以上の高成長」を続けると、20年度に名目GDPが594兆円に達するという。ここ20年、日本の名目成長率が3%を超えた年は一度もない。それどころか、せいぜい潜在成長率が1%未満といわれる今の日本では、きわめて高い目標で、多くのエコノミストは、上記の目標はまったく非現実的だ。アベノミクスは企業を強くしたが、その恩恵が家計までは届かず、逆に円安による物価高が家計に負担になっているのだ。
  一時盛んに宣伝された、大企業の業績が向上すれば、やがて広く国民全体に滴り落ちるという「トリクルダウン」は起きていない。この大きな理由は、相対的に賃金が低い非正社員(派遣社員、契約社員、嘱託、パート、アルバイトなど)の増加に歯止めがかからないからだ。 首相は会見で「アベノミクスで雇用は100万人以上増えた」と胸を張ったものの、政権発足前の12年春からの3年間で、正社員は56万人減る一方、 非正社員は178万人も増えたのだ。 収入も減少している。民間の平均給与は、ピーク時の1997年の467万円から、2013年には63万円も減少し、令和1年には100万円近く減少したのだ。しかも、正社員と非正規との賃金格差は非常に大きく、国税庁の調べでは、2014年の実績で、正規社員の平均年収に対して非正規(派遣を含む)社員は3分の1ほどである。
  非正規雇用の場合、退職金はほとんどなく、厚生年金、健康保険、雇用保険などの面でも非常に不利な状況だ。 改正労働者派遣法とならんで、労働者を解雇し、裁判で会社側が敗訴しても解決金によって解雇できる制度や、いわゆる「残業ゼロ法案」を目論む政府と企業は、一般の労働者の地位を不安定化させ、所得水準を下げようとしているとさえ見える。この傾向は、今後もさらに進んでゆくと思われる。というのも、改正労働者派遣法の施行で、企業は働く人を代えれば派遣社員をずっと受け入れられるようになるため、正社員を派遣に置き換える動きが加速すると考えられるからだ。
 こうした、労働者に対する不利な条件が次々と押し付けられる一方で、企業に対する法人税の実効税率は現在、34・62%(標準税率)ですが、段階的に20%台に引き下げる。 税率の引き下げで税収が減る分は、ため込んだ内部留保からではなく、赤字の企業でも事業規模などに応じてかかる「外形標準課税」を強化するなどして、段階的に穴埋めする、としている。この措置で、大きな影響を受けるのは、赤字を抱える多くの中小企業と、そこで働く労働者だ。安倍内閣は、大スポンサーである経団連に加盟する大企業を優遇し、中小企業や一般の労働者には非常に過酷な負担を強いている。その上、政府は貧しい人からも消費税を10%に引き上げたのだ。
 これに対して、いわゆる「軽減税率」の適用範囲を酒や外食を除くすべての食料品に適用する案が浮上していますが、これは実に国民をバカにした話だ。かつて日本人は「一億総中流」と言われたが、近年は、ごく一部の恵まれた人たちを除いて、中流から下方へと転落する人が増えている。生活保護受給者とその世帯の増加は、このことをはっきりと示している。この点について内橋克人氏は、実に鋭い指摘をしている。つまり、彼は安倍政権の本質は貧困層を広げる点にあるのではないか、と疑っている。というのも、国民が日々の生活に困窮すればするほど、深く政治や経済政策について考える余裕がなくなり、政府にとって組みしやすくなるからだ。 実際、格差や貧困を助長すらしている現政権の支持率は、依然として高い水準を保っている。その秘密にたいして内橋氏は次のような鋭い分析を加えています。
 「長きにわたる経済の停滞により、ただでさえ貧困層は増えている。そうした中で、株価などうわべの数字を信じ込む人が多くなっているのではないか。また『不安を持つとお上を頼る』という日本人の国民性も影響している。アベノミクスが、一般の国民を豊かにする可能性が、現実問題として非常に少ないことは、これまでみた通りです。むしろ格差は広がり貧困が浸透していることの方が事実に近いと思われます。しかし、日本人には、貧しくなればなるほど、将来の生活に不安を持てば持つほど、政府に対する批判的な姿勢は薄れ、少しでも経済が良くなるような幻想を与える言葉を信じたがる傾向にある」というのが内橋氏の主張だ。
 アベノミクスの失敗、したがって貧困の浸透は、憲法改正や集団的自衛権の行使などに対する批判を弱める可能性がある。この意味では、アベノミクスの経済的失敗は、政治的には安倍政権の思い通りということになる。 安倍政権が、政治的野心を達成するために、意図的に経済的な失敗を画策したとは思いたくないが、結果的には、そのシナリオに沿って物事が進行し ているのではないか。
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2019年11月11日

一人親世帯の貧困率は50%で世界トップクラス

全世帯の格差・貧困率の動向を見てきたが、ここでは世代別の貧困の課題を見てみよう。まず子供の格差・貧困であるが、これは大人の貧困率の上昇とともに上昇傾向にある。日本の子どもの貧困率は16%であり、先進国でも上位にある。また特に一人親世帯の貧困率は50%であり、先進国でもトップクラスになっている。こうした貧困が子供に与える影響については、教育水準、健康面で明らかにされている。
教育面については、親の所得階層によって基礎科目の成績で差がでていることや、大学などのへ進学率に差がでていることにより、所得格差と学力、進学機会の格差の関係が明らかになっている。またさまざまなデータが子供の貧困と貧困の世代間連鎖を明らかにしている。たとえば、少年院における貧困世帯の出身者の率の高さ、生活保護受給世帯出身の子どもが成人後、自らも生活保護受給になる確率が高いこと、養護施設出身の子供が成人後に生活保護を受ける割合も高いことなどが明らかにされている。
次に若年者・現役世代の格差・貧困を見てみよう。90年代半ばから非正規雇用が拡大し、特に不本意ながら非正規労働者にならざるを得ないという若い世代の増加は、格差・貧困率の上昇、未婚率の上昇の重要な原因になっている。また学校、進学、就職・転職の失敗などをきっかけとする若い世代の引きこもりの増加が大きな問題になっている。
高齢者の格差・貧困の主要因は、低い年金や無年金である。被用者は厚生年金、非被用者(自営業、無職、非正規労働者)は国民年金と加入する年金が分立している日本では、国民年金(基礎年金)のみの高齢者は850万人程度おり、その平均年金額 (月額) は5.5万円であり、生活扶助基準を大きく下回る。また2015年度から初めてスタートしたマクロ経済スライドによって、基礎年金の実質水準は今後30年間にわたり約30%程度低下するとされている。今後の高齢者数の増大も考慮すると、膨大な貧困高齢者が発生する可能性もある。
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