2016年09月18日

作られた雇用格差

不安定雇用の増加、給与の低下は自然発生的に生じたものではない。財界と政府が一体となって作り出してきたものなのである。
1995年に日経連(当時)は、「新時代の『日本的経営』」を発表し、そこで、労働者を@長期蓄積能力活用型、A高度専門能力活用型、B雇用柔軟型の三種に分類し、少数精鋭の正社員、流動化された専門職、そして安価な労働力としての非正規雇用の大量活用という方針を打ち出した。これは企業利益の極大化のために総人件費を圧縮するという財界戦略に基づくものであり、そして、当時の橋本内閣以降歴代政府は労働市場における規制緩和政策を次々ととり続け、この財界戦略をバックアップし、おしすすめてきた。
有期雇用に関する規制の緩和、派遣労働の自由化等の労働市場における規制緩和は、派遣労働者や製造現場における請負労働者などの非正規雇用労働者を大量に生み出し、これらの労働者は安価にかつ企業の需要に応じて流動化させられるという、安く使い捨てられる労働者とされ、請負労働者で給与は時給、正社員の半分以下、ボーナスや昇給はなく、短期雇用でいつでも辞めさせられるという、「ワーキング・プア」が作り出されていった
 労働市場における規制緩和政策により、ワーキング・プアなど格差と貧困の問題が拡大し深刻化している状況があるにもかかわらず、例えば経済財政諮問会議は2006年に、いわゆる「労働ビッグバン」を打ち上げ、労働時間の裁量化として、一定年収以上のホワイトカラーに残業代を支給しないいわゆるホワイトカラー・エグゼンプション制度の導入や、派遣労働の期間制限撤廃などの規制緩和策を提言している。
ホワイトカラー・エグゼンプションは、長時間・過密労働とサービス残業を強いられている労働者に対して、自己管理型労働と称して労働時間規制を適用除外することにより、不払い残業を合法化し、さらなる人件費圧縮につなげようとするものだ。日本経団連は、違法なサービス残業を解消するために政府が発出した「サービス残業解消通達」をやり玉にあげ、「企業の労使自治や企業の国際競争力の強化を阻害しかねないような動きが顕著」などと非難しており、サービス残業を合法化し、人件費カットを意図していることがみてとれる。
ホワイトカラー・エグゼンプション導入は、労働者、労働組合、広範な市民の反対により政府は法案上程を断念するという展開をみたが、依然として財界はこの導入を強く求めており、現厚生労働大臣が制度の導入に意欲を示す発言をするなど、労働時間規制に関するさらなる規制緩和を求める動きは継続するものと考えられる。
派遣労働に関しても、派遣会社側の違法行為、賃金ピンハネ、誇大広告による労働条件の偽装が社会問題化するなか、登録型派遣の禁止、現在は原則自由の労働者派遣を再規制(労働者派遣は原則禁止、一定の類型だけを特に許すという99年以前の規制内容に戻す)を求める声と取り組みが非常に大きくなっている。反面、日本経団連の規制改革要望では、雇用労働分野の34項目中、派遣期間制限の撤廃、雇用申込義務の廃止、禁止業務の解除など派遣関係で11項目を掲げ、完全な自由化を求めるものになっている。
 労働市場における規制緩和は雇用格差と貧困をもたらし、これらをもたらす新自由主義改革政策が続けば状況はさらに酷くなる。新自由主義的政策に異議申立てを行うことが今極めて重要である。


posted by GHQ/HOGO at 07:59| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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