高齢者世帯は、30年には7世帯に1世帯が単身世帯と予想され、高齢者の孤立化が懸念されている。すでに、孤独死に加え、孤立や経済的な問題から、高齢者の犯罪が増加している。要介護や認知症患者の増加も予想されるなど、孤立化をいかに防ぐのかが緊急の課題になっている。
社会的な孤立の懸念は、高齢者だけの問題ではありません。ニート数は60万人前後で推移している。若者が引きこもりのままでは、就業経験も積めません。経済的な自立が難しい状況だ。
就労支援策として、これまで雇用保険を受給できない人を対象に、職業訓練とその間の手当を支給する「求職者支援制度」が実施されているが、まだまだ不十分だ。また、失業などにより住居を失った人などで就労意欲がある人を対象に原則6ヵ月間、賃貸住宅の家賃を支給する「住宅手当緊急特別措置事業(住宅手当制度)」も行われているが、利用状況は芳しくない。
社会的な孤立からの脱却には、個人の事情に応じた支援が必要。国は、若者の引きこもりなどに対応する「パーソナルサポート」のモデル事業を全国で展開してきたが、これも十分とは言えない。また、NPOなど民間団体との連携で、試験的な就労などをサポートする体制の整備も議論され始めた。
前政権では生活保護制度のあり方とともに、これらを生活支援戦略としてまとめ、進めていく計画だった。これが新政権では、膨らむ生活保護費を抑えるため、段階的な給付削減を検討しているのだ。そこで、生活困窮者の支援策がどのようになるのかはおおよそわかるのである。