2018年04月18日

格差の固定は日本経済全体の問題

年間所得700万円以上の世帯数は減っている。つまり、豊かな人が減ったことは事実である。具体的には、所得1000万円以上では、各階層の世帯数が2割程度減っている。1つ下の階層にシフトしたのだ。しかし、この階層では、所得が100万円減ったところで、10%未満の低下でしかなく、生活に大きな変化が生じたわけではあるまい。贅沢を減らすという程度で対応できるだろう。
 その半面で、貧困階層に落ち込むと、子どもの教育が十分できなくなるので、階級の固定化が起こる危険がある。そして、格差が拡大する。だから、300万円未満の世帯が1000万円以上になるチャンスは、ほとんど失われてしまっているのではないだろうか。
 高度成長期には、社会全体が豊かになるだけでなく、貧困層が富裕層になる可能性も開けていた。夢のある社会とは、そうしたものだ。閉塞的な社会とは、社会全体が成長しないだけでなく、貧困と富裕の間の壁が越えられなくなった社会である。
 問題は、日本社会の構造変化に経済政策が対応しているとは、とても考えられないことだ。高校無償化や子ども手当に所得制限がないのは、驚くべきことだ。民主党のマニフェストでは、「貧困社会への対処」という問題意識は欠落していると考えざるをえない。
 また、消費税は貧困階層にも等しくかかる税である。他方で、資産所得は他の所得とは分離して課税されており、法人税も減税しようとしている。だから、税制改革は、むしろ格差を拡大する方向に進もうとしている。マクロ経済政策も同じである。金融緩和や為替介入を行ったところで、企業は助かるだろうが、低賃金労働者に福音が及ぶとは、とても考えられない。
 民主党が雇用確保の観点から非正規労働者に否定的な態度をとっているのは、大きな見当違いと言わざるをえない。資本家対労働者という図式から、「派遣をなくせばよい」という認識で派遣労働の規制が強化された。しかし、この規制は、労働者にとってはかえって酷だ。深刻な問題に直面しているのは、組合の力によって雇用が守られている正規の労働者ではない。組合の保護が及ばない非正規の労働者は、派遣が禁止されれば雇用そのものが消滅する。製造業の生産拠点の海外移転が進めば、雇用の総量はますます縮小するだろう。
 最近の雇用調整では、正規雇用者の減少率も、非正規労働者の減少率に近い水準となっている。このことから、非正規労働者は、一般に考えられているように「雇用調整をしやすいから」増えたということではないと考えられる。より大きな要因は、社会保険料の雇用主負担だ。特に厚生年金保険料の雇用主負担は、賃金コストを引き上げる大きな要因になっている。新興国の工業化によって、低賃金労働による安価な製造業製品が増えた。これに対抗するために賃金コストの引き下げが必要とされ、その手段として社会保険料の雇用主負担が低い非正規労働者に頼ったというのが、実態だろう。
 以上から明らかなように、現在の日本が抱える貧困問題、格差問題は、救貧対策で対応できるものではないし、対症療法で改善できるものでもない。90年代後半以降の貧困の増加の問題は、日本経済全体の構造問題として捉えるべきものである。日本の経済構造を、基本から見直すべきときなのである。
posted by GHQ/HOGO at 06:48| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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