2017年07月25日

深刻化する子供の貧困問題、政府の対策は効果があるのか?

 日本の子供の貧困率の高さが国際的に指摘される中、「子供の貧困対策法」が成立した。「子供の貧困対策法」には、子供の貧困対策を総合的に推進するため「大綱」を政府が作成し、子供の貧困率の改善を図る対策を打ち出すことのほか、国と地方自治体が貧困家庭の就学や学資の援助、学習支援といった教育支援に取り組む、各都道府県は子供の貧困対策についての計画を策定する、「子供の貧困対策会議」を設置する、などが打ち出されている。
 また、政府は「子供の貧困対策大綱」を閣議決定しているが、近年、日本では子供の貧困が大きな社会問題となっており、政府の対策は効果があるのだろうか。
 日本の子供の貧困率(平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子供の割合)は16.3%で過去最高を記録した。日本は先進国の中でも米国並みに貧困率が高いことで知られているが、全体の貧困率の上昇に伴って子供の貧困率も増加している状況である。
 子供の貧困率が上昇してきた原因の1つに、シングルマザーの増加にあるのではないか。日本では女性の就労機会が限定されており、女性は正社員として働きにくい環境にある。また、正社員と非正規社員には圧倒的な給与格差が存在しており、非正規社員の給料だけでは十分な生活ができないのが現実だ。離婚をきっかけに就労した女性は非正規社員として働かざるを得ないことが多く、その結果、十分な収入が確保できない状態になっている可能性がある。
 高い才能を持った人は別だが、ほとんどの人にとって、一定水準以上の生活を送ろうと思った場合、ある程度の教育を受けることが必須となる。子供の学力と家庭環境には密接な関係があるといわれているので、親の生活環境によって子供が十分な学力を身につけられないというケースは少なくない。
 閣議決定された大綱では、貧困の世代間連鎖を解消するため、教育費の負担軽減、学校教育の学力保証、保護者の就労支援、無利子奨学金制度の充実など、数多くの施策が掲げられている。しかし、同じ子供の貧困対策といっても、どのような価値観に基づいて支援を行うのかで、そのやり方や結果は大きく変わってくる。
 学校教育を主軸とし、学校にさえきちんと通えばある程度の学力をつけられるようにするという考え方もあるし、経済的に困窮している家庭を直接金銭的に支援するという考え方もある。また、直接的な支援をせず、保護者が自力で就労できるよう支援するという間接的な方法もあるだろう。ただ、子供は親を選ぶことができないから、保護者の生活が向上しなかった場合、その子供をどうするのかという問題は常に考慮に入れておく必要がある。
 日本では高い教育を受けることは、全員に与えられた基本的な権利ではなく、経済的に余裕がある人、あるいは自力で生計を立てられる人のみが享受できるものという考え方が一部にある。このあたりの価値観は人それぞれかもしれない。
 しかし、日本経済は急速に成熟化、脱工業化が進んでおり、より付加価値の高い国内産業の育成が急務となっている。成熟化で先を行く米国では、かつて体力があれば十分だった第一線の兵員ですら、兵器の高度化によって高いITスキルが求められる状況となっている。本人が望むのであれば、誰でも高い教育を受けられるようにするのが、時代の流れではないだろうか。
 今後、子供の貧困が改善され、さらには貧困の連鎖を防ぐための実効性ある対策が取られることを祈りたい。


posted by GHQ/HOGO at 07:13| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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