おそらく、生活保護ケースワーカーと査察指導員(係長相当職)の業務を、委託された業者が行うことになり、その業者が責任主体となるだろう。介護保険事業所とケアマネのように、現場まわりが委託されるイメージだ。生活保護の申請を受けて決定する業務と保護費を支給する業務は、自治体が手放さないだろうと思う。
決定権と財源を自分たちのもとに残せるのならば、手綱を握って方向性をコントロールできる。自治体側には、そういう判断も働くかもしれない。介護保険事業者と同様の、よりどりみどりの「生活保護事業者」から、自治体はどのような基準で委託先を選択するだろうか。
まずは、『いかに安いか』ということが、最大の評価基準になるだろう。最大の狙いは、人件費の削減にあると考える。ただ、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持っている人の比率は増えるだろう。現在でも、資格を持っている非常勤職員は多いからだ。
現在、自治体に非常勤の身分で雇用されて福祉事務所で働く職員は、民間の生活保護事業者で、同様に不安定な身分で働くことになりそうだ。もちろん、待遇が改善される見込みは薄くなる。「生活保護を利用しながら生活保護事業所で働く」というスタイルが当たり前になるかもしれない。