2017年04月25日

見えない「貧困化」が拡がっている

 昼時のオフィス街を歩くと、マクドナルドや吉野家、立ち食いそば屋にサラリーマンの行列ができているのに気がつく。その列は、最近になってますます長くなっている。消費者の低価格志向は根強く、マクドナルドは値上げに失敗して、売上の回復を59円バーガーに託さざるを得なくなった。
 1回の食事を100円(1ドル)以下ですますのは、一般には「貧困層」に分類される。日本には、持ち家に住み、スーツを着て働き、子供を私立学校に通わせる「見えない貧困層」が誕生している。しかしほとんどの人が、この大きな社会の変化を見落としている。
 ごくふつうのサラリーマンが貧困化するのは、家計のキャッシュフローが破綻の危機に瀕しているためだ。
 年収600万円のサラリーマンの場合、税・社会保障費を除いた可処分所得は450万円程度。そこから住宅ローン(約150万円)、生命保険(約50万円)、子供の学費・教育費(約150万円)を引けば、残りはわずか100万円。親子3人で暮らすには、最低限の水準である。
 中学から大学まで子供を私立に通わせると、1人1500万円程度の費用がかかる。子供を下宿させると、さらに年間100万円程度の仕送りが必要になるから、この場合の総コストは2,000万円に達する。子供2人なら計4,000万円。
 教育産業は人件費のかたまりであり、世界一人件費の高い日本では、当然、教育コストが高騰する。地方ではまだ公教育に任せることもできるだろうが、東京・大阪などの大都市圏では公教育は完全に崩壊しており、自分の子供をいじめや校内暴力、麻薬や売春から遠ざけるには、私立に通わせるしかないという状況になっている。
 子供のいる家庭は、私立中学入学から大学卒業に至る10年間で、1人当たりマンション1軒分の教育費がかかる。しかしほとんどの人はこのことに気づかず、急激な家計の逼迫に苦しむことになる。これが、サラリーマンが「貧困化」する最大の理由である。
 日本人の9割が中流を自認していた幸福な時代は終わり、現在では、18歳以下の子供のいる家庭の60%が、家計が苦しいと感じている。
 子育てコストの増大は必然的に少子化を招き、先進諸国ではどこも大きな問題になっている。子供に十分な教育を受けさせようとすれば、養育可能な子供の数は最大2人で、これでは出生率が2倍を下回るのを防ぐことができないからだ。そのためにさまざまな政策的努力が行なわれているが、ほとんど効果をあげていない。
 「貧困化」を避けるには、世間一般の通念に反して、子供のいる家庭は住宅ローンを組んで家を買うのをやめるべきだ。あるいは、両親からの贈与などを利用して、十分な頭金を用意すべきである。住宅ローンは頭金の2倍程度にしておかなければ、失業や倒産などでキャッシュフローが途絶えたときに、すぐに家計が破綻してしまう。
 一般に、サラリーマンの生涯年収は3億円といわれている(平均収入700万円×40年)。このうちの2割、6,000万円は税金と年金・健康保険などの社会保障費で天引きされ、手取りは2億4,000万円。ここから住居費(6,000万円)と保険料(2,000万円)を引くと1億6,000万円。そのうえ子供2人を育てると4,000万円の教育費がかかり、残りは1億2,000万円。サラリーマン人生40年で割れば、実質可処分所得は1年で250万円、毎月約20万円で、食費などの生活費を考えると、自由に使えるお金はほとんど残らない。家を買い、保険に入り、子供を育て、税金を払っていては、いつまでたっても資産などつくれるはずがない。これを貧困と思えないからこそ、生活保護家庭をバッシングするのである。



posted by GHQ/HOGO at 07:13| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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