2018年07月03日

2012年からはじまった「生活保護バッシング」

 「自分の母親が生活保護を受けているということについてどんな気持なのですか」
 テレビの記者会見で、レポーターが興奮気味に尋ねた。おびただしいカメラのフラッシュにさらされて、お笑い芸人の男性は涙ながらに謝罪した。
 「むちゃくちゃ甘い考えだったと深く反省しております」
「自分の母親が生活保護を受けているということは、正直、誰にも知られたくなかった」
 2012年4月、女性誌が、匿名でお笑い芸人の母親が生活保護を受給していることを報道した。その後、各週刊誌やワイドショーなどでの報道が相次ぎ、やがて実名での報道がはじまった。
 5月に入ると、国会議員がブログやTwitterで言及する事態にまで発展し、同月25日には、テレビで全国中継されるなか、渦中のお笑い芸人が記者会見をした。
 「税金を負担してくださっている皆さんに申し訳なく思っています」
 会見に同席していた弁護士の男性は、「このケースはいわゆる「不正受給」ではなく、あくまでも道義的な問題である」と説明していた。もちろん、民法上に「扶養義務」という規定はあるのだが、家族の状況はそれぞれだちがうはずである。
 実際の生活保護法上の運用でも、「扶養は可能な限り行う」というのが一般的だし、このお笑い芸人の場合は仕送りなども所轄のフクシ(福祉事務所)と相談しながら行っていたというから、法律上は不正受給にはあたらない。
 だとすれば、この「道義的な問題」とは何なのか。
 生活保護を受給すること自体が道義的な問題なのか。それとも、高額所得者でありながら母親を援助しなかったことが問題なのか。母親と親密な関係であったのに援助しなかったことが問題なのか。もしくは、母親からの暴力があるなど、劣悪な関係性であったのならば認められたのか。
 結局、いくら考えても納得のいく答えはでなかった。
 2012年4月にはじまったいわゆる「生活保護バッシング」は、その後の生活保護をめぐる法改正への布石となった。


posted by GHQ/HOGO at 06:15| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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