2019年09月03日

商品の画一化は経済を萎縮させる?

 内需依存型の大きな政府が、内需に依存しているにもかかわらず、内需を増やすことができない理由を、単純化されたモデルを使って検証してみよう。
 今、外国と交流のない、食品と衣服しか生産していない1000人の国民からなる小国があるとする。1000人の国民のうち、半数の500人は、服装には無頓着で、美味・珍味を堪能することにのみ生きる喜びを感じる大阪型の食い倒れ消費者で、残りの500人は、きらびやかな衣装に身を包むことが三度の食事よりも好きな京都型の着倒れ消費者とする。収入は全員毎月10万円で、毎月の支出の内訳は、
 •大阪型:食費 7万円,衣料費 3万円
 •京都型:食費 3万円,衣料費 7万円
 であるとしよう。このとき、この国の総支出=総生産=総収入は毎月1億円である。
 ところがあるとき、ある革命家が権力を掌握し、「食道楽や華美な衣装はブルジョア趣味でよろしくない。今後、わが国で生産する衣服はすべて安価な人民服で統一し、食べ物も公共食堂で提供する安価な食事に限る」と宣言したとしよう。
 全員が買ってくれる画一的商品を生産しようとするなら、衣服は大阪型消費者が買ってくれる水準まで、食品は京都型消費者が買ってくれる水準まで品質と価格を引き下げなければならない。その結果、大阪型消費者も京都型消費者も食費と衣料費を3万円まで引き下げてしまう。
 消費者がある商品を購入するに際して、実は支払ってもよいと考える最大の金額から実際に支払った金額を差し引いた金額を消費者余剰と言う。革命前に消費者余剰がなかったと仮定すると、革命後、衣服でも食品でも、500×(70000-30000)=20000000 円の消費者余剰が生じることになる。その結果、国民総支出は毎月6千万円にまで縮小してしまい、収入も1人当たり6万円にまで減ってしまうので、もはや最低限の食品と衣服しか買えなくなってしまう。クローズドな内需依存型経済では、支出の減少はただちに収入の減少をもたらす。そこには、消費者余剰を増やそうとすると消費者余剰が減ってしまうという逆説がある。
posted by GHQ/HOGO at 05:56| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする