ジニ係数はローレンツ曲線で囲まれた面積を2倍にしたもので、値は0から1の範囲をとる。0に近いほど社会の不平等さは小さく、1に近いほど格差は大きいとみなされる。よく言われているのがジニ係数0.4で社会騒乱の警戒ライン、0.6は危険とされている。
ジニ係数は客観的に貧富の差を数値化したものだが、実感として感じる不平等さは異なる。また公表されているジニ係数が階層ごとの平均値であることもあるので、取り扱いには十分な留意が必要なのだ。
日本のジニ係数に当たるのが厚生労働省が発表している「所得再分配調査」だ。調査は3年ごとに行われている。調査方法はあらかじめ調査員が配布した調査票に、世帯員が記入し後日回収するという方法。この報告書を参考にすると、ジニ係数は過去5回と比較して最も高い数値だった。
・平成14年…0.4983
・平成17年…0.5263
・平成20年…0.5318
・平成23年…0.5536
・平成26年…0.5704
これに所得の再分配といって、社会保険給付金や税金による改善を加えたら、平成26年度の所得再分配結果は0.3759となる。
日本は累進課税制。実はこの所得分配結果は1000万以上の収入がある人の税金によって均等化されているという側面がある。彼らは日本でたった4%しかいないが、収入の35%は税金として納めなければならない。つまり、お金持ちからたくさんの税金を徴収することによって日本の格差は縮小されているとされる。この所得再分配の結果、日本のジニ係数は世界平均の0.395よりもやや低い水準で、平均よりやや格差は少ない、と言えそうだ。
しかし実感では格差が拡大していると感じる。若年層の非正規雇用は拡大し、正規雇用と非正規雇用の賃金の差は315万円とも言われる。