「最後のセーフティーネット」と呼ばれる生活保護を利用する世帯数も増え続けている。2016年10月時点の生活保護世帯数は163万7866世帯で、3カ月連続で過去最多を更新した。厚生労働省は、現役世代は減少傾向にあるものの、一人暮らしの高齢者世帯が貧困に陥るケースが増加していると分析している。
こうした客観データだけでなく、近年、主観的にも生活苦を感じている国民が増えている。国民生活基礎調査によると、生活が「大変苦しい」と感じている世帯の割合は20.2%(2000年)から27.4%(2015年)にまで増加。「やや苦しい」と合わせると、国民の約6割が生活苦を感じているのだ。
だが、こうした社会状況にもかかわらず、政治の場で民主党政権時代のように貧困対策の必要性が熱く語られる機会は減ってきている。市民レベルでも政府に対して貧困対策の強化を求める世論が高まっている、とは言いがたい状況だ。