2020年03月02日

「違法ではないが望ましくはない行動」に生活保護制度はどう対応できるか?

 「生活保護費を受け取ったらすぐパチンコ店に直行、あっという間に保護費を使い果たし、次の保護費支給日までは命をつなぐのが精一杯」など、「健康で文化的な最低限度の生活」のための生活保護費を受け取って、「それって、健康、文化的」という使い方をしてしまう生活保護利用者は存在する。福祉事務所には、どういう対応ができるだろうか?
 現在も実務の現場にいる田川氏は、「散財してやりくりできなくなるようであれば、アルコール依存・ギャンブル依存の問題の可能性があるとして、対応すれば良いだけの話です」という。さらに吉永氏は、現在の生活保護制度の原則からコメントする。
 「旧生活保護法(1946〜1950)は、『勤労の怠る者』を『素行不良な者』は、『絶対的欠格者』として、最初から生活保護から排除していました(欠格条項)。しかし現行生活保護法(1950)は、この欠格条項を排し、無差別平等原理(生活保護法第2条)を採用しました」(吉永氏)

(無差別平等)
第二条  すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。

 なぜ、生活保護法から「働かざる者、食うべからず」が消えたのか。 現在の生活保護制度を作り上げた厚生官僚(当時)・小山進次郎は、なぜ、一般市民感情に反する可能性もある法改正を、あえて行ったのか。
 「欠格条項を設けなかったのは現行法の特徴なのですが、小山進次郎は『何らかの意味において社会的規律から背理している者を指導して自立できるようにさせることこそ社会事業の目的とし任務とする所であって、これを始めから制度の取扱対象外に置くことは、無差別平等の原則からみても最も好ましくない所だからである』(小山進次郎『生活保護法の解釈と運用』106ページ)としています。つまり、『そうした望ましくない行動をする人がいた場合は、ソーシャルワークによって支援すべきである』ことを含意しているのです。実態としても、ギャンブルに依存する人には明らかに依存症の方もいますし、それに近い方もいると思います。そうした利用者には、病気という認識に立って支援するのが本筋であり、強制的に禁止しても、効果は限定されるでしょう」(吉永氏)
 しかし別府市では、パチンコ・競輪に対して「生活保護の停止」という処分が実際に行われてしまった。このことは何を意味するのだろうか。
 「処分を受けた人は、1〜2ヵ月、食費も住宅費もなく、医療も受けられなかったことになります。慢性疾患等のある方もおられたと思われます。パチンコ・競輪は決して望ましくはないとはいえ、これほどの罰を受けなければならないことなのかどうか、大いに疑問です。非違行為に対して行う処分は、バランスがとれている必要があります。『軽い違反行為なのに、釣り合いの取れない重い罰を科してはならない』ということです」(吉永氏)
  健康被害は当然ありうるし、場合によっては命を失うことにもつながったかもしれない。もしかすると、本人は「パチンコのために死ねるなら本望」なのかもしれないが、最低限度であるにせよ「健康で文化的な生活」の前提は生存である。生活保護制度を市民感情に配慮しつつ運用することが、生活保護利用者の生存を突き崩すとしたら、何のための生活保護であろうか。


posted by GHQ/HOGO at 05:49| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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