2019年12月20日

「退職後の高齢者」へ偏る支出構造

 その理由は、日本の社会保障支出が年金や高齢者医療など高齢者向けの支出に偏ってきたこと、そして急速に進む高齢化が、こうした支出構造と連動して社会保障支出を押し上げているからである。たとえば日本では高齢者向けの現金給付がGDP比で8.8%で、OECD平均の6.9%を大きく上回る。高齢者向けの支出といっても、正確にはかつて安定し仕事に就き社会保険に加入していた「退職後の高齢者」への支出(年金の公的負担や医療費)であるので、受給資格を欠いた高齢者の貧困もすすむのであるが。
 その一方で現役世代について言えば、雇用が不安定化し非正規雇用が拡大するにもかかわらず、保育サービスや公共職業訓練など現役世代向けの支援が弱いために、経済的困窮に陥る人々が増えている。保育など家族向けのサービス・現金給付のGDP比は、日本では1.4%で、OECD平均の2.2%に及ばない。現役世代は、高齢者向けの社会保障支出の負担ばかりを負うことになっているのである。
 社会保障支出を拡大しても、貧困や格差が拡がっているとすれば、日本型福祉国家の未来は暗いのだろうか。もちろん楽観は許されない。だが、もはや万事休すというわけでもない。日本型福祉国家のかたちを振り返ると、西欧の福祉国家とは異なって雇用保障を優先するという特徴があった。そしてこの特質を、21世紀の新しい環境のもとで蘇らせることも可能なのである。
posted by GHQ/HOGO at 06:19| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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