そう言うのは、一般社団法人officeドーナツトーク代表、田中俊英氏である。不登校、ニート、引きこもりから貧困問題まで、長年、子供や若者の支援活動に従事してきた田中氏は、中年フリーターに接して、こう実感するという。
「ようやく仕事に就けても、時給800円程度のアルバイト。グローバリゼーションのなかで、一度この流れにはまってしまったら、もう正社員にはなれないし、月収が手取り15万円を超えたらラッキー、という人々が、非正規雇用者のなかにはかなりいます」
このような流れを変えるべく、行政も取り組みはじめてはいる。たとえば東京都は、「東京しごと塾〜正社員就職プログラム〜」を始めている。30歳から44歳という、まさに中年フリーター世代を対象に、3ヵ月の職務実習を経験させ、正社員として働けるようにうながす、という支援活動である。
企業にとって、非正規雇用の労働力はメリットが大きく、大幅に控えることはできないが、その一方で、雇用の分かれ目が人生の分かれ目になっているのが現状だから、行政が乗り出して正社員化をうながすことは必要だろう。
こうした支援に積極的に参加できるのは、おそらく何らかの方法で、自ら現状を打開できるような人が多い。なので、むしろこうした取り組みに挑めない人を支援する方法がないかぎり、中年フリーターが減るようなことにはならないはずだ。