2019年05月08日

21世紀に入って表面化してきた負の側面

 資本主義の現在を象徴するキーワードとして「強権」と「独占」を挙げることができる。強権というと多くの人は、トランプ米大統領が掲げる自国第一主義のように、ポピュリズム(大衆迎合主義)に基づいた身勝手で非寛容な政治や外交を思い浮かべるかもしれんない。ただし元をたどれば、そのポピュリズムを醸成して広めたのは資本主義そのものだったのではないのか。
 10年前の2008年に発生したリーマン・ショックと世界金融危機では、それまで巨額の利益を上げてきたウォール街や欧州の金融機関が一時的に大損失を被ったにもかかわらず、各国政府の支援を受けてすぐに立ち直り、結果として損失を国民に押し付けた格好になった。その後も世界中の大企業が税制の抜け穴を使って節税に励む様子が発覚するなど、21世紀に入って以降、一般市民が不公平感を募らせるような資本主義の“負の側面”が目立つようになっている。
 それをひと言で表すなら「富や既得権益の独占」ということになるが、こうした独占は場合によっては産業構造や社会環境、さらには人々の生活様式まで無条件に変えてしまう力を持ち得るため、ある意味で非常に強権的ということもできる。資本主義はそれ自体が強権と独占につながりかねない性質を潜在的に備えているわけだ。
 資本主義の負の側面が表面化するに従って、最近では民主主義の後退や衰退を危惧する声が多く聞かれるようになってきた。これについては、歴史学者の朝河貫一氏の考え方が参考になるだろう。いわく「民主主義は最も高度で困難な政体である。個人が責任感や道義心、寛容の精神を持たなければ、地盤が緩んでしまう」。
 朝河氏の考え方はポピュリズムやナショナリズム(民族主義)が伸長する政治の世界にとどまらず、資本主義のメインプレーヤーである資本家や投資家、株主、企業人たちにも現時点でそのまま当てはまるのではないか。
posted by GHQ/HOGO at 06:09| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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