2019年03月12日

人に厳しくしたがる「しごき思想」

 他者に対して厳しくしたがる考え方も問題である。日本人ではかなり多い。とにかく必死に努力しろ、苦しくても我慢しろ、泣き言を言うな、限界までがんばれ……。そんなふうに考える人々が好む言葉は「甘えるな」である。甘やかしたら人間は怠ける、だから厳しくしないといけないという思想なのだ。軍隊のような組織、過労死・過労自殺を招く企業、いわゆるスパルタ教育、運動系クラブのしごきなどにも共通するところがある。仏教の一部にある修行主義や、戦時中に軍部が広げた精神主義などが関係しているかもしれない。
 しかし、厳しくつらい状況に人を追い込むことが、よい成果をもたらすというのは、一種の思い込みである。自分に辛抱と努力を課するだけならともかく、条件の違いを無視して他人に要求するのは迷惑なことなのである。
 貧困対策の分野では、19世紀にイギリスが「新救貧法」で採用した「劣等処遇の原則」に、これに近い部分があった。救済を受ける貧困者は最底辺の労働者より劣る生活水準にせよ、そうでないと労働者が勤労意欲を失う、というものだ。「院内救済の原則」もあった。施設に収容して厳しい労働と規律を強制し、耐え難い生活にせよ、そうでないと救済を受ける者が増える、というもの。
 けれども時代が進むにつれて考え方が変わり、多くの先進国は、すべての国民への最低限度の生活保障(ナショナル・ミニマム)を定め、貧困者には支援を重視するようになった。実際問題としても、人を非難せず、勇気づけるアプローチこそ、有効ではないだろうか。
posted by GHQ/HOGO at 06:11| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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