生活保護を受けている人のうち、4分の3が働けない世帯。つまり給付をカットされると即生命の危機に繋がる人たちである。メディアがお好きな「素行不良の不正受給者」報道は、こうした事実を(意図的/非意図的に関わらず)隠蔽することになり、大きな問題だ。
税金の無駄遣いとか、公務員無能とかとまったく一緒で、一部のモラルハザードを起こしている人々を喧伝して、それを解決すれば財政が改善するかのような錯覚を喚起する言説は大嫌いだ。リーマン後でも、働ける年代の生活保護受給は増えているが、依然割合は13.5%程度に過ぎない。
不正受給は許されない行為だ。ただ客観的に見て、不正受給を今以上に厳しく取り締まっても、財政的な改善はさほど見込めない。それもまた事実なのだ。
不正受給の厳罰化を求める人たちがよく使うフレーズで「本当に必要な人に」というのがある。完全に同意できるが、「本当に必要な人」を正しく見分けるのは、きわめて大変だ。そのためのコストだって当然かかるはずだ。個人的には、現状の「不正受給 0.4%」という数字自体、相当に健闘しているようにさえ思える。どうだろうか。