2017年06月20日

保護を受ける人数を減らしても、財政効果はない

 地方交付税を受け取っている自治体の場合、生活保護を受ける人の数を減らしても、財政効果はほとんどないという点である。
 たとえば、何らかの方法で締めつけて生活保護の利用者を減らし、保護費を100億円削ったらどうなるか。4分の3は国の負担なので、75億円が国から来なくなる。そのうえ、4分の1負担分に見合う基準財政需要額も減るので、自前の税収など(基準財政収入額)が変わらなければ、地方交付税がまるまる減ることになる。変化があるのは、基準財政需要額の算入の過不足にかかわる部分だけなのだ。
 反対に、保護の利用者が増えたらどうか。保護費の4分の3は国が出し、4分の1に見合う基準財政需要額が増える。保護の人数の増減が基準財政需要額に反映されるのは、実際より後の年度になるという時間差の問題はあるが、基本的には、算入の過不足部分を除いて財政負担は増えないのだ。
 福祉事務所には、自治体の財政負担に影響すると思って、保護の利用を抑え込もうと躍起になっている職員もいるが、保護利用者が減ろうが増えようが、地方交付税を受け取る自治体の財政はほとんど左右されない。一方、地方交付税の不交付団体の場合は、4分の1分の影響を受ける(財政にゆとりのある自治体)。
 自治体の税収が伸びないこと、生活保護以外を含めた地方交付税全体の額がしだいに抑えられる傾向にあることなどにより、自由に使える財源が増えず、財政運営が厳しい自治体が多いのは確かだ。そういう中で保護費の金額が大きいため、矛先を向けるのかもしれない。しかし、地方交付税を受け取っている自治体に関する限り、生活保護費が財政を圧迫していると声高に叫ぶのは、財政のしくみをよく理解していないからなのだ。
posted by GHQ/HOGO at 10:32| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする