2019年05月01日

転換点は「税と社会保障の一体改革」

 「生活保護は最後のセーフティネットだ」
 「国は当事者の声を聞け」
 生活保護バッシングが吹き荒れるなか、もやいをはじめとする支援団体、法律家などは生活保護についての誤解や偏見が広がらないようにと、さまざまなアクションを起こした。議員会館に出向いて国会議員に直接生活保護利用者の声を届ける活動をしたり、生活保護バッシングにより不安に感じている人への相談会を開いた。
 しかし、生活保護の利用者が、つまり当事者が声をあげるというのは並大抵のことではない。身近な人、近所の人に知られたら恥ずかしい、世間の目が怖い、フクシのケースワーカーにいやがらせをされるんじゃないか.….。
 彼ら・彼女らの生活を支えていたのは、まぎれもない「生活保護」そのものなのだ。だからこそ、それを支給してくれる国や納税者である世間に対して声をあげる勇気を持つ人は、本当に少なかった。
 ただ、一部のメディアは彼らの声を報道した。しかし、残念ながら、そういった声は必ずしも政策に反映されたとは言えない。
 「わかりました。いただいたご意見はしっかりと検討させていただきますから…」
 「必要な人が生活保護を受けることについては、何も反対なんかしていませんよ。あくまで、悪質な事例に対処するために生活保護制度の改革が必要なんです」
 官僚も政治家も、話は聞いた。ただし、それは本当に、聞いてくれただけだった。
 こうして2012年8月、「税と社会保障の一体改革」の名のもとに、「社会保障制度改革推進法」をはじめとする関連8法案が可決された。この法案は、日本の社会保障を、そして生活保護をはじめとした生活困窮者支援施策にとって、大きな転換点と言えるものだった。 この時ほど、自分たちの無力さを痛感した人は少なくなかった。


posted by GHQ/HOGO at 06:06| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする