2018年12月15日

医療にも差別をもちこむ

 安倍政権は生活保護法そのものも改悪した。6月1日に成立した生活保護「改正」法では、医療扶助で後発(ジェネリック)医薬品の使用を「原則とする」とした。「劣等処遇」を正当化する、差別医療へ向けた一歩であり、日本の医療の根本を覆すものだ。お金のあるなしで受けられる医療が変わる、医療の哲学が変わる深刻な問題と捉えるべきである。
 また厚労省は3月、生活保護利用者だけに薬局一元化を推進することを決めた。複数の病気を抱え最も選択の幅を用意すべき生活保護利用者だけ、自己決定権を否定し、薬局を制限する。
 福岡の民医連の病院には、お薬手帳を持参しない生活保護利用者を福祉事務所に通告するよう協力依頼が来たと聞きました。法的根拠はあるのか、協力は任意か強制か、このような通告の効果の査定方法に合理性はあるのか、ぜひ問い質し、撤回を求めるべきだと思う。見せしめのように生活保護利用者をねらい撃ちにすることは明らかな差別医療である。貧困と不健康には密接な関係があり、最も必要な人に給付しない医療では意味がある。
 日本政府が行う生活保護制度の改悪は、国連の人権専門家からも「国際人権法に違反する不当な差別」などと指摘されるほど、重大な人権侵害だ。
 今年2月、福岡医療団から全日本民医連に衝撃の情報提供があった。「生活保護利用者がお薬手帳を持参しない場合、医療機関と調剤薬局は福祉事務所に報告するよう」福岡市保護課から医師会を通じ、同市にある千鳥橋病院に協力を求める通知が届いた。「お薬手帳の活用推進と医療扶助費の適正化が目的」と説明している。
 千葉県船橋市では7月、福祉事務所から、「医療扶助でC型肝炎新薬の処方せんが持ち込まれた場合は、担当ケースワーカーに連絡するよう」協力依頼がきた。理由は一昨年6月、神奈川県相模原市で生活保護利用者が高額なC型肝炎新薬をだまし取ったとして逮捕された事件があったからとしている。
 千葉民医連は常任理事会で議論し、福祉事務所に対し依頼撤回を求める要請行動を決めた。県に対し、撤回の指導や他自治体の動向把握などを求める行動も他団体と調整中である。今後も福岡や千葉のような事例が予想され、注意が必要である。
 一方、長野県では6月、飯綱町と信濃町議会が、生活保護基準の引き下げ中止を求める国あての意見書を採択した。意見書では、「住民全般の生活水準の引き下げにもつながる」「現行でも、生活保護受給者の生活は決して楽ではない」としている。長野地区社保協の請願に応えたもの。
 国際人権規約の社会権規約12条は、いわゆる健康権≠保障し、世界医師会が1981年に保障している。
 一方、日本の医療は戦後、「いのちと健康は平等」をめざし国民皆保険制度を築いてきた。根本には「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を国の責任で保障する憲法二五条がある。これに基づき生活保護制度は、無差別平等(2条)、最低生活保障(3条)の原理を定めている。
 こうした規定を見れば、「生活保護は劣等処遇でいい」などという考えは出てくるはずがない。憲法の理念や、医療の根本を理解していない考えである。なぜ生活保護の利用者だけが、いのちを我慢しなければならないのか。
posted by GHQ/HOGO at 09:43| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする