2019年10月04日

増え続けるワーキングプアと住居喪失

 貧困をとらえるいくつかの一般的な統計において、貧困問題はたしかに改善の兆しを見せている。しかし、以下ではもう少し別の角度から貧困の新たな広がりを確認し、これまでとは異なる形で貧困が潜在化している現実をとらえてみる。
 その1つが、非正規労働者の数と無業者の数の推移だ。この間、失業率が改善され就業者人口が増えたものの、就業者に占める非正規労働者の割合は増加の一途をたどってきた。2017年の被雇用者に占める非正規雇用率は37.3%であり、また2018年6月に発表された内閣府の『子供・若者白書』では、いわゆる「ニート」に該当する「若年無業者」が71万人であることが示されている。非正規労働者と若年無業者の多くが「ワーキングプア」(就労する低所得者)となって増えつづけており、賃金労働に就きながら貧困状態におちいるという現実が日本で一般化していることがわかる。
 これまで非正規労働者や若年無業者が「貧困者」として認識されることは一般的でなかった。フリーターと呼ばれる者の多くが若年層であると見られてきたため、問題の焦点は彼らに対する教育訓練と就労支援だと考えられてきた。貧困という観点から彼らの生活保障にスポットがあたる機会は少なかったといえる。しかし2000年代の「就職氷河期」に大学などの卒業を迎えた若年層がもはや40代に突入しはじめ、また彼らを扶養してきた親世代が高齢化するなかで、家族丸ごと貧困化するケースがじわじわと増えつづけている。
 さらに、賃金労働者の給与実態を年齢別に見ると、賃金労働をしながら低所得である「ワーキングプア」の多くが24歳以下の若年層と60歳以上の高齢者層(とくに女性)に表れていることがわかる。つまり、ワーキングプアによる貧困の問題は、若年層のフリーターだけの問題ではなく、(年金だけは暮らせない)女性高齢者の所得保障の問題としても理解しなければならないということだ。
 もう1つ、「広義のホームレス」に関する統計も現代の貧困が多様な形態をもって拡大していることを表している。東京都が2018年に公表した「住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査」によると、インターネットカフェ・漫画喫茶・サウナなどの「オールナイト」利用者のうち25.8%が「住居喪失」の状態にあり、すなわち東京都内で約4000人が「住居喪失者」であるという推計が示されている。年齢は「30〜39歳」(38.6%)が最も多く、次が「50〜59歳」(28.9%)となっていて、いわゆる「ネットカフェ生活者(難民)」の多くがすでに高年齢化していることがわかる。
 全国には約5000人の「ホームレス(路上・野宿生活者)」が暮らしていることが確認されているが、この東京都の調査はネットカフェ生活者が東京都内だけで推計約4000人いることを示している。彼らは貧困状態にありながら社会保障制度の「網」にかかることなく、孤立したままその日暮らしをしている。
 路上・野宿生活者が減少する一方で、ネットカフェ生活者のような住居喪失者が拡大しており、さらにその背後に膨大な数の「家賃滞納者」が存在している。そのような人々は多重債務やホームレスの予備軍であると考えられる。そして家賃滞納によって住居を追い出された人々の一部は、居候はもちろん、住み込みのできる性産業(性風俗業)や暴力団などに関わることも多くあり、離脱を困難にさせていく。
posted by GHQ/HOGO at 06:48| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする