2019年04月04日

介護保険制度の発足で問題化したサービス劣化

 「福祉事務所の外注化」としてイメージするのは、介護保険だ。2000年に介護保険制度が施行される直前、「民間業者の自由競争によって、サービスの質は向上する」と喧伝されていた。参入しようとする業者も、公務員ヘルパーより良質のサービスを提供できることを強調していた。
 「介護保険、最初は悪くありませんでしたよね。『ウチは公務員ヘルパーより良い』と宣伝していた業者のサービスは、実際に良質でした」
 しかし、介護保険制度が発足して5年が経過すると、介護保険業者による報酬の不正請求などの問題が大きく報道されるようになった。2007年、厚生労働省より処分を受けた「コムスン」を記憶している方も多いだろう。数々の不正請求は、正当に業務を遂行していたのでは利益を上げにくい現実の現れでもある。
 民間に業務を委託する動機のうち最大のものは、やはり人件費削減だろう。『安いほどいい』ということで、土木・建設業者が介護保険事業に参入してきた。すると、業者数や従業者数が増えても、質は落ちるということになる。
 サービス供給者の量が増えて価格競争が行われたら、質も高くなると期待しがちだ。しかし、公共サービスが民間に委託される場合、必ずしもそうなるとは限らない。
 「公共サービスを民間に委託する場合、構造的に劣化しやすいんです。介護保険の歴史を見れば、そのことは明確です。すべての公共サービスで、その轍を踏まないようにする必要があるでしょう。
とはいえ、「福祉事務所は行政が直接」という現在の制度を良しとしているわけではない。
 「今が良いわけではないんです。今だって良くないんです。それが、もっと悪くなります。日本国民の生存権は、もっと守られなくなります」
 その状況に近いのは、映画『私は、ダニエル・ブレイク』だろう。病気のため働けなくなった真面目な大工が、「働ける」とされて制度の谷間に落ち、最後には命まで失う不条理な成り行きは、多くの人々の共感を呼んだ。
posted by GHQ/HOGO at 06:15| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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