2016年11月28日

派遣労働について考える

 非正規雇用のなかで、派遣労働について考えてみよう。
 派遣労働は、雇用調整が最も容易な労働力であったために、今回の雇用調整で真っ先に雇用調整の対象となった。ただ、派遣労働がクローズアップされているが、派遣労働者の比率は、比較的小さいことに注意すべきである。2008年の第1四半期でも派遣労働者の比率は、2.6%にすぎなかった。派遣労働者が増えたのは事実であるが、非正規雇用者の多数を派遣労働者が占めるような印象を人々がもっているとすれば、それは間違いである。
非正規労働者の中に占める比率でみても10%を超えていないのである。製造業派遣を禁止すれば、労働者が安定的な雇用につけるというのは間違いだ。「派遣」に規制を加えても、大多数の非正規労働がなくなるわけではない。「派遣労働者がかわいそうだ」という理由で、派遣を制限すれば、偽装請負など派遣に代替する、より不安定な雇用が増える可能性の方が高い。あるいは、労務コストの安い海外への工場移転などで雇用そのものが失われる可能性もある。
 製造業への派遣が認められているのは日本だけだという誤解も多い。EUにおいても、現在では派遣は業務限定がなされていないどころか派遣で業務限定をすることが違法になっているのである。つまり、派遣先の業務が問題なのではなく、派遣先の労働条件や技能の向上を促進するような制度作りを考えることが重要なのである。
 派遣労働をはじめとする非正規労働に問題がなかったとはいえない。2002年以降の景気回復期に日本企業の利潤が増えた大きな理由は、非正規雇用者が増えたことによる人件費の低下である。つまり、非正規雇用者の賃金が、生産性よりも低かった可能性は否定できない。
非正規雇用の中でも、派遣労働には、社会保険への未加入、低賃金といった問題点がある一方で、派遣労働のメリットがあることも事実である。それは、派遣労働がもつ仕事と労働のマッチング能力である。失業者の多くは、職に関する十分な情報をもたない上、職探しには慣れていない。一方、求人側の企業も労働者の採用に苦労している場合も多い。そういう場合に、派遣労働は優れた役割を果たしてくれる。派遣労働があるおかげで、労働者にとっては失業期間が短くなり、企業にとっては欠員が早く解消できる。
 では、派遣労働の問題はなぜ発生するのだろうか。それは、派遣会社が、労働者よりも情報をより多くもっていることから生じる。派遣労働者は、自分が派遣先でどれだけの生産性を発揮しているかに関する情報や賃金相場に関する正しい情報をもっていない。もし、派遣会社間に十分な競争がなければ、派遣会社は高い手数料をとって、派遣労働者には低い賃金を支払うインセンティブがある。派遣会社間に十分な競争がなかったり、所得が少なく一日も早く所得を得たい失業者が多ければ、派遣労働者に支払われる賃金が、生産性よりも低くなってしまう可能性がある。派遣労働は、派遣を使わない場合に比べて早く仕事を見つけることが、多くの海外の研究で確認されている。しかし、問題点も明らかにされてきている。それは、派遣労働は、すぐに仕事を見つけることができるが、直接雇用に移行せず、長い間派遣に留まった場合では、その労働者の所得をあまり引き上げないという傾向があることだ。
posted by GHQ/HOGO at 08:07| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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