2017年08月31日

生活保護制度悪用、C型肝炎薬を詐取…3人逮捕

 医療費が無料になる生活保護制度を悪用し、C型肝炎の新薬「ソバルディ」約80錠(約500万円相当)をだまし取ったとして、警視庁は、神奈川県藤沢市の会社役員(42)ら男女3人を詐欺容疑で逮捕した。
 同庁は、会社役員らが高価なソバルディに目を付け、無料で入手した薬を転売して利益を得ていたとみて解明を進める。
 捜査関係者によると、他に逮捕されたのは、東京都町田市の生活保護受給者の男(48)と、男と同居する無職の女(38)。
 3人は今年1〜3月、生活保護受給者の男がC型肝炎の治療のために1日1錠を服用すると偽り、相模原市の病院から3回にわたってソバルディ計約80錠をだまし取った疑い。男は実際にC型肝炎だったが、薬は自分で飲まずに会社役員に渡し、報酬として現金などを受け取ったという。


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2017年08月30日

生活保護費を袋ごと回収 宗教法人が貧困ビジネス さいたま市が処分

 さいたま市は、生活保護受給者が受け取ったばかりの生活保護費を強制的に回収、管理したとして、同市岩槻区内で生活困窮者受け入れ施設を経営する宗教法人「善弘寺分院宗永寺」(東京都足立区)に対し、市内で新たな施設を開設しないよう命じる行政処分を出した。
 処分は市の「貧困ビジネス」規制条例に基づき、宗永寺が岩槻区内で経営する5施設のうち4施設で新規入居者を受け入れないよう命じる処分も出した。残る1施設はすでに施設の無許可建設で同様の処分を受けている。
 市生活福祉課によると、岩槻区役所が東武岩槻駅付近に移転した後の24年ごろから、入居者がバスで区役所を訪れ、施設関係者が生活保護費を袋ごと回収する様子が確認されるようになった。国の指針では原則、金銭の管理は受給者本人が行うとされている。
 同課は27年の処分後、施設への立ち入り検査を重ね、改善を指導。施設側は「契約に基づく管理」としていたが態度を軟化。昨年末には入居者の4割に当たる約100人が契約解除を届け出たが、受給日には契約に基づかずに回収を継続していた。
 宗永寺は18年3月ごろから施設を経営、さいたま市外から路上生活者を勧誘しており、1月時点の利用者は5施設で計220人程度だったという。
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2017年08月29日

グローバル化でなぜ格差が拡大するのか? 成長する新興国が先進国の雇用を奪う

 欧米では格差に対する問題意識が高く、アメリカ、ギリシャやイタリアなどではでデモ隊と警官隊の衝突が続いている。ところが日本だけは、格差反対デモが盛り上がらない。
 それはそうだろう。日本の所得格差を表すジニ係数は、0.28程度。最近やや上がっているが、トップのアメリカ(0.37)よりはるかに小さく、OECD(経済協力開発機構)諸国の平均程度である。
 アメリカではここ30年、中位の労働者の実質賃金が下がる一方、経営者や金融部門に富が集中し、上位1%の富裕層が富の23%を独占する極端な格差が生じている。この点でウォール街を占拠するデモ隊の主張は正しいが、彼らは敵を間違えている。金融機関が利潤を上げるのは格差の原因ではなく、その結果にすぎないからだ。
 格差や貧困の直接の原因は長期化する世界不況だが、この不況の特徴は財政・金融政策がほとんど効かないことだ。
 企業業績は持ち直したが雇用は回復せず、アメリカの失業率は9%を超えた。この原因は一過性の景気循環ではなく、構造的な自然失業率が上がったからだ。アメリカの自然失業率は7.5%と推定されており、景気対策でこれ以下に下げることはできない。
 構造的な失業が常に生みだされる1つの原因は、新興国との競争が激化したことだ。特に製造業は新興国に生産拠点を移し、米国内の雇用は減っている。1990年以降、アメリカで創造された2700万人の雇用のうち、実に98%が非貿易財(国内のサービス業)によるものと推定されている。
 製造業で職を失った労働者は、流通や外食のような海外と競合しないサービス業に移る。サービス業は労働集約的で労働生産性が低いので、賃金も低い。GM(ゼネラル・モーターズ)で働いていた労働者が失業し、ウォルマートに再就職して賃金が半分になる、といった形で平均賃金が下がったのだ。
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2017年08月28日

相対的貧困は不平等の指標

 ストーニー・ブルック大学の経済学准教授、ノア・スミス氏の日本が貧困に陥っているという意見に対し、ロンドンのアダム・スミス研究所のフェロー、ティム・ウォーストール氏は、スミス氏が見ている数字が表すものは相対的貧困であり、絶対的なレベルの貧困以下で暮らす日本人が増えているということではないと指摘。また、ユニセフが調査で測っているのは「不平等」だと述べる。
 これはエコノミスト誌も指摘している部分で、ユニセフも含め日本の子供の貧困率は相対的貧困率であり、手取りの世帯所得を世帯人数で調整し、中央値の50%以下を貧困と定義した上での数字だ。日本の子供の相対的貧困率は1985年には11%だったが、2012年には16%まで上昇し、OECD諸国の中でも上位に入るという。そしてユニセフは、日本における豊かな家庭と貧しい家庭の子供のギャップは、アメリカよりも顕著で、メキシコやブルガリアとそう変わらないレベルだとしている。
 日本の非正規雇用はすでに雇用全体の5分の2を占め、夫婦両方がそうである場合は特に経済的に厳しいこと、また、貧困にある子供の3分の1がシングルマザーに育てられていることも、エコノミスト誌は問題視している。日本の貧困家庭の子供達は、途上国のように飢餓にあるわけではないが、1日のうちまともな食事が給食しかない、電気、水道、ガスが止められたため公衆便所で体を洗う、お金がないため放課後友達と出かけたり、塾に行ったりすることができないと、その実態が説明されている。
 すでに政府はソーシャルワーカーの数を増やしたり、一人親家庭の児童扶養手当増額を決定したりしている。これについて、首都大学東京の阿部彩教授は、離婚したシングルマザー自身を責める声が多かった自民党がここまでしたのは驚きだ、と述べている。
 エコノミスト誌は、政府は高齢者よりも若者を助ける政策を打ち出しているというイメージを作り上げようとしているが、子供の窃盗、売春、劣悪な生活環境などが新聞の見出しを飾るなか、対応は容易ではないだろうと指摘している。
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2017年08月27日

今や日本人は貧しい国民?

 ストーニー・ブルック大学の経済学准教授、ノア・スミス氏は、日本の貧困率が上昇していることに注目。同氏はブルームバーグ・ビューに寄稿し、ユニセフが発表した調査で、子供の貧困を測る主要な指標の少なくとも1つにおいて日本がアメリカを抜いてしまったとし、貧困レベルの上昇は、さまざまな日本の負の経済トレンドに当てはまり、多くの日本人が経済的に苦しんでいる真実を表すと述べる。
 貧困の理由はさまざまだが、アメリカの保守派の間では、咎められるべきは個人の行いだという考えが一般的だと同氏は言う。働かない、犯罪を犯す、未婚で子供を産む、ドラッグに手を出すなどの問題が減れば、貧困は減るという意見だ。一方リベラル派は、労組を弱め、企業福祉を止めてしまったフリーマーケット(自由市場)政策を責めているという。
 ところが、日本の場合は、このような説明が当てはまらないと同氏は言う。日本の失業率は低く、勤労意欲も高い。犯罪率も低く、1人親世帯もアメリカの25%に比べ全体の3%ほどと少ない。ドラッグ使用率も最近は増えたものの、アメリカに比べればずっと低く、米保守派の論理では説明がつかない。
 では、フリーマーケット政策が影響したのかと言えば、そうでもない。小泉政権以来、低賃金、非正規の雇用が増えたとはいえ、大きな政策変化はなく、特に政府の正規従業員保護への厳しい政策に代わりはないとスミス氏は指摘する。労組についても、法的に大きな変化はなく、労働争議もまれなことから、こちらも主因にはなり得ないとしている。
 結局、スミス氏は、日本人の経済的苦境の原因は、生産性の低さと、国際競争の影響ではないかと見ている。特に、日本は保護主義的であり、国内市場を保護してきたが、アジアのライバル、またアメリカの革新的な企業との国際競争には苦戦し、得意の電子機器や自動車などでも、利益は薄くなっていると説明する。結局これが労働者の懐に跳ね返っており、他国で見られるのと同様に、貧しい者はますます貧しくなり、金持ちの利息配当金による収益が増え続けていると述べている。
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2017年08月25日

経済成長は格差是正の万能薬ではない

 ピケティ氏が著書「21世紀の資本」の中で示した【r>g】(資本収益率>経済成長率)という法則に沿えば、ある国の経済成長率が低下すると、その国で資本を持つ者と持たざる者の格差は広がることになる。逆にいうなら、格差を縮小するためには経済成長が必要になるわけである。日本における低所得者の増加が長期の経済停滞によってもたらされたものならば、経済成長が日本の格差是正につながると考えるのは自然な流れかもしれない。
 しかしながら経済成長と格差の関係はそれほど単純なものではない。エマニュエル・サエズ教授と森口千晶教授の研究によると、日本で過去に実現した高成長は、第2次大戦前と戦後ではその環境要因が異なる。要約すると、1890年〜1938年の急成長は資産家と財閥系大企業を中心とした「格差社会」の中で実現し、55年〜73年の高度成長は近代的な日本型企業システムによる「平等社会」の中で実現したというのだ。これは経済成長と格差の関係が一意的に決まるものではないことを示唆している。
 おそらく経済成長は格差是正の万能薬ではないし、格差が絶対悪というわけでもない。ピケティ氏も語っているように、イノベーション(革新)や人々のやる気を引き出すうえで、ある程度の格差は必要なのかもしれない。ポイントは、格差が長期にわたって固定されないよう、社会全体で気を配ることではないか。
 その意味で、日本の格差問題について議論する際には、日本人の意識やライフスタイルの変化にも注目すべきだ。いささか厳しい見方をするならば、低所得の高齢者や母子家庭の増加は、核家族化の進行や結婚観・離婚観が多少なりとも影響していると考えられる。若年層の失業や非正規雇用が増えているのも、昨今の若者意識と無関係ではないだろう。
 専門家からはこうした貧困層の固定化を防ぐために、富裕層だけでなく中間層も含めた日本社会全体の負担増が欠かせないという声が上がっている。その場合、単なる財源負担にとどまらず、教育や地域での支え合いなどソフト面から貧困に対処する施策も求められてくるはず。経済成長が重要なのはもちろんだが、本当に成長すべきは人間社会のほうなのかもしれない。
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2017年08月24日

日本の格差拡大は低所得者の増加によるもの?

 米国ほど極端ではないものの、日本でも格差拡大は確実に進んでいる。野村総合研究所の調査によると、日本の金融資産5億円以上の世帯数は2000年の6万6,000世帯から13年には5万4,000世帯まで減少したが、それらの世帯が保有する金融資産総額は43兆円から73兆円へと、むしろ増加している。1世帯当たりの金融資産額は6億5,000万円から13億5,000万円へと倍増したことになる。
 一方で金融資産3,000万円未満の世帯数は3,761万世帯から4,183万世帯へと約1割増加し、1世帯当たりの金融資産額は1,338万円から1,289万円まで減少している。この調査結果を見る限り、日本では一部の超富裕層へと富の集中が進み、一般的な資産階層では反対に富が分散していることが分かる。アベノミクスによる資産効果の恩恵が、もともと多くの金融資産を持っていた人ほど大きかった半面、一般庶民にはほとんど届かなかったということになる。
 トマ・ピケティ氏の共同研究者である米カリフォルニア大学バークレー校のエマニュエル・サエズ教授と、一橋大学経済研究所の森口千晶教授が行った研究からは、また違った格差の実態が浮かび上がってきた。それによると、日本で近年最も所得シェア(国民総所得に占める割合)を伸ばしているのは上位5%に属する所得階層なのだ。これは年収で750万円程度、ちょうど大企業の正社員クラスに相当する。
 同研究では、中間層を含む下位90%の所得階層において、所得水準が90年代から10年まで一貫して下落傾向にあったことも示されている。長期デフレや国際価格競争の激化による企業業績の低迷、非正規雇用の拡大などによって日本国民の大多数の平均年収が下がり、結果として上位5%の所得シェアが拡大したということが、この研究から読み取れるのだ。
 米国では上位1%の高所得層が占める所得シェアが20%近くに達しているのに対して、日本では10%弱にすぎない。日本の格差拡大は、富裕層の増加よりも低所得者の増加によるところが大きいといわれている。実際に日本では低所得の高齢者や母子家庭が増加し、若年層の失業や非正規雇用も目立つ。所得が中央値の半分に満たない人の割合を示す「相対的貧困率」は、85年の12.0%から12年には16.1%まで上昇した。ちなみに12年の貧困基準は、2人世帯で年間可処分所得173万円となっている。
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2017年08月23日

葬儀費を工面できない貧困層が拡大!

 全国の政令市で2015年度に亡くなった人の約30人に1人が、引き取り手のない無縁仏として自治体に税金で弔われていたことが、毎日新聞の調査で分かった。
 全政令市で計約7400柱に上り、10年でほぼ倍増。大阪市では9人に1人が無縁だった。
 死者の引き取りを拒む家族の増加や葬儀費を工面できない貧困層の拡大が背景にあり、都市部で高齢者の無縁化が進む実態が浮き彫りになった。
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2017年08月22日

アトラクションだけを楽しいと思う日本人は貧しい!

 遊ぶ、旅行するときに楽しいと感じることは何だろうか。
•飲みに行くこと
•カラオケをすること
•ディズニーランドにいくこと
•ナイトクラブにいくこと
•観光スポットがあること
 ほかにもまだまだあると思うのだが、これってすべてアトラクションなのである。言葉で説明するのが難しいのだが、どれもモノに執着しているのである。そのモノがあって初めて楽しいと感じているにすぎない。
 日本人が楽しいと思えるモノが一切ないバングラデシュのどこが好きなのか、何が楽しいのか、と言われることがある。
 大型連休のときも、他の日本人は隣国に旅行に行ったり、日本に帰国したりするけれど、「バングラデシュに残る」と言うと、「何するの」「遊ぶ誰かいるの」という質問を必ずされることになる。例えばタイにいくときに、「楽しいことあるの」とは絶対聞かれない。タイにはたくさんの日本料理屋があったり、綺麗なおねえちゃんがいる夜の街があったり、観光スポットがあったり、そういう楽しいモノがあることがわかってるからなのだろうか。バングラデシュに魅力を感じるのはヒトであり、バングラデシュの人々の考え方や生き方なのである。
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2017年08月21日

バングラデシュは最貧国だけどインシャーアッラーの精神がない日本人のほうが貧しい!

 児童労働、感染症、ヒ素問題、ストリートチルドレン、慢性渋滞、電力不足、解決しなければいけない問題は山積み。これだけ読めば、日本は恵まれていると思うかもしれない。だが少なくとも日本が必要以上に恵まれているとは感じない。なぜそう思うのか。
 インシャーアッラーとはアラビア語で神さまの望むままにという意味で、バングラデシュだけでなくイスラム教徒の人はどの国の人も使う言葉。よく何か約束事をするときに使われる。
 「明日は大事な会議だから朝8時集合ね」
 「インシャーアッラー」(神さまが望んだらね)
 つまり約束はできないということ。この言葉にいつもやられる。待ち合わせ時間にこない、予定通り物事を進めようとしない、天候のせいにする。一般的な日本社会で生まれ育ってきた人ならば、許せないことだろう。でもあるときわかることになる。インシャーアッラーとは約束を守りたくない、気分次第ということではないということを(言い訳に使う人も多いのだが…)。
「ぼくにとって一番大切なものは家族。家族に何かあったとき、友人や仕事の約束よりも家族を優先する」
一番大切なものを優先しただけで、何で約束を破ったことになるのかわからないと言われる。
 バングラデシュの人々の心の中にはいつも家族がいる。今何してるかという緊急性のない話題。日本では仕事中はプライベートを持ち込まないことが当たり前とされ、私用電話をしていたら白い目で見られるはず。でも、家族よりも会社を大切にしたら、会社は家族を守ってくれるのか。まずそんなことはない。
 バングラデシュの人々の休暇理由で一番多いのは、「家族の問題」です。日本ではどうでしょう?家族になにかあったとして、忌引き以外の理由で休む人いますか?もしくは理由を堂々と家族の問題でと言えますか。ぼくは言えないし、休めません。
 一番大切なものを大切にするためにインシャーアッラーという言葉があるんだなと教わることになる。バングラデシュ人のようにできなくても、用事があるときだけでなく、「元気・・・」の一言だけでも家族に電話をする心の豊かさをもったらどうだろうか。
 今日気づいたら昼飯たべる時間なかった、という人手挙げてください。結構いるのではないか。しかも忙しさをアピールするかのごとく言っていないか。バングラデシュ人は食事のこととなると血相を変える。例えば昼前に終わる研修に参加したとする。日本であれば昼前に終わるのであれば、昼飯は自分で用意するか、食べにいくかするはずだ(基本的に自腹で)。でもバングラデシュ人は違う。「研修に呼んでおいて、昼飯も用意しないとは何事だ」と大騒動になる。だから驚くことに、研修や会議の予定を立てるときはまず昼代おやつ代をどこから捻出するかという議論が巻き起こる。
 バングラデシュの村で、住民に税金を納めることの大切さと方法を伝える会合を開いたのだが、1時間半くらいのことだったが、お茶もお菓子もださないのかよという批判が殺到した。「外国人が主催するのだからさぞ豪勢なお菓子がもらえるんだろう」と期待してそれだけのために来た人もいたそうだ。驚きと苛立ちで何と表現したらいいかわからなかった。それだけでと思うかもしれないが、バングラデシュでは大切なことであり、これがないと人が集まらない。仕事よりも、友達との約束よりも食事を大切にする。
 「ぼくたちにとって、食べることはどんなことより楽しくて幸せなことなんだよね。だからそれを阻害されると何もやる気がおきないし、何も考えられなくなる」
 仕事を言い訳にして、食べることを後回しにしていないか。12時から昼休憩だとして、12時になったとたん食事に行くことをためらっていないか。生きるために必要なことは食べることより仕事なのか。周りとの波長を合わせることなのか。
 バングラデシュ人のように、食べることに異常なまでの執着をもちなさいとは言わないが、食べることも忘れて、もしくは忘れたふりをして、食べないのをやめにしませんか。
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2017年08月20日

生活保護世帯のうちもっとも多いのは?

 安定した生活はたった1つのきっかけであっという間に崩れ去る。誰でも陥る可能性のある貧困の実態―。生活保護世帯は過去最多を更新し続けているが、構成比を見ると高齢者と障害者・傷病者が多く、全世帯の7割超を占める。
 これらは事実上働くことができない世帯だ。保護費の内訳を見ると医療費にかかるものが半分を占める。生活保護というと不正受給に注目が集まりがちだが、生活保護費の総額に占める割合は 0.5%前後で推移しており、多いとはいいがたい。
 高齢者が増えるに伴って、今後も生活保護受給世帯が増え続けるのは間違いない。生活保護費だけに着目して予算を削減するのではなく、年金、医療、介護など約30兆円に上る社会保障関係費全体の中で議論すべきだろう。
 国もセーフティネットの拡充に向けた問題意識は持っている。生活保護に陥る手前で支援するために「生活困窮者自立支援法」を施行されているが、いまだにその効果が表れているとは言い難い。。
 フランスの経済学者トマ・ピケティ氏が記した『21世紀の資本』。ピケティ氏は米国などにおいて上位1%の富裕層に富が集中する格差の構造をあぶりだした。一方、現在の日本で問題視される格差とは、大衆層の貧困化なのである。
 多くの人は、貧困は他人事だと思っているだろうが、実はそうではないのだ。女性、高齢者、子供などにもその闇は広がり、日本を覆いつつある。まずはその事実にきちんと向き合うこと、そしてどのような対策を打つのか考える必要がある。
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2017年08月19日

手薄なセーフティネット

 経済学に「貧困の罠」という言葉がある。本来は税制や社会保障制度などの欠陥によって貧困から抜け出せない状況を意味する。ただこの男性のように普通に生活をしていても、貧困に陥る「罠」は少なくない。
 転落者を受け止めるセーフティネットも手薄だ。雇用保険や医療保険、年金などのように保険料を支払い、いざというときに給付を受ける社会保障制度はそれなりにある。が、それら防貧ネットからこぼれ落ちた人たちの受け皿となるセーフティネットは生活保護しかないのが実情だ。
 その生活保護への風当たりは強い。もともと受給者の負担のない救貧施策のため、批判を浴びやすいが、保護費負担金は3.8兆円(事業費ベース)に膨らんでいることもあって、予算削減の動きが加速している。
 生活費にあたる生活扶助は今年4月からカットされた。これで2013年から3度目の切り下げだ。7月以降は家賃に当たる住宅扶助や暖房費などの冬期加算も削減される見込みとなっている。
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2017年08月18日

世界および日本の経済格差の現状と原因は? 3

 第4の論点として、対応策については、累進所得税、相続税、教育、労働市場政策、金融監督、公正取引・競争政策、国際的な税務協力等が考えられる。
 第1に税制である。所得税(賃金所得税、資本所得税)と相続税が、所得及び資産の格差拡大に対処する直接的かつ最も効果的な手段と考えられる。ただし、欠点もある。賃金所得税に関しては、短期的及び中長期的に経済活動(労働時間、生産性の向上、イノベーション等)にマイナスの影響を与える可能性がある。相続税は、子孫に財産を残すことを目的とする利他的な遺産動機が妥当であれば、資本蓄積を阻害する懸念がある。そして何よりも、資本・企業・人の国際的な移動が容易となる中で、有能な人材、企業、財産がタックス・ヘイブンに逃れてしまう可能性が否定できない。経済格差に対処するための適切な税制レジームの可能性とそれに対するグローバリゼーションの制約について、現時点で十分な知識やコンセンサスは得られていない。今の時点では、ある程度の非効率を受け入れつつ、所得税や相続税の累進度を高めて、経済格差の拡大へ対処することになろう。また、給付付き税額控除は、労働のインセンティブを活かしつつ、経済格差を抑制する手段として、有益な方法とみられている。
 第2に、途上国の税制に関しては、経済エリートを優遇する社会的慣行から、所得税や相続税は僅かしか課されていない。しかしながら、途上国の経済格差の拡大は、既得権益層の支配力を高め、また、教育や健康面での機会の不平等を著しいものとし、経済成長を阻害していると考えられる。一方で、国内の金融資産の総額や流れを追跡することを可能とする技術進歩は進展している。戦後の日本の経済成長と厳しい累進税制の経験からは、中下位層の所得環境を底上げすることで持続的な経済成長がより円滑となることが示唆される。中進国の罠から脱却するために、所得の再配分を支える累進的な所得税と相続税を導入する必要性は、途上国に押しなべて高いと考えられる。
 第3に、教育の充実である。教育の公平な提供は、機会の均等を図り、不平等の少ない社会の構築に貢献する。また、有能な貧しい子供に教育の機会を与えることで、公平性とともに、効率性を向上させることにも資する。特に、途上国では所得格差と教育格差は顕著であり、所得と教育の相関はクロスカントリーでも各国の時系列でも確認されている。
 第4に、労働市場への介入として、職業訓練の充実、最低賃金の引上げといった方法は、所得の格差拡大の抑制に有効と考えられる。最低賃金の引上げに係る企業のコストを和らげるための低所得者向けの社会保険料の軽減措置も有効な手段と考えられる。
 第5に、金融監督や公正取引・競争政策を通じて、少数の企業による市場占有率の高まりを抑制し、市場の公平な競争を強化することを通じて、経営者の報酬決定能力を弱める必要があると考えられる。市場の規制緩和は常に新たな既得権益を生むことにつながりかねないことから、常に新たな視点で市場の競争状態を確認していく姿勢が問われている。
 第6に、経済格差を是正するために、Piketty(2013)らは、累進所得課税の再強化とともに、国際的な累進資本課税の実現に向けて、金融情報の透明性の向上と税務当局間の協力の強化の必要性を指摘する。最近のパナマ文書による世論の関心の高まりがこうした動きを後押しすることが期待される。
 グローバリゼーションや技術進歩等は日本社会にも影響を与えているが、日本ではジニ係数の上昇や上位層の総所得に占める割合の増加は顕著なものではない。Borjas(2016)は、アングロサクソン諸国と欧州大陸諸国の相違として、高技能労働者への需要の高まりに対して、前者は価格(賃金)の変化で対応し、後者は数量の変化(失業、非労働力化)で対応した可能性を示唆する。日本でもバブル崩壊以降、不安定雇用割合や未就業者割合が特に若年層で高水準となっている。さらに、日本では、1980年代半ば以降、子供貧困率が顕著に高まっている。
 Bourgion(2015)は、経済格差が高まっているアメリカで、国民の多くがアメリカ社会を公平で公正な国と考えている理由の一つとして、アメリカでは結果の平等より機会の平等を優先することが影響している可能性があるとしている。日本人の格差拡大の懸念の高まりの背景として、就学期間や社会の入口で教育及び就労に関する機会の平等が狭められ、また、低成長下の日本社会がやり直しの効きにくい社会になっているとすると、僅かに上昇したジニ係数等が示す結果の不平等以上に将来の日本にとって憂慮すべき事態であるのかもしれない。生涯の所得格差への研究を含めて、さらに経済格差に関する分析が深められることを期待したい。
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2017年08月17日

世界および日本の経済格差の現状と原因は? 2

 3番目の論点として、1980年以降、多くの国で発生している経済格差の原因について考える。米国の標準的な労働経済学の教科書であるBorjas(2016)は、所得の大層を占める賃金格差の拡大について、1970年末からジニ係数が上昇していること、賃金の上位と中位以下の間の格差が拡大していること、労働市場に占める大卒の割合が上昇したにも拘わらず、大卒の賃金が高卒の賃金より上昇していること、同一グループ(年齢、教育、人種等)内の格差も拡大していること等の事実を指摘する。その上で、Borjas(2016)は、実証研究により上記の諸点との整合性や原因と結果のタイミング等を精査すると、賃金格差を十分説明できる原因について経済学者はコンセンサスを得られていないとする。以下、格差拡大の原因とされるいくつかの要因について説明する。
 第1に、グローバリゼーションである。国際貿易の拡大や1980年代以降の共産圏(中国、ソビエトブロック、インド)の国際貿易競争への参入に伴い、ヘクシャー・オリーンの定理が示すように、途上国では未熟練工による貿易財の輸出が増加し、先進国では低技能労働者を多数使う産業が衰退し、高技能労働者を多数雇用する産業が伸びた。Borjas (2013)は、貿易の拡大は賃金格差の拡大の20%程度を説明するとする。
 ただし、先進国の格差の拡大は、(シンプルなモデルが指摘する)低技能労働者の賃金の低下や高技能労働者の賃金の上昇だけでなく、中間層の賃金をも低下させた。これを説明するのが、第2点目のコンピューターの普及等の高技能労働者に偏った技術進歩である。こうした新たな技術を使いこなす者と活用できない者の生産性の相違が賃金格差拡大の殆どを説明するとする者もいる。ただし、米国で格差が急拡大したのは1980年代であるのに対して、IT技術の急速な進歩がみられたのは1990年代であるというタイミングのずれが説明できない。
 第3に、各種の制度要因である。Bourginon(2015)によると、労働組合の組織率低下、最低賃金の実質的低下、国際機関の構造調整プログラム、各国の規制緩和や構造改革等も所得や賃金の格差拡大に一定の役割を果たしたとされる。
 なお、長期にわたり持続的な高成長を確保するには構造改革や規制改革への継続的な取組みが大切であると考えられるが、高い経済成長と所得格差の関係は必ずしも定かではない。中国、インド、南アフリカの経験からは高成長は所得格差の拡大に関係しているようにみえる一方で、高度成長期の日本では所得格差の水準は安定しており、また、最近のブラジルや韓国の経験からは高成長は所得格差の縮小を伴っていたとされる。また、労働市場の改革は、労働者単位の賃金格差を拡大させた一方で、経済の効率性を高め、雇用者数を増加させることを通じて、家計単位の所得水準の格差にはさほど影響を与えていないとの実証分析もみられる。
 第4に、累進課税制度の緩和である。所得税及び相続税の累進課税制度(戦中から戦後にかけて戦費調達・戦争債務返済の必要性から導入された制度)に関して、1970年代以降、経済効率の向上やイノベーションの推進の観点からトップ税率が軽減されたことも、上位層の総所得に占める割合の増加に一定の影響を与えたとみられる。
 第5に、上位層の総所得に占める割合の増加を説明する理論として、スーパースターの理論やトーナメントの理論が使われる。前者は、IT技術の進歩やグローバリゼーションの進展に伴い、非常に大きな市場に低価格でアクセスすることが可能な幾つかの業種(エンターテイメント産業、ファンドマネージャー等)で観察される現象である。後者はスポーツのトーナメントと同様に管理職を競争させ、勝利(昇進)を得た者に高額の給与を支払うことで、多くの管理職に最大限の努力を払わせることができるとするものであり、こうしたインセンティブメカニズムの導入は、企業のパフォーマンスを向上させたとの実証研究もみられる。
 第6に、第5の考え方に疑問を投げ返る議論として、富裕層による報酬決定能力の高まりがある。企業、特に金融部門の幹部の報酬が極めて高いのは、企業統治の失敗、累進税制の緩和、経済の金融化等の影響を受けて、経営者が自分の報酬を自分で決められる影響力が高まっていることにあるとの指摘である。グローバリゼーションの進展と相まって、少数企業による市場支配力と寡占的利潤は増加しており、それを背景に富裕層は政治献金を通じて権力への影響を強めている。一方で、労働者は企業との交渉力を低下させており、低い条件を受け入れざるを得なくなっている。
 第7に、世代間の経済格差の継承については、Borjas(2016)によると、米国で親から子に受け継がれる賃金の水準(Intergenerational Correlation)は3割から4割であり、仮に第1世代に30%の賃金格差があると、第2世代は10%程度、第3世代では5%未満が格差として受け継がれる(ある程度平均賃金への回帰がみられる)とされる。
 第8に、Piketty(2013)は、資本収益率が成長率を上回ること( )から、資産の格差(ひいては所得の格差)が拡大するメカニズムが資本主義に内包されていると考える。ただし、殆どの研究者は、アメリカの所得格差の拡大の原因を主に勤労所得の格差の拡大にあると考えており、Piketty(2013)は、高齢化やイノベーションの低迷により成長率の低下が予測される将来の課題として、資本収益率と成長率の問題を指摘したと考えるべきであろう。
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2017年08月15日

世界および日本の経済格差の現状と原因は? 1

 最初の論点として、経済格差の問題点について整理する。経済格差の拡大は、「市場の失敗(市場の不完全性)」と「社会・政治の不安定化」を通じて、経済の効率性を損なうことにつながる。「市場の失敗」の例は、貧しいものの健康が害され、経済効率が低下する場合や、貧しいものが就学できずに能力を発揮できない場合等が典型的である。経済格差の拡大は、健康、教育、金融、差別等の経路を通じて貧しい者の能力の発揮を阻み、非効率を発生させ、過度な場合には経済成長が害されうる。こうしたケースでは政策的に介入することで、効率性と公平性を同時に改善することが可能である。また、「社会・政治の不安定化」は、経済格差の拡大の結果、犯罪や闇経済が拡大することにつながる。政府のガバナンスの悪さや腐敗と相まって、一部の既得権益層が独占的利益や寡占的利益を享受する状況に対する不満が高まると、デモや占拠等の社会的な混乱や騒乱、極端な場合には暴動等にもつながりかねない。既存のエリート層への不満は人気取りのポピュリスト的な政治家の台頭を許すきっかけともなっている。
 2番目の論点として、世界及び日本の経済格差の現状について整理すると、以下の通りである。
 第1に、世界の所得格差については、19世紀からの資本主義の歴史において世界全体の所得格差は一貫して上昇していたが、1990年頃から中国、インド等人口の大きなアジア諸国の高成長により、世界全体の所得格差は低下している。ただし、世界全体の経済格差は各国内の格差よりも格段に大きな水準にある。
 第2に、最近の各国の所得格差をジニ係数で比較すると、最も格差が大きいのは、南アフリカ、中国、南米諸国であり、次に、アメリカ、イギリスである。欧州大陸諸国、日本、韓国がそれらに続き、北欧諸国が最も平等な国とされる。
 第3に、先進国の所得格差の動向を、ジニ係数や上位層の総所得に占める割合でみると、1980年代以降、アングロサクソン諸国では、所得格差の拡大がみられ、特に、アメリカで顕著である。アメリカの上位10%(1%)の総所得に占める割合は30%強(8%)から45%強(20%)にまで上昇している。一方、1980年以降の欧州大陸諸国の所得格差をみると、ジニ係数や上位層の総所得に占める割合の上昇は緩やかなものに留まっている。フランスの上位10%(1%)の総所得に占める割合は33%(8%)程度となっている。
 第4に、途上国の所得格差の動向をみると、1980年代半ば以降、中国等のアジア諸国、ガーナ、ケニア、ナイジェリア等のアフリカ諸国で格差は拡大している。例外は、ラテンアメリカ諸国であり、1990年代半ばからラテンアメリカ諸国の所得格差は、水準は高いものの、福祉政策の充実により改善傾向がみられる。ただし、ラテンアメリカ諸国でも2014年以降の一次産品価格の下落に伴う財政難により、再び経済格差の拡大が懸念されている。
 第5に、資産格差は所得格差に比べて格段に不平等度が高い。先進国の資産格差の歴史的推移をみると、世界大戦期間中及び戦後に、極端に不平等であった戦前の資産格差は低下をつづけたが、1970年代以降、資産格差の縮小は止まり、緩やかに反転しつつある。現在の先進国における上位10%(1%)の総資産に占める割合は60%から70%程度(20%から30%程度)、次の40%の中間層が主に住宅資産の形で残りの資産を保有し、下位50%の層はほとんど資産を持たないとされる。
 第6に、途上国の資産格差は、データの制約があるが、所得格差より大きいとみられる。また、中国の資産のジニ係数は急速に拡大を続けており、2010年には米国と同水準にまで不平等は拡大したとの分析もある。
 第7に、生涯所得の格差をみる。一時点における所得格差はアングロサクソン系の国々で顕著であるが、イギリスの生涯にわたる所得格差の研究をみると、所得格差の水準は大幅な低下を示す。また、生涯の中で所得上の地位に流動性が認められ、生涯にわたる上位10%の者が生涯において上位10%に属する期間の割合は35%程度(同様に、生涯にわたる下位10%の者が生涯において下位10%に属ずる期間の割合は20%強)であり、裕福なものが常に裕福である(貧しいものが常に貧しい)というわけではないことが確認される。
 第8に、日本については、所得・資産ともに、経済格差の拡大は顕著ではない。また、格差の水準もアングロサクソン系の国々と比較すると緩やかなものに留まる。上位5%の総賃金に占める割合はアメリカの24%(1970年代半ばから8%ポイント上昇)に対して日本は16%(同2%ポイント上昇)であり、また、上位10%の総資産に占める保有割合は、アメリカの70%に対して日本は40%弱とみられる。
 一方で、日本の子供貧困率は高水準で(16.3%)かつ上昇しており、また、一人親家庭の貧困率(54.6%)はOECD諸国で最悪の水準にある。さらに、25歳から34歳の若年層の雇用の不安定化が進んでいる。2015年の女性の25歳から29歳、30歳から34歳の人口に占める非正規雇用又は未就業の割合はそれぞれ52%(=27%+24%)、61%(=29%+32%)となっている。同じく男性では28%(=16%+12%)と20%(=12%+8%)である。日本では、ジニ係数や上位の総所得・総資産に占める割合にあらわれない若年層の経済格差や機会の不平等が進行しているとみられる。
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2017年08月13日

大阪市の場合の生活保護の収支

 一般的な説明だけではわかりにくいので、保護費の支出が全国で最も多い実施自治体である大阪市の場合を取りあげる。2014年度の決算で、生活保護関係の収支は、以下のようになっている。
 A:歳出額 3062億円=扶助費2916億円+人件費115億円+その他事務費31億円
 B:歳入額 2221億円=国庫支出金2170億円+その他諸収入等51億円
 AからBを引くと、C:地方負担額(一般財源支出額)=841億円
 D:基準財政需要算入額 791億円=扶助費663億円+人件費124億円+その他事務費等4億円
  CからDを引くと、E:算入不足額=50億円
 実際の市の負担額に比べ、総務省の計算式による標準的な費用は50億円ほど少なく、その分が余分な持ち出しになった。算入不足額は年度によって差があり、かつては100億〜200億円前後にのぼっていた。近年は12年度57億円、13年度67億円だった。市財政局は、入院を含めた医療扶助費が大阪市ではやや多めであることが、算入不足の主な原因だと分析している。
 大阪市の算入不足額は、他の自治体に比べて大きいとみられる。算入の過不足は自治体によって異なり、プラスになっている自治体もある。
 一方、他の事業分野を含めた大阪市全体の地方交付税の計算は、次の通り。
 F:基準財政需要額 6056億円
 G:基準財政収入額 4939億円
 FからGを引くと、財源不足額(地方交付税額)=1117億円(うち臨時財政特別債759億円)
 基準財政需要額に対する基準財政収入額の比率(G/F)=H:財政力指数=81.6%
 裏返すと、基準財政需要額の18.4%が地方交付税として総務省から入るわけだす。財政力指数は自治体によって大きな差がある。財源が乏しくて地方交付税をたくさんもらう自治体もあれば、基準財政需要額より基準財政収入額のほうが多くて不交付団体になる自治体もある。
 次に、大阪市が自前の収入から生活保護費(扶助費)にあてた額を試算すると、以下のようになる(本来は、基準財政需要額の実情が事業分野ごとに違うので、単純にこういう計算はできない)。
 D(基準財政需要算入額)のうち扶助費663億円×H(財政力指数81.6%)+E(算入不足額50億円)=591億円
 14年度の大阪市の予算(当初予算+5月補正予算)では、一般会計の歳出1兆6814億円のうち生活保護費が2944億円(17.5%)を占めており、ものすごく大きな印象を与えるが、国から出るお金があるので、自前の財源からの実質的な出費は591億円ほどだったわけだ。
 かつて、保護費の額と市税収入の額をそのまま比べて、大変な財政圧迫だと強調する記事が何度かあったが、財源のことを無視して比較するのはナンセンスなのだ。


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2017年08月11日

国の社会保障費の中で生活保護費の大きさは?

 16年度の当初予算で、生活保護費の総額は3兆8281億円、そのうち国(厚労省)の負担分は2兆8711億円の見込み。社会保障関係の一般歳出31兆9738億円に対する比率は9.0%となっている。1998年度当初予算の生活保護費の厚生省負担額が1兆1106億円、社会保障関係費に対する比率が7.5%だったのに比べ、大幅に増えてきたのは確かである。これは、巨大な額だろうか。
 当初予算の社会保障関係費(国支出分)の内訳を、表に示します(財務省の資料をもとに、生活保護費を独立させる形で区分を変えた)。生活保護費は国が4分の3を負担するのに対し、年金・医療・介護・雇用・労災は社会保険制度が中心なので、ここに出ている国支出額は、その分野の費用全体の中では、一部である。
<2016年度当初予算の社会保障関係費(国支出分)>
・年金給付費 11兆3130億円 35.4%
・医療給付費(医療扶助を除く) 9兆9068億円 31.0%
・生活保護費等 2兆9117億円 9.1%
・介護給付費(介護扶助を除く) 2兆8623億円 9.0%
・社会福祉費(障害者福祉など) 2兆5335億円 7.9%
・少子化対策費 2兆0241億円 6.3%
・保健衛生対策費 2865億円 0.9%
・雇用労災対策費 1360億円 0.4%
計(社会保障関係費) 31兆9738億円 100.0%
 *生活保護費等には中国残留邦人支援費、施設事務費、指導監査費を含む
 生活保護費の半分近くは医療扶助なので、住宅扶助、教育扶助、高校就学費を含めて保護利用者の暮らしにあてられるのは、残り半分の1兆5000億円ほどだ。
 貧困層が拡大する中、公的年金や社会手当の給付を削ったり、医療や介護の自己負担を増やしたりすると、最低生活ラインを割り込む世帯が多くなり、生活保護が増える。そういう社会保障制度の中の相互影響も考えないといけないのではないか。諸外国とも比べてみる必要がある。
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2017年08月10日

消費支出は地域経済を支え、税収にもはね返る

 自前の財源を含めて、自治体が保護費の一定部分を実質負担したら、それは損なのか。
 その際、考える必要があるのは地域経済だ。生活保護費は基本的にためこまれず、ほとんどが医療費、家賃を含めた消費支出に回る。一般世帯に比べ、食費の比率が高めで、大半が地元で使われる。したがって、地域経済への直接的なプラス効果が高い。地域によっては、生活保護利用者がいるおかげで成り立っている商店、飲食店、賃貸家主、医療機関もある。たとえば大阪市西成区は人口比の保護率が24%(16年6月)と極めて高く、もし生活保護の人がいなくなったら、バタバタと店がつぶれて、西成区の経済は危機的になるはずだ。
 大阪市の14年度の決算ベースの保護費2916億円のうち、市が実質負担する591億円を引いた2325億円は、国のお金。市が591億円を出すことによって、国から2325億円を引っ張ってきて、計2916億円を地域に落としたという解釈もできる。これは、国から補助金が出る公共事業が地域にもたらす経済効果を強調するときに、しばしば使われる論理と同じである。
 地域経済にプラスになれば、税収にもはね返る。生活保護利用者が使ったお金は、商品やサービスを売った側の収入になるからだ。仮に保護費総額2916億円に個人市民税の所得割の税率6%を掛けると、175億円になる。実際には、法人を含めて多段階のお金のやりとりが生じる。また消費税8%のうち1.7%は地方消費税(都道府県税)で、その半分は市町村に配分される。
 経済効果や税収はねかえりの具体的な見積もりは難しいのだが、市が591億円を出しても、市税などの収入として戻ってくる分が、けっこうあるわけだ。以上のことは大阪市以外の自治体や、地方交付税の不交付団体にも言えること。もちろん、保護を受けていた人が就労などで経済的に自立して買い物をできるようになるなら、それにこしたことはない。
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2017年08月09日

保護を受ける人数を減らしても、財政効果はない

 きわめて重要なことは、地方交付税を受け取っている自治体の場合、生活保護を受ける人の数を減らしても、財政効果はほとんどないという点である。
 たとえば、何らかの方法で締めつけて生活保護の利用者を減らし、保護費を100億円削ったらどうなるか。4分の3は国の負担なので、75億円が国から来なくなる。そのうえ、4分の1負担分に見合う基準財政需要額も減るので、自前の税収など(基準財政収入額)が変わらなければ、地方交付税がまるまる減ることになる。変化があるのは、基準財政需要額の算入の過不足にかかわる部分だけ。
 反対に、保護の利用者が増えたらどうか。保護費の4分の3は国が出し、4分の1に見合う基準財政需要額が増える。保護の人数の増減が基準財政需要額に反映されるのは、実際より後の年度になるという時間差の問題はあるが、基本的には、算入の過不足部分を除いて財政負担は増えない。
 福祉事務所には、自治体の財政負担に影響すると思って、保護の利用を抑え込もうと躍起になっている職員もいるが、保護利用者が減ろうが増えようが、地方交付税を受け取る自治体の財政はほとんど左右されないのだ。一方、地方交付税の不交付団体の場合は、4分の1分の影響を受けることになる(財政にゆとりのある自治体)。
 自治体の税収が伸びないこと、生活保護以外を含めた地方交付税全体の額がしだいに抑えられる傾向にあることなどにより、自由に使える財源が増えず、財政運営が厳しい自治体が多いのは確かだ。そういう中で保護費の金額が大きいため、矛先を向けるのかもしれない。しかし、地方交付税を受け取っている自治体に関する限り、生活保護費が財政を圧迫していると声高に叫ぶのは、財政のしくみをよく理解していないからなのだ。

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2017年08月08日

生活保護費は自治体財政を圧迫しているか?

 2000年代に入って生活保護の利用者が大幅に増えたことで、財政負担が大変だ、という見方がある。財政が圧迫されていると強調している自治体もある。それは、どこまで本当なのか。
 多くの地方自治体にとって、生活保護の実質的な財政負担は、それほど大きくない。保護費の4分の3は国が負担する。残り4分の1が自治体負担だが、自前の財源で足りない場合は総務省から出る地方交付税でおおむねカバーされる。
 そして地方交付税を受け取っている自治体の場合、生活保護の利用者が減っても増えても、財政負担には、ほとんど影響しないのだ。生活保護費はむしろ、国からお金が来て消費に回ることによって、地域経済にプラスになっているという見方もできる。
 福祉事務所を設置して生活保護の実施にあたるのは、すべての市、東京の23特別区、一部の町村(町村の福祉事務所は任意設置)だ。それ以外の郡部は、都道府県が福祉事務所を置いて実施する。これらを実施自治体と呼ぶことにする。
 実施自治体が支出した保護費のうち、4分の3は国が後から負担する。したがって実施自治体の負担は4分の1。生活保護施設(救護施設、更生施設など)の入所者のための事務費も同じ分担割合だ。ただし、居宅のない状態で入院中・施設入所中の人の保護費は、政令市・中核市を除いて、市町村の負担にならず、代わりに都道府県が4分の1を負担する(国の4分の3負担は同じ)。
 生活保護は、国家責任で生存権を保障する制度で、自治体の本来の仕事(自治事務)ではなく、国からの法定受託事務なのだ。もともと国の負担割合は80%だったのが、1985〜88年度は70%に下げられ、89年度から75%(4分の3)になった経緯があり、全国市長会など地方関係団体は、全額を国庫負担にすべきだと主張している。
 保護費の4分の1は、まるまる実施自治体の持ち出しになるのか。多くの場合、そうではない。
 地方交付税という制度がある。自治体の基本的な事務・事業にあてる自前の財源が不足する場合に、総務省から交付される。いったん国が集めた税金のうち一定割合を、自治体の財政力の弱さに応じて配分し、アンバランスを調整するしくみだ。自治体が受け取った地方交付税は、使い道の制限がなく、自前の税収と同じように一般財源として使える。
 地方交付税の算定にはまず、その自治体のいろいろな指標を用いて、分野ごとの標準的な費用を積み上げ、「基準財政需要額」を算出する。市町村の場合、消防費、土木費、教育費、厚生費、産業経済費、総務費などの標準的な額を、人口、世帯数、面積、児童生徒の人数、道路延長、港湾係留施設の延長、都市公園面積、農家数といった指標から計算。
 一方で「基準財政収入額」を算出する。これは、標準的な税率で課税した地方税収入の75%に、地方譲与税(国が集めた税金のうち地方に配る分)、各種の交付金などを加えた額である。
 そして、基準財政需要額(標準的に計算した必要費用)より基準財政収入額(標準的に計算した収入)が少なければ、その差額が地方交付税として交付される。
 生活保護費も、基準財政需要額の算定基礎に入っている。大まかな考え方としては、保護費の地方負担分(4分の1)を、自前の収入プラス地方交付税でまかなえるようにしているわけだ。ただし標準的な保護費の計算方法は、人口を基本にしつつ、前年度と前々年度の扶助別の被保護者数、生活扶助の延べ人数、級地、寒冷区分など各種の補正をして単位費用を掛けるので、おそろしく複雑。その自治体の状況をある程度は反映するものの、あくまでも標準化した金額なので、実際の4分の1負担額とはズレ(算入の過不足)がある。保護世帯の人数構成や、個別の扶助の金額を加味する計算式になっていないのも、ズレの要因のようだ。
 それとは別に、ケースワーカーの人件費など福祉事務所の運営費用も、基準財政需要額の算定基礎に入っている。
 少数だが、財源が豊かで地方交付税をもらえない自治体(不交付団体)もあり、それらの自治体では、保護費の4分の1負担分は自前の収入だけでまかなう。
 16年度の場合、都道府県では東京都だけが、都と23特別区を合算する形で不交付団体。都は、都が集めた固定資産税、法人住民税、特別土地保有税の一定割合を、各区の財政状況に応じて調整配分している。市町村では、交付団体が1642にのぼり、不交付団体は76だ。政令市は川崎市だけで、ほかは首都圏、愛知県と、自動車工場や原子力施設の立地市町村が目立つ。
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2017年08月06日

報道の意味自体を疑われるとメディアは自らの首を絞める

 大阪市大チームは、「なぜ、日本の生活保護受給は長期化しやすいのか」に関する多面的な検討も行っており、理由を「貧困の子供化・女性化・高齢化」、必要な対策を「政策分野横断的な対応」とする検討も行っている。最後まで読むと、「貧困研究の大阪市大ブランドは健在だった」と分かるのだが、全45ページの資料と数十枚のグラフ全部に目を通す余裕と気力と根性は、誰にでもあるわけではないだろう。
 メディア各社は、より慎重に、より正確に、よりわかりやすく伝える努力をすべきだろう。「報道する」「伝える」という仕事の意味そのものが疑われるようになれば、最終的に締め上げられるのは自分自身の首なのだ。もはやそうなりつつあるのだが…。
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2017年08月04日

大阪で生活保護受給を始めた人々の目的は、結局のところ不明

 大阪市大チームの研究結果から「生活保護を求めて大阪市に来た」と結論付けるのは、早計すぎるように思われる。2010年と2015年の比較では、マグネット層・非マグネット層ともども、3分の2は生活保護から脱却しているからだ。もしも大阪市に来た目的が生活保護だったのなら、「マグネット層は生活保護から脱却しない」という結果となるはずだからだ。
 ただし2010年は、まだリーマンショック(2008年)の影響が残っていた時期である。マグネット層・非マグネット層で差が見られなかった理由の1つは、もしかすると「2010年に大阪市で生活保護を利用し始めた人々は、景気回復とともに生活保護から脱却しやすい状況にあった」ということかもしれない。
 いずれにしても、「大阪市に来た目的は生活保護を利用するため」と結論づける根拠があるとは言えなさそうだ。大阪市大チームの資料に、このように結論づける記述があるわけではない。結論めいたものは、「(大阪市は生活保護費の)全額国庫負担を求めてもよい数値的根拠になるかもしれない」という一文だけだ。これは、長年にわたって指摘されてきた「貧困問題が深刻な大都市に対して国は予算面で厳しすぎる」という積年の問題、大阪市が困惑し続けてきた問題そのものである。
 また、地方からの低所得層の流入を受け止めやすい大阪市の状況についても検討が行われているが、「マグネット層」問題の中心が単身男性であること、生活保護からの脱却理由が主に死亡(29.0%)と失踪(23.4%)であること、したがって「(マグネット層が大阪市の生活保護受給者の)増加要因を形成しているとは言い難い」という結論が述べられている。
 専門家の研究をメディアが正確に伝えることは、一般的に難しい。しかし、NHK関西の「転入して6ヵ月以内に生活保護を受給していることから生活保護を目的に大阪市に引っ越してきたとみられる人たちは平成27年度に男性受給者の19.8%、女性受給者の10.6% にのぼることもわかりました」という報道は、「大学の発表資料や論文に目を通すわけではない大多数の視聴者、読者のためにこの研究を伝えた」と言えるだろうか。
 自分自身の研究がこのような扱いを受けたら、私ならそのメディアに怒鳴り込むかもしれない。少なくとも、不正確である可能性を示すツイートくらいはするだろうと思う。
 そもそも、よりよい保育園環境、学校、親の介護を求めて自治体を選ぶこと自体は、誰にでもあり得ることだ。「福祉のマグネット」は、あらゆる福祉を対象としている。「よりよい生活保護」で自治体を選んで、何が悪いのだろうか。
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2017年08月03日

大阪市大チームの研究結果とは?報道に見る「ビッグデータ」の誤用

 おそらく、チラリと見て卒倒しそうになったメディア報道は、NHK関西による報道である。まず、「生活保護をビッグデータで分析」というタイトルが、強い目眩を誘うのだ。「ビッグデータで分析」とはいったい何か。「ビッグデータ」とは文字通り、巨大な量のデータを指す用語だ。データそのものは分析の道具ではない。
 さらに、本文の「大阪市立大学の研究チームが大阪市の生活保護に関する情報をビッグデータの手法で分析した」という記述に、頭がクラクラする。というのは、「ビッグデータの手法」という記述そのものが、あり得ないものだからだ。
 「ビッグデータ」を「ビジネスパーソン100万人の身長・体重」と具体的に言い換えれば、ご理解いただけるだろう。「100万人の身長・体重の手法」は存在しない。存在するとすれば、「100万人の身長・体重」に対する分析手法であり、その人々や周辺の人々に関する見積もり(推論)の手法だ。
 NHKには、科学番組の優秀なディレクターが多数在職しているとされている。優秀なディレクターたちがいれば、「ちょっと、これでいいかどうか見てくれない」と声をかければ、「ビッグデータで分析」「ビッグデータの手法」が日の目を見ることはなかったかもしれないが、トンデモナイディレクターばかりのようだ。
 なお、翌日の産経新聞の報道では、タイトルに「生活保護のビッグデータ」を分析したとある。少なくとも誤りではない。本文には、「生活保護に関する膨大な行政データの分析結果を公表した」と記述されており、妥当かつ正確だ。本当に「ビッグデータ」と呼ぶべきものかどうか、一般の読者が何をイメージするか、慎重に検討しただろうか。
 内容にも「ミスリード」と感じる部分はない。産経新聞の政治的スタンスを支持することが多いのだが、同社で数学記事を執筆している優秀な記者の知人の顔を思い浮かべ、この記事に心から賞賛の拍手を贈りたい。
 もともと、「ビッグデータ」という用語そのものが、そもそも何を指しているのか意味不明に近い用語ではある。とりあえず「その時期の通常のパソコンでは扱いにくい規模のデータ」と考えておけば大きな誤りにはならないのだが、今回の大阪市大チームの分析は「ビッグデータ」と呼ぶべきかどうかが微妙なのだ。
 というのは、対象は生活保護世帯主たち数万人(注)規模(世帯員については分析していない)であり、分析の複雑さは「各人の身長・体重・年齢とその関係」程度だからだ。通常、データサイエンスの世界では、この程度のデータ量、分析の複雑さ、分析の総量を指して「ビッグデータ」「ビッグデータ分析」と呼ぶことは少ない。大阪市が大阪市大に提供したデータそのものは、紛れもない「ビッグデータ」であったのかもしれないのだが。
(注)大阪市大チームの発表資料では、「約15000〜25000世帯」という数値が示されているけれども、データ量や分析の複雑さを考える場合に注目する対象は桁なので、「数万人規模」と記述した。
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2017年08月02日

生活保護目当てで押し寄せる貧困層が大阪市の負担に?

 大阪市立大学・公共データ解析プロジェクトチーム(以下「大阪市大チーム」)は、2017年7月7日、大阪市の生活保護に関するデータの分析結果を公表した。この分析は、2016年に大阪市立大学と大阪市が締結した連携協定に基づくものであり、目的はデータ分析に基づく効果的な施策の実施であるとのことだ。
 発表された7月7日、米国・ニューヨーク市で低所得層向け住宅政策の取材・調査を行っていた私は、スマートフォンでニュースの見出しをちらりと見て、卒倒しそうになった。どのメディアのどのニュースだったかははっきり記憶していないが、「大阪市大の分析によれば、大阪市では生活保護の受給期間が増加しており、生活保護を目的として大阪市に流入する人々の多さが裏付けられた」という内容だったからだ。
 そもそも、生活保護の受給期間の増加は全国的な傾向であり、その背景のうち最大のものは高齢化だ。仕事を求める人々が流入する「寄せ場」の存在は、「山谷」を持つ東京都、「寿」を持つ横浜市、「釜ヶ崎」を持つ大阪市など、都市型貧困の特徴の1つでもある。寄せ場を必要とする理由と、生活保護を必要とする理由は、大きく重なっている。「生活保護が受けにくい」と広く知られている大阪市に、わざわざ生活保護そのものを求めて流入する人々が多数いるとは、あまり考えられない。
 大阪市立大学は、日本の貧困研究の一大拠点の1つだ。今回の研究チームの教員たちも、貧困研究における定評ある実績で広く知られている。その大阪市立大学が、そんな研究成果を発表したとは、世も末だ。ネットスラングで言えば「gkbr(ガクガクブルブル)」――。しかし、何とか気を取り直し、大阪市大チームの発表資料に目を通した私は、まっとうな研究がまっとうに行われていることに安心できた。
 今回は、大阪市大チームが何をどう検討したのか、発表資料に何が書いてあるのかを中心に、生活保護の「いま」を見てみたい。
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2017年08月01日

「マグネット層」と「トランポリン層」生活保護に関する言説のまやかし

 メディア報道の多くは、「生活保護の受給期間増大、特に女性や子供のいる世帯で受給が長期にわたりがち」「生活保護を目的として大阪市に転入していると見られる人々が多い」という2点を問題視した。
 大阪市立大学・公共データ解析プロジェクトチーム(以下「大阪市大チーム」)が行った分析では、2005年、2010年、2015年に大阪市内で生活保護を利用していた世帯主たちに対し、それぞれの特徴を明らかにし、「福祉のマグネット」機能、「福祉のトランポリン」機能を検証した。
 「福祉のマグネット」とは、福祉制度の充実した地域が、福祉を必要とする人々に対して「引き寄せ力」を発揮するため、福祉支出の増大を招く現象のことである。たとえば「子供を持ちたい共働き世帯が、保育園の充実した地域へと転居する」という当然の選択も、「福祉のマグネット」現象と言えなくはない。また「福祉のトランポリン」とは、福祉を必要としない状況に再度押し戻す機能のことである。
 大阪市大チームの分析では、大阪市民になった日から半年以内に大阪市で生活保護を利用し始めた人々を、「福祉のマグネット層」とした。大阪市民になってから半年以内に生活保護を利用し始めた「マグネット層」の人々は、少なくない。さらに1ヵ月以内の生活保護利用も目立つ。
 しかし、大阪市に来た目的が生活保護利用だったのか、あるいは就労などを目的としていたものの結果として生活保護を利用することになったのかは、日数だけでは判断しにくいところではないだろうか。大阪市大チームも、この点については結論づけていない。結論づけようがないからだ。
 大阪市大チームはさらに、生活保護を利用する人々の中での「マグネット率」を算出した。2015年度で見ると、「マグネット率」は男性で19.8%、女性で10.6%。「マグネット層」の内訳を見ると、男性では若年・単身の「その他世帯」、すなわち障害者でも傷病者でも高齢者でもない単身者が多く、26.6%を占める。女性では単身障害者世帯が最も多く、マグネット層の19.0%を占めている。
posted by GHQ/HOGO at 07:29| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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