2016年11月27日

日本全体の生産性を低下させる危険がある非正規労働者増加

 個別には「経済合理的」な行動が、日本全体としてみれば、深刻な問題を引き起こしている。
第1に、非正規労働者は、長期間の雇用が前提とされていないために、訓練量が少ないことが引き起こす問題である。非正規雇用者が多い世代の生産性が将来も低いままになってしまう。また、非正規雇用比率が高い世代が将来も所得水準が高くならない可能性が高いということである。
第2に、非正規労働者の増加が、若い年齢層に集中していることである。特に、男性でその変化が激しい。1990年代半ばまで、25歳から34歳の男性の非正規労働者は、雇用者の約3%しかいなかったが、最近では14%前後まで上がってきている。つい20年近く前までは、男は正規労働者が当たり前だったのが、今では非正規労働者も珍しくなくなったのだ。非正規労働者が既婚女性を中心とした家計の補助的労働であった時代ならば、非正規労働者の雇用調整は、貧困問題に直結しなかった。しかし、世帯主や単身者の非正規労働が増えてくると、非正規の雇用調整が貧困問題をもたらす原因になる。
 非正規雇用を中心とした大規模な雇用調整は、日本経済が抱えていた潜在的な問題を一気に顕在化させたのである。では、非正規雇用や派遣労働を禁止したり、雇い止めを不可能にすることは、問題を解決するだろうか。確かに、非正規雇用の中には、違法な契約解除、社会保険未加入、劣悪な労働環境といった問題を抱えているものもある。彼らの労働環境に関する規制を強化することは必要である。しかし、そもそも非正規雇用者が増えてきた原因を正しく認識しないと、非正規雇用そのものを禁止することは、失業を増やすだけになる。
 日本で非正規雇用者が増えてきたのは、正社員の雇用保障と非正規社員の雇用保障に大きな差があるからである。正社員を雇用調整することが難しいため、企業は正社員で採用するよりは、非正規社員を採用することを選んできた。正規雇用と非正規雇用の雇用保障の差が大きなままでは、非正規雇用を禁止することのコストは大きい。
posted by GHQ/HOGO at 08:54| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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