2018年12月27日

日本における「3つの貧困層」

 日本の主たる貧困層が諸外国にはない大きな特徴を持っている。
 日本には主に、次の3つの貧困層が存在する。一番割合が大きいのは、ひとり暮らしの高齢女性である。昔の女性は専業主婦が多かったため、配偶者が亡くなった後は、国民年金だけで生活している人も少なくない。日本では、そうした人たちが貧困に陥るケースが非常に多く、日本の貧困の典型的な形といえる。
 その次に多いのが、若い人たちの中で、自由を求めて定職に就かない人たちが貧困に陥るケース。フリーターなどを続ける若者などが、その典型である。さらには、数としては少ないものの、シングルマザーによる貧困問題も深刻である。シングルマザーの場合には、子育てと仕事を両立させるために、パートタイマーなどを選ばざるをえないため、貧困に陥る可能性が非常に高くなるという傾向がある。しかし、彼らの性質上、なかなか暴動を起こす存在にはなりにくいといえる。
 確かに、高齢の女性が、生活が苦しいからといって、積極的に暴動を起こす存在になるかといえば、それは考えにくい。自由を求めてあえて定職に就かなかった若者たちは、自分の意思決定の結果として貧困に陥ったともいえるため、社会に対する大きな不満を持ちにくいのも理解できる。3番目の貧困であるシングルマザーの場合、子育てと仕事に追われており、そもそも暴動を起こす余裕などない、ということなのだ。
 しかし、日本銀行がデフレ脱却の目標として掲げた「物価上昇率2%」というインフレが日本でもし本当に実現したとしたら、いったいどうなるのだろうか。賃金が上がらない庶民や貧困層の生活が今よりもさらに苦しいものとなることは確実ではないか。
 2018年12月時点でも、物価上昇率2%というインフレ目標には、ほど遠い状況にある。ところが、これから本格的なインフレが進行するとすれば、貧困問題は、今よりさらに深刻になる可能性がある。今の状態でギリギリやっていけているという人たちからすると、食料品や家賃が本格的に値上がりをはじめたら、生活はますます苦しいものになっていく。貧困層の間からは、それこそ我慢の限界を超えて、悲鳴が上がることになってくる。
 実際、2015年の半ばに1ドル125円を超える円安が進行した際、あちこちから『生活が苦しい』という声が出た。ただ、当時はその後に為替が円高方向に反転し、さらに昨年はじめには原油価格や食料価格が大きく下がり、物価が下落に転じたこともあって、大きな社会問題とはならなかった。
 つまり、皮肉なことに、日本銀行が望むインフレにはなっていないことが、逆に貧困層の救いになっているのだ。しかし、日本で今後、本格的なインフレが進行することになれば、これまで我慢を重ねてきた貧困層も、ついに我慢の限界に達して立ち上がり、日本でもいよいよ暴動が起こるかもしれない。そうした事態を引き起こさないためにも、政府や日本銀行は、単に『物価上昇率2%』目標にこだわるばかりでなく、今からしっかりとした対策を考えておくべきなのである。
 このまま無策のまま本格的なインフレが進行してしまえば、日本でも貧困層による暴動が起きるかもしれないのだ。
posted by GHQ/HOGO at 06:38| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

貧困、消費低迷、少子化の要因

 派遣社員やパートなど非正規労働者の増加が、社会保障制度を揺るがしている。低賃金と不安定雇用が、社会保障の支え手である現役世代に貧困層を拡大させ、少子化の要因ともなっている。年金や医療保険でも正社員との格差は大きく、十分なセーフティーネットがない。非正規労働者の生活を守る仕組み作りが急務だ。
 東京都葛飾区に住む独身男性のAさん(42)は、派遣社員として都内の大企業で働く。月収17万円。月7万円の家賃を払うと生活はギリギリだ。わずかな貯金を取り崩すことも多い。
 1年ほど前、それまでの会社が業績悪化で行き詰まり、派遣社員になってしまった。いつ契約を打ち切られるかがわからない。老後の年金はどうなるか。そんな不安も強く、何とか正社員になろうと、週末ごとにハローワークに通う。これまで20社以上の面接を受けたが、いずれも不採用。「年金が少ないので貯金したいけれど、逆に減る一方。このままでは生きていけなくなる。正社員との格差はあまりに大きい」と嘆く。
 1990年代以降、景気低迷や国際競争の激化を受けて企業の人件費削減が進み、派遣やパートなどの非正規労働者が増えた。今では雇われて働く人の35%を占める。20〜30代の若者も多くなった。
 以前のように家計補助的な主婦パートだけでなく、家計の担い手が非正規で働くケースも目立つ。正社員になれなかった「不本意就業」も増え、派遣では4割超に上る。しかも、いったん非正規になると教育訓練の機会も少なく、抜け出すのが困難だ。
 この結果、ワーキングプアなど現役世代の貧困が社会問題化してきた。厚生労働省の調査によれば、正社員の平均月収が約31万円なのに対し、非正規は約20万円。勤続年数が長くなっても賃金は上がらず、格差が開いていく。
 かつては、終身雇用を基本とする日本型雇用のなかで、会社が家族手当や住宅手当などの現役支援を担った。このため、国の社会保障は年金など高齢者向けに重点化された。だが、日本型雇用が崩れ、非正規雇用が増えた現在も、社会保障における現役支援は手薄なままだ。
 経済的理由から結婚しない人も多く、少子化を加速させている。非正規で働く30〜34歳男性の既婚率は28%で、正社員の59%を大幅に下回る。
 社会保障の支え手である現役世代を低賃金・不安定雇用に落とし込み、結婚や子育ても困難な状況に追いやって少子化を加速させることは、社会保障はもちろん、日本の将来そのものを危うくしている。
 非正規問題は正社員にとっても無縁ではない。正社員は雇用の安定と引き換えに長時間労働を強いられ、疲弊している。遠隔地への単身赴任も一般化し、仕事と家庭の両立は困難だ。
 過重労働の正社員か、貧困の非正規か。若者たちはその二者択一を迫られているのが実情だ。「賃金の改善と現役の貧困層への支援拡充をセットで行い、非正規でも夫婦で働けば子育てができ、教育費を支払える社会にする必要がある。非正規から正社員への転換を支援し、安定雇用につなげる仕組みも欠かせない」と、湯浅事務局長は強調する。
 具体的に、どんな対策が求められるのか。
 まず、賃金などの処遇で正社員との不当な格差をなくす。行政や業界団体が教育訓練の機会を提供し、正社員や希望の職種へのキャリアアップを支援する。
 正社員の働き方の見直しも合わせて進める必要がある。今のような過重労働では、正社員への転換をためらう非正規も多い。「正社員を多様化し、一般よりも勤務時間が短い短時間正社員や転勤のない地域限定正社員など、様々な働き方を用意することも有効。子育て期の女性なども正社員としてのキャリアを継続できるし、非正規からも移行しやすい」と、樋口美雄・慶応大教授は話す。
 年金などの社会保険でも正社員との格差解消が急務だ。給付が手厚い厚生年金や企業の健康保険はパートなどを対象外にしており、非正規の半数が加入できずにいる。その場合、多くは国民年金や国民健康保険に加入するが、低所得者にとっては保険料が割高で、未納が目立つ。将来は無年金・低年金になる恐れがあるし、無保険は命にかかわる。そればかりか、こうした制度自体が、企業が保険料負担を逃れるために非正規を増やす動きを助長している。
 非正規労働者の増加によって、消費が冷え込み、経済が低迷し、さらに非正規の増加を招くという悪循環に陥っているのが現状。雇用の安定と適正な賃金の確保こそが『安心』の基本であり、持続的な経済成長や社会保障制度の維持のために欠かせないのではないか。
posted by GHQ/HOGO at 06:37| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする