2017年06月19日

大阪市の場合の生活保護の収支

 一般的な説明だけではわかりにくいので、保護費の支出が全国で最も多い実施自治体である大阪市の場合を取りあげる。2014年度の決算で、生活保護関係の収支は、以下のようになっている。
A:歳出額 3062億円=扶助費2916億円+人件費115億円+その他事務費31億円
 B:歳入額 2221億円=国庫支出金2170億円+その他諸収入等51億円
 AからBを引くと、C:地方負担額(一般財源支出額)=841億円
 D:基準財政需要算入額 791億円=扶助費663億円+人件費124億円+その他事務費等4億円
 CからDを引くと、E:算入不足額=50億円
 実際の市の負担額に比べ、総務省の計算式による標準的な費用は50億円ほど少なく、その分が余分な持ち出しになりました。算入不足額は年度によって差があり、かつては100億〜200億円前後にのぼっていた。近年は12年度57億円、13年度67億円。市財政局は、入院を含めた医療扶助費が大阪市ではやや多めであることが、算入不足の主な原因だと分析している。
 大阪市の算入不足額は、他の自治体に比べて大きいとみられる。算入の過不足は自治体によって異なり、プラスになっている自治体もある。
 一方、他の事業分野を含めた大阪市全体の地方交付税の計算は、次の通り。
 F:基準財政需要額 6056億円
 G:基準財政収入額 4939億円
 FからGを引くと、財源不足額(地方交付税額)=1117億円(うち臨時財政特別債759億円)
 基準財政需要額に対する基準財政収入額の比率(G/F)=H:財政力指数=81.6%
 裏返すと、基準財政需要額の18.4%が地方交付税として総務省から入るわけだ。財政力指数は自治体によって大きな差がある。財源が乏しくて地方交付税をたくさんもらう自治体もあれば、基準財政需要額より基準財政収入額のほうが多くて不交付団体になる自治体もある。
 次に、大阪市が自前の収入から生活保護費(扶助費)にあてた額を試算すると、以下のようになる(本来は、基準財政需要額の実情が事業分野ごとに違うので、単純にこういう計算はできない)。
 D(基準財政需要算入額)のうち扶助費663億円×H(財政力指数81.6%)+E(算入不足額50億円)=591億円
 14年度の大阪市の予算(当初予算+5月補正予算)では、一般会計の歳出1兆6814億円のうち生活保護費が2944億円(17.5%)を占めており、ものすごく大きな印象を与えるが、国から出るお金があるので、自前の財源からの実質的な出費は591億円ほどだったわけだ。
 かつて、保護費の額と市税収入の額をそのまま比べて、大変な財政圧迫だと強調する記事が何度かあったが、財源のことを無視して比較するのはナンセンスなのである。
posted by GHQ/HOGO at 07:16| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック