2019年10月06日

生活保護から生活困窮者自立支援へでよいのか?

 生活保護から締め出された「低所得層」に対して、政府は2015年から生活困窮者自立支援法にもとづく総合相談支援や就労準備支援などのサービスをスタートさせた。同制度は、各自治体の必須事業としての自立相談支援と住居確保給付金の支給事業、そして任意事業としての就労準備支援、一時生活支援、家計相談支援、学習支援などで構成されており、事業の多くは自治体直営というより民間委託によって実施されている。
 この生活困窮者自立支援制度の導入によって相対的貧困率が改善されたと見る向きもある。ところが、同法の事業の多くは任意事業となっており、その実施については大きな地域格差が生じている。厚生労働省の集計によると、就労準備支援、一時生活支援、家計相談支援、学習支援という4つの任意事業を導入実施している自治体の割合は(4事業の全国平均で)ほぼ40%にとどまっている。
 こうして、政府は生活保護基準の引き下げなどによって給付の対象を狭める一方で、「生活困窮者」に対しては一定の支援を行う枠組みを提供してきた。しかしその実施は任意であり、全国で約4割の自治体でしか事業を実施できていないのだ。
 さらに、同集計によれば、相談自立支援と4つの任意事業の約70%が民間への事業委託によって実施されている。自治体がどのようにして民間事業者を入札・評価しているのか、そして長期的に慎重な関わりが必要な生活困窮者に対して民間事業者はどのような支援を保障できているのかが問われている。たとえば、自治体の委託を受けた民間事業者は、低予算のなかで最大の「コスト・パフォーマンス」を発揮することを期待され、実績を上げなければ次年度の継続が危ぶまれる状態に置かれている。現場ではこうしてPDCAによる事業評価と改善を求められ、費用対効果による成果を示すことを迫られる。したがって短期間で「成果」が見込まれない「支援困難ケース」は支援対象から排除される可能性がある。
 民間事業者の多くが効果測定や「成果」にこだわるあまり事業や支援がパターナリズムを帯びる可能性が高まり、支援者は被支援者をコントロールしようとしがちになる。制度にシステム化されケアマネジメントの手法が導入されると、管理統制主義(managerialism)や成果主義に導かれやすくなるということである。その結果、民間事業者であるにもかかわらず独自性や先駆性を失い、事業の責任を負う支援者は利用者に規格化されたサービスをあてがい管理統制する暴力装置となる可能性をはらんでいるのだ。
posted by GHQ/HOGO at 06:21| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする