2019年12月22日

当初分配を重視した日本型福祉国家


 なぜこれまでの日本は小さな福祉国家であったにもかかわらず、当初所得を安定させることができたのであろうか。それは、再分配(リ・ディストリビューション)に代わって、当初分配(プレ・ディストリビューション)の仕組みができていたからである。
 当初分配とは、イエール大学の政治学者ジェイコブ・ハッカーの表現で、当初所得を決める仕組みのことである。当初所得とは、市場のメカニズムで自然に決まるものではない。日本ではこれまで長期的雇用慣行、地方の当初所得を安定させる公共事業や業界保護など、この当初分配の仕組みが男性稼ぎ主の雇用を安定させた。そして男性稼ぎ主は、その勤労所得で妻と子供を養い、国はこのようなかたちを支援するために、税制や年金制度で専業主婦を優遇した。
 日本の再分配が高齢者向け支出に偏っていたのは、現役世代に対しては当初分配が生活保障の根幹となったからである。ところが、1990年代の半ばから、経済の脱工業化やグローバル化を契機として、男性稼ぎ主の安定雇用の基盤が崩れ始めた。
 95年に日経連はレポート「新時代の日本的経営」を発表し、全社員を長期的雇用慣行や企業内福利厚生の対象とするのを止め、雇用保障を一部の社員に絞り込んでいくことを提起した。2000年には、公共事業支出のGDP比もピーク時の半分ほどとなり、また、中小企業の業界保護の制度も規制緩和がすすんだ。非正規雇用は1995年には1000万人を突破、2013年には38.2%が非正規雇用となった。


posted by GHQ/HOGO at 09:13| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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