2020年02月29日

「ギャンブルしたら生活保護停止」は合法? それとも違法?

 最初に気になるところは、パチンコ店や競輪場に「立ち入った」を理由とする生活保護停止に、法的根拠があるのかどうかだ。根拠とされた生活保護法第60条と、「生活保護利用者が福祉事務所の指導・指示に従わない場合は生活保護の停止がありうる」と定めた第62条のうち本件に関係する部分は、以下のとおりとなっている。

第十章 被保護者の権利及び義務

(生活上の義務)
第六十条  被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない。

(指示等に従う義務)
第六十二条  被保護者は、(略・保護の実施機関(=福祉事務所)が)被保護者に対し、必要な指導又は指示をしたときは、これに従わなければならない。
3  保護の実施機関は、被保護者が前二項の規定による義務に違反したときは、保護の変更、停止又は廃止をすることができる。
4  保護の実施機関は、前項の規定により保護の変更、停止又は廃止の処分をする場合には、当該被保護者に対して弁明の機会を与えなければならない。この場合においては、あらかじめ、当該処分をしようとする理由、弁明をすべき日時及び場所を通知しなければならない。

 少なくとも、生活保護利用者のギャンブルを直接に禁じる条文は、生活保護法全体を通じて存在しない。また、厚労省の通知等に存在したこともない。法の解釈をめぐる問題で悩む日本全国のケースワーカーから「知恵袋」として信頼されている吉永氏は、「パチンコで生活保護停止」の法的根拠を、どう見るだろうか。
 「新聞報道によると、生活保護法第60条を根拠にしています。しかし、第60条は罰則がなく、訓示規定とされています。訓示規定を根拠に生活保護を停止・廃止(打ち切り)するのだとしたら、根拠のない不利益処分ですから、違法となります」
 まぎれもなく、「生活保護の停止」という行為は違法であるようだ。しかし、生活保護利用者たちが「遊技場には立ち入らない」を含む誓約書を提出したにもかかわらず違反した、という主張が可能ではある。
 「ですが、被保護者の何らかの非違行為を理由にした不利益処分を行うには、生活保護法第27条1項による指導指示を改めて行わなければなりません」

(指導及び指示)
第二十七条  保護の実施機関は、被保護者に対して、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができる。
2  前項の指導又は指示は、被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度に止めなければならない。
3  第一項の規定は、被保護者の意に反して、指導又は指示を強制し得るものと解釈してはならない。

 「この生活保護法第27条1項に基づく不利益処分には、その処分が実体的に適法であり非違行為に対するバランスも取れていることに加え、手続的にも適法であるという、の2つの意味での適法性が必要です」
 処分が合法的であると考えるのは、条文を見る限りは難しそうだ。
 残るのは、対象となった生活保護利用者たちが、「遊技場には立ち入りません」という内容を含む誓約書を提出していたにもかかわらず、誓約書の約束を破ってしまったことに関する問題だ。これに関しては、京都府宇治市で起こった類似の事例がある。
 宇治市では、母子世帯の母親に対して「前夫に養育費を請求します」「異性と同棲しません」「出産したら生活保護を辞退します」などの内容の誓約書を提出させていた。しかし2012年、このことが宇治市議会で問題となり、2012年11月には関与したケースワーカー18人が処分を受けた。生活保護法・厚労省通知等に規定がないにもかかわらず、生活保護利用者に何かを強要することは、本人の同意や誓約という形をとっていても許されないのだ。
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2020年02月28日

生活保護の不正受給による返還金は自己破産するとどうなる?

 生活保護費を不正受給し、多額の返還を求められた場合、自己破産することはできるのだろうか。
 結論からいえば、自己破産で免責になるかどうかは、不正受給の悪質性が問われることになる。
 どういうことかというと、本人の勘違いなどによって結果として不正受給になっていた場合は「返還金」となる。
 しかし明らかに不正受給を目的としていた場合、悪質性が高いとして「徴収金」になる。
 自己破産では、返還金は免責の対象になるものの、徴収金は非免責債権といって、支払義務が免除されず、免責の対象にならない。
 悪質性の判断は裁判所次第だが、徴収金となった場合、自己破産でも支払義務が免除されない以上、何としてでも支払わなければならない。
 メリットは一切ないので、くれぐれも生活保護の不正受給はしないように…。
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2020年02月27日

生活保護費で借金返済はNG!

 「生活保護を受給している身なのに自己破産して大丈夫」
 そんな不安をお持ちの人もいるかと思うが、多額の借金を抱えながら生活保護を受給し続けていることのほうが危険である。
 なぜなら、生活保護で得た収入を借金の支払に充てることは法律で禁止されているからだ。借金返済が役所にバレてしまうと、注意を受け、さらに続けていると生活保護を打ち切られる可能性もある。
 自己破産をして、借金をなくすことも選択肢の1つである。また、現在借金を抱えていて、病気や怪我などでこれから生活保護を検討するという方も、先に自己破産をして借金をゼロにしてから生活保護の申請をすることをおすすめする。
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2020年02月26日

生活保護受給者は自己破産の費用が免除される?

 自己破産をするには、裁判所と弁護士費用を合わせると約30万円〜70万円が必要となる。生活保護を受給しなければならないほどお金に困っているのに、これだけの大金を支払うにはどうすればいいのか。
 ここで有効活用したいのが、「法テラス」という機関。法テラスとは、国が設立した司法支援を行う機関で、弁護士費用の立て替えなどを行っている。生活保護費を受給している場合、手続がすべて終了した時点で、なおも生活保護を受給し続ける状態であれば、弁護士費用をすべて免除してもらえるのだ。
 なので、生活保護を受給する方が自己破産する場合、法テラスは必須といっても過言ではない。ただし、一時的に生活保護を受給する場合(手続終了までに生活保護から抜けられる見込みがある場合)、立替金は法テラスに返金しなければならないので注意しよう。
 一般的には、法テラスを利用できるのは弁護士費用だけで、裁判所への費用は自己負担になる。しかし、自己破産の手続が、管財事件となると20万円以上の費用を必要とするので、支払が困難になるケースがある。
 こうした場合、法テラスは、経済的に余裕のない人が法的トラブルにあったときに必要に応じて、費用の立替えを行っている機関なので、近年では法テラスで裁判所への費用も立替えが可能になっている。そして、この場合も、手続終了まで生活保護を受け続けていれば、返金は免除される。
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2020年02月25日

自己破産した後に生活保護を受け取ることもできる

 すでに自己破産をした場合でも、生活保護の条件を満たしてさえいれば受給することは可能。生活保護の受給条件とは、以下の3点である。
・生活を支援してくれる者がいない
 家族や親族に生活を支援してくれる人がいれば、生活保護費の受給はできない。
・価値のある保有資産がない
 たとえば、価値のある車や、家などの不動産を保有していると生活保護は、原則、受給できないことになっている。これらは自己破産時にも売却するため、この場合ほとんどあてはまらない。
・収入が生活維持の基準額に満たない
 自治体ごとに定められている基準額よりも収入が多い場合は支給対象外となる。
 生活保護というのは、生活するために必要最低限の収入を得られない人の保護を目的に作られた制度。一方で、自己破産というのは、返済しきれないほどの借金を抱えてしまった方を救済するために作られた制度である。そもそもの目的が違うことからもわかるように、法律上、この2つの制度はまったく関係がない。「生活保護を受給していると自己破産できない」、「自己破産する以上は生活保護を受けなければならない」、といった心配は一切不要である。どちらの制度も条件さえ満たしていれば、誰でも利用することができる。
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2020年02月24日

生活保護を受給するのと同時に自己破産することは可能?

 自己破産を裁判所が許可する条件を簡単にいうと、「借金が支払えない状態にあること」「借金をした理由や人格などに問題がないこと」の2点である。
 「借金額が◯◯万円以上」のように借金額が問われるわけではなく、借金や収入、所有している財産などさまざまな事情を考慮して判断される。
 なので生活保護受給者の場合は、むしろ自己破産の申立てを認めてもらいやすいといえる。たとえば借金額が100万円に満たない場合、一般的な会社員などであれば借金が支払えない状態にあるとはいい難く、認められない可能性がある。
 しかし生活保護受給者の場合、収入がほとんどないため、この「支払えない状態」が認められやすくなるのである。
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2020年02月23日

貧困の責任は個人それとも政治?

 米国は日本と並んで、先進国の中では突出して貧困率が高い国として知られている。米国でも貧困は個人の問題なのか、政治の問題なのかという論争があるのだが、困ったことに、「日本ではまじめに働いている多くの人が貧困生活を強いられている」と日本を引き合いに出し「貧困は個人の責任ではない」と主張する記事が話題になった。
 米国では保守派の一部が、貧困は個人の責任であるという主張を行っている。米国の相対的貧困率は17.8%、日本は15.7%となっており、フランス(8.3%)やドイツ(10.4%)など欧州各国と比較すると、日米の貧困率は突出して高い状況なのだ。
 米国は社会保障制度が充実していないというイメージがあるが、実はそうでもない。米国には低所得者向けの医療保険であるメディケイド、食料配給券制度(フードスタンプ)、子育て世帯向けの粉ミルク・食品支援策(WIC)、賃貸住宅補助、給食の無料券など、数多くの低所得者向け支援制度があり、比較方法にもよるが、人口1人当たりの予算規模も日本を大きく上回っている。
 しかしながら米国の場合、自ら制度を積極的に活用しないと支援は受けられないので、制度を探す能力がないと、貧困が放置されるケースがある。こうした状況に対して、リベラル系や穏健な保守派の論者は、貧困者にもっと機会を与えるべきだと主張し、これに対して一部の保守派が自己責任論を主張しているという図式なのだ。
 そうした中、米国の大手メディアであるブルームバーグが、日本を引き合いに「貧困は個人の責任ではない」とする記事を配信した。それによると、日本の貧困者の多くは、犯罪者でも、麻薬に手を染めているわけでもなく、まじめに働いていると分析。それでも貧困に陥っているのは社会制度の問題であり、米国も同様であると論じた上で、米国でも欧州のような手厚い社会保障制度を導入する必要があると主張している。
 ネットでは「とうとう日本もこうしたケースで取り上げられる国になってしまったか」という嘆きの声が飛び交っている。確かに、勤勉に働いていても貧困に陥るケースとして日本が取り上げられるようになるなど、20年前には想像もできないことだった。しかしながら、日本の貧困問題が悪化しているのは事実であり、特にシングルマザーの貧困は極めて深刻な状況となっている。責任の所在以前の問題として、これでは先進国と呼べる状況ではない。早急な対策が必要なはずであるのだが、政治の動きが極めて緩慢なのだ。
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2020年02月21日

親から子へ、子から孫へ

B 貧困の連鎖
 貧困問題の深刻さは、親から子へ、子から孫へという具合に世代を超えて連鎖していく傾向があることだ。「貧困の連鎖」と呼ばれるものだが、親の経済的困窮が子供の教育環境や進学状況に大きな影響を及ぼすため、貧困は連鎖しやすい。
 大学既卒者の割合が50%を超え大卒が標準化した現在、大学に行けない世代が生涯賃金などで大きな遅れを取り、結果的に貧困の連鎖につながっている。むろん、業界や企業規模による賃金格差も大きいが、日本は依然として学歴偏重社会と言っていい。
 こうした現実をきちんと把握して対策をとる必要がある。大学進学のために多額の借金を抱えてしまう現在の奨学金制度では、抜本的な改革にはならない。むしろ大学卒業後の行動範囲を狭めてしまう。
C 累進課税の歪み
 日本の累進課税制度は、一見公平なように見えるが、最も所得の高い勤労世帯と高齢者で所得の低い層とが同じレベルの「税負担率」になっている。税負担率が同じでも、収入が多ければそれだけ家計に及ぼす税負担は軽く済む。低所得の高齢者と金持ちの勤労世帯の税負担率が同じレベルでは、税の累進性は機能していないのと一緒だ。
 今後、消費税率が上昇していくことになるはずだが、母子家庭で貧困にあえぐシングルマザーにとっては消費税だけでも高い税負担になる可能性がある。累進税制をきちんと機能させる税制にシフトすることが早急に求められるわけだ。
 安倍政権が進める働き方改革によって、同一労働同一賃金が実現する可能性が出てきたが、本当にきちんと機能するのか疑問もある。子育てと仕事を両立させるためには、これまでの価値観やルールに縛られていては前に進まない。
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2020年02月20日

1人親世帯の貧困率50.8%!

 貧困問題で注目すべきは2つある。1つは、1人親世帯の貧困率の高さだ。さまざまなメディアでも取り上げられているが、生活保護水準の所得に届かない低所得にあえぐ現状がある。
 もう1つの問題が、高齢者の貧困問題だ。母子家庭の貧困問題が喫緊の課題というなら、高齢者の貧困問題は将来の課題といえる。人口減少、高齢化などによって、政府や年金機構、健保組合などが、現在の給付水準を維持できなくなる可能性が高まっている。
 年金制度の崩壊などによって人口の3分の1を占める高齢者の半数が貧困に陥る可能性もある。人口減少への対応を含めて、早急に考える必要があるだろう。
 いずれにしても、子供の貧困問題は将来の日本に大きな影響をもたらす。7人に1人と言われる子供の貧困問題は教育機会の喪失につながり、将来的に大きな損失になる、と言っていい。どんな背景と原因があるのか。次の4つが考えられる。
➀ 労働環境の未整備
 子供が貧困にあえぐ最大の原因は、言うまでもなく親の収入の低さである。1人親世帯の貧困率が50%を超えていることでも、それは明白だ。実際に、母子世帯の非正規社員比率は57.0%、父子世帯12.9%と比較しても、その差は歴然だ。
 日本特有の「ワーキングプア」と呼ばれる労働環境の悪さが背景にある。日本では、母親が1人で子育てに奔走しながら仕事を続ける場合、まず正規社員では雇ってもらえない。パートタイマーやアルバイトによって生計を維持していく必要があり、収入はどんなに働いてもたかが知れている。
 シングルマザーに対して冷たい企業が多く、子供がいても正規社員に採用されている人の割合は4割を超えてはいるが、57%が非正規雇用のままだ。保育園や学校などの煩雑な用事にとらわれ、正規社員のようなフルタイムの仕事はなかなかできない。結局のところ、正規社員と非正規社員の賃金の差が、母子家庭の貧困という形になって表れていると言っていいだろう。
母親がどんなに優秀であっても、働く機会を平等に与えない。それが現在の日本企業の問題と言っていい。
➁ 公的支援の怠慢
 OECDの発表によると、GDPに占める教育機関への公的支援の割合は、33ヵ国中日本がワースト2位となっている。貧困にあえぐ子供に対する政府支援が十分でないことを物語る数字だ。最後のセーフティネットとも言われる「生活保護制度」も、過剰な財政赤字のせいで圧迫され、簡単には受け入れられない現実がある。
母子世帯の生活保護制度による「生活扶助費」は、家族構成や地域によっても異なるが月額13万〜14万円程度。貧困層の1人親世帯の所得は年間122万円、月額10万円ちょっとよりもずっと多い。だったら、貧困層に属する1人親世帯は全員が生活保護を受けたほうがいいと考えがちだが、そう簡単には生活保護が受けられない仕組みになっている。
 子供食堂といったその場しのぎの方法では、いまや抜本的な解決にはなっていない。非正規社員の低所得にあえぐ母子家庭に対して、いますぐ公的な支援が必要になると考えていいだろう。
 母子世帯は、約123万8000世帯。そのうちの半数が貧困層とすれば62万世帯。母と子で少なくとも120万人が貧困と戦っている。
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2020年02月19日

貧困はもっと深刻?

 貧困率というデータは、厚生労働省の「国民生活基礎調査」として公表されている。日本の貧困率の最新値は15.6%(相対的貧困率)。 前回調査の16.1%に対してわずかだが改善している。
 一方、17歳以下の子供を対象とした「子どもの貧困率」は13.9%。こちらも前回の16.3%よりも大きく改善している。それでも7人に1人の子供が貧困に陥っている状況だ。1人親世帯(子供がいる現役世代のうちの大人が1人の世帯)の貧困率も54.6%から50.8%と改善しているものの半数は超えている。
 日本の貧困率の高さは国際的に見ると、米国(16.8%)に次いでG7中ワースト2位。さらに、1人親世帯ではOECD加盟国35ヵ国中ワースト1位になっている。
 貧困率は、収入などから税金や社会保障費などを引いた「等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯員数の平方根で割った数値)」の中央値の半分未満しかない人の割合のこと。等価可処分所得(以下、可処分所得)の中央値は、年間245万円。つまり年間122万円未満の可処分所得しかない世帯を相対的貧困層、その割合を貧困率というわけだ。
 年間122万円といえば、月額にして10万円ちょっと。アベノミクスが始まって以来、デフレ脱却はしていないと言いながらもスーパーの食料品などが以前に比べて高くなったことは事実だ。デフレが続いているとはいえ、月額10万円の生活がどんなに苦しいものかはよくわかる。
 ちなみに、貧困率を決める可処分所得の中央値は、ここ数年245万円程度で推移しているが、20年前には297万円だった。つまりこの20年の間に 可処分所得の中央値が52万円も下がっているということになる。52万円といえば、月額にして約4万3000円。日本が、この間「失われた20年」と呼ばれた経済低迷期であったことが、こんな数字からもわかる。
 実際に、同調査の「貯蓄」についてみると「貯蓄がない世帯」が全体で14.9%。母子世帯に限ってみると37.6%に増える。「生活が苦しい」と答えた人は全体で56.5%、母子世帯では実に82.7%が「生活が苦しい」と答えている。
 OECD の「学習到達度調査」では、勉強机や自室、参考書、コンピュータの保有率など13の学用品を国際比較したデータを出している。13個のうち保有数が5個に満たない生徒を「貧困」とみなす仕組みで、日本の貧困生徒の割合は5.2%。やはり、先進国(G7)の中では最も高いレベルに達している。
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2020年02月18日

「あすのば」から給付されても生活保護基準の引き下げで台なしに!

 「あすのば」の調査が明らかにしたことの1つは、生活保護を利用していても、高校までの学業・課外活動・生活のすべてにおいて、子供に「十分」と言える環境を用意することが難しい親の貧困だ。貧困状態にある親のもとでは、子供は豊かになりようがない。しかし、実態把握が十分にされているとは言えない状態のまま、生活保護基準が引き下げられようとしている。
 現在は、あすのば給付金の3〜5万円によって、ランドセルや制服や靴や自転車や部活の用具を購入することが可能になり、子供の「普通」の新生活は若干なりとも容易になっている。しかし、生活保護基準が年間5万円引き下げられれば、その給付があっても、子供の「普通」は実現できないことになる。そして現在、いる生活保護世帯に対して計画されている引き下げ幅は、平均して年間5万円を超えるだろう。
 今、子供の貧困問題に対して最優先ですべきことがあるとすれば、生活保護基準を引き下げないことではないだろうか。それは、日本を「恥ずかしい国」にせず、心から誇れる国にするためにも、必要なことであろうと思われる。
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2020年02月17日

子供たちからの搾取は許せるのか?

 貧困状態にある子供たちは、介護や看病を担わなくてはならない可能性もある。保護者の41%は健康状態が良好でなく、特に生活保護世帯では63%の保護者の健康が良好でない。生活保護の母子世帯では、保護者(母親とは限らない)が障がい者や傷病者である場合でも、障害者世帯や傷病者世帯ではなく母子世帯に区分される。このことを考えると、63%でも「低すぎるのではないか」と感じられる数字だ。また、介護や世話の必要な家族がいる世帯も約10%に達する。
 子供たちの家庭の経済状況は、高校、大学に入る直前に悪くなったとは限らない。家計が苦しくなった時期について「生まれる前」「乳幼児期」「小学生の頃」「中学生の頃」と回答した子供たちが、おおむね70%を占めている。
 高校入学や高校卒業、大学進学へと辿り着き、あすのば給付金を手にすることができた子供たちは、それ でも現在までステップを踏み続けて来ることができた、たくましく幸運な子供たちなのかもしれない。
 その子供たちには、20年にも満たない人生の中で、すでに「貧」と「困」が積み重なっている。おそらく、数多くの機会が失われているはずだ。そのハンデにもかかわらず、今後の人生を強く生き抜く可能性が高いのかもしれない。「かわいそう」という感情を向けることは、かえって失礼だろう。
 しかし日本社会は、無償 のはずの公立学校での義務教育において必要な物品を購入できない子供たちを生み出し、子供時代に経験するからこそ意義がある数多くの機会を奪っている。アルバイトが可能な年齢になれば、高校・大学生活のために学びを犠牲にして働くことを強い、さらに家庭の経済も支えさせている。その上に、家族のケアも押し付けているのかもしれない。
 日本には、国際社会で問題とされる児童労働は存在しないことになっているが、現状は「子供たちからの搾取」としか呼びようがないだろう。放置しておくことは、大人として「恥ずかしい」ことではないだろうか。
posted by GHQ/HOGO at 09:12| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月16日

学業だけでなく家族の生活も高校生や大学生にのしかかる負担

 「あすのば」は、アンケート調査から各数量としての整理と分析も行った。
 まず、「貧困」の「貧」の程度はどの程度なのだろうか。回答した世帯の人数の中央値は3人、総年収中央値(児童手当、児童扶養手当、生活保護などの給付を含む)の中央値は約203万円。3人世帯が、3人世帯に対する貧困線(約210万円)より低い金額で暮らしていることになる。紛れもない「貧」、収入の不足である。
 その「貧」は、数多くの「困」につながる可能性がある。「困」はお金で解決できるとは限らないが、「貧」が「困」の多くを生み出している可能性は否定できないだろう。
 「あすのば」の調査は、数多くの「困」の実態を明らかにした。その中で最も衝撃を受けたのは、高校生や大学生のアルバイトの状況と、アルバイト収入の用途だ。あすのば給付金を受け取って高校に入学した高校1年生の約33%、同じく大学に入学した大学1年生の約75%が、アルバイトで働いている。
 高校1年生たちは週平均3日、1日あたり平均4.6時間働き、1ヵ月あたり約3万3000円の収入を得ている。大学1年生たちは週平均4日、1日あたり平均5.2時間働き、1ヵ月あたり約4万8000円の収入を得ている。当然、学業は相当の圧迫を受け、課外活動への参加や継続も困難になるだろう。
 アルバイト収入の用途は、高校生、大学生とも、トップ3が「スマートフォンや携帯(高校生36%、大学生32%)」「授業料・通学費・昼食代・部活費用などの学校関連費用(高校生33%、大学生50%)」「家庭の生活費(高校生15%、大学生22%)」となっている(複数回答)。
 高校生、大学生たちは、学校生活を継続するために、学校生活を圧迫してアルバイトせざるを得ない。また、アルバイトを続けなければ、必需品であるスマートフォンや携帯を購入したり、通信費用を支払ったりすることができない。学校生活を支える力は家庭にはなく、逆に、子供たちのアルバイト収入が家庭の重要な収入源となっている実態が浮かび上がる。
posted by GHQ/HOGO at 07:49| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月15日

給付金で「当たり前」に近づけた子供たち

 給付金の用途をテキストマイニングツールによってワードクラウドした結果。ランドセルから新生活の家電製品まで、幅広い用途に使用されているが、最も目立つのは「制服」だ。
 では、低所得世帯の子供たちは、どのように「当たり前」を奪われているのだろうか。給付金を受け取った子供たちの声から、一部を紹介する(文章は一部編集)。
「(あすのば)給付金のお陰で高校に入れました。とても感謝しています。部活で野球部のマネージャーを務めていました。けれど、母子家庭で下に2人弟妹がいることもあり、部活を辞めざるを得ない状況になりました。母は毎日、必死で働き、朝ご飯もお昼のお弁当も夜ご飯もつくってくれています。部活をやめたら家族のことを助けていこうと思います」(高校生)
 特別な用具を必要としない部活(野球部のマネージャー)を選択しても、家庭状況を考えると継続が難しい。まだ家庭からの支えや教育が必要なはずの10代半ばという年齢なのに、家庭を支えることを考えざるを得ない。
 「給付金をもらえたお陰で、進学に必要なパソコンを購入することができました。もし存在を知らなかったらと思うと、ゾッとします」(大学生)
 国公立大学の多くでは、理工系学部の教員が「入学直後から修学にパソコンが必要で、生協が安価なモデルを提供しているのに、それも買えない学生が多数いる」という問題に苦慮している。公立の中等教育学校や高校でも、生徒全員がパソコンやタブレットを所有している前提でカリキュラムを設計することが増えてきた。忘れた教科書を「ちょっと見せて」と言うことは可能でも、毎日「パソコンをちょっと貸して」というわけにはいかないだろう。
 「高校生になると、ほとんどの人はスマートフォンを持っているので、私も買うことができて嬉しかったです。家庭生活が厳しいなどと友達に言えないし、あまり知られたくもないので、支援してくださる団体があることがとても心強く嬉しいです」(高校生)
 スマートフォンを持っていないと、クラスメートや部活の仲間とのLINEなどでのやりとりから弾き出されることになる。中高生のSNS利用は「ネットいじめ」にもつながるのだが、「SNSに参加できなければ安全」というわけではない。参加できなければ、ネットの世界で自分に対して中傷や嫌がらせが企まれていても、知ることができず、大人に相談することもできないということになる。
 「給付金を運転免許取得のために貯金しています。非常に役に立っていて、助かっています」(高校卒業生)
 地方では、就職するにあたって普通免許が「当たり前」の前提となることが少なくない。この事情は生活保護で暮らす大人たちも同様で、再就職しようとしても「今、生活保護なので車を持っていない」という問題がハードルとなることが多い。10代、20代前半での最初の就職の機会を、「運転免許が取れなかった」という理由で失った場合、その後の人生への悪影響は計り知れない。
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2020年02月14日

「貧困」の「貧」は現金給付で解決できる!

 日本に「子供の貧困」が存在することは、今や常識に近くなった。「子どもの貧困対策法」も、2013年の成立から5年が経過し、より有効な法律とするための検討の時期を迎えている。
 貧困状態にある子供たちと保護者たちは、生活保護世帯、生活保護の対象となり得るものの制度を利用していない世帯(要保護世帯)、生活保護基準以上の所得はあるものの住民税非課税となっている低所得世帯(準要保護世帯)の子供たちと保護者たちで、公益社団法人「あすのば」から3〜5万円の給付金(以下「あすのば給付金」)を受け取り、その後のアンケート調査に回答した。
 あすのば給付金の対象は、小学校・中学校・高校への入学、大学などへの進学、就職、養護施設退所など「新生活」を迎える子供本人または保護者だ。返済義務はなく、子ども自身の学業成績や生活態度などは一切問題にされない。
 最も重視されるのは、経済状況の厳しさだ。2015年度のスタート以後、年々存在が広く知られるようになり、応募者が増加した。企業・個人による寄付金額も年々増加し、2017年度は1億2000万円にも達している。しかし、応募者の約半数は選考から漏れてしまう現状となっている。一民間団体の「大海の一滴」には、限界がある。
 しかし、「あすのば」のアンケート調査は、家庭のお金が足りないことが子どもから数多くの「当たりまえ」を奪っていることを明らかにした。また、「当たりまえ」を奪われている子供たちからは、さらに社会との「つながり」や将来へとつながる「思い出」となる経験も奪われやすいことが明らかになった。
 現在、ただちにそれらの困難を軽減する手段は、現金給付しかない。何にでも換えられる現金は、「貧」がもたらす「困」を解消することができる万能薬だ。あすのば給付金の3〜5万円は、現金給付の「万能薬」ぶりも明らかにしている。
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2020年02月13日

生活保護改革をなぜ語れないのか?

 衆院選で生活保護の制度改革を訴える政党が少ないのは、なぜなのか。
 保護を受けている人は全国で200万人を超え、給付総額は4兆円に達するまでになっている。高齢化の影響もあるが、問題は働き盛りの受給者が増え続け、自立も進んでいないということだ。
 受給者は保険料や病院の窓口での負担が免除されているほか、家賃や生活費にあたる給付が支給されている。最低賃金より支給額が高い地域もある。だが保護から抜けた途端、負担がのしかかる。
 各党の政権公約ではこうした働く意欲が揺らぐ要素を取り除く政策がほとんど見あたらない。
 目を引くのは自民党が政権公約に掲げた「生活保護の給付水準の10%引き下げ」だけだ。保護に頼らないで働いている低所得層の生活水準と整合性をとるという意味で、この方向は正しいのだが、どのような政策によってそれを実現しようとするのか。
 給付総額のほぼ半分を占めるのは受給者にかかる医療費なのだが、ここにメスを入れない限り、真の改革は進まないのは確かである。
 日本維新の会は、「医療扶助の自己負担制の導入」と明記していたが、公約ではその文言がなくなった。民主、自民両党とも、窓口での自己負担については及び腰だ。受給者が病院窓口で一部でも負担するようになれば、病院側も本人も意識が変わり、過剰な投薬や診療に歯止めがかかるはずだ。
 受給者にかかる医療費の抑制策として、自民党は公約に「後発薬の使用義務化」「診療報酬明細書の電子化によるチェック機能の強化」といった項目を並べたのに対し、民主党も「後発薬の使用促進」を掲げた。だが、これらは国民全体を対象にした医療費抑制策であって、生活保護の受給者だけに適用するのはおかしい。
 生活保護は本来、高齢や傷病などで暮らしに困っている人のための最後の安全網である。制度を維持するためにも、働ける受給者の自立を促す抜本的な改革が必要のはずなのだが…。
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2020年02月12日

生活保護と児童扶養手当は同時に受けられる?

 生活保護の認定は要件に従い、資産や能力の活用、生活保護制度以外の手当の支給などを受け、それでも収入が最低生活費を下回る場合に支給される。
 児童扶養手当などの申請は生活保護を申請するよりも前に行われ、支給されれば収入として扱われる。
 生活保護の認定は厳しいことが多く、この収入認定を受けた金額が最低生活費よりも低いことが前提となる。
 理由があって働くことができず収入がほぼない場合、児童扶養手当などが収入となるため、それが最低生活費を下回っている場合は生活保護と児童扶養手当を同時に受けることは可能である。
 ただし、手当の受給は積極的に給付を受けるべきだとされているが、場合によっては生活保護の支給額が減額あるいは支給されないというケースもあるため注意が必要である。
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2020年02月11日

シングルマザーの生活保護需給の現状は?

実際にシングルマザーの生活保護受給の状況はどうなっているのだろうか。
 生活保護世帯が2005年に約9万1,000世帯を記録してから、2012年に11万4,000世帯を最高に約10万世帯を維持しており、問題の深刻さは変わっていない。(出典: 厚生労働省「生活保護制度の現状について」)
 生活保護は困窮の程度に応じ必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としている
シングルマザーはもちろんのこと、ひとり親世帯や生活に困窮する全ての人が支給を受けることが可能な制度である。少子高齢化により高齢者の受給率が年々増加し、母子世帯を含む他の世帯の受給率が減少する傾向がある。
 シングルマザーが生活保護を受けることは条件を満たせば可能である。母子世帯となり、子育てと仕事の両立が難しく収入を得られなくて困窮化している場合、生活保護を受けたほうが貧困から脱することができる可能性が出てくる。
 シングルマザーが生活保護を受ける際のメリットとデメリット(注意点)をかんがえてみる。まず、メリットは保護費を支給されることで生活が安定することや、医療費など日常生活のサポートを受けられる、年金などの税金負担がなくなる、義務教育でかかる費用の負担が扶助されるなどが挙げられる。医療費や年金などの税金、義務教育でかかる費用は大きな負担となる。生活保護を受けることで、これらが全部あるいは一部が解消されるのは大きなメリットである。
 その一方でデメリットとして、子供のための預貯金ができないこと、自動車所有は特別な理由意外認められない、家賃上限があるため条件にあう借家が選びにくい、借金や賭け事、ぜいたく品の購入が限られるなど、子供のさまざまな制限があるという注意点がある。
 その理由は生活保護が最低限度の生活を維持するために活用することが前提となっているためだ。(出典:厚生労働省「生活保護制度」)
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2020年02月10日

生活保護と年金の関係は?

 生活保護中は国民年金は払えないのだが、未納期間になるのか。だとすると場合によっては頑張って保護を抜け出したとしても老後は年金が貰えずにまた生活保護に頼らざるを得なくなるのではないか。
 生活保護者ではない一般の人でも、年金には半額、または全額を免除する申請をすることが可能なのである。ただし、所得による審査があるのだが…。
 なので、申請すれば生活保護の場合は全額免除となるだろう。ただしこれをすると、老後の支給額は大幅に減らされる。年金はあくまで支払った金額によるので、この免除申請を行った場合の支給額は4万〜2万、もっと少ない人もいることになる。
 いずれにせよ、年金は貰えるのだが、しかし生活できないほどの少額なのである。例えば4万の場合、1ヵ月を2万円で過ごさなければならないことを、想像できるだろうか。ここから賃貸住宅なら家賃、持ち家なら固定資産税(大体8000円ぐらい)、高齢者だから病気もあるので、そのための治療費、光熱費、食費・雑費などの生活費を賄わないといけないのだ。こんなことは不可能ではないか。
 あくまで大雑把な計算だが、40歳代で生活保護に頼る人が年金に期待するのは無駄だといえる。自立しても老後に受け取る年金支給額では絶対に生活できない。かといって40歳代の転職では、給与は相当に厳しいので、老後を支えるための貯金もできないはずだ。
 まさしく、生活保護に頼らざるを得なくなる。そして長期間に渡り収入が少なく、免除申請をしないといけないほどの一般の人たちも、老後は生活保護に頼らざるを得なくなってしまうのである。
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2020年02月09日

生活保護利用世帯 安倍政権下高齢者1.2倍超 年金削減、貧困化に拍車

 昨年4月の生活保護利用世帯は約163万世帯で、5割強が高齢者世帯であることが、厚生労働省の調査でわかっした。生活保護を利用する高齢者世帯は安倍政権下で1・2倍以上増えており、安倍政権による年金給付削減が高齢者世帯の貧困化に拍車をかけている実態が浮き彫りになった。
 調査は被保護者調査。それによると、4月の生活保護利用世帯(保護停止中を除く)は前年同月より715世帯少ない、162万6930世帯となった。しかし、世帯類型別にみると、高齢者世帯と障害者世帯は前年同月より増加。とくに高齢者世帯は1万6206増の89万5247世帯となり、生活保護利用世帯の55%を占めた。
 第2次安倍政権発足1年目の2013年4月の生活保護を利用する高齢者世帯は70万9345世帯で、生活保護利用世帯の45・1%だった。6年間で約18万6千世帯増え、1・26倍になった。
 安倍政権は、消費税増税と「アベノミクス」で物価をつり上げる一方で、年金給付は「マクロ経済スライド」などで物価上昇よりも引き上げを厳しく抑制して給付水準を減らし続けてきた。
 生活保護を利用する高齢者世帯が増え続けている背景には、こうした高齢者・国民の暮らしを激しく痛めつける安倍政治がある。国民無視である。
 
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2020年02月08日

「福祉事務所の民営化」が現実になるかもしれない不安

 生活保護ケースワーカー業務は、自治体職員が、自治体の設置した福祉事務所で行う原則となっている。人間の生死を左右する職務であり、最もデリケートな個人情報を預かる業務であるからだ。しかし、2019年後半から急激に、外部委託の可能性が現実味を帯びてきた。
 「外部委託」という選択肢の提案は、2006年、全国知事会と全国市長会が設置した検討会が行った。検討会で重要な役割を果たしたメンバーの叙述によると、目標の1つは、政府から見た地方自治体を「陳情団」から「シンクタンク」へと脱皮させることであった。
 とはいえ、この提案には、生活保護費という「コスト」を圧縮することに関する具体的な方策が、「手段を選ばず」という感じで列挙されていた。日本国憲法、生活保護、そして地方自治の原則と相反する内容も多く、生活保護を深く知る人々からは、「荒唐無稽すぎる」「実現しないだろう」と考えられていた。
 しかし2013年以後、提言の内容は次々と現実化されてきている。まだ現実化していない残り少数のうち1つが、福祉事務所の外部委託である。
 地方自治体の行政職員たちは、官僚と同様に行政のプロフェッショナルであり、地方の実情と住民の実像を深く知っている。福祉事務所の外部委託については、どのような思いを抱いているのだろうか。今年度、厚労省が開催した「生活保護担当指導職員ブロック会議」で取りまとめられた地方自治体の声から、読み取ってみたい。
 厚労省からの質問は、「ケースワーク業務の一部を外部委託することや、非常勤職員が行うことについて、どのように考えますか」「(外部委託や非常勤職員が行うことに賛成の場合)どの業務について委託や非常勤職員の対応が可能と考えますか」の2段階となっている。ここに落とし穴がある。外部委託や非常勤にほとんどの業務を安く委託しようともくろんでいるのだ。しかも専門知識やスキルを度外視して…これが許されるというのか。
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2020年02月07日

武田邦彦先生の「年金は廃止して生活保護に統一しよう」論

 武田邦彦先生の意見、「定年廃止と合わせて老後の福祉を生活保護一本にしてしまえ」という話が面白い。
「元々年金は制度的に成り立たないものであるよって年金は廃止してお金は返す。年金の代わりは生活保護とする。定年を廃止して働きたい人は働くという形にすればよい」
 実際に老後の生活についてはサラリーマンと自営業の方々で考え方に違いがあると思う。サラリーマンは国民年金と厚生年金、厚生年金基金そして退職金で老後をまかなうつもりの人が多いのではないか。
 年金財政は将来が不安視されているうえに「生活保護には頼れない」という刷り込みもされていて多くの人は自分の老後資金を自分で蓄えている。自分の貯金では相当蓄えても不安は消えないと思う。
 一方自営業の方々は国民年金だけだ。厚生年金に相当する国民年金基金に加入している人は多くはない。国民年金の平均受取額は月5万円だから夫婦で月10万円。これでは暮らせない。
 結局のところ成功している自営業の方を除けば引退後は保護を受けないと生活できないことになる。長年で日本社会に貢献されてきたわけだから生活保護受給も当然の権利となるのではないか。
 かたや厚生年金と退職金と自分の貯金で国の厄介にはならない。もう片方は引退後は生活保護でOK。少しアンバランスな感じがする。武田邦彦先生の年金廃止論が実現されれば不公平が解消できる。日本は憲法で国民は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」のだからそれでいいのではないだろうか。
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2020年02月06日

障害や難病のある人の生活保護

 障害のある人が症状などのために思うように働けない場合、障害年金を受給できる。しかし状況によっては、それでもなお生活に困窮することがあるかもしれない。
 このようなとき、生活保護法の定める要件を満たしていれば、生活保護の受給が可能な場合がある。ただし、障害者総合支援法が定める福祉サービスや難病の医療費助成制度などが利用可能な場合は、それらの制度の利用が優先される。
・生活保護の障害者加算
 障害者手帳の交付を受けている、または障害年金を受給している場合で、一定以上の障害認定を受けている場合は、生活扶助費に障害者加算が加算される。
・障害者加算の種類
 障害者加算には、以下の種類があります。
 障害者加算:身体障害者手帳1級・2級・3級、国民年金法施行令別表における1級・2級に該当する人など
 重度障害者加算:重い障害があり、常時介護を要する人
 特別介護料:家族介護料(障害者加算に該当する人を家族が介護する場合)、他人介護料(障害者加算に該当する人に介護人をつけるための費用)
・生活保護と障害者総合支援法による福祉サービスの利用
 障害者手帳の交付を受けていなくても、障害者総合支援法に定められた福祉サービスを利用できる場合がある。利用の際は原則として1割の自己負担が必要だが、生活保護受給者の場合は自己負担はない。
 生活保護制度の目的の1つは、生活に困窮する人の自立を促すこと。このため、障害や難病のある生活保護受給者が就労を目指し、障害者総合支援法で定められた就労移行支援を利用する場合も、自己負担金はない。
 就労移行支援は、職業訓練や就職活動のサポートを行うことで、就労までを一貫して支援する福祉サービス。障害や体調などを含め、自分の特性に合った仕事探しを手伝ってくれる。働くことへの不安が強かったり、ブランクが長くて心配な人は、就労移行支援事業所に相談してみることだ。
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2020年02月05日

「生活保護悪撲滅チーム」を示す「SHAT」のマークが袖に付いた夏用のポロシャツ

 不正受給対策が強調されていく中で、生活保護の現場が大きく変容していく。住民の最低限度の保障と自立の助長から、「不正受給を防止する」ことそれ自体が目的へとすり替わり、調査の徹底が指示され、生活保護制度を利用するための手続は複雑化していった。生活保護を利用している者、これから利用しようとする者から「不正受給者」を洗い出すための業務へと内容が改変され、ケースワーカーの仕事は、生活保護利用者を潜在的な不正受給者として疑い、徹底的に調査するといった、まるで「警察官」のような仕事へと変貌していった。
 当然のことながら、疑いの目を向けられる利用者との間に援助の基礎となる信頼関係を構築することはできず、互いに不信感が募るため、こうした関係はトラブルの温床となる。今回、小田原市で生活保護が「誰もやりたがらない人気のない仕事」になってしまっていたのは、政府の「適正化」政策が現場に暗い影を落としているからだ。
 本来、福祉的なケースワークは、利用者と信頼関係を結ぶことから始まるため、利用者を「疑う」ということが前提になる不正受給対策とは馴染まない。ケースワークと不正受給対策は対立するのである。したがって、業務内容が不正受給対策へと傾倒していけば、現場からケースワークが失われ、知らず知らずのうちに生活保護利用者をまるで「犯罪者予備軍」としてみなすような差別的な眼差しが形成されていくことになる。
 相談援助における専門性やそれを担保する組織体制が、こうした差別的な意識に対する防波堤として機能するべきであるが、福祉事務所には専門性をもった職員が配置されていない。ケースワーカーとして業務を行うためには社会福祉主事という任用資格を持つことが条件とされているが、資格取得率は75%程度にとどまる。また、社会福祉主事は大学の指定科目のうち三つを履修するだけで取得できる資格であることから、「三科目主事」などと揶揄され、その専門性には疑問符がつけられている。そのため、相談援助の基本や生活保護法についてほとんど知らない「素人」がケースワーカーとして配属される自治体は決して珍しくない。
 さらに、そのような状況にもかかわらず、研修体制も不十分な場合が多く、生活保護法についての知識が不十分なまま業務に当たっているケースワーカーも少なくない。今回事件が起きた小田原市も、十分な研修体制がとれていなかったという。
 専門性の不在や不十分な研修体制が「当たり前」となっており、差別意識に歯止めがかからない。小田原市が2007年に起きた利用者とのトラブルを契機にこのジャンパーを作成し、それが10年間も告発されることなく続いてきた背景には、こうした生活保護制度の運用体制が抱える構造的な問題がある。
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2020年02月04日

深刻なのは「不正受給」ではなく「漏給」

 生活保護と聞くと、ほとんど反射的に「不正受給が多い」というイメージを抱く人が多いと思われる。しかし、実際の統計データを見ると、不正受給の割合は金額ベースで0.5%程度であり、「不正受給が多い」というイメージとはかけ離れている。
 他方で、メディアなどではあまり取り上げられないが、生活保護制度は不正受給よりもはるかに深刻な問題を抱えている。それは、生活保護制度を利用すべき人が利用できていないという漏給問題である。生活保護制度を利用できる人のうち実際に利用している人の割合(捕捉率)は15〜20%程度であり、ヨーロッパ各国の公的扶助制度の捕捉率が6〜9割であるのと比べて、日本の制度捕捉率は深刻なほど低い。生活保護制度は、日本社会で生きる最低限度の水準を保障する制度であるから、膨大な数の人々が最低限度を割った生活を強いられていることになる。
 このように、生活保護制度の「問題」を考えた時、より深刻なのは「不正受給」ではなく、「漏給」なのである。この基本的な事実があまりにも共有されていない。本来、住民の生活を守る立場の行政は、最低限度以下の生活を強いられている住民が生活保護制度を利用していけるよう、漏給対策を積極的に行うべきである。しかしながら、現実には、行政は極めて数の少ない不正受給対策に傾倒し、漏給対策にはほとんど関心を払わない。むしろ、保護率をあげること自体を忌避する傾向がある。なぜこのような状況になってしまっているのだろうか。
 実は、現行の生活保護制度がスタートした当初、政府は漏給を解決していこうという問題意識を持っていた。そのため、1953年から1965年まで政府は毎年、生活保護制度の捕捉率についての統計データを集め公表し続けてきた。ところが1965年を最後に、政府は捕捉率の統計データを公表するのをやめてしまった。そして、この頃から、漏給問題など存在しないかのように生活保護行政が行われていくようになった。
 不正受給対策が生活保護行政のなかで大きな位置を占めるようになったのは、1980年代以降である。社会保障の削減を通じて「財政健全化」を目指す臨調行革のもと、国庫負担の重い生活保護の分野では、生活保護利用者を抑制する「適正化」政策の推進が掲げられた。これと連動するように、暴力団による「不正受給」をきっかけにして、生活保護制度の不正受給に関する報道が増加していった(なお、この当時の不正受給の割合は金額ベースで0.2%だった)。つまり、不正受給対策は、社会保障削減と不可分の政策として行われてきたのである。
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2020年02月03日

生活保護と医療費 医療扶助の利用方法

 生活保護を受給すると、国民健康保険の資格を失い、医療費の全額が医療扶助でまかなわれる。
 持病などがあり、定期的に診療を必要とする人が新たに生活保護を受給する場合は、生活保護の要否の決定時に医療扶助が保護内容に含まれ、保護の開始時に医療券・調剤券の交付を受ける。
 一方、生活保護受給者に治療の必要が新たに生じた場合は、所管の福祉事務所に受給者が医療扶助の申請を行う。福祉事務所は医療の必要性を検討後に医療扶助の給付を決定し、医療券・調剤券を発行する。
 生活保護受給者は、医療券・調剤券を持参して生活保護法に基づく指定医療機関や調剤薬局へ行き、診療や調剤の現物給付を受ける。生活保護の受給中は原則として医療費の自己負担はないが、例外として、年金や手当などの収入がある場合は一部負担が生じる場合もある。
 夜間や休日など、福祉事務所の業務時間外に受診の必要が生じた場合や、急病の場合は直接医療機関を受診し、事後に福祉事務所に連絡して医療券・調剤券の交付を受ける。通常時は医療機関や調剤薬局において医療券・調剤券の提示が必要だが、この場合は生活保護の受給証を提示する。
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