「何というか、本当に不安は、意外なほどないんです。ただ、それ以前に、希望が、ない」
いまの若者は、たとえ低収入でも幸福感をおぼえている人が多い。一方、バブルの時代に、それを享受していなくても、少なくとも空気に触れた経験がある人たち、つまり、主として就職氷河期世代の中年フリーターは、いまの日本を見て絶望してしまう。
激増する中年フリーターたちは、こうして絶望しながら「最後は国のセーフティネットに頼る」という流れに逆らえずにいる。このままの状態がつづけば、彼らはそう遠くない将来、具体的にはあと20年もすれば、一斉に「老後破産」状態に陥ることになるだろう。
だが、そうなったときには、「希望」は中年フリーターのみならず、この国に暮らすあらゆる人たちの前から失われてしまいかねない。だからこそ、いま国家が、政治家が急いで取り組むべきは、中年フリーター対策なのである。