2018年05月15日

「差別論」も明確に否定

 社会保障において日本国民と在留外国人を区別し、場合によっては在留外国人に対する社会保障を限定するか行わないことに対しては以前から強い批判がある。とりわけ在日韓国・朝鮮人から日本国民と自分たちを区別するのは「国籍差別」であり、憲法や国際法によって禁止されているとの主張がなされてきた。
 実際、先に挙げた塩見訴訟は、子供の頃、「はしか」にかかって失明した韓国人の女性が、後に日本国籍を取得し、障害者年金の受給を申請したが、失明した際に日本国籍でなかったことから国籍条項に引っ掛かり、申請が却下されたことから起きたものだ。気の毒なケースであり、何らかの救済が必要と思うが、女性側の裁判での主張は、もっぱら日本国民と在日韓国人という自らのかつての身分は平等に扱われるべきものだということで、国籍を重視しない、国籍を無にする方向で行われてきた。
 女性側が根拠に挙げたのは、憲法第14条第1項の「法の下の平等」や世界人権宣言、国際人権規約、ILO条約であったが、これらはことごとく最高裁によって退けられている。詳しくみてみる。
(1)憲法第14条第1項の法の下の平等の原則は「合理的理由のない差別を禁止する趣旨のものであって、各人に存する経済的、社会的その他の種々の事実上の差異を理由としてその法的取扱いに区別を設けることは、その区別が合理性を有する限り、何ら右規定(憲法第14条第1項)に違反するものではない」ので、国籍に違いによる「取扱いの区別については、その合理性を否定することができず」、憲法第14条第1項に違反するものではない。
(2)ILO第102号条約(社会保障の最低基準に関する条約)第68条1の本文は「外国人居住者は、自国民居住者と同一の権利を有する」と規定しているが、その但し書きは「専ら又は主として公の資金を財源とする給付又は給付の部分及び過渡的な制度については、外国人及び自国の領域外で生まれた自国民に関する特別な規則を国内の法令で定めることができる」としており、「全額国庫負担の法(国民年金法)81条1項の障害福祉年金に係る国籍条項が同条約に違反しないことは明らかである」。
(3)国際人権規約A規約(経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約)第9条について「この規約の締結国は、社会保険その他の社会保障についてすべての者の権利を認める」と規定しているが、「これは締約国において、社会保障についての権利が国の社会政策により保護されるに値するものであることを確認し、右権利の実現に向けて積極的に社会保障政策を推進すべき政治的責任を負うことを宣明したものであって、個人に対し即時に具体的権利を付与すべきことを定めたものではない」。したがって、「同規約は国籍条項を直ちに排斥する趣旨のものとはいえない」。
(4)ILO第118号条約(社会保障における内国民及び非内国民の均等待遇に関する条約)については我が国はいまだ批准していない。
(5)国際連合第3回総会の世界人権宣言、同第26回総会の精神薄弱者の権利宣言、同第30回総会の障害者の権利宣言及び国際連合経済社会理事会の1975年5月6日の障害防止及び障害者のリハビリテーションに関する決議は、国際連合ないしその機関の考え方を表明したものであって、加盟国に対して法的拘束力を有するものではない。それゆえ、国籍条項を直ちに排斥する趣旨のものではない−といったものである。
posted by GHQ/HOGO at 06:38| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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