2018年08月31日

なぜ生活保護基準の引き下げは問題なのか?

 生活保護基準とは、生きていく上での最低限必要な生活費の水準を指す。生活保護費のうち、食費や衣服費など日々の生活に必要な生活費を「生活扶助」といい、5年ごとに見直しがされている。2017年、その生活扶助の見直しが行われ、最大5%の引き下げが決まった。
 生活保護世帯は、2017年10月時点で約164万世帯、延べ人数で約212万人になった。生活保護基準の引き下げは、この212万人だけの小さな問題だと思われがちだが、実は、生活保護を受けていなくても、所得が少なくなった場合に利用できる制度はたくさんあり、その多くの受給要件が生活保護基準をもとに決められている。
 自治体によって異なるのだが、例えば、小学校や中学校への就学援助を受けられる世帯は、所得水準が生活保護基準の1.3倍以下などと決められている。つまり、生活保護基準が引き下げられれば、就学援助が受けられる所得水準も引き下げられ、これまで受けていた就学援助を受けられなくなる世帯が出てくるのだ。
 また、住民税の非課税基準も同様に下がるため、今まで課税されなかった人が課税されることにもなる。加えて、保育料や医療費、介護保険料などの非課税世帯に対する優遇措置も対象から外れるので、さらに負担は増えることになる。
 生活保護基準の見直しで影響が出るとされる制度は国だけで30以上あり、各自治体の独自制度を含めると数はさらに増える。
 このように、生活保護基準の見直しは、生活保護世帯に対する影響はもちろんだが、関連制度利用者への影響の大きさに注意すべきなのだ。これによって生活に影響が出る人は、生活保護受給者を含めて、約3000万人にも及ぶと言われている。生活保護基準を下げることは、支援の対象者を減らすことであり、生活が苦しくても法的には困窮者とは認められなくなることを意味する。
 17年の改正によって、額面で160億円ほどの財源が浮くと試算されているが、関連する制度の引き下げ分も加えると、さらにその10〜20倍になるのではないかと言われている。まさに、政府の狙いは、対象者の少ない生活保護基準を引き下げることで関連制度の基準も引き下げ、社会保障費全体を削ることなのである。
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貧困層拡大の原因

 日本において貧困層が拡大している。大学生の半分近くが卒業時に奨学金の返済という借金を背負っている。多くの年金受給者も生活不安を抱えている。労働者の40%にも達している非正規労働者は低賃金で将来に大きな不安を抱えている。
 貧困層が拡大してきた原因はどこにあるのか。多くの政治家や学者は経済成長が止まったことが原因だという。しかし本当だろうか。逆ではないのか。つまり貧困層が拡大するような政策がとられたことによって経済成長が止まったのではないか。
 今日のアベノミクスという「異次元の景気対策」がとられているが、景気回復に最も重要な個人消費は伸びるどころか減少している。つまりお金があれば個人消費を拡大する貧困層にはお金は回っておらず、株価の上昇などで資産を多く持っている富裕層にお金が回り、富裕層は今以上消費するものはないので個人消費は伸びず、さらなる資産形成にお金を回すという悪循環が今の日本に起きている。
 最近の政治運動の特徴は富裕層と貧困層対立ではなく、中流層や貧困層内部での対立をあおることで人気を得るところにある。典型的なのがおおさか維新の元代表橋下氏であり、アメリカではトランプ氏だ。橋下氏は自治体職員の待遇が民間企業に比べて良いことや、生活保護水準が一部の低所得者より良いことなどを取り上げ、その間の対立をあおってきた。
 このため、富裕層の税負担を高くして、貧困層の負担を低くする政策は進んでいない。給付型奨学金の充実や保育士・介護士の待遇改善など、貧困層の拡大を防ぐ政策に力を入れる必要があるのではないか。
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2018年08月29日

理不尽な日本―21世紀の不平等

 格差問題について、よく語られるのは、「努力が足りないから貧困になった」というものだ。だが、果たして、その人が貧困になってしまったのは努力不足だったからだと、本当に言えるのだろうか。
 それに関して驚くべきデータがある。それは初めて就職する人の4割が非正規になっているという現実だ。非正規の約7割は年収200万円未満。これは努力不足というだけで片付けられる問題ではないという事実の一端を示している。
 さらに懸念されるのが「貧困の連鎖」だ。親が“負け組”になると、その子供は十分な教育を受けられず、大人になっても貧困状態が続く可能性がある。ある慶大生は子供のころから努力しているが、それは親が「食卓に漢字ドリルをおいていた」というように、努力するために何らかの働きかけがあったからだ。だからこそ、貧困に陥った人たちのサポートが必要なのではないか。
 「サポートすべきだと思う。最低限の文化的な生活は提供すべき。子供は、(国の)みんながおカネを出し合って、育てたほうがいい」
 「そもそも努力ができない環境にあることもある。親が仕事に忙しく、兄弟の世話をしなければいけない」
 「もともと公平じゃない中で、努力だけでどうにもならない部分もあるかもしれない」
 「ただし、困ってる人たちだけを助けようとすると、多くの人たちは、自分の負担が増えることを嫌がるのではないか……」
 では、格差はどうすれば是正できるのだろうか。ここでアトキンソン氏が『21世紀の不平等』で提言する「格差を是正する15の方法」を挙げてみよう。
 @ イノベーションを正しく導こう
 A 多くの人々の声を反映する仕組みを強化しよう
 B 失業者の雇用を政府が保証しよう
 C ちゃんとした国民報酬政策をつくろう
 D 貯蓄にはプラスの利子を保証しよう
 6 成人した人みんなに定額のお金をあげよう
 F ソヴリン・ウエルス・ファンドなどで国の資産を増やそう
 G 所得税の累進性を高めて最高税率を65%にしよう
 H 所得の低い人には政府が税を通じて補助金を出そう
 I 相続や生前贈与に対して、適切な課税をしよう
 J 最新の不動産鑑定に基づいた固定資産税にしよう
 K すべての子どもに児童手当をあげよう
 L 広い意味での社会参加に対して所得保証をしよう
 M 社会保険の給付を引き上げ、範囲を拡大しよう
 N 富裕国はODAをGDPの1%に増やそう
 この提言に対し、次のような意見がある。
 「子供の格差については政府がおカネを出さなければいけない」
 「現金給付と言っているが、誰もが欲しがるおカネを一部の人に配ることが、本当に日本で受け入れられるのか。機会の平等を考えるのであれば、現金給付よりもサービスを出すべき。とくに教育サービスは効果的」
 これらの意見に共通しているのは、子供の貧困は絶対に認められないということ。子供をきちんと育てなければ、国の将来も危うくなる。そうした問題意識のもと、格差の議論はさらに深まるはずだ。
 こうした議論について、『18歳からの格差論』(井手英策著)では、「格差について問題なのは、格差が見えないということ。そして、もう1つ。多くの人がいろんな意味で格差を受け入れないことだ」と指摘する。
 「とくに、自分は貧困層ではない、格差を受け入れないという見方はやっかいだ。生活苦に耐えながら働いている人たちは、貧困層に対して、努力していない、だから自己責任だという不満を募らせる」
 なぜ努力しない人たちのためにカネを払わなければいけないのか。そうした不満は、とくに世帯年収300万〜400万円の非正規カップルに多いのではないかという。貧しい人が、より貧しい人を差別するような状況こそが問題なのである。
 一方、ブラックバイト問題については、「企業悪者論」だけを唱えていても問題は解決しないという。そもそも日本人は、長時間労働でGDPを上げてきた国民。歴史的に見ても、ブラック企業というのは、いかにも日本人らしい現象の1つだと言う。
 「さらに言えば、都市化によってサービス産業化、IT化が進めば、賃金は必然的に下がっていく。これは先進国中で起きている問題。企業も安い賃金でなければ成り立たないから、長時間働かせて、ある程度の収益を上げるかしかない。こればかりは逃げられない」
 「労働生産性が下がり、技術革新も進まない今の日本は病人。この病はおそらく長期的に続くはずだ。企業の悪口を言うだけではなく、また経済のバラ色の未来を語るのでもなく、成長に頼らない社会の可能性をみんなで考えないといけない」
 それでは、格差は努力不足で起こるという問題についてはどう考えればいいのだろうか。
 「そもそも人がどれだけ努力をしたのか証明することは難しく、家が裕福で、健康に生まれ、不自由のない生活を送れるかどうかは『運』によるところが大きい」
 「運が悪い人がずっと人生を棒に振るのは理不尽だ。理不尽なものを変えるのが人間の知恵。近代は合理化の歴史であり、理不尽をなくすことで発展してきた。なのに、なぜそこから目を背け、努力不足、自己責任と批判するのだろうか」
 多くの人は努力することを無理強いされてきたからこそ、頑張らない人が憎い。ただそうであったとしても、「自由について考えなきゃいけない。そのためにはどんな家に生まれようと、人間が自分の生き方を自分で決められるように、あらゆる生活の基礎をみんなでつくることだ」
 「格差を縮めるという言葉に違和感がある。むしろ、助けないでいい状況にすることが大事だ。子どもに対して、貧しいから助けるのではなく、みんなが学び、働いて、貧しくならないために知恵をしぼる。それが人間らしさ。つまり大きな格差を生まない社会、格差があってもそれを受け入れられる社会だ」
 井手氏は、ニーチェの「同情とは、人間を愛する者がはりつけにされる十字架ではないのか」という言葉をこう言い換える。「救済、人を助けてやる気持ちとは、善意ある、弱者を見捨てられない人間がはりつけにされる十字架ではないのか」と言う。
 「助けるという行為がどれだけ人の心を傷つけるかということを、きちんと考えなければいけない。そうでなければ、生活保護をもらう人が、あるいはもらうのが嫌な人が自殺したりしない。助けてもらって、恥ずかしい思いをして、失格者のレッテルを貼られる。僕たちは、助けられる人の痛みに鈍感であってはならない」
 大事なことは、誰もがコンテストに参加でき、運だけで人生が決まらない社会をつくることであり、そんな理想を目指すことができるのは人間だけだ、と井手氏は語る。
 「だからこそ、アトキンソンの『21世紀の不平等』は、貧困に気づかせてくれる、問題を見えるようにしてくれるという意味で、とても大切な本だ。でも、僕たちはそこからさらにその先に行って、頭のよい経済学者の提案を受け入れるだけではなく、もっと人間の心を持った、血の通った、人間の顔をした学問や社会をつくっていかなければいけない。僕は、そのことに気づくための貴重な教材として、この本は読まれるべきだと思う」
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2018年08月28日

貧困大国 ・日本―その元凶は市場原理主義

 一国の経済規模を示す国内総生産(GDP)でみると、アメリカが世界第1位、日本が第2位の経済大国である(中国が2位といわれているが嘘の統計によるものと考えられる)。日米両国はつい最近まで誇り高い経済大国であったはずだが、今や貧困大国という汚名を着せられる始末となっている。それは、「市場にまかせれば万事うまく事は運ぶ」という触れ込みで強行された市場原理主義が元凶なのである。
 湯浅 誠著『反貧困』を手がかりに貧困大国・日本の実像をさぐり、対抗策を考えるてみよう。
 『反貧困』の副題は、「すべり台社会」からの脱出― となっている。「すべり台社会」とはどういう社会なのか。 一度転んだらどん底まですべり落ちていってしまう「すべり台社会」の中で、「このままいったら日本はどうなってしまうのか」という不安が社会全体に充満している。
 このような貧困状態に落ち込む背景としてつぎの「五重の排除」を挙げている。特に「自分自身からの排除」が新しい今日的な貧困を意味している。
@ 教育課程からの排除
 背景にはすでに親世代の貧困がある。
A 企業福祉からの排除
 非正規雇用が典型。低賃金の不安定雇用にとどまらず、雇用保険・社会保険にもは入れず、かつての正社員が享受できた福利厚生(廉価な社員寮・住宅ローン等)からも排除される。さらに労働組合にも入れない、など。
B 家族福祉からの排除
 親や子供に頼ることができなくなった。
C 公的福祉からの排除
 生活保護制度が、若者には「まだ働ける」、老人には「子供に養ってもらえ」―などとその人が本当に生きていけるかどうかに関係なく、追い返す技法ばかりなってしまっている。
D 自分自身からの排除
 何のための生き抜くのか、何のために働くのか、そうした「当たり前」のことが見えなくなってしまう状態。。@からCの排除を受け、しかもそれが自己責任論によって「あなたのせい」となり、さらに本人自身が「自分のせい」であると考えたとき、人は自分の尊厳を守れずに、自分を大切に思えない状態に追い込まれる。
 ある生活保護受給者が「死ねないから生きているにすぎない」と言っていた。生きることと希望・願望は本来両立すべきなのに、両者が対立し、希望・願望を破棄することでようやく生きることが可能となる状態―これを「自分自身からの排除」と湯浅氏は考えた。
 「あれだけ本人も頑張っているから、助けよう、というのが普通の感覚だが、現実は違う。頑張れ、と言われても頑張りようがないところに追い込まれている人が多い。例えば34歳の男性は『自分はこのままでいいんスよ』と言い張る。なかなか共感を得にくい人たちでもある。しかし重要なことは頑張れという前に頑張れるための条件づくりが先決だ。それが社会と国家の責任だと思う 」
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2018年08月27日

OECDによると、所得格差は経済成長を損なうと言う

 最新のOECD分析によると、所得格差を是正すれば、経済成長は活性化されるという。所得格差の縮小している国は所得格差が拡大している国より速く成長すると分析している。
 成長にとって最大の問題は、下位中間層および貧困世帯とそれ以外の社会層との格差が拡大していること。重要なのは教育で、格差が成長を損なう主な要因は貧困層の教育投資不足なのだ。
 アンヘル・グリアOECD事務総長は「この説得力あるデータは、大きく、さらに拡大しつつある格差問題に取り組むことが、力強くかつ持続可能な成長を促進する上で重要であり、こうした取り組みを政策論議の中心に据える必要があると示している。幼少期から万人の機会均等を促進する国は、成長し、繁栄する。」と言う。
 推計によれば、メキシコとニュージーランドでは、格差拡大が過去20年間の成長率を2000年代後半の経済危機までに10%以上押し下げた。イタリア、英国、米国では、所得格差が拡大していなければ、累積成長率は6-9%高く、スウェーデン、フィンランド、ノルウェーでも、低水準からではあるものの、成長率はより高くなっていたと言う 。他方、スペイン、フランス、アイルランドの場合は、経済危機前の格差縮小が1人当たりのGDPの増加に寄与したはずだ。
 本ワーキングペーパーは、格差が経済成長に影響を及ぼす主要なメカニズムは、貧しい社会経済的背景を持つ子供の教育機会を損ない、社会的流動性の低下をもたらし、技能開発を阻害することによるという新たな研究結果を示している。
 低学歴の両親を持つ個人は、所得格差が拡大するにつれ、教育成果が悪化する。これに対し、中学歴または高学歴の両親を持つ個人は、格差が拡大しても、ほとんどあるいはまったく影響を受けない。
 経済成長への影響は、社会の最下位10%の最貧困層と社会全体との格差によるだけではなく、下位40%の所得層との格差からも生じている。OECDによれば、貧困防止対策のみでは対策は十分ではないと言う。現金移転や質の高い教育、訓練、保健医療などの公共サービスへのアクセス拡大も、長い目でみれば、機会均等化を進めるための極めて重要な社会的投資なのだ。
 また、本ワーキングペーパーでは、適切に設計され、対象を絞った政策の下で実施される限り、税や社会的給付などの再分配政策が経済成長を損なうという研究結果 はないと言う。
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生活保護は、誰のためにあるのか?

 生活保護バッシングが吹き荒れるわずか数か月前の2012年1月、札幌市白石区のとあるマンションの一室で、2人の女性の遺体が発見された。部屋に住んでいたのは40代の姉妹。料金滞納で電気・ガスは止められ、冷蔵庫のなかは空っぽ。ちなみに42歳の姉は脳内出血で病死、そのあとに亡くなった知的障がいのある40歳の妹はやせ細った状態で凍死していたという。そして実は、その後の報道で、この姉妹が約1年半前から3回にわたり区役所へ生活相談に訪れていたことが判明した。
 しかし、結果的に生活保護の申請にはいたらず、2回目の相談にいたっては非常用のパンの缶詰を交付されたのみだったことがわかった。遺された姉の携帯電話には「111」の発信記録が何度も残されていたと言う。知的障がいを持つ妹が、姉が倒れたあとに、何度も何度も、救急や警察などの助けを求めようとしたのだろう。そして、その声は届かなかった。
 生活保護は、本当に過剰に支給されてきたのだろうか。手厚すぎたのだろうか。少なくとも、必要な人に支援はまだ届いていない。
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2018年08月25日

脆弱なセーフティネット

 2012年8月。「社会保障制度改革推進法」が制定された。これは、この国の社会保障の将来的な方向性を定めたものだが、附則の第2条には、生活保護をはじめとする生活困窮者施策に関して次のような記述がなされている。
 1項においては、「不正受給対策の強化」「生活保護基準の見直し」「就労の促進」が掲げられ、2項においては、「貧困の連鎖の防止」「就労可能層への支援制度の構築等」が明記されたのだ。そして、この記述をもとに、「不正受給対策の強化」としては、2013年12月に生活保護法の改正、そして「生活保護基準の見直し」としては、2013年8月より生活扶助基準(生活保護の生活費分)の段階的な削減が断行され、2年後の2015年7月からは住宅扶助および冬季加算の削減も行われた。
 「就労の促進」については、2013年5月に「就労可能な被保護者の就労・自立支援の基本方針」という通知により、稼働年齢層(15歳から64歳まで)の生活保護利用者に対し、生活保護開始から3〜6か月以内に、低額でも必ずいったん就労することが求められるようになった。そして、「貧困の連鎖の防止」に関しては、2013年6月に成立した「子どもの貧困対策法」に、「就労可能層への支援制度の構築等」に関しては2013年12月に成立した「生活困窮者自立支援法」へとつながった。
 この「社会保障制度改革推進法」は、社会保障の税源を明確化したり、国の責任や方針を明らかにした、という意味では多少は評価ができるかもしれない。しかし、生活保護をとりまく最低生活保障の部分に関しては、正直、かなり厳しい内容となっている。
 生活保護は文字通り、生活に困ったときの最後の砦。その最後のセーフティネットが、財政的にかなり削られてしまった。210万人を超える人の生活に大きな影響をもたらしたほか、今後の生活保護をめぐる議論にも大きな影を落とした。
 生活保護バッシングが吹き荒れた2012年は、良くも悪くも生活保護をとりまく環境を一変させた最初のきっかけとなってしまったのだ。
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2018年08月24日

210万通りの貧困がある

 210万人以上が利用する生活保護制度。日本人の約60人に1人が使っている計算だ。単純に考えたら、いま該当する人たちがたくさんいる。210万通りの貧困のかたちが、たぶんあるはずだ。
 考えれば考えるほど、頭が痛くなってくる。1人ひとりの置かれている状況や歩んできた道のりは違う。1人として同じ人はいない。そんなの当たり前のことなのに、どうしても同じだと考えがちである。
 そして、どう見ても困った状態にある人でも、誰が見てもかわいそうな状況にある人であっても、次の瞬間には、自己責任としか言いようのない、眉をしかめたくなるような行動を起こすことがある。そういった瞬間は数多くある。ある程度は裏切られることも仕方のないことなのだ。それは当たり前のことなのである。彼らにかわいそうなふるまいを期待するのはたぶん、いつだって「こちら側」の問題なのである。
 「生活保護=こんな人」「貧困=こんな感じ」などという図式は成立しない。1人ひとりに向き合うしかないのである。そして、それと同時に、制度や政策、社会の仕組みについてはある程度、普遍化していく必要があるのだ。たとえば「○○な人が多いから××な政策を」というようにだ。
 相反するものをどうやってまとめていったらいいのか。そして、どのように貧困という目に見えない問題をとらえていけばいいのか.。考えてみる必要が、誰にでもある。
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2018年08月22日

転換点は「税と社会保障の一体改革」

「生活保護は最後のセーフティネットだ!」
「国は当事者の声を聞け!」
 生活保護バッシングが吹き荒れるなか、もやいをはじめとする支援団体、法律家などは生活保護についての誤解や偏見が広がらないようにと、さまざまなアクションを起こしていた。議員会館に出向いて国会議員に直接生活保護利用者の声を届ける活動をしたり、生活保護バッシングにより不安に感じている人への相談会を開いたりした。
 しかし、生活保護の利用者が、つまり当事者が声をあげるというのは並大抵のことではない。身近な人、近所の人に知られたら恥ずかしい、世間の目が怖い、フクシのケースワーカーにいやがらせをされるんじゃないか......。
 彼ら・彼女らの生活を支えていたのは、まぎれもない「生活保護」そのものなのだ。だからこそ、それを支給してくれる国や納税者である世間に対して声をあげる勇気を持つ人は、本当に少なかった。
 ただ、残念ながら、そういった声は必ずしも政策に反映されたとは言えない。
 「わかりました。いただいたご意見はしっかりと検討させていただきますから」
「必要な人が生活保護を受けることについては、何も反対なんかしていませんよ。あくまで、悪質な事例に対処するために生活保護制度の改革が必要なんです」
 官僚も政治家も、話は聞いてくれた。でもそれは本当に、聞いてくれただけだった。
 こうして「税と社会保障の一体改革」の名のもとに、「社会保障制度改革推進法」をはじめとする関連8法案が、日本の社会保障を、そして生活保護をはじめとした生活困窮者支援施策にとって、大きな転換点となった。
 このときほど、日本の暗い面を見たことはない。
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2018年08月21日

貧困はなぜ起こるのか?

 貧困って何で起きるのか。また、なくならないのか。
 「貧困は絶対になくならないよ。なぜなら人間はそこまで賢くないから」
 そうであれば、そもそも、貧困はなぜ起こるのか。経済学はどう貧困を捉えているのだろうか。また、それにどうアプローチすればいいのだろうか。
 ある日読んだ論文はかなり自分のためになった。論文といっても実証論文ではなくかなり読み物に近いもの。
 『Rebecca M. Blank (2003) "Selecting Among Anti-Poverty Policies: Can an Economist be Both Critical and Caring?" Review of Social Economy, 61-4. 447-469』―著者は、クリントン政権で大統領経済諮問委員を務め、現在はリベラル系の名門シンクタンク、ブルキングス研究所の研究員である。なぜ貧困が起こるのかということを、アメリカ社会と途上国を見て論じている。経済学での6つの見解がまとめられている。
 @ 貧困は低開発のせい。すなわち、貧困は効果的に機能する市場が欠如しているから生まれる
 途上国は十分に経済発展していなくて市場がないので貧困の人が多い、という立場。この立場をとるとすれば、貧困削減の対策としては、「経済発展しましょう」ということになる。そうすればやがて雇用も生まれ、貧困にあえぐ人も貧困から脱せると考えるのである。
 A 貧困者が経済活動に参加できなかったり、参加する準備ができていないから、貧困が生まれる
 女性やマイノリティは経済活動をするには不利な立場におかれている。また、若い人が失業にあえぐのは、働くためのスキルがないからという説明。
 この立場だと、対策としては経済活動への参加を阻むものをなくすことを目指す。、例えば女性の機会が不均等であれば、機会均等法を制定したり、育児休暇を増やすとなる。また、準備ができていないとなれば、職業訓練や教育の機会を施す、となる。
 B そもそも市場はうまく機能することなどなく、市場があるから貧困が生まれる
 この立場であれば、対策は市場を規制しようとなる。例えば、多国籍企業の活動のせいで、現地企業が発展せずに困っているではないか、多国籍企業の活動を規制しようとなる。もしくは、企業は従業員をできるだけ低い賃金で雇おうとするから、最低賃金法を設定して、最低限の賃金を保証すべきだともなる。
 C 貧困は市場メカニズムとは関係なく、むしろ社会や政治的なものが原因で生まれている
 この立場は、汚職があるから一部の人しか儲からなくて、大部分の人は貧困にあえいでいるのだと考えたりする。また、その対策としては、汚職を追及するシステムを作ったりすることを考える。
 D そもそも貧困者はそれを選択しているに過ぎない
 Cまでは貧困者は望んで貧困なのではないと捉えていたが、この立場は貧困者は望んで貧困を選んでいるのだという考え方。例えば、アル中で職を失うのは、お酒を飲むからだよ、と考えたり、子沢山で家計が逼迫するのは家族計画をしっかりしないだよ、と考える。また、アル中といった悪行は、「子は親の背中をみて育つ」から、世代を超えて貧困が続くのも、親のせいだよと考える。
 この立場だと、市場は短期的には、効果的な対策を打てないと考える。だから短期的対策としては、個人をターゲットにして、「サポート」するか「罰」を与えるかです。なのだ。サポートの例としては、カウンセリング。アル中を抜け出せるよう、職に就けるよう、カウンセリングをする。罰の例としては、悪い親から子を引き離すなどの処置がとられる。
 長期的には、社会的に不利な立場の人がより経済活動に関われる仕組みを作ろうとする。
 E 貧困は、貧困をなくそうとする取り組みから再生産されている
 貧困をなくそうとするから、貧困者は貧困のままでいるという考え。生活保護を渡すから、その状況から抜け出せないのだよという考え方である。
 この対策としては、援助や生活保護を期限をつけることである。
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2018年08月20日

もう一度トーマス・ピケティー『21世紀の資本』を見てみる

 フランス生まれの経済学者で、パリ経済学校の教授。経済的不平等についての専門家であり、資本主義と格差拡大の関係について論証した「21世紀の資本」で一躍世界から注目を集めた。この本の凄いところは、200年以上さかのぼって1800年代から20ヵ国以上の税務データやGNPデータなどを集め、15年かけて歴史的に実証したところである。
 ピケティ―が「21世紀の資本」で主張していることは、大きく2つある。
 (1) r > g :r (return of capital) > g (economic growth rate)
 長期的にみると、資本収益率(r)は経済成長率(g)よりも常に大きい。つまり、資産によって得られる富は、労働によって得られる富よりも大きい。
 簡単に言えば「金持ちが株式投資や不動産収入などで働かずにお金が増えていくペース(年間4〜5%)は、労働者が一生懸命働いてお金を増やすペース(1〜2%)よりも大きい」ということ。
 (2) 格差は広がる
 上記の結果、富の集中が起こり、持てる者(富裕層)と持たざる者(貧困層)の格差は徐々に広がっていく。1930年代〜70年代の格差縮小は世界恐慌や戦争による一時的現象であった。
 簡単に言えば、資本主義では「金持ちはどんどん金持ちになり、貧乏人は貧乏のまま」である、ということ。財産を持つ親が、子供にその財産を相続させていけば、その子供は働かなくても投資でお金が増えていくのである。彼は、世界の各国で貧富の格差はどんどん広がっていき、歴史的データから資本主義には限界があるのではないか、ということを主張している。
 解決法として、不平等を是正するためには富裕層の所得や資産に対する累進課税や相続税を強化すべきである、タックスヘブンのような税率の低い国にお金持ちを逃がさないように同じ税率で課税すべきである、と主張している。
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2018年08月19日

貧困には2種類ある!

 貧困には大きく「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2種類ある。
・絶対的貧困
 絶対的貧困: 必要最低限の生活水準が満たされていない層または個人のことで、アフリカ難民や戦争で焼け出された難民のように、食べるものや着るものに困窮している状態である。
・相対的貧困
 相対的貧困: 生活水準が他と比べて低い層または個人のことで、病院に行けない、進学ができない、満足な学習を受けられない、友達と遊びに行けないなど、貧困状態にない人が当たり前に送っている生活が難しい状態である。
 「相対的貧困」は「絶対的貧困」と比べれば、生活の苦しさは伝わりづらく、見えづらいものである。貧困層の子どもたちでもスマートフォンを持っている場合もあるし、着るものもある。食べられなくて飢餓状態にあるわけではない。それでも大学にいけなかったりして、将来を諦めている子供たちがたくさんいるのである。そうした見えにくい貧困の現状をまず認識すべきなのだ。
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2018年08月16日

貧困女子高生炎上事件

 貧困女子高生がネットで炎上したのを覚えている人は多いだろう。騒動の発端は、NHKが2016年8月18日夜に放送したニュース内での「子供の貧困」特集。両親が小学校5年の時に離婚し、アルバイトの母親と2人で暮らしているという高校3年生の女子生徒が実名で登場した。部屋にはエアコンはなく、暑い夏は首に保冷剤を撒いて凌いでいる。自分が貧困家庭だと分かったのは中学校のパソコンの授業で、自宅にパソコンがないため授業に付いて行けなかった。心配した母親が1000円ほどのキーボードだけを買ってくれて練習をした。絵を描くのが大好きで専門学校に進学したいが入学金の50万円が払えない。現在は就職するか職業技術校に行くか迷っている、という内容で、横浜市で学生たちが企画したイベントに登壇し、子供の貧困問題について訴える姿が放送された。このニュースは、ある貧困家庭の女子高生が経済的な理由で進学を諦めたとして紹介された。しかし、その後部屋にアニメグッズなどがあり「貧困ではない」とネット上で誹謗中傷を受けて、炎上した。ネット上では、NHKが『やらせ』『捏造』をしている、その他にも様々なデマが飛び交い、例えばエアコンが無いというのは嘘だとしてアパートに設置された室外機の写真が出回ったり、30万円のアップル製のパソコンを持っているとか、親族とされる人物が大量の札束を持っている写真がアップされたりした。
 実際はNHKが『やらせ』や『捏造』を行っておらず、クーラーがない事を含め、放送内容は事実に基づいたものだった。この企画ニュースは「食べるものもないというレベルの貧困でなくても、経済的困窮によって、高校生が希望する進路をあきらめざるをえない現実があるということを、当事者の女子高生自身が、神奈川県が主催するフォーラムで語った」ということを伝えたものだ。
 なぜ、こんなことが起きたのか。 それは貧困に対する理解ができていない人が多いからだ。
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2018年08月15日

なぜ世界から貧困はなくならないのか?

 オックスファムが格差問題に関する2017年版報告書を発表しているが、その内容は『世界で最も豊かな8人が世界の貧しい半分の36億人に匹敵する資産を所有している』という衝撃的なものだった。それは、富める者と貧しい者の間の格差は、これまで考えられていたもの(以前は62人と思われていた)よりも大きいことが判明した。
 1988年から2011年にかけて、世界人口の最も貧しい1割の人々の収入増は、65ドルにすぎないが、同時期に、最も豊かな1割の人々の収入増は、11,800ドル、彼らのおおよそ182倍も増加している。世界では10人にひとりが一日2ドル以下でしのぐことを余儀なくされている中、ごく一握りの人たちが莫大な富を有している。今日の世界経済は、何十億もの人々を貧困の中に封じ込め、格差を生み、民主主義をも脅かしている。大企業や大富豪がお金の力で政治を動かし、経済のルールを自分たちの都合のよいように書き換えている。
 世界人口の1%にあたる富裕層が保有する資産は、それ以外の99%の人々の資産全てを合計したよりも多いのである。ごく少数の幸運な人々だけではなく、すべての人々が恩恵を受けるためには、その仕組みとあり方に根本的な変革が必要である。つまり当団体の行う『革命』が必要なのだ。
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2018年08月14日

生活保護世帯のうちもっとも多いのは?

 週刊東洋経済の特集『あなたを待ち受ける 貧困の罠』で、安定した生活はたった1つのきっかけであっという間に崩れ去ることがしてきされている。生活保護世帯は過去最多を更新し続けているが、構成比を見ると高齢者と障害者・傷病者が多く、全世帯の7割超を占める。
 これらは事実上働くことができない世帯だ。保護費の内訳を見ると医療費にかかるものが半分を占める。生活保護というと不正受給に注目が集まりがちだが、生活保護費の総額に占める割合は 0.5%前後で推移しており、多いとはいいがたい。
 高齢者が増えるに伴って、今後も生活保護受給世帯が増え続けるのは間違いない。生活保護費だけに着目して予算を削減するのではなく、年金、医療、介護など約30兆円に上る社会保障関係費全体の中で議論すべきだろう。国もセーフティネットの拡充に向けた問題意識は持っている。生活保護に陥る手前で支援するために「生活困窮者自立支援法」が施行されたが、効果のほどは未知数である。
 フランスの経済学者トマ・ピケティ氏が記した『21世紀の資本』。ピケティ氏は米国などにおいて上位1%の富裕層に富が集中する格差の構造をあぶりだした。一方、現在の日本で問題視される格差とは、大衆層の貧困化なのである。
 多くの人は、貧困は他人事だと思っているだろうが、実はそうではないのだ。女性、高齢者、子供などにもその闇は広がり、日本を覆いつつある。まずはその事実にきちんと向き合うこと、そしてどのような対策を打つのか考える必要がある。
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2018年08月13日

手薄なセーフティネット

 経済学に「貧困の罠」という言葉がある。本来は税制や社会保障制度などの欠陥によって貧困から抜け出せない状況を意味する。ただ普通に生活をしていても、貧困に陥る「罠」は少なくない。
 転落者を受け止めるセーフティネットも手薄だ。雇用保険や医療保険、年金などのように保険料を支払い、いざというときに給付を受ける社会保障制度はそれなりにある。が、それら防貧ネットからこぼれ落ちた人たちの受け皿となるセーフティネットは生活保護しかないのが実情だ。
 その生活保護への風当たりは強い。もともと受給者の負担のない救貧施策のため、批判を浴びやすいが、保護費負担金は4兆円あまり(事業費ベース)に膨らんでいることもあって、予算削減の動きが加速している。
 生活費にあたる生活扶助は何度も引き下げられており、家賃に当たる住宅扶助や暖房費などの冬期加算も何度も削減されている。生活が徐々に切迫してきている。
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2018年08月12日

つくられた貧困 格差広げる所得再分配 

 日本で貧困といえば、1980年代は高齢者の問題だったが、今は子供の貧困が深刻だ。背景の1つに、親世代の雇用環境の悪化がある。15〜24歳の非正規労働者の割合は90年は男女とも2割だったが、2010年は男性の4割、女性の5割に上っている。新卒者がなかなか正社員になれていない。90年代半ばから政府が進めた規制緩和で、非正規労働者が増加したことが原因だ。
 さらに「非正規=低賃金」という日本固有の構図がある。他の先進国は同じ仕事ならば正規、非正規の時間給の差は15%程度だが、日本は30〜40%。しかも、日本の最低賃金は時給798円(2016年度の平均)で、主な先進国19ヵ国で最低レベルだ。
 この原因は「男が外で稼ぎ、女は家を守る」という性別役割分業を基にした制度設計にある。
 女性の労働に「103万円の壁」を作り出した配偶者控除や、「130万円の壁」を設けた年金の第3号被保険者制度や健康保険制度が、「働くのは損」と労働参加をゆがめ、家計補助のパートで良しとし、女性の低賃金労働を許す要因となっている。「1人親の8割が働いているのに、5割が貧困」という理不尽を生む要因となっている。
 もう1つ、本来は高所得層から税や社会保険料を取り、年金や手当、生活保護などの社会保障給付で低所得層に還元する「所得再分配」が、逆に貧困の拡大を招いている現実がある。
 政府による所得再分配の前と後で、貧困率がどれくらい下がったかを示す「貧困削減率」という指標がある。経済協力開発機構(OECD)の09年の分析では、各国は再分配後に貧困率を20〜80%削減しているが、日本だけが唯一、共働き世帯やひとり親世帯で、貧困率を8%増加させていた。
 所得再分配が正常に機能していないのは、高所得層に優しく、低所得層に厳しい税制が大きな原因だ。80年代は70%だった所得税の最高税率を40%前後まで下げた。90年代後半から法人税も繰り返し下げ、年間10兆〜20兆円規模の税収を放棄する一方で、消費税や社会保険料の引き上げで低所得者に負担を強いてきた。日本はOECD諸国の中で、税の累進性が最低レベルだ。
 こうして見ると、子供の貧困は政府がつくり出してきたと言える。
 正規、非正規労働者の賃金格差をなくすため、「同一価値労働同一賃金」の原則を徹底し、最低賃金を上げる。配偶者控除のような高所得層を優遇する制度は撤廃する。所得税の最高税率を引き上げる。子供の貧困を解決するため、政府が取るべきはこうした政策だ。
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2018年08月10日

低所得者(貧困層)とワーキングプアは一緒の定義なのか?

 ワーキングプアとは働いても働いても生活するのにギリギリの収入しか得られない人たちのことをいう。低所得者とワーキングプアを同じ意味として扱っている人もいるが、定義が異なるのだ。低所得者の定義は単身や夫婦によって年収100万円〜200万円あたりだが、ワーキングプアの場合は、単身のみの年収が200万円以下だ。
低所得者の場合、所得が少ないだけで普通に生活をすることはできるが、ワーキングプアになると正社員なのにギリギリの生活が精一杯なのである。中には月給10万円前後で生活をしている人も珍しくなく、家賃や公共料金を支払ってしまうとほとんどお金が残らないのである。
 現在1000万人以上の人がワーキングプアだといわれており、今後も増え続けることが予想される。ワーキングプアが増えた理由として、非正規雇用の求人が増えたことや景気低迷による人件費の削減、就職難などが挙げられる。低学歴の人がワーキングプアになるイメージが強いかもしれないが高学歴の人も多い。
 低所得者(貧困層)の口コミ年収
・20代 業種:フリーター 年収:100万円 月給が10万円。実家に寄生している。アルバイト。
・30代 業種:フリーター 年収:110万円 芝居をやっているので最低限の収入をアルバイトで入れている。同棲している彼女もお芝居をやっているので2人でなんとかきりつめながらやっている感じ。自分たちで選んだ人生なので低所得でも特に問題はないが、数年後は違う未来になっているかもしれない。最近は怖いとつくづく思うようになった。
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2018年08月09日

低所得者(貧困層)の給付金はどのくらいもらえるのか?

 低所得者で一定の条件を満たしている場合、6000円〜10000円の給付金をもらうことができる。その条件とは「市町村民税(均等割)が課税されない人」である。住民税を支払う余裕がないほど生活が困窮している人に対しての制度になるので、所得が低ければ誰でももらえるというわけではない。非課税の基準は各市町村によって異なり、自分で手続をしないと給付金を受けることはできない。
 また政府が2016年7月に、1万5000円の給付を決めたのだが、上記の住民税がかからない要件を調べてみた。
 1.生活保護を受けている
 2.未成年者、障がい者、寡婦、寡夫で前年の合計所得金額が125万円以下(ただし、給与所得者は204万4,000円未満)
 3.前年の合計所得金額が各地方自治体の定める額以下(東京23区では扶養なしの場合35万円。扶養がある場合は35万円×本人・扶養者・控除対象配偶者の合計数+21万円)
 給与の合計が100万円以下という形で覚えておくといい。
 低所得者になると、政府から援助や恩恵を受けることができる。簡単にまとめてみた。
 ・臨時福祉給付金
 ・国民健康保険料が減免
 ・高額療養費が減額
 ・NHKの受信料が免除
 ・入院中の食事自己負担額の減額
 ・がん検診料金の免除
 ・予防接種が無料
 ・保育料の減額
 などであった。
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2018年08月08日

低所得者(貧困層)の特徴(身なり、生活態度、性格など)ってどういうのが多いの?

 低所得者(貧困層)には身なりや生活態度、性格などにおいてさまざまな特徴がある。では、具体的に低所得者にはどのような特徴があるのか。
 ・ギャンブル好き
 低所得者はパチンコやスロット、競馬、競輪、などギャンブルが好きという傾向がある。地道に頑張るのではなく、お金を増やすためにリスクの高い選択肢を選ぶ人が多い。
 ・喫煙
 タバコを吸っている人は吸わない人よりも年収が低い傾向がある。これは年収だけではなく、学歴とも関係しており、喫煙者は非喫煙者よりも学歴が低いといわれている。最近では禁煙ブームがあるので関係ないかもしれないが大手企業では喫煙者は出世できないということも言われている。
 ・肥満
 低所得者には肥満が多い。意外だが女性にこの傾向が強く見られる。
 ・部屋が汚い
 高所得者は部屋が整理整頓されていて綺麗だが、低所得者は部屋が散らかっていて汚い。使わないものが部屋に溢れていたり、トイレ・風呂・台所といった水回りが汚れている。ゴミ出しの日を把握していない人も多い。
 ・食生活が乱れている
 低所得者は野菜を食べない、朝食を食べないといったように食生活が乱れている。お金がないので野菜を買うことができず、栄養バランスを無視した食生活になりがち。朝食を抜くと仕事や勉強の効率が落ちるといわれている。
 ・運動をしない
 年収が少ない人ほど運動をしない傾向がある。運動習慣がある人は基本的に年収が高い。最近では皇居ランをする人の年収などが算出されていたが、総じて高い傾向にあった。
 ・計画的にお金を使えない
 計画的にお金を使うことができず、一時の感情に任せてものを購入してしまう人が多い。スーパーを利用せず、コンビニで買い物をする人ほど所得が低いともいわれている。
 ・身なりを気にしない
 身なりを気にしない人が多く、だらしない格好をしている。いわゆるヤンキージャージやスエットをきてどこでも歩けるような人は年収が低い人が多い。高所得者のほうが身なりに気を遣っている人が多い。
 ・その他
 その他でいろいろ調べてみると「財布が分厚い」←カードをたくさん持ってる、「靴が汚い」、「自分への投資をしない人」、「ファッションに対する意識が希薄」などが該当するようだが実際にはどうか…。
 実際に上記のことはすべて低所得者につながるとは一概には言えないが、高年収の人は身だしなみなどはかなり気を使っているようだ。
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2018年08月06日

低所得者(貧困層)の年収(基準や定義)は何万円なのか?

 低所得者の基準は「住民税世帯非課税」とされている(厚労省関連資料より)。そのため世帯により違ってくる。簡単にいうと、
 ・単身だと100万円〜
 ・夫婦だと135万円〜
 ・夫婦子持ちだと168万円〜
 ※子供数により変化あり
 となっている。しかし、実際には、年収は300万円以下であれば低所得だと言われている。手取りでいうと年収200万円〜250万円の人が低所得者に該当する。ちなみのこの300万円以下が低所得者とすると割合はかなり多く、労働人口の4割以上の人たちが該当する。そしてこれからも増えていく傾向にある。
 低所得者が増加している理由には日本の景気が大きく関係している。景気が一時よりも良くなったかもしれないが、その恩恵を受けているのはごく一部の人たちだけだ。ほとんどの企業はいまだに経営が厳しい状態なので、低賃金で働いている人が多い。
 さらに日本は深刻な高齢化社会ということもあり、40代や50代といった最も収入が多い世代が減少していることも低所得者の増加と関係している。今後もますます高齢化社会が進むことが予想されるため、低所得者の割合は増加していくはずだ。
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2018年08月04日

努力してもムダな仕事が「若者の貧困」を生む―大人は、高度経済成長期の感覚で物を言うな! 3

仕事にほれ込まなくても、過度な努力をしなくても、労働者が普通の暮らしを送れるようにするべきである。それこそが現代の経営者にとって必要なはずだが、ブラック企業と指摘される会社を中心に、労働者へ過度な努力を要請する。その労働者の大半は数年で離職していき、ほとんどかなわないにもかかわらず、就職時にはしばしば何かしらの「夢」を抱かせる。だからこそ、離職したり、転職した際の挫折感も大きい。
 強調しなければならないのは、いま就いている労働は、本当に努力するに値するものか否かを、貧困世代が冷静に見極めることである。別の視点から考えてみよう。
 懸命に努力を重ねて、大学を卒業して就職する際に、以前よりも相当に厳しい企業の審査の目に学生がさらされる。就職活動をしても、自分の希望する企業や就労形態で働くことができない。これは当たり前のことである。もともとあるべき多くの人々が希望する安定的な働き方という「座れるいす」の数が減っているのだから。
 その少ない椅子をめぐって、多くの若者たちは「がんばれ、がんばれ」と就職活動で追い立てられる。そのいすに座れなかった者たちは、努力が足りなかったせいだと思い込み、精神的に追い込まれてしまう。
 1960年代ごろからの高度経済成長期を考えていただきたい。企業は必死の努力を今ほど若者たちに求めただろうか。誰でもいいから企業に入ってもらい、その後に定着できるように研修体制を整えていったではないか。若者たちを大切にして、福利厚生も整え、家族形成を助けたはずである。いずれも今はない過去の話になってしまった。労働者1人ひとりの価値が大きく低下している社会をわたしたちは生きている。
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2018年08月01日

努力が足りない? 自己責任? 21世紀日本の貧困と格差

この数年、さまざまな格差や貧困問題がクローズアップされ、ネット上でも激しい議論が交わされている。「教えて!goo」には、「貧困はどこまでが自己責任だと思いますか?」という質問が寄せられていた。
「貧困は全て本人の自己責任」
「怠けていた人間が貧困に陥り、本当に努力をしていた人間はそうはならない」
 「本当に優秀な人間は不況でもリストラされないし、すぐに再就職できる」
 ある人からこんなことを言われたという質問者さんは、こうした意見をどう思うかと問いかけている。これに対して寄せられた回答を見ると――。
 「まさにその通りだと思います。私の知人の息子さんも新聞配達をしながら大学を卒業しました。私の息子もリストラされましたが、リストラされた企業と同じくらいの大企業に再就職出来ましたよ。(中略)…転落しても、また再び這い上がることも出来るのですから、『転落も這い上がるチャンス』と思えばいいのでは」(kurikuricyanさん)
 「うちは貧乏でした。ですから授業料の安い国立高校、国立大学に行きました。大学の授業料は免除でした。(中略)…結果に格差が出るのは当たり前だという社会にすべきです。なぜ、わたしのお金がナマケモノのために使われなければいけないのでしょうか」(xs200さん)
 など、「貧困もチャンス」と捉えるべきというポジティブな意見の一方で、
 「運悪く病気や事故にあって働けなくなった人はどうなの」(wahaha237さん)
 「努力しても努力しても貧困から抜けれない人が大多数です。(中略)…頑張ってないから貧困層から抜けれないなんて、本当に経済的、精神的貧困に陥った事ない人間だから語れると思う」(けんままさん)
 「すべての人が、同じ土俵で競争できるなら、努力だけで評価してもいいだろう、しかし実際には家庭環境やその時の社会的時流などで流されることも多くある、これを踏まえず『すべて自己責任』というなら、そもそも社会保障制度がいらない。(中略)…そうなれば19世紀のイギリスのような産業革命後の貧富の差、にしかならない」(phjさん)
 というように、本人の努力だけでは貧困から脱出できないという意見も多数。結果は、賛否両論だった。
 とはいえ、
 「みんなが中流意識持ってるようじゃ日本は潰れます」(michael-mさん)
 「ただ他力本願では世の中は生きていけません!自分で危機管理、回避できなければなりません!その為の努力は、惜しんではいけません」(とっつぁん野郎さん)
 という意見にもあるように、貧困に対してそれなりの備えや覚悟が必要なのは間違いない。21世紀日本の貧困と格差に関してどう思われるだろうか。
posted by GHQ/HOGO at 06:37| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする