2019年03月16日

社会保障費をめぐる「奪い合い」

 社会保障の費用負担をめぐる争いもある。これは最も現代的な課題かもしれない。
 社会保障費が増大すると財政負担になる、すると、自分が納める税金や社会保険料の負担が増えるから、気に入らない、だから社会保障費を食いつぶしている連中をやっつけろ――という発想だ
 背景には、日本経済が大局的に見て20年以上にわたって停滞を続け、人口も減少に向かい、パイが大きくならないこと、高齢化・少子化の進行によって社会保障の受け手が増え、支え手が減ったこと、しかも経済的な格差が拡大してきたことがある。
 この間、多くの勤労者にとっては、賃金水準が下がる一方、所得税・住民税・消費税が上がり、社会保険料の負担、医療・介護を利用する時の自己負担も、どんどん上がった。教育費の負担も大きくなった。その結果、自由に使えるお金が減り、生活が苦しくなってきたわけだ。
 一方で、国家財政の借金は膨れ上がっている。自分が公的にもらえるお金が期待できず、むしろ社会保障制度によって自分の負担が増えるなら、使っている側を減らそう、そういう奪い合いの意識がさまざまな攻撃・非難のベースにあるのではないか。
 標的の1つにされたのが生活保護。攻撃する側は、怠けている連中が多いから安易に受けさせるな、という見方をしている。ヘイトスピーチをする連中は、在日外国人は生活保護から排除せよ、と主張している(在日外国人も税金は納めているのだが……)。
 高齢者もターゲットだ。高齢者の年金、医療、介護の費用が財政を圧迫している、と政府・財務省・厚生労働省はいつも強調している。高齢者は肩身の狭い気持になる。高齢者に無駄な医療費が使われている、寝たきりになったら医療で長引かせずにさっさと死なせろという議論は以前からある。最近登場した超高額の抗がん剤について、高齢者には使用を制限せよと主張した医師もいる。
 病気の人も標的になる。最近では、長谷川豊というアナウンサーが、自堕落な生活で糖尿病から人工透析になった人は自業自得だから、高額の透析医療費は全額自己負担にせよ、それが無理なら殺してしまえ、という趣旨の文章をブログに書いて、問題になった。
 貧困者・障害者に対しては、もともとの差別意識もある。生活に困って路上や公園で暮らしているホームレス状態の人々は、迷惑で汚い存在だ、そんな生活を好きでやっている怠け者だ、と白眼視され、「役に立たない存在」と見た少年たちなどから襲撃を受けて、各地で相次いで殺されてきた。
 それに加えて社会保障の費用負担を理由に、社会的に弱い人々をお荷物のように見る風潮が強まっている。障害者はいなくなったほうがいい、という考えから大量殺害に及んだ相模原の事件も、そういう社会風潮が動機形成の根底にあるようのではないか。
posted by GHQ/HOGO at 09:07| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする