2020年03月31日

「生活保護」の受給は悪いか?──政治を考える

近年の「生活保護叩き」の先入観とは異なり、生活保護の支給率が低く、不正受給も少ないことは、多少とも知識のある人は誰でも知っている。日本の生活保護は、1980年代から窓口レベルで受給規制を厳しくしていたため、貧困者に対する受給者の比率(捕捉率)は約2割である。スウェーデンは82%、フランスは91%、ドイツは65%だ。不正受給率は金額ベースで0.38%。受給世帯は高齢者世帯が43%で最多、さらに障害・疾病者世帯が33%、母子世帯が8%である(いずれも2010年の数字)。
 とはいえ受給者は95年の約88万人から、2012年には210万人を超えた。受給世帯も「その他」、つまり稼働年齢で障害者でも母子家庭でもない世帯が急増し、2010年には前年比32%増の16%に至った。「働かない受給者が増えている」という見方も、傾向としては間違ってはいない。
 これに対し貧困対策の運動関係者は、それは景気の悪化のため失業者や貧困者が増加しているためであり、生活保護受給が悪いのではないと主張する。それも正しくはあるのだが、ここで踏まえておくべきなのは、前提としての制度設計である。
 そもそも日本では、最低賃金>年金>生活保護という、社会保障の基本が成立していない。より正確には、公務員や大企業正社員は賃金>年金>生活保護なのだが、その枠外の人間は生活保護>最低賃金>年金なのだ。公務員や正社員が加入する共済年金や厚生年金はたいてい月額20万円ほどになるが、国民年金は満額でも6万円あまりである。前者は自分で納入する以外に、勤務先が保険料を納めてくれるからだ。これで高齢になったら、生活保護に流れ込まないほうがおかしい。雑誌『G2』11号で、アメリカの社会保障専門家は、こうコメントしている。
 「日本で生活保護受給者が増えているのは怠け者が多いからではなく、社会保障制度設計が悪いからです。日本の年金制度は上(高所得者)にやさしく、下(低所得者)に厳しい仕組みになっています。これではどんどん生活保護に行ってしまう」
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2020年03月30日

生活保護はそんなに悪いのか?

 不正受給がクローズアップされがちな「生活保護」。神奈川県小田原市では担当職員が「保護なめんな」とプリントされたジャンパーを着用し問題となった。第三者委員会で検証が始まったが、支援する職員の差別意識が見え隠れする。生活保護はそんなに「悪」なのか。
 ケースワーカーをはじめとする対人援助職は、人の人生や命に関わる重要な職種であり、きわめて高い専門性が必要とされている。
 この専門性に関する国家資格の代表的なものに社会福祉士資格があるが、制度上はケースワーカーになるために必要とされていない。一応、福祉事務所の職員のうち、ケースワーカーとその指導監査を行う査察指導員については、社会福祉主事という資格を取得していることが社会福祉法に規定された条件となっている。
 しかし、社会福祉主事は、指定された30以上の科目のうち3科目の単位を修得して大学を卒業するだけで誰でも取ることのできる資格だ。異動が決まってから研修を受けて取得することもできる。ケースワーカーになるために、一般事務の広範な知識は求めても、対人援助に必要となる高い専門性は求めない仕組みが続いているのが現状だ。
 さらに、社会福祉主事が条件になっているにもかかわらず、この資格の保有率は75%程度であり、25%が無資格で社会福祉法に違反しながら支援をしている。社会福祉主事は社会福祉士と比較しても決して専門的ではない資格なのに、それすら持っていない職員がかなりの数にのぼっている。また、通常1〜3年で異動があるため、専門性は高まらず、十分に知識や技術が継承される機会もない。
 このような状態では、ケースワーカーに人権感覚や多様な福祉の知識・技術を持つことを期待することが不可能であると考えざるを得ない。
 生活保護ケースワーカーも人間であるから、差別意識や偏見を持つことがある。だからこそ、それが悪い作用として表面化しないように自己覚知し続けることが重要なのだ。そのためには、対人援助の訓練を受けた専門性の高い職員を配置し、日々の研修体制を整備するなど組織的な対応を充実させていく必要がある。
 そして、不正受給対策ばかりに取り組むのではなく、生活保護制度が必要であるにもかかわらず生活保護から排除されている人たちの問題に取り組む必要がある。生活保護制度の捕捉率は20%以下であるから、80%以上の人たちが生活保護から排除されたまま劣悪な状況での生活を強いられている。どちらがより重要な問題かは明白だろう。生活保護制度への誤解と偏見を解き、本当に必要な改革を進めていかなければならない。
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2020年03月29日

ケースワーカーによる不正と水際作戦

 不正受給と関連した生活保護に関する誤解で、生活保護は「簡単に受けられる」、だから「不正がはびこっているのだ」というものもある。もちろん生活保護は、誰でも受ける権利がある制度だ。
 しかし現実には、日本は世界的に見ても生活保護を受けることが非常に難しい国になっている。まず、世界でも類を見ないほど厳しく徹底した資産調査を日本では行っている。さらに、窓口のケースワーカーが不当に保護を受けさせないようにする「水際作戦」が横行している。
 たとえば、若い人が福祉事務所の窓口に相談しに行くと、「まずハローワークに行って、仕事がないということを証明してからでなくては生活保護を受けることができません」と追い返されるケースがある。ケースワーカーは生活保護の申請を受けた場合、法律上、拒否することはできない。だから申請させないよう、このような手段をとる。本来は、若くて働けたとしても生活保護を申請することは可能であり、資産や収入が条件を満たしていれば生活保護を受給することができる。
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2020年03月28日

「不正受給」の意味

 生活保護の不正受給件数は、全体の約2%程度であるが、相変わらずもっと多いのではないかと報道されることもある。私はこの約2%程度であるという厚生労働省の報告にも疑いを持っており、本当はさらに相当少ないはずであると考える。
 この不正受給の議論をする際に、私たちは生活保護の不正受給とは何を指すのか、明確にしておかなければならない。生活保護の不正受給とは、福祉事務所が生活保護法第78条に該当したと判断して決定したものである。
第七十八条  不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者があるときは、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の全部又は一部を、その者から徴収することができる。
 ここでいう「不実の申請その他不正な手段により保護を受け」という文言は、本人が故意に福祉事務所を騙すことがないと成立しない。本人に騙す意図があったのか否か、立証責任は処分庁である福祉事務所にある。
 生活保護受給者の多くは、生活保護制度のことを知らなかったり、申告を忘れてしまう場合がある。収入の未申告や報告漏れを故意で意図的に行うことよりも、過失による報告忘れや制度の理解不足が背景にある。ましてや、生活保護を受給している人々の大半は、高齢者や障害者、傷病者であり、生活保護に関する様々な事務作業が1人で十分に処理できるとも限らない。
 そのため、申告も含めた生活支援をすることがケースワーカー(福祉事務所職員)に求められるのである。だから、生活支援をするなかで、未申告の収入が見つかった場合、故意でないと主張しているのであれば、普通に返還を求めればよく、不正受給として扱うには適切ではないケースが大半である。
 この普通返還は生活保護法第63条に規定されている。
第六十三条  被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。
 要するに、生活保護の不正受給(生活保護法第78条)として処理されている多くの部分に疑いを持っている。つまり、不正受給として計上されている案件の多くが、本来普通返還で対応すべきケースであると考えている。
 例えば、受給世帯の高校生がアルバイトをしていた場合、このアルバイトの収入が未申告だと、統計上は不正受給として扱われてしまう。また、年金やその他の社会保障給付の未申告も、同様に不正受給とされる。
 NHKの報道によれば、不正受給の内容は、「働いて得た収入を申告しないまま生活保護費を受け取っていた」が46%、次いで年金を申告しなかったのが19%、働いて得た収入を少なく申告していたのが13%などとなっている。
 このような事案の大半では、担当のケースワーカーが十分にチェックしていなかったため収入を捕捉できていなかったということや、そもそもケースワーカーからの説明不足のために、申告することを知らなかったということが少なくない。当事者の中には、収入があれば当然役所が把握しているものだろうと思っていたために、制度の仕組みとして不正受給に分類される状況に至ってしまったというケースも多い。
 したがって、「不正受給」とされている問題の多くは、利用者の側に問題があるというよりも、ケースワーカーの側に問題がある。ケースワーカーは常に人手不足で、膨大な事務に忙殺されているため、利用者に対して十分な説明をしていなかったり、コミュニケーションをしっかりと取れていないことも多い。このように、「不正受給」の多くは行政の体制が生み出しているにもかかわらず、あたかも生活保護を受ける人たちが不正を働いているという誤解が広がっている。これは、行政による「不正受給」の偽装である。
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2020年03月27日

預貯金の存在が発覚すると受給停止になるケースも―生活保護を受ける上での制限事項

@ 預貯金を持てない
 活保護費として支給されるお金は生活を維持できる最低限の額とされているので、預貯金は支給の目的とは矛盾するもの。そのため預貯金の存在が発覚すると、受給額の減額や受給停止という処分が下されることがある。
A 借金ができない
 借金をすると受給したお金で返済することになり、やはり生活費を賄うだけという本来の用途とは矛盾する。借金がある場合には、自己破産など債務整理手続をしてから申請するのが原則。
B 財産を持てない
 不動産など「プラスの財産」がある場合には、「処分して生活を賄うことができるはず」と考えられるため、生活保護費の受給ができない。ただし住宅ローンの滞納により不動産を任意売却する場合は負債のほうが大きく「マイナスの財産」と見なされるため、受給が可能。自家用車が財産に当たるかどうかはしばしば議論されるポイントだが、地域により判断が分かれる。交通網が発達しておらず、車がないと生活が成り立たない地域では、保有が認められるが、都市部など車なしでも十分生活できるエリアでは認められない。
C 保険に加入できない
 掛け捨ての保険であれば認められるケースもあるが、貯蓄型の保険は財産に当たるため加入できない。また医療費は生活保護費とは別に支給されるので、医療保険に加入する必要性はなくなる。
D 健康保険証を持てない
 医療費は福祉事務所から受け取る医療券で賄うため、健康保険証は返還することになる。受診できる病院は指定された医療機関のみであり、緊急時以外はその他の病院で治療を受けることはできない。
E 居住できる物件に制限がある
 生活保護下では家賃は住宅扶助として別立てで支給される。エリアごとに上限が決まっているため、家賃がそれ以下の物件にしか住むことができない。
F 経済状況を報告する義務がある
 受給額が適正かどうかを確認するため、収入と支出について定期的に報告する義務が課されている。報告を怠ると不正受給と見なされることがある。
G   ケースワーカーの指導に従う義務がある
 生活保護は基本的に自立して生活できるよう支援するための制度。そのためケースワーカーによる就職活動の指導や就職先の紹介などがあり、従うよう義務づけられている。
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2020年03月26日

生活費、引っ越し費用、敷金・・・国がすべて負担!?

 「家賃を支払えるだけの収入がなく、保証人も見つからない」というケースでは、独力で賃貸住宅を借りて住むのは難しいため、生活保護など国の支援を利用しなければならない。
 生活保護の申請が認められれば、生活費のほか、引っ越し費用や敷金、礼金も国が負担してくれる。確実に家賃が徴収できるため、生活保護費受給者の入居を歓迎する大家もいるので、家探しの苦労はなくなる。
 生活保護にはあまりいいイメージがないため、積極的に受けようとする人はほとんどいないが、生活保護は国が定めた国民を守るための制度であり、受給することは国民の権利なのだ。生活再建のために利用することをためらう必要はない。ただし、生活保護を受ける暮らしには通常と異なる制限が課せられるので、事前に確認しておくことが大切。
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2020年03月23日

「一億総中流」は幻想

 高度経済成長が終わって以降の日本において、格差をめぐる階級間の対立で勝利を収め続けてきたのは特権階級の側だった。そしてこの間、日本政府が格差は深刻ではないと言い続けてきたということは、日本政府が特権階級の代弁者であり続けてきたことの、何よりの証拠である。1970年代の終わりには、「一億総中流」という言説が流布し、あたかも格差や貧困の問題は日本からなくなったかのような幻想が振りまかれた。たしかに当時、現在に比べれば日本の格差は小さかったが、中小零細企業や零細な農家には依然として深刻な貧困があった。
そして、1980年代に入ったころには格差は拡大し始めていた。しかし「一億総中流」という幻想のもと、格差拡大は放置され続けた。そればかりか、消費税の導入、高所得層の所得説率の引き下げなど、格差拡大を助長する税制の改変が行なわれた。
 1990年代に入ると、一部の経済学者や社会学者が、格差は拡大していると指摘し始めた。しかし、これらはほとんど無視され、政府は逆に格差拡大を積極的に促進するような政策をとり始めた。財界人を中心とするメンバーで構成された経済戦略会議は、日本の社会は、「行き過ぎた平等社会」だと根拠もなく断じ、富裕層減税と低所得者の増税を提言し、これが実行に移された。
反面、非正規労働者の低賃金と不安定な身分は放置された。そのうえ規制緩和によって、非正規労働者は激増し、巨大なアンダークラスの出現へと至るのである。
 2009年から3年だけ続いた民主党政権が、遅まきながら格差が拡大し、貧困率が上昇しているという事実を認め、対策を取ると明言したこともあり、こうした事実自体は、広く認められるようになった。代わって格差を正当化するイデオロギーとして流布し始めたのが自己責任論、つまり収入が低いのは自己責任だから放っておけばよいとする主張である。いまのところ自己責任論の影響力は強く、これが格差縮小に向けた合意形成の最大の障害になっている。
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2020年03月22日

「格差」は隠蔽されたか?

 格差拡大が話題になり始めたころ、政府、財界、そして一部のマスコミは、躍起になって格差拡大の事実を否定しようとした。
 最初の段階では、都合のいい統計データを示しながら、「格差は拡大していない」と言い張った。いくつもの指標が格差拡大を示していることを否定できなくなると、「格差拡大は見せかけだ」と言いだした。
 OECDが、日本の貧困率は先進国のなかで米国に次いで高いと発表すると、「この貧困率の計算方法は日本にはあてはまらない」などと言い張った。さらに統計的な証拠が集まって、格差が実質的にも拡大していることが否定できなくなると、「格差があるのは当然だ」と開き直った。
 こうして政府が、格差拡大と貧困の増大という事実から目を背け、開き直り、対策を怠っているうちに、日本社会は取り返しがつかないほどに変質してしまった。その結果が、新しい階級社会と巨大な下層階級(アンダークラス=パート主婦を除く非正規労働者たち)の出現である。
 ここから明らかなように、格差は政治的な争点である。しかも、それは階級的な利害と密接な関係にある。人には日本国憲法で認められた生存権と平等権がある。だから生存権を脅かすような貧困の存在が明らかになれば、政府は対策を取らなければならない。
 平等権が侵されるほどに格差が拡大していることが明らかになれば、やはり政府は対策を取らなければならない。しかしそのためには、富を特権階級から下層階級へと移転させなければならない。特権階級の利害は脅かされることになる。
 だから特権階級は、貧困の存在も、また格差拡大の事実も認めたくない。特権階級は、自分たちが恵まれた立場にあることを隠すため、いまの社会では格差が小さいと主張する。そうでなくても、格差は許容範囲であり、縮小させる必要はないと主張する。
 このように貧困が存在するか否か、格差は拡大しているか否かといった、社会に対する認識自体が、階級間の対立の争点なのである。
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2020年03月21日

生活保護は持ち家があっても受給可能! 必要な2つの条件とは?

 生活が困窮してしまったときに、頼みの綱となるのが「生活保護」。しかし、生活保護の申請をするためには、資産の売却や処分を求められるケースがある。そうした資産のなかに、持ち家が含まれるのかどうか気になっている人もいるだろう。そこで、ここでは持ち家を所有したまま、生活保護を受ける方法があるかについて解説していく。
 生活保護は、簡単にいうと「何らかの理由によって生活ができるほどの収入を稼げない人のために、国が生活費を保障する制度」である。どれぐらい生活費を保障してくれるかについては、困窮の程度や世帯の人数などによって異なる。また、生活保護には利用者の生活状況に応じて、いくつかの種類があるのも特徴である。一般的な生活扶助に当たるのは、食費や被服費、光熱費といった「日常生活を送る上で必要な費用」となっている。それ以外には、子供がいる場合に義務教育を受けるための必要な学費を賄う「教育扶助」、介護が必要な人がいる場合の「介護扶助」といった制度がある。
 生活保護は基本的に生活に困窮している人のための制度なので、国民全員がその恩恵を受けられるわけではない。受給条件は主に各市区町村の福祉事務所で厳しく審査され、なかには認められないケースもある。ただし、申請が却下された場合でも再申請をしたり、再審査請求を行ったりできる点は覚えておくといいだろう。生活保護の考え方は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という日本国憲法第25条に規定された生存権の理念に基づいている。
 生活保護を申請するかどうかで悩んでいる人のなかには、「申し訳ない」という気持から躊躇する人もいるが、憲法に規定されている権利なので変にためらう必要はない。本来、不要であるはずの人が申し込んだ場合は却下される仕組みとなっているので、生活保護が必要だと感じたら福祉事務所へ相談してみることだ。ただし、生活保護は一生涯の生活を保障するためのものではない。あくまでも、生活困窮者の自立を手助けするための制度。一時的に生活が困窮したときに利用しつつ、新たな職場を探すなど生活再建へ向けた努力を怠ることのないようにすることだ。
・受給条件1.手持ちのお金がないこと
 生活保護の受給条件の1つ目は「手持ちのお金がないこと」。
 なかには誤解する人もいるが、生活保護の受給条件においては「世帯全員の手持ちのお金がないこと」が条件となる。なぜなら、生活保護はあくまでも生活に困窮している世帯全員が対象となるからだ。受給する場合も、世帯の一部ではなく世帯全員で受け取ることが条件となっている。
 例えば、共働きの両親と成人した子供が同居している場合、成人した子供に手持ちのお金がなくても、一般的に両親が生活費を工面することは難しくはないはず。生活保護の財源も無限にあるわけではないので、このようなケースまで対応できないというのが実情だ。また、そもそも両親には扶養義務もあるので、この事例では生活保護が認められる可能性は低いだろう。
 では、手持ちのお金がどれぐらいなら受給できるかというと、世帯全体の人数や収入および、貯金などの資産が国の定める基準以下であることが基本になっている。ただし、国が定める基準は地域ごとの最低生活費となっており、住んでいる場所によって異なるので、まずは厚生労働省のホームページで確認してみることだ。
 また、生活保護は誰もが受けられるものではなく、「何らかの事情によって収入が少なく、満足な生活ができない人」のための制度だ。そのため、働ける人は能力に応じて働くことが前提となっており、それでも収入が生活最低費よりも低い場合に申請できる仕組みとなっている。つまり、収入や貯金などを合わせても手持ちのお金が少なく、生活に困窮していることが受給のための条件である。
・受給条件2.即時現金化できる資産がないこと
 生活保護を受給する2つ目の条件は「即時現金化できる資産がないこと」。なぜなら、即時現金化できる資産を持っているのであれば、生活に困窮しているとはいえないからだ。例えば、手持ちの現金がない場合でも、生命保険を解約すれば多額の解約金が手に入る状況であれば、しばらくは生活に困ることはない。生活保護の目的は利用者の自立なので、あくまでも一時的な制度。生命保険を解約して生活再建までの時間を稼げると判断されれば、受給できない可能性が高いといえる。貯金や生命保険といった現金化しやすい商品などを所有している場合は、先に見直しておくことだ。
 また、年金や児童扶養手当の対象となる世帯が生活保護を申請するケースもよくある。この場合、年金や児童扶養手当で受給できる金額は収入とみなされて差し引かれるが、生活保護も合わせて受給することは可能。年金や児童扶養手当の対象に該当する人も、生活が苦しくなっている場合は、申請してみることだ。ただし、生活に不要な資産を処分せずにいると受給できない可能性はある。たとえば、住んでいない家や土地、自動車は生活に不要な資産であるとして、売却して生活費に充てることを求められるケースが多い。
 住んでいない家や土地は処分しないと生活保護を受けられる可能性は低くなるが、持ち家の場合は原則的に住みながら受給できる。なぜなら、住んでいない家や土地はすぐに売却することが可能だが、住んでいる家は即時現金化できる資産とはみなされないからだ。また、持ち家がなくなってしまうと、住む場所を失うので生活保護受給者の生活はさらに困窮する。そうした観点からも生活保護の目的からは逸脱してしまうため、原則的に持ち家に住みながらの受給は可能なのである。
 持ち家に住みながら生活保護を受給している世帯は、生活保護の1つである「住宅扶助」を受給しなくてよいので、資産を有効活用しているとみなされるというわけだ。ただし、生活保護を受ける世帯のすべての持ち家が処分しなくてよいと判断されるわけではなく、住み続けられる家にも一定の要件がある。持ち家の処分が求められるのは具体的にどのようなケースなのか。
 結論からいうと、あまりにも豪華な持ち家は処分の対象とされる可能性が高い。具体的には利用価値よりも売却した際の価値が著しく高い場合が該当する。例えば、両親と子供1人の3人家族にもかかわらず、5LDKなどの間取りが多い住宅に住む事例です。持ち家に住むよりも現金化し、3LDKなどの賃貸住宅に住んで残りの資金を生活費に充てたほうが生活の維持に役立つと判断されると、持ち家の処分を求められるケースがある。
 厚生労働省の指針によると、売却検討の目安としては「標準3人世帯の生活扶助基準額と住宅扶助の特別基準額を合わせたおおむね10年分」である。30代および20代の夫婦と4歳の子の3人暮らしが標準3人世帯として想定されている。この場合に持ち家の売却が求められる売却金額の目安はおよそ、2,000万円〜3,000万円である。(※エリア・地域により異なる)
 持ち家を所有していても、住み続けたまま生活保護を受給できるケースは珍しくない。昔に比べると都市部でも住宅価格は下落傾向にあるので、住み続けたまま生活保護を受給できる可能性はそれなりに高い。生活が困窮して生活保護を受けることを検討する際は、慌てて持ち家を処分するのではなく、生活保護をはじめとするさまざまな支援を受けながら生活を再建することを考えることだ。
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2020年03月20日

生活保護法の原理・原則−社会福祉士&精神保健福祉士の共通科目を受けられる方へ

 社会福祉士&精神保健福祉士の共通科目を受けられる方は、合格する上で絶対に理解すべき項目の1つ。では始めよう。生活保護法の原理と原則はそれぞれ4種類あのはご存じだろうか。4つずつの項目を挙げてみてほしい。
 それでは確認である。
・生活保護法の原理…国家責任の原理(第1条)、無差別平等の原理(第2条)、 最低生活の原理(第3条)、保護の補足性の原理(第4条)
・生活保護法の原則…申請保護の原則(第7条)、基準及び程度の原則(第8条)、 必要即応の原則(第9条)、世帯単位の原則(第10条)
 まず、どのような原理・原則があるのか、しっかりとおさえておこう。続いて、生活保護法の原理・原則について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていく。社会福祉士 第26回 問題64を解いてみよう。精神保健福祉士は、第16回 問題64となる。
『生活保護法で規定されている基本原理、原則に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 保護は、個人を単位としてその要否及び程度を定めるものとされている。ただし、これによりがたいときは、世帯を単位として定めることができる。
2 生活保護法により保障される最低限度の生活は、肉体的な生存を維持する程度とされている。
3 保護の申請は、要保護者、その扶養義務者のほか、要保護者の同居の親族がすることができる。
4 保護は、都道府県知事の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度のものとされている。
5 生活保護法は、最低限度の生活を保障するとともに、社会的包摂を助長することを目的とすると定めている。』
 正解の選択肢を選べただろうか。もし、知らない内容が出てきたとしても、問題文を読んで考えてみることが大切。そうすることで、解説をより深く理解することにもつながる。それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていく。
・選択肢1:第10条「世帯単位の原則」の内容。保護は世帯を単位として実施される。
・選択肢2:第3条「最低生活の原理」の内容。最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものとなっている。
・選択肢3:第7条「申請保護の原則」の内容。また、要保護者が急迫した状況にあるときは、申請がなくても保護が行える(職権保護)。合わせて理解しておこう。
・選択肢4:第8条「基準及び程度の原則」の内容。生活保護の基準は、厚生労働大臣によって決定される。
・選択肢5:第1条「国家責任の原理」の内容。生活保護法の目的は、最低限度の生活保障と自立助長の2点である。
 これより、正解は3となる。「問題を解く→解説を読む」を繰り返し、ポイント事項を整理していくことが大切。
 この問題で出題されていない項目も含め、生活保護法の原理・原則のポイントを整理すると、次のようになる。
・生活保護法の原理
 国家責任の原理…生活に困窮する国民の最低生活保障を国がその責任において行う。
 無差別平等の原理…生活に困窮しているかどうかといった、経済的状態にのみ着目。
 最低生活の原理…健康で文化的な最低限度の生活を保障しなければならない。
 保護の補足性の原理…他法・他施策を利用した上で、それでも困窮している場合に行われる。
・生活保護法の原則
 申請保護の原則…申請保護を前提とするが、要保護者が急迫した状況にあるときは、申請がなくても保護を行えるようになっている(職権保護)。
 基準および程度の原則…厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭または物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行う。
 必要即応の原則…要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人または世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効かつ適切に行う。
 世帯単位の原則…保護は、世帯を単位としているが、特別の場合には個人を単位とすることもできる(世帯分離)。
 生活保護法の原理・原則は、国家試験でほぼ毎回出題されている、最重要事項の1つ。 ここでのポイント整理と合わせ、生活保護法の条文を読んで、しっかりと復習することが大切。ここで確実に1点取ろう。
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2020年03月19日

支給日は毎月5日の自治体がほとんど

 生活保護費が支給される日は、ほとんどの自治体が毎月5日となっている。地域によっては1日や3日のところもあるようだが、月初めが基本的な支給日である。
 また生活保護の審査には、最長で14日かかる。申請してもすぐに受給できるわけではないので、注意することだ。生活保護が開始されるまでの生活費がない人は、社会福祉協議会の臨時特例つなぎ資金貸付を利用できる場合もある。
 生活保護を受けるには、収入や資産がなく頼れる身内もいないなどの条件を満たす必要がある。他の公的制度を使っても、生活が苦しい人のみが受給できる制度である。世帯人数や地域によって受給額は変わるが、最低限の生活は保障してもらえることから利用を望む人が多くいる。しかし国からお金をもらうということなので、不正受給は許されない。いまの自分の状況をよく確認して、本当に困ったときに申請することで
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2020年03月18日

最低生活費の計算方法は?

 支給される生活保護費は、基準となる最低生活費の金額に左右される。では、最低生活費は、どのように算出されているのだろうか。
 生活保護には8種類の扶助があるたが、主になるものは生活扶助と住宅扶助である。生活扶助は第1類と、第2類に分けられる。
【第1類】
食費や衣類などの個人的費用
第2類
・水道光熱費などの世帯に共通してかかる費用
 これらに住宅扶助を加算した金額が、だいたいの最低生活費になる。さらに教育扶助や介護、医療扶助に当てはまればそれらも追加される仕組みである。
 生活扶助(第1類)+生活扶助(第2類)+住宅扶助+その他の扶助=最低生活費
 生活扶助第1類は、世帯全員の第1類基準額に逓減率(世帯人数によって割合が異なる)を乗じて計算する。生活扶助も住宅扶助も地域の等級によって異なり、都心ほど高く地方は低く設定されている。
 では、具体的な金額はいくらくらいになるか計算していこう。世帯・地域別の受給金額を計算してみた。世帯人数や地域で、どれくらい金額が変わってくるのか気になるところだが、単身世帯と子供がいる世帯と東京都心部と地方、それぞれのパターンで計算してみたので参考にしてほしい。

1、 東京都23区内に住む単身世帯のAさん
 Aさんは東京都23区内に住む25歳の男性で、アルバイトによる収入は約7万円。東京都23区は1級地-1、その地域の単身の逓減率は1.0%になる。
生活扶助(第1類)
38,430円×1.0%=38,430円
132,930円
生活扶助(第2類)
40,800円
住宅扶助
53,700円
Aさんの最低生活費は132,930円で、そこから収入の7万円を引くと受給金額は62,930円となる。

2、 愛知県犬山市に住む単身高齢者のBさん
 Bさんは愛知県犬山市に住む73歳の女性で、年金等の収入はない。犬山市は地方なので3級地-1となり、単身の逓減率は1.0%。
生活扶助(第1類)
28,540円×1.0%=28,540円
103,860円
生活扶助(第2類)
34,420円
住宅扶助
40,900円
 Bさんは収入がないため、最低生活費の103,860円がそのまま生活保護費となる。

3、 北海道函館市に住む3人世帯のCさん
 Cさんは北海道函館市に住む32歳男性で、同い年の妻と3歳の子供がいる3人家族。体が弱く長時間労働ができないため、毎月の収入は約10万円。函館市は2級地-1で、3人世帯の逓減率は0.8350%になる。
生活扶助(第1類)
34,740円+34,740円+27,090円=96,570円
96,570円×0.8350%=80,640円
189,120円
生活扶助(第2類)
53,480円
住宅扶助
45,000円
児童養育加算
10,000円
 189,120円の最低生活費から収入を引くと、生活費保護費は89,120円。Cさんには3歳の子供がいるため、生活扶助と住宅扶助のほかに児童養育加算が追加されている。児童一人につき、10,000円もらえる加算。また函館市は極寒地のため、冬になると冬季加算も適用される。
以上はあくまで概算である。状況によって適用される加算は異なるので、地域の福祉事務所で確認することだ。
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2020年03月17日

生活保護受給者がお金を借りるのは難しい

 生活保護を受けると、ローンを組んだりクレジットカードを契約したりすることができなくなる。法律で禁止されているわけではないが、金融機関の審査に通らないケースがほとんどなのだ。生活保護費は安定した収入とみなされず、借りても返せないだろうと判断される。
 嘘をついてカードローンを契約しても、返済が滞ればブラックリストに載って今後一切お金を借りられなくなる。生活保護受給者でも融資可能だとうたっている業者はヤミ金の可能性が高いため、注意が必要なのだ。
生活保護費はいくらもらえる?
 生活保護費は、どれくらいもらえるのでしょうか。厚生労働省が定める最低生活費から自分の収入を差し引き、その差額分が生活保護費として、支給される仕組みだ。最低生活費が15万円で自分の収入が8万円だとしたら、生活保護費は7万円となる。自分の収入が最低生活費を上回っていたら、受給はできない。
 最低生活費は、世帯人数や年齢、地域の等級によって異なる。妊婦や障害者など状況によっては加算扶助もあるため、1人ひとりもらえる金額は違ってくる。自分の住んでいる地域の等級については、厚生労働省のHPに一覧が載っているので参考にすることだ。この地域の等級が最低生活費を計算するうえで、最も重要になってくる。住んでいる地域の等級を確認することだ。より正確な金額を知りたい人は、自分が住んでいる地域の福祉事務所へいくと教えてくれる。
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2020年03月16日

収入状況などをケースワーカーに報告することが必須

 生活保護を受けると、収入状況をケースワーカーへの報告することが必須。ケースワーカーが定期的に自宅を訪問して現在の給料明細や過度なギャンブルをしていないか、高価なものを買っていないかなどをチェックする。
ここで生活態度が悪いとお金の使い方等のアドバイスを受け、改善されない場合は受給がストップする可能性もあるので、気をつけることだ。
 働ける状態であると判断されれば、求職活動の回数なども聞かれる。定期訪問は月に1回から年に3〜4回と地域や担当者によって異なるが、抜き打ち訪問もある。窮屈に感じるかもしれないが、少しでも早く自立して生活できるようになるために必要な調査だということを忘れないこと。日ごろから、節度ある生活を心がけることが大切だ。
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2020年03月14日

生活保護のデメリットは?

 生活保護はお金を借りるのではなく、もらえる制度のため魅力に感じる人も多いだろう。住民税や医療費が免除になるメリットもあるが、当然デメリットも発生する。生活保護を受けることで、制限される点をあげてみる。
・車や装飾品などの贅沢品を持てなくなる
・持ち家を売却したら、引っ越さなければいけない
・ローンやクレジットカードを利用できない
・飲酒や喫煙、ギャンブルが制限される
・自治体によっては条件が厳しく受給できないこともある
 国や地方自治体からお金をもらっているわけだから、贅沢はできないだろう。定期的にケースワーカーが様子を見にくるので、不必要なものを買うとバレてしまう。当然、旅行にいったり自分の趣味を満喫することも難しくなる。生活保護受給者に対して、働いていないのにお金をもらっている現状を厳しく言ってくる人もいるだろう。支援をしてもらうには、それなりの代償があることを覚えておく必要がある。
 本当は働けるのに嘘をついて、不正受給をすることは許されない。生活保護費で散財しているところを、近所の人がケースワーカーに報告することもある。不正がバレると今までの保護費を全額返し、場合によっては罰金を科せられるので注意することだ。
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2020年03月13日

障害者も生活保護が受けられる!

 身体的な障害や病気の人だけでなく、精神障害者も生活保護を利用できる。精神障害者とはうつ病やパニック障害などを患っている人のことで、障害者加算も受けられる。
 働こうという意欲があっても実際に仕事をしてみると心が壊れてしまい、収入が得られず生活苦に陥る人がほとんど。精神病は見た目ではわからない病気のため、ケースワーカーは医師の診断書で働けるかどうかを判断する。
 精神障害者には、焦らせずゆっくりと長い目で生活を安定させることも目的に、支援してくれるので安心することだ。
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2020年03月12日

母子家庭の人は母子寡婦福祉資金も利用しよう!

 生活保護を受ける世帯の約5%が、母子家庭や父子家庭などの1人親世帯である。高齢者世帯や障害者世帯よりも、圧倒的に少なくなっている。母子(父子)家庭の人は、生活保護を受ける前に、母子寡婦福祉資金という公的制度の利用を勧められるからだ。
 母子寡婦福祉資金は、母子家庭の人が無利子または低利子でお金を借りられる制度である。子供の大学進学費用などにも使え、返済も無理なくできるのがメリット。しかし生活保護と併用はできないため、注意することだ。母子寡婦福祉資金を利用したあとに止むを得ず生活が苦しくなった場合のみ、生活保護の申請ができる。
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2020年03月11日

年金と生活保護のダブル受給は可能?

 年金があまりにも少なく、生活が困難であれば生活保護とダブルで受給できる。これは働けない高齢者の場合であり、健康で働ける状態にある人はまずアルバイトなどの職探しを勧められる。
 また子供や兄弟など、援助してもらえる人がいれば身内を頼るようにとも言われる。あくまで頼れる人もおらず、働くのが困難な高齢者が対象である。
 最低生活費から年金収入を差し引いた差額分を、もらうことができる。例えば最低生活費が13万円で年金収入が8万円の人が受給できる生活保護費は、差し引いた差額分である5万円になる。
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2020年03月10日

生活保護の申請条件は主に4つ

 生活保護は基本的に、4つの条件を満たしていないと受給できない。世帯単位で支援をするため、家族がいる人は全員が以下の条件を満たしている必要がある。
・資産をもっていない人
 貯金があったり、土地(持ち家)や車などの資産をもっている人は対象外。すべての資産を売却して、それでも生活費が確保できない場合は受給できる。アパートに住んでいる人は自分の家ではないので資産扱いされず、生活保護を受けることができる。
・働くことができない人
病気やけがなど、何らかの理由があって働けない人は生活保護を受けられる。働いていなくても十分な年金をもらっている高齢者は、収入があるとみなされ受給できない。
・他に利用できる公的制度がない人
母子寡婦福祉資金や求職者支援など他の公的な制度を受けることができる場合は、先にその制度を受けることが前提。それらの制度を利用した後でも、生活が困窮している人が生活保護を受けられる。生活保護は、最終手段。一度、他に使える制度がないか調べてみよう。
・親族からの支援が受けられない人
自分に収入や資産がなくても、親などの親族に資産があって援助が可能だと判断されると受給できない。頼れる身内のいない人が、生活保護の対象。
 以上の条件をすべて満たしたうえで本人の収入と厚生労働省の定める最低生活費を比べ、収入が最低生活費を下回っていた場合に限り生活保護を受けることができる。まずはこの4つの条件が当てはまっているか、確認してみることだ。
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2020年03月09日

生活保護とは?

 生活保護とは生活保護法に基づいて、さまざまな理由で働くことができない人や極端に収入が少ない人のために最低限の生活ができるよう支援をする制度である。各市区町村の福祉事務所が、窓口となっている。1世帯につき1人のケースワーカーが担当し、相談や訪問調査を行う。厚生労働省のHPにも説明があるので、参考にしてほしい。
 生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としている。
 生活保護の相談・申請窓口は、現在居住地の地域を所管する福祉事務所の生活保護担当である。福祉事務所は、市(区)部では市(区)が、町村部では都道府県が設置している。
 生活保護には8種類の扶助があり、目的に応じて支給される。
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2020年03月07日

急増する貧困高齢者と生活保護費の簡易推計

 財政が担う機能の1つに「所得再分配」機能があるが、財政が破綻すれば、この最も重要な「所得再分配」機能が著しく低下してしまう可能性も否定できない。憲法25条では、「(1)すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 (2)国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とし、最低限のセーフティーネットとして生活保護を張っているが、そのときの急激な歳出削減などで最も被害を受けるのは、このような生活保護を受けている「弱い立場」の国民(その両親をもつ子供も含む)であろう。そのような事態にけっして陥らないよう、最悪の状況も想定しつつ、いまから社会保障・税一体改革をしっかり進めて、財政を再建しておく必要がある。
 一般的に「生活保護」というと、他人事のように思われがちだが、データを精査すると、貧困高齢者等が急増している。例えば厚労省「被保護者調査」によると、2015年において、65歳以上の高齢者は約3380万人いたが、そのうち2.9%の約97万人が生活保護の受給者である。すなわち、100人の高齢者のうち3人が生活保護を受ける貧困高齢者である。1996年では、約1900万人の高齢者のうち、1.5%の約29万人しか生活保護を受給していなかったので、貧困高齢者は毎年3.5万人の勢いで増え、20年間で約70万人も増加したことを意味する。
高齢者の貧困化が進んでいる背景には、低年金・無年金が関係していることは明らかだが、50歳代の約5割が年金未納であり、今後も増加する可能性が高い。
 では、今後、貧困高齢者はどう推移するのか。正確な予測は難しいため、一定の前提を置き、簡易推計を行ってみよう。まず1つは「高リスクケース」である。65歳以上高齢者の「保護率」(65歳以上人口のうち生活保護の受給者が占める割合)は、1996年の1.5%から2015年で2.9%に上昇しており、その上昇トレンドが今後も継続するというケースである。
 もう一つのケースは「低リスクケース」で、65歳以上高齢者の「保護率」が2015年の値と変わらずに一定で推移するというケースである。
 以上の前提の下で、国立社会保障・人口問題研究所の「将来人口推計」(平成29年推計、出生中位・死亡中位)を利用し、65歳以上の被保護人員(生活保護を受給する高齢者)の予測したものが、上記の図1「貧困高齢者数の予測と生活保護費の簡易推計」である。
 低リスクケースでは、65歳以上の被保護人員は、2015年の約97万人から2050年に約110万人に微増するだけだが、高リスクケースでは2048年に200万人を突破し、2065年には215万人にも急増する。2065年の65歳以上人口は約3380万人であるから、215万人は6.4%で、100人の高齢者のうち6人が生活保護を受けている状況を意味する。
 しかも、現実はもっと厳しい可能性もある。現在、現役世代の3人に1人は非正規労働者であり、65歳未満の「保護率」(65歳未満人口のうち生活保護の受給者が占める割合)についても、1996年の0.5%から2015年で1.2%に上昇している。このため、65歳以上の高齢者と同様、65歳未満についても2つのケースが考えられる。
まず一つは「高リスクケース」で、65歳未満の保護率の上昇トレンドが今後も継続するケースである。もう1つは「低リスクケース」で、65歳未満の「保護率」が2015年の値と変わらずに一定で推移するケースである。このうち、高リスクケースでは、2015年の約115万人であった「64歳未満の被保護人員」は、2030年に150万人を突破し、2065年には176万人にも急増する。2065年の64歳未満人口は約5400万人であるから、176万人は3%で、100人の64歳未満人口のうち3人が生活保護を受けている状況を意味する。
 では、生活保護費はどう推移するか。2017年度における生活保護費の総額は約3.8兆円で、約214万人が生活保護を受給している。1人当たり平均の生活保護受給額(名目)が一定で変わらないという前提の下、「高リスクケース」と「低リスクケース」で生活保護費の総額を簡易推計してみると、低リスクケースでは2025年頃までは概ね4兆円弱であるものの、それ以降では緩やかに減少し、2065年には2.9兆円になる。だが、高リスクケースでは、2029年に5兆円を突破し、2067年には6.7兆円にまで増加する。
 なお、この簡易推計は、年金のマクロ経済スライドの影響は一切考慮していない。年金のマクロ経済スライドは、2015年度に一度しか発動されていないが、これが継続的に発動されれば、低年金の高齢者が増加する可能性がある。年金のマクロ経済スライドは年金財政の持続可能性を高めるために必要な措置で早急に実施することが望ましいが、将来(例:2030年・40年)の年金分布を予測しながら、年金制度・生活保護との役割分担やその財源のあり方を含め、社会保障改革の「哲学」を再検討する必要はないだろうか。
 その上で、財政の再建をしっかり進める必要がある。財政再建の本当の目的は、財政の持続可能性のためにあるのではなく、本当に困った将来の人々を救済できる余力を残すことこそにある。
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2020年03月06日

ベーシックインカムと生活保護の違いとは?

 ベーシックインカムは生活保護と似ているという印象を持つ人もいると思うが、その違いはどこにあるのだろうか。
 生活保護とベーシックインカムの違いは1番大きいのは審査がないということかもしれない。誰ももらえるのがベーシックインカムなので、不正受給という可能性が限りなく低くなる。生活保護は審査があるので、特定の人しか貰えない。これが生活保護バッシングの原因の1つかもしれない。自分が貰えていないが、他人が貰えるものというのは羨ましく感じられると思う。でも、ベーシックインカムは全員が同じ金額を貰うので、そういうバッシングの種にはならないと思う。
 あとはベーシックインカムは基本的にずっとお金が支給し続けられることが前提だが、生活保護は打ち切りがあるので、無期限ではない。人によって期限が違う可能性があるのが生活保護で、期限がないのがベーシックインカムになるのだろうか。こういったところがベーシックインカムと生活保護の違いになる。
 生活保護は廃止になるという意見が多い。ベーシックインカムがあれば、それで最低限の生活ができるようになるからだ。というか、生活保護などを含めた社会保障の一本化を財源にしようと考えている人は生活保護の廃止を前提にしているのではないか。したがって、ベーシックインカムがある社会というのは、生活保護は存在しないと考えている人が多いでしょう。
 社会保障の一本化によって財源を作ろうとしている人ならばそのように考える人が多いと思う。生活保護が廃止されてもベーシックインカムがあればなんとかなると考えている人が多いと思われる。
 生活保護とベーシックインカムの違いというのも重要だが、生活保護の扱いがどうなるのかというのは、多くが考えているのではないだろうか。
 あと、最低賃金の問題もあると思う。ベーシックインカム賛成論者の中には最低賃金を廃止しても良いのではないかと考えている人もいる。最低賃金というのは、企業にとっては負担になるわけだ。支払わないといけない給料の最低基準が決まってしまうので、もっと安くしたいということができない場合があるからである。
 最低賃金に関しては撤廃しても良いという声があるが、それは最低限の生活が保障されるならば企業で働かないとしても生活で困ることはないからだということなのだろう。または、働いた場合にそれなりの賃金が貰えないとしても、生活に困らないということもあるのではないか。
 最低賃金が撤廃されると、賃金はどう決まるのかというと、今まで通り労働市場の需要と供給で決まるわけだが、普通に考えたら賃金は上がる気がする。それは働かないという選択肢をとりやすくなるので、労働市場における供給側が減るからだ。
 だから、最低賃金の法律がある、なしにかかわらず、賃金は勝手に上がるので、事実上ベーシックインカムがあった後の最低賃金は必要ないということになるかもしれない。
 ベーシックインカムがあっても最低賃金は必要という声もあるかもしれない。というのも、賃金が上がるというのは全体的の話であって、特定の職業に関しては賃金が下がる可能性もあるからだ。
 なり手が多くいるが、賃金にかかわらずやりたい人が多くいるような職業は、ベーシックインカムがあれば賃金を気にしないでもできるので、そういった職業は賃金が下がる可能性もあるが、そういう状況を好ましくないと思えば、最低賃金は存続した方が良いと考える人もいると思う。
 ベーシックインカムによって、賃金0でも働きたいと思っている人が多くいる職業はそういったことになる可能性があるけど、そういう職業が実際に現実的にどれだけあるかという問題もある。
 だから、最低賃金がなくても、困る状況というのはあまり想像できないが、最低賃金の存在意義はベーシックインカムによって減少するということも言えるのではないかと思う。
 社会保障を十分に用意できている段階では、企業に負担をかける形で、最低賃金という社会保障を用意する必要性はないからだ。
 だから、ベーシックインカムでは最低賃金の廃止に賛成する人はそれなりに多くいるかもしれない。ベーシックインカムが導入されるといろいろな部分で社会が変わる可能性がある。したがって、その部分まで議論の対象にしていくことになるのだと思う。
 ベーシックインカムでは共産主義や社会主義との違いについて気になっている人もいるし、生活保護との違いが分からない人もいると思うので、ベーシックインカムという単語や何となくの内容は浸透しているけど、細かい部分ではまだまだ知らない部分が多くあったりして、完全には浸透していないと言えるので、日本で実現するにはそういった部分まで理解が進むことが必要なのだ。
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2020年03月05日

日本での生活保護の推移と外国の状況


 厚生労働省が、昨年12月に発表したところによると、9月の生活保護世帯が163万6902世帯という過去最高を更新した。これは2ヵ月連続の最多更新となる。一方、受給者数は前の月に比べ1029人減ったが、世帯類型別では依然として「高齢者世帯」の増加が続いている。内訳を見ると、若年層やその他の世帯が352世帯減となっているし、母子世帯も13世帯減となったが、その減少を上回る65歳以上の単身高齢者世帯が871世帯増加している結果となった。
 生活保護受給者数は2014年7月現在で216万3716人となっている。急増し始めたのは世界金融危機以降の08年10月頃からとなっていて、14年には増減はあるもののほぼ横ばいで推移。傾向としては11年に過去最高を更新してから増加している。ちなみに過去一番少なかった年は1995年の88万2229世帯だ。
 過去のデータを見ると、1951年に204万6000人いた生活保護利用者の時の日本の人口は8457万人。2011年度の人口が1億2700万人の時の生活保護者の数は205万人となっている。これらを総人口の利用率で見ると、人口が1.5倍に増えているが比率は減っている(2.4%から1.6%)。
 では、外国の状況はどうだろうか。2010年当時を比べてみると、ドイツは人口8177万人で生活保護利用者は793万5000人(利用率9.7%)。これは日本の6倍に相当する驚くべき数字だ。フランスは6503万人で利用者が372万人(5.7%)。英国は6200万人で利用者が574万4640人(9.27%)。スウェーデンは941万5570人、利用者42万2320人(4.5%)だ。
 ある程度の人口には必ず生活困窮者は存在するが、このように世界と比べて見ても日本では人口の1.6%しか生活保護を利用していない事が分かり、先進諸外国より低い利用率であることが分かる。
 次に捕捉率(生活保護を利用する資格のある人のうち現に利用している人の割合)で見ると日本は15.3〜18%、ドイツが64.6%%、フランスが91.6%、イギリスが47〜90%、スウェーデンが82%となっている。この捕捉率を仮にドイツ並に当てはめて見ると717万人の生活保護者が日本に出現してしまうことになる。この数字から推測すると毎年全国で起きている「餓死」や「孤立死」といった事件発生の背景には、生活保護の利用率や捕捉率の低さが影響しているのかもしれない。
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2020年03月04日

あってはならない不正受給者の問題

 不正受給の件数や金額が年々増えている報道を見ると、真面目に働いているのがバカらしくなる人もいるかもしれない。しかし2012年3月の厚生労働省社会・援護局関係主管課長会議資料を見ると、2007年度の不正受給額の割合は0.35%、12度年は0.38%となっている。0.4%前後であることが分かる。
 「不正受給」の事例の中には、生活のために頑張っている子供や高校生のアルバイト料を申告する必要がないと思っていたというケースも含まれている。「これも不正受給なの」という疑問は生じるかもしれない。
 雇用情勢が悪化する中で中高年齢者や中軽度の障害や傷病を持つ人や低学歴や無資格の人、あるいは人間関係が苦手な人といった「就職弱者」は仕事を失い生活保護を受けるようにならざるを得ない現実は深刻なものがある。
 今後は、これらの人に生活保護からの脱却を促し自立支援体制を強化する必要がある。国が就労支援員を配置し、ハローワークが主体となって動くべきだろう。
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2020年03月03日

生活保護受給中の自己破産

 「生活保護を受給していると自己破産ができない」「自己破産をすると生活保護が受給できない」と思っている方もいるようだが、自己破産と生活保護はまったく関係のない制度である。したがって、生活保護受給中であっても自己破産はできるし、自己破産後に生活保護を受給することもできる。両者を同時に手続することも可能なのだ。むしろ、生活保護受給中の方の借金問題の解決方法の原則は、自己破産と言える。
 一般的には、借金の額が少ない場合は、破産ではなく任意整理や個人再生により借金問題を解決することが多い。しかし、任意整理や個人再生は借金を減額する制度であり、借金を消滅させる制度ではない。一方、自己破産は借金の支払義務をなくしてもらうことができる制度。そのため、自己破産をすれば借金生活から解放される。
 生活保護受給中の場合には、借金の返済が続くと生活がさらに困窮する可能性が高いので、借金が少額であったとしても自己破産を選択するのが通常である。借金が少額でも自己破産ができるのか心配される方もいるが、返済ができない(支払不能の)状態である以上、借金額に関係なく自己破産は可能である。実際、生活保護受給者の方で、100万円以下の借金で自己破産をされる方も少なくない。
 なお、年金を受給している高齢者の方も、要件さえ揃えば年金と生活保護の併給が可能だし、自己破産をしても年金の受給額は変わらないので、安心していい。
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2020年03月02日

「違法ではないが望ましくはない行動」に生活保護制度はどう対応できるか?

 「生活保護費を受け取ったらすぐパチンコ店に直行、あっという間に保護費を使い果たし、次の保護費支給日までは命をつなぐのが精一杯」など、「健康で文化的な最低限度の生活」のための生活保護費を受け取って、「それって、健康、文化的」という使い方をしてしまう生活保護利用者は存在する。福祉事務所には、どういう対応ができるだろうか?
 現在も実務の現場にいる田川氏は、「散財してやりくりできなくなるようであれば、アルコール依存・ギャンブル依存の問題の可能性があるとして、対応すれば良いだけの話です」という。さらに吉永氏は、現在の生活保護制度の原則からコメントする。
 「旧生活保護法(1946〜1950)は、『勤労の怠る者』を『素行不良な者』は、『絶対的欠格者』として、最初から生活保護から排除していました(欠格条項)。しかし現行生活保護法(1950)は、この欠格条項を排し、無差別平等原理(生活保護法第2条)を採用しました」(吉永氏)

(無差別平等)
第二条  すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。

 なぜ、生活保護法から「働かざる者、食うべからず」が消えたのか。 現在の生活保護制度を作り上げた厚生官僚(当時)・小山進次郎は、なぜ、一般市民感情に反する可能性もある法改正を、あえて行ったのか。
 「欠格条項を設けなかったのは現行法の特徴なのですが、小山進次郎は『何らかの意味において社会的規律から背理している者を指導して自立できるようにさせることこそ社会事業の目的とし任務とする所であって、これを始めから制度の取扱対象外に置くことは、無差別平等の原則からみても最も好ましくない所だからである』(小山進次郎『生活保護法の解釈と運用』106ページ)としています。つまり、『そうした望ましくない行動をする人がいた場合は、ソーシャルワークによって支援すべきである』ことを含意しているのです。実態としても、ギャンブルに依存する人には明らかに依存症の方もいますし、それに近い方もいると思います。そうした利用者には、病気という認識に立って支援するのが本筋であり、強制的に禁止しても、効果は限定されるでしょう」(吉永氏)
 しかし別府市では、パチンコ・競輪に対して「生活保護の停止」という処分が実際に行われてしまった。このことは何を意味するのだろうか。
 「処分を受けた人は、1〜2ヵ月、食費も住宅費もなく、医療も受けられなかったことになります。慢性疾患等のある方もおられたと思われます。パチンコ・競輪は決して望ましくはないとはいえ、これほどの罰を受けなければならないことなのかどうか、大いに疑問です。非違行為に対して行う処分は、バランスがとれている必要があります。『軽い違反行為なのに、釣り合いの取れない重い罰を科してはならない』ということです」(吉永氏)
  健康被害は当然ありうるし、場合によっては命を失うことにもつながったかもしれない。もしかすると、本人は「パチンコのために死ねるなら本望」なのかもしれないが、最低限度であるにせよ「健康で文化的な生活」の前提は生存である。生活保護制度を市民感情に配慮しつつ運用することが、生活保護利用者の生存を突き崩すとしたら、何のための生活保護であろうか。
posted by GHQ/HOGO at 05:49| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月01日

「生活保護でギャンブル」を法で取り締まることはできるのか?

 ギャンブルが「健康で文化的な最低限度の生活」に含まれてよいかどうかは、意見の分かれるところであろう。生活保護費のうち生活費分(生活扶助)は、単身・成人の場合、概ね月あたり7万円。5000円以上をギャンブルに使用すれば、食費や水道光熱費が圧迫されるのは間違いないだろう。競輪ならば「レースを見ることを楽しみ、最後に1000円だけ賭けてみるか」ということも可能だが、パチンコは5000円で楽しめるような娯楽ではない。
 生活保護利用者の言動は、とかく世間の批判にさらされやすいものである。「生活保護なのに○○、働いて納税している自分がかわいそう」「生活保護のくせに△△だなんて、いいご身分ねえ」の「○○」や「△△」に入りうるものは、縁日の金魚すくいで獲った金魚を飼う・100円で買ってきた花を飾る・図書館に行って本を借りてきて読む・スマホを所有する・子どもを進学校に進学させるなど、人間が行ったり「したい」と考えたりする可能性のあるもの全てにわたる。
 規制を受けた生活保護当事者のギャンブルだが、パチンコも競輪も合法的なものであり、法的に禁止するのは難しい。
 花や図書館や子どもの進学が問題になるほどであるから、もちろん「2ヵ月に1回、低価格風俗店に行く」「1ヵ月に1回、庶民的な居酒屋で2000円程度の飲食を楽しむ」「パチンコに行く」「競輪や競輪に行く」は大いに問題にされうる。問題にする側が理由として挙げるのは、多くの場合、「一般常識」「社会通念」「庶民感情」「市民感情」「納税している自分たちとの公平感」といったものである。しかも、ギャンブルを「良いこと」と考えている人々は多くはない。「生活保護でギャンブル!」と非難することは、自分が非難される心配をせずに楽しめる、安全で手軽な娯楽でもありうる。
 「ですが、パチンコ自体は合法的な行為ですし、生活保護法が明示的に禁止しているわけでもありません。『望ましい行為かどうか?』という点でいえば、確かに望ましくないかもしれません。けれども、『望ましくない』ことと『パチンコに行くことを、不利益処分を背景に禁止できるかどうか』は別の問題です」(吉永氏)
 「そもそも、生活保護費でお菓子を食べようが、お酒を飲もうが、パチンコに行こうが、それら自体は咎める筋合いのものではありません。福祉事務所に市民の方から『タレこみ』の電話などがあったら、実際に、そう答えてきました」(田川市)
  法的に、あるいは行政として「生活保護でギャンブル」を禁止することは、やはり不可能なのだ。
posted by GHQ/HOGO at 06:53| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする