2018年08月12日

つくられた貧困 格差広げる所得再分配 

 日本で貧困といえば、1980年代は高齢者の問題だったが、今は子供の貧困が深刻だ。背景の1つに、親世代の雇用環境の悪化がある。15〜24歳の非正規労働者の割合は90年は男女とも2割だったが、2010年は男性の4割、女性の5割に上っている。新卒者がなかなか正社員になれていない。90年代半ばから政府が進めた規制緩和で、非正規労働者が増加したことが原因だ。
 さらに「非正規=低賃金」という日本固有の構図がある。他の先進国は同じ仕事ならば正規、非正規の時間給の差は15%程度だが、日本は30〜40%。しかも、日本の最低賃金は時給798円(2016年度の平均)で、主な先進国19ヵ国で最低レベルだ。
 この原因は「男が外で稼ぎ、女は家を守る」という性別役割分業を基にした制度設計にある。
 女性の労働に「103万円の壁」を作り出した配偶者控除や、「130万円の壁」を設けた年金の第3号被保険者制度や健康保険制度が、「働くのは損」と労働参加をゆがめ、家計補助のパートで良しとし、女性の低賃金労働を許す要因となっている。「1人親の8割が働いているのに、5割が貧困」という理不尽を生む要因となっている。
 もう1つ、本来は高所得層から税や社会保険料を取り、年金や手当、生活保護などの社会保障給付で低所得層に還元する「所得再分配」が、逆に貧困の拡大を招いている現実がある。
 政府による所得再分配の前と後で、貧困率がどれくらい下がったかを示す「貧困削減率」という指標がある。経済協力開発機構(OECD)の09年の分析では、各国は再分配後に貧困率を20〜80%削減しているが、日本だけが唯一、共働き世帯やひとり親世帯で、貧困率を8%増加させていた。
 所得再分配が正常に機能していないのは、高所得層に優しく、低所得層に厳しい税制が大きな原因だ。80年代は70%だった所得税の最高税率を40%前後まで下げた。90年代後半から法人税も繰り返し下げ、年間10兆〜20兆円規模の税収を放棄する一方で、消費税や社会保険料の引き上げで低所得者に負担を強いてきた。日本はOECD諸国の中で、税の累進性が最低レベルだ。
 こうして見ると、子供の貧困は政府がつくり出してきたと言える。
 正規、非正規労働者の賃金格差をなくすため、「同一価値労働同一賃金」の原則を徹底し、最低賃金を上げる。配偶者控除のような高所得層を優遇する制度は撤廃する。所得税の最高税率を引き上げる。子供の貧困を解決するため、政府が取るべきはこうした政策だ。
posted by GHQ/HOGO at 05:23| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする