2019年08月15日

政治の不在が貧困を生み出す

 安倍総理も麻生財務大臣も、黒田日銀総裁も誰も口にしないし、口にしてはならないのだが、金融緩和から需要創出に結びつくと「見込まれる」ルートは、「円安により、日本の実質輸出が増える」だったはずなのだ。無論、日本のような大国が、「円の為替レートを引き下げるために、量的緩和を拡大する」などと、エゴイスティックな政策をやるわけにはいかない。あるいは、やっていることを認めてはならないのだ。
 金融政策拡大の目的は、あくまで「デフレ脱却」であり、結果的に円安になったとしても、それは「副次的な効果」に過ぎないというスタイルだったわけだ。
 2013年春以降、大幅に円安が進んだわけだが、日本政府や日銀は「為替レート引き下げのためにやっているのではない。デフレ脱却が目的で量的緩和を拡大している」と、説明していたわけだ。問題は、円安になった結果、需要が増えたのか、という点になる。
 円安は外国でドルなどの外貨を稼ぐ大企業の「日本円建ての収益」の見た目を押し上げる。とはいえ、これは一度限りの効果なのだ。為替レートを引き下げることの最大の目的は、もちろん外貨建てで日本製品・サービスの価格を押し下げ、価格競争力を向上させ、外国企業との競合に勝つこと。日本企業が円安で外国におけるモノやサービスの販売を増やせば、これは「純輸出の増加」ということで、日本の需要(=GDP)が増える。
 日本の実質輸出は、これほどまでに円安が進んだにも関わらず、いまだにリーマンショック前はもちろんのこと、東日本大震災前をも下回っている。そもそも、「円安になれば、輸出が増える」とは、セイの法則に基づいた単純論なのである。すなわち、世界的に「需要が拡大している」という前提になっているわけだ。
 現在は、世界的に貿易総量が減少している。世界的に需要が拡大していない時期には、「円安になれば、輸出が増える」といった単純論は、少なくともマクロ的には成り立たない。
 安倍政権は、金融緩和を進めると同時に、国内の需要を財政政策で拡大し、輸出入の影響が小さい頑健な日本経済を目指すべきだった。ところが、実際にはデフレ対策については日銀に丸投げし、政府は緊縮財政。需要創出は「期待インフレ」だの「円安による輸出増」など、例の「はず論」頼みとなり、デフレ脱却に失敗した。
 それどころか、中国やユーロの混乱で輸出が「多少」減っただけで、二期連続のマイナス成長が視界に入ってくるほどに、日本経済を脆弱化させてしまった。恐ろしいのは、それにも関わらずいまだに補正予算の議論は始まらず、インフレ目標未達や2年連続のリセッション入りの責任を誰も取ろうとしない点なのだ。現在の日本は、完全に政治不在に陥っている。そして、この政治不在こそが、国民を貧困化させている元凶であるという事実を、いい加減に誰もが理解するべきなのだ。
posted by GHQ/HOGO at 05:23| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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