ホームレスのおじさんが言っていた「あんなやつら」というのは、ホームレスの人や生活困窮者、生活保護利用者の一部でしかないし、同様に、あのイベントで話していた女性のような、やむにやまれぬ事情で生活保護に支えられている人も、やはり一部に過ぎない。210万通りの貧困のかたちが、たぶんあるんだ。
考えれば考えるほど、頭が痛くなってくる。1人ひとりが置かれている状況や歩んできた道のりは違う。1人として同じ人はいない。そんなの当たり前のことなのに、どうしてもわかりやすいかたちを求めたがる。そのほうが、誰を助けるか、誰を助けないのかの判断が楽だからだ。
そして、どう見ても困った状態にある人でも、誰が見てもかわいそうな状況にある人であっても、次の瞬間には、自己責任としか言いようのない、眉をしかめたくなるような行動を起こすことがある。そういった状態をたくさん見てきたので、ある程度は裏切られることもあると割り切っている。、それは当たり前のことだからである。
彼らにかわいそうなふるまいを期待するのはたぶん、いつだってこちの側なのである。
「生活保護=こんな人」「貧困=こんな感じ」なんて図式は成立しない。1人ひとりに向き合うしかない。そして、それと同時に、制度や政策、社会の仕組みについてはある程度、普遍化していく必要がある。たとえば「○○な人が多いから××な政策を」というように、焦点を絞る必要があるのだ。
相反するものをどうやってまとめていったらいいのか。そして、どのように貧困という目に見えない問題をとらえていけばいいのか.。