2020年01月11日

多様な生活と保護基準額

 人々の生き方が多様化した今日では、現金収入で最低生活を保障することには別の難しさがつきまとう。人によって金の使い方は多様で、1人9万円弱の生活費でも、消費の内容は1人ひとり異なる。食費を切りつめてこぎれいな身なりを維持する人もいるし、庭を草花できれいに飾る人、ペットを飼う人もいるかもしれない。しかし他方では、同じ額でもやりくりが困難な人もいる。体が虚弱で家事を思うようにこなせず、それを補うのに費用がかかる人、親戚が遠方にいて旅費がかかる人、生きがいとなっている趣味の活動や酒やたばこや遊興費に若干の金が必要な人もいるかもしれない。したがって、現金で人々の生活を保障するためには、保障する水準で実際にかなりの人が最低生活を維持できるように、ある程度余裕のある水準を設定しなければならない。
 最低賃金が低いのではなく、保護基準額が賃金に対して高すぎるという意見もあるが、保護基準額をギリギリの額にすると、無駄をなくすために保護を受けている人の生活を厳しく管理したり、反対に基準額では不足する人の個別の事情を詳しく考慮する必要が生じ、そのコストの方が高くなってしまう。現金給付にかわる現物給付の例としては、施設に入居してもらって必要最低限の衣食住を現物で給付する方法がある。自立した生活が維持困難な人にはこの方法がとられるが、一般にこの方法は、現金を支給して自分で生活してもらうより費用がかかる。また、最低生活の保障といっても、生存を維持しさえすればよいわけではなく、その人らしい生き方が尊重されなくてはならないので、現金給付の方がこの点でも優れている。働いている人たちの目から見て、一部の被保護世帯の人たちの金の使い方が、一部、自分より贅沢をしているように見えることがあるのは、貧困救済が現金給付でなされることと関係しているのである。
posted by GHQ/HOGO at 08:49| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする