それは、「今の高齢者は、払った年金保険料よりも多いリターンを得ている、いわゆる“年金の納め得世代“なのに、なぜ生活保護に頼らざるを得なくなっているのか」ということだ。
「老後破産」という嬉しくないキーワードも世間を騒がせている昨今だが、高齢者の生活保護をめぐる難題の根本をたどっていくとやはり、社会保障制度の拡充、そして景気の回復という、今の日本が抱える2大問題が浮かび上がってくる。
生活保護受給者数も過去最多記録を更新中。厚生労働省の発表によれば、その最たる理由が「高齢者世帯の増加によるもの」だそうだ。つまり、高齢化に伴って生活保護受給者数も伸びているということになるす。
実際に、生活保護受給者数は右上がり。65歳以上人口に占める生活保護受給者の割合は2.63パーセントで、これは全人口に占める生活保護受給者の割合の1.58パーセントよりも高くなっている。
「相対的貧困率」は、簡単に言えば、「平均的な収入を得ている人の、半分以下の収入で生活している人」の割合である。65歳以上の高齢者では5〜6人に1人、75歳以上の後期高齢者では4人に1人の割合で貧困と定義づけられるす。
さらには、すべての生活保護受給者に占める65歳以上の割合は約4割、60歳以上で見ると5割以上となっていることからも、確かに高齢化によって、高齢の生活保護受給者が増え続けているということも分かる。政府発表の資料を見ていくと、確かに高齢者の貧困問題が顕在化していることが分かるし、高齢化が進むのに伴って生活保護の問題が深刻化していることがよく分かる。