2017年05月31日

特養に入れない認知症妻を介護する78歳夫の苦労

 埼玉県内の男性(78)は、自宅で妻(84)と2人で暮らしている。最近妻の物忘れがひどく、買い物のときに迷子になって、交番から連絡が来るようになったという。あるとき、電車で1時間も離れた街に行ってしまった。 長男は関西地方で働き、長女は結婚して福岡に住んでいて、盆暮れ正月しか戻ってこない。夫は妻の認知症を疑っている。
 「これ以上症状が進むと、私では面倒を見切れなくなる。自宅で生活できなくなるのではないか。かといって高額の施設に入るお金もない。子供にも迷惑をかけたくない」
 夫婦の全収入は2人の年金月額約22万円。このレベルなら、以前は月額5万〜8万円程度の費用で特別養護老人ホームに入れていた。しかし2015年4月、特養への入所条件が「要介護3以上」に変更され、要介護1、2で認知症などを患う人たちが特養に入れない事態が発生した。
 地域包括支援センターのケアマネジャーに調べてもらったところ、男性の妻は要介護2判定だった。現状では特養入所は難しく、週3回程度の在宅ケアでしのいでいる。男性も高齢のため、老老介護がいつ破綻するか分からない。こうしたケースで近年、子供の介護離職が発生することが社会問題化している。
 厚生労働省の就業構造基本調査によると、前の年1年間の介護離職者は全国で約10万人に上った。中高年の子供が親の介護のために一度離職すると、同条件での再就職はかなり困難だ。再就職しても賃金は以前より下がり、収入や蓄えが減って今度は自分の老後を不安定にしている。
 生活保護基準相当か、それ以下で暮らしている年金受給者は少なく見積もって700万人、多く見積もると1000万人を超える。貧困寸前の状況は、介護や病気をきっかけに、子供世代に直接影響する。


posted by GHQ/HOGO at 06:34| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする