なぜ、簡単にばれることをするのか。いくつかの原因が考えられる。
1つは、給与や年金の情報が市区町村に届くことを、保護の利用者が知らないケースである。
すべての事業主は、法人・個人を問わず、前年中に支払った給与について、「給与支払報告書」を作成し、1月1日現在の従業員等の住所地の市町村(東京23区内は各特別区)に提出する義務がある(地方税法317条の6)。
アルバイト、パート、役員を含め、給与の額の多少にかかわらず、提出しないといけない(違反すると刑事罰がある)。所得税や住民税を源泉徴収するかどうかには関係ない。
また、公的年金や企業年金を給付する団体は、「公的年金等支払報告書」を同様に市区町村へ提出する。国税当局は、所得税の確定申告書の情報を市区町村へ届ける。市区町村は、そういった情報をもとに住民税の額を決める。
このデータは「課税にかかる資料」「税情報」などと呼ばれるが、たとえ課税されない額でも、給与や年金の情報は市区町村に入っているわけだ。福祉事務所は少なくとも年1回、本人の申告内容と課税情報を照合する作業をする。今はコンピューターで自動チェックできる。年金機構には別途の照会もしている。
不正受給の中には、少しのアルバイトやパートで税金もかからないし、役所にはわからないだろう、と安易に考えていたケースが、結構ある。