米国の余命格差は他のどの国より大きいことも判明。最貧困層の男性の平均余命はスーダンやパキスタンの男性とほぼ同じだった。女性の場合、最富裕層の平均余命は約89歳で、最貧困層の女性より10年長かった。男女を比べると、貧困層では女性の方が男性より6年長生きなのに対し、富裕層ではその差が1.5年に縮まっている。米国の貧富の余命格差はここ数年で拡大傾向にあった。所得上位5%の層では2001〜14年の間に余命が3年伸びたのに対し、下位5%の余命は伸びなかった。
研究チームではこの結果について、単純に金を持っているだけで余命が伸びるわけではないと強調。貧富の余命差は教育や健康状態やライフスタイルの違いによって生じると解説する。
貧困層の余命は居住地によっても大きな差があった。運動が盛んに行われ、喫煙や肥満人口の少ない地域は平均余命が長いことが判明。特にニューヨークやサンフランシスコなど、教育レベルが高く公共福祉制度が充実している大都市でそうした傾向がみられた。一方、医療保険の普及度などとの間に明らかな因果関係はなかった。貧困層の平均余命が最も短かったのは、男性ではインディアナ州ギャリーの74.2歳、女性はラスベガスの80歳だった。富裕層で平均余命が最も長いのは、メーン州ポートランドの男性の86.8歳。女性ではワシントン州スポケーンの89.2歳が最長だった。全体的に見ると、ミシガン、オハイオ、インディアナといった中部の州では平均余命が短く、カリフォルニア、ニューヨーク、バーモントなどの州では貧困層の余命が長い傾向があった。