2018年08月21日

貧困はなぜ起こるのか?

 貧困って何で起きるのか。また、なくならないのか。
 「貧困は絶対になくならないよ。なぜなら人間はそこまで賢くないから」
 そうであれば、そもそも、貧困はなぜ起こるのか。経済学はどう貧困を捉えているのだろうか。また、それにどうアプローチすればいいのだろうか。
 ある日読んだ論文はかなり自分のためになった。論文といっても実証論文ではなくかなり読み物に近いもの。
 『Rebecca M. Blank (2003) "Selecting Among Anti-Poverty Policies: Can an Economist be Both Critical and Caring?" Review of Social Economy, 61-4. 447-469』―著者は、クリントン政権で大統領経済諮問委員を務め、現在はリベラル系の名門シンクタンク、ブルキングス研究所の研究員である。なぜ貧困が起こるのかということを、アメリカ社会と途上国を見て論じている。経済学での6つの見解がまとめられている。
 @ 貧困は低開発のせい。すなわち、貧困は効果的に機能する市場が欠如しているから生まれる
 途上国は十分に経済発展していなくて市場がないので貧困の人が多い、という立場。この立場をとるとすれば、貧困削減の対策としては、「経済発展しましょう」ということになる。そうすればやがて雇用も生まれ、貧困にあえぐ人も貧困から脱せると考えるのである。
 A 貧困者が経済活動に参加できなかったり、参加する準備ができていないから、貧困が生まれる
 女性やマイノリティは経済活動をするには不利な立場におかれている。また、若い人が失業にあえぐのは、働くためのスキルがないからという説明。
 この立場だと、対策としては経済活動への参加を阻むものをなくすことを目指す。、例えば女性の機会が不均等であれば、機会均等法を制定したり、育児休暇を増やすとなる。また、準備ができていないとなれば、職業訓練や教育の機会を施す、となる。
 B そもそも市場はうまく機能することなどなく、市場があるから貧困が生まれる
 この立場であれば、対策は市場を規制しようとなる。例えば、多国籍企業の活動のせいで、現地企業が発展せずに困っているではないか、多国籍企業の活動を規制しようとなる。もしくは、企業は従業員をできるだけ低い賃金で雇おうとするから、最低賃金法を設定して、最低限の賃金を保証すべきだともなる。
 C 貧困は市場メカニズムとは関係なく、むしろ社会や政治的なものが原因で生まれている
 この立場は、汚職があるから一部の人しか儲からなくて、大部分の人は貧困にあえいでいるのだと考えたりする。また、その対策としては、汚職を追及するシステムを作ったりすることを考える。
 D そもそも貧困者はそれを選択しているに過ぎない
 Cまでは貧困者は望んで貧困なのではないと捉えていたが、この立場は貧困者は望んで貧困を選んでいるのだという考え方。例えば、アル中で職を失うのは、お酒を飲むからだよ、と考えたり、子沢山で家計が逼迫するのは家族計画をしっかりしないだよ、と考える。また、アル中といった悪行は、「子は親の背中をみて育つ」から、世代を超えて貧困が続くのも、親のせいだよと考える。
 この立場だと、市場は短期的には、効果的な対策を打てないと考える。だから短期的対策としては、個人をターゲットにして、「サポート」するか「罰」を与えるかです。なのだ。サポートの例としては、カウンセリング。アル中を抜け出せるよう、職に就けるよう、カウンセリングをする。罰の例としては、悪い親から子を引き離すなどの処置がとられる。
 長期的には、社会的に不利な立場の人がより経済活動に関われる仕組みを作ろうとする。
 E 貧困は、貧困をなくそうとする取り組みから再生産されている
 貧困をなくそうとするから、貧困者は貧困のままでいるという考え。生活保護を渡すから、その状況から抜け出せないのだよという考え方である。
 この対策としては、援助や生活保護を期限をつけることである。
posted by GHQ/HOGO at 06:30| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする