2018年01月28日

低所得化に合わせて基準を下げてよいのか?

 生活保護の8種類の扶助のうち、主たる生活費である生活扶助の基準の見直しを厚生労働省が昨年12月に決められてしまった。2018年10月から20年10月にかけ、3段階に分けて実施される。
 見直しの影響は、世帯の人数、年齢構成、居住地域によって異なり、今より基準額が増える世帯もあるが、減る世帯のほうがはるかに多く、最大では5%下がる。生活扶助の総額で見ると、1.8%のマイナス。13年8月から15年4月にかけて平均7.3%(最大10%)の大幅引き下げが行われたのに続くダウンだ。
 なぜ、そうしたのか。簡単に言うと、低所得層(消費支出が最下位10%の世帯)の消費水準に合わせて基準を見直した結果なのだ。国民の生活水準が全般に低下してきた中で、貧しい層の動向に合わせるというやり方で、「健康で文化的な最低限度の生活」は守られるのか。
 見直しによって、生活扶助の基準額が具体的にどう変わるのか。生活保護制度では、物価水準の違いを考慮して市町村ごとに6種類の級地に分けているが、厚労省は、代表として3種類の級地の試算を示した。
 大まかに見ると、大都市部、高齢単身者、子供の多い世帯はもっぱらマイナスになり、地方の郡部、夫婦だけの世帯、子供1人の世帯ではプラスの傾向。それで全体としてダウンするのは、生活保護世帯は大都市圏に多く、しかも高齢単身者が多いからである。厚労省の推計によると、生活扶助額が上がる世帯は26%、変わらない世帯が8%、下がる世帯が67%となってしまった。
 全体の金額で影響を見ると、3段階の見直しが完了した段階で、生活扶助の本体部分の国負担額は年間でマイナス180億円、子供のいる世帯への加算額の見直しがプラス20億円。差し引きマイナス160億円となっている。18年度予算の概算要求で生活扶助の国負担見込み額は9056億円なので、それと比べると1.8%のダウンである。生活保護費の国の負担割合は4分の3だから、実際の生活扶助費の総額は年間213億円のマイナスになる。それだけでなく、基準が下がると保護対象となる世帯が減るので、削減額はさらに大きくなる。
 生活扶助は、食事、衣類、光熱水道費をはじめ、通信費、交通費、教養費、交際費、耐久財の買い替えなどにあてるもの(住宅、教育、医療、介護などは別の扶助)。
 では、その基準をどうやって決めるのか。時代とともに国民の生活水準は変わり、最低限度の生活の水準も変化する。歴史的には、改定方式は以下のように変わってきた。絶対的な最低生活費を算出する方式から、一般国民と比較する相対的な決め方に移ってきたことがうかがえる。
<生活扶助基準の改定方式の変遷>
【標準生計費方式】(1946〜47年)=当時の経済安定本部が定めた世帯人員別の標準生計費をもとに算出する
【マーケットバスケット方式】(48〜60年)=最低生活に必要な食費、衣類、家具、入浴料といった個々の品目を一つずつ積み上げて算出する
【エンゲル方式】(61〜64年)=必要な栄養量を満たす食品の価格を積み上げる。別に低所得世帯の実態調査からエンゲル係数(食費の割合)を求め、それから逆算して必要な総生活費を算出する
【格差縮小方式】(65〜83年)=一般国民の消費水準の伸び率以上に生活扶助基準を引き上げ、一般世帯と保護世帯の消費水準の格差を縮小させていく
【水準均衡方式】(84年〜)=従来の生活扶助基準が一般国民の消費実態とのバランス上、ほぼ妥当な水準に達していたと見たうえで、一般国民の消費実態や消費の動向を踏まえて調整を図る
posted by GHQ/HOGO at 08:30| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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